ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ: 原子力を受け入れた日本 (ちくまプリマー新書 165)

  • 筑摩書房
4.10
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688699

作品紹介・あらすじ

世界で唯一、原爆を落とされた国が、なぜ原発大国になったのだろう?ヒロシマ・ナガサキとフクシマは、見えない糸でつながっている。そのつながりを、歴史を振り返り、圧倒的な想像力で描き出していく。これからの「核」の話をはじめるための、最初の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 育った環境と史実、現場や研究者の方との交流の中で考察、憶測を交えながらもできるだけ冷静にまとめようという意思は感じた
    覚書
    原子力発電所に勤務する方との交流では、安全無視したお金儲けの手段となり研究者が離れていってしまっていることや社会的評価の低さや地味な業務、人員削減と効率やコスト優先させる風潮が蔓延しているらしいとのこと

    原子力発電所の原子炉で3か月あれば原爆は作れるらしい

    核エネルギー原子核の分裂から大きなエネルギーを得る発想は1930年代に生まれた 構成する陽子と中性子が強い力で寄り固まっている 多数になると不安定となり安定するために原子核崩壊を起こしてα線、β線、中性子線という放射線放出 天然に存在する元素で想い質量はウラン

    ハンガリー系ユダヤ人科学者レオ・シラードは、ナチスによる核開発の危険性を感じて、正義と倫理ある自由の国として信頼していたアメリカ政府に対してあらゆる方法で訴え、国際政治を視野に入れた『アイシュタインの手紙』による提言などもされているが、結局軍事利用された
    1942年『マンハッタン計画』軍の指揮下による核兵器製造 ロスアラモス研究所所長はユダヤ系科学者オッペンハイマーとなる
    1945年4月30日ヒトラー自殺、ドイツ連合降伏の後、ドイツから日本へ標的を変え核兵器の研究続行。核兵器原爆の完成がみえてくると、その行使への軍と研究者との意見対立。無警告で原爆を落とすことは反対意見が研究者から決定後も出たというが決行

    原爆は日本に対して使用する
    攻撃目標は民間居住区に囲まれた軍事施設
    原爆は予告なしで使用する

    本土決戦になれば多くのアメリカ兵と日本兵の命が失われる、それらを救済するという推進派の意見
    広島に落とされた原爆はウランを原料、長崎に落とされたのはプロトニウム

    原爆を落とされ核兵器は恐ろしいと思うはずの日本が、なぜ原子力を受け入れたのか 広島長崎に原発を落とされ20数万人の命が失われた日本も十年後には原発推進が始まっている
    ・1955年第五福竜丸の被ばく事件を百万ドルで政治決着させたアメリカはその1週間後に濃縮ウランの受け入れ打診 外務省が秘密にしていたのを新聞で明るみになる
    ・反米反核に対し正力松太郎国会議員が、メディアを通し原子力平和利用を訴えるキャンペーン 反対運動の方々へ圧力をかけた 原爆とアメリカのイメージを切り離すべく、日本が怒りに目覚める前に原発は未来のエネルギーという夢で洗脳しようとしたのではと田口氏は推測
    ・ナガサキに原爆ドームがないのは、原爆資料保存委員会での浦上天主堂の廃墟保存からアメリカ側の懐柔により再建することで置き換えられたのではと著者は考察『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」高瀬毅著』

    ニューヨーク生まれの精神科医リフトンは原爆を日本へ行使したアメリカの加害者心理としての分析『アメリカの中のヒロシマ』で記述 第二次世界大戦後も戦争中毒と呼ばれるほど戦争を繰り返すきっかけが広島と長崎の原爆投下なのではないかと考察している

  • 読みやすく分かりやすい。考え始める為の資料として。

  • 世界で唯一、原爆を落とされた国が、なぜ原発大国になったのだろう?ヒロシマ・ナガサキとフクシマは、見えない糸でつながっている。そのつながりを、歴史を振り返り、圧倒的な想像力で描き出していく。

    原子力について、改めて考えることも必要かと思って。

  •  人それぞれ、考えがいろいろと違うものですが、考えの違う相手と意見を交換するときに、相手がなぜそのように考えるのか、考えるようになったのか、そして、自分もなぜそのように考えるのか、考えるようになったのかに思いを巡らせることができると、善悪の判定や優劣、勝ち負けを争うのではなく、どうすれば良い方向に進むのかという共通の目的に向けての対話ができるのですよね。
     著者は、自分の核についての興味の持ち方を、自分自身の育ってきた体験から分析し、そして、原爆を落とされ、さらに水爆実験の犠牲にもなった日本人が、なぜ、原子力の利用を積極的に進めるようになったのか、そして、核爆弾を落とした国としてのアメリカ側の人たちの気持ちまで、作家らしい想像力の下で考えを進めます。
     ”これからの「核」の話をはじめるための、最初の一冊”
    と裏表紙に書かれていましたが、自分の思いを正確に、独善的にならないように冷静に、わかりやすく丁寧に書かれています。歴史の勉強の大切さも実感します。
    「野球好きのオヤジのおせっかい、高校生はこれを読め!」
    に入れておくことにしました。


     

  • 原発のことや戦争のことを書いた本をいろいろ読みましたが、ちょっとこれは違う! と思いました。今までは何を読んでも、少し怒って、同情して、数日後にはひとごとになって。そんな自分に罪悪感を持ったりもしたものですが、これを読んでそこから一歩進めたような気がします。自分の中の何かが開かれた1冊。こんな本を震災後半年で出版した著者のエネルギーはすごいです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「著者のエネルギーはすごいです」
      へぇ~~
      実は田口ランディって読んだコトが無いので、コレから読んでみようかな。。。
      「著者のエネルギーはすごいです」
      へぇ~~
      実は田口ランディって読んだコトが無いので、コレから読んでみようかな。。。
      2012/10/19
  • 原発問題の根底には、イデオロギーの対立や人間の原罪にまでつながるような深い問題が流れている。全ての問題は、対立ではなく、理解と受容がなければ解決しない。

  • 日本人必読。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「日本人必読」
      日本人なので、読んでみます、、、
      田口ランディって、こんな本も書かれるんだ。。。
      「日本人必読」
      日本人なので、読んでみます、、、
      田口ランディって、こんな本も書かれるんだ。。。
      2012/09/01
  • 何かヒントをくれようとしている本
    福島に生まれて、放射能汚染を少し経験した。小学校の時、原発が地元の先生はいかに地元が豊か喋ってた。図書館ではだしのゲンを読んだ時の感覚は今でも覚えてる。

    日本の被爆国なのに原子力推進、敗戦国なのに高度経済成長、負かされた相手なのに親アメリカ、チクチクと心の奥に感じてる違和感を浮き彫りにする。

    あっちゃんの動画やコテンラジオで最近歴史を勉強し始めていたから読み進めやすかった。

    学生運動と反原発が繋がっているかもということ、核兵器開発をやめさせようと運動したアメリカ人、「原子力・正力・CIA」、ヒロシマ被爆者を分析したアメリカ人。興味を持ったこれらはこれから調べてみたいと思った。 

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著者プロフィール

作家。

「2015年 『講座スピリチュアル学 第4巻 スピリチュアリティと環境』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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