どこからが病気なの? (ちくまプリマー新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480683663

作品紹介・あらすじ

病気と平気の線引きはどこにあるのか? 病気のアラームとは何か? かぜと肺炎はどう違うのか? 人体と病気の仕組みについて病理医ヤンデル先生が語る。

感想・レビュー・書評

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  • 「病院の適正利用ってなんなの?じゃあ、いつ病院にかかればいいのさ!?」と思ったことのある方は、「どこからが病気なの?」の第1章をぜひ読んでみてください。

    また、病院の適正利用をすすめる方も、第1章で書かれている「1 病気だと決めるのは誰?」「3 なかなかわからない病気」の内容を、世の中にどんどん広めないといけないんだなと思いました。

    特に「3 なかなかわからない病気」を読むと「後医は名医」と言われるのはなぜなのか、とてもよくわかります。
    「医者でしょ?1回みればなんの病気か、わかんないの?」といういらだちも、「なんで薬5日分しか出さないんだよ!もっと出してよ!」という気持ちも、ピタッとおさまります。

    なぜなら本書を読むことで、「病気には、“時間経過”をみないと本当のところがわからないものがある。」ことがわかるからです。

    それをふまえれば、風邪をひいて休まなかった本人を責めるのではなく、休めない環境を見直すことが大事であること、あとになって病状が重症になったときに「だから軽いうちに休めばよかったんだよ!動きまわって、他の人に病気がうつったらどうするんだ!」と責めたてることの無意味さをひしひしと感じるでしょう。

    本書「どこからが病気なの?」という本は、
    「○○は××だった!」というみたいに、問題にズバッと答える!という本ではありません。
    そのため、シンプルにはやく答えがほしい人は「結論をはやく言ってくれ!」と思ってしまうでしょう。

    でも世の中にはシンプルにできるものと、できないものがあります。
    そして人体や生命・病気は、著者の言うように「(前略)人体や生命、病気を考える上で“話を簡単にしてはいけない”。」(146ページ)ものなんだということが、本書を読み終えたときにじわじわ頭にしみこんでくるでしょう。

    最後に…アロンアルファを常備したくなる、玄関とテレビの横壁に貼っておきたい気分爽快な名文を、本書から引用させていただきたいと思います。

    「『喘息もアトピーもなおる奇跡の水』を売りつけられそうになったら、その人の唇をアロンアルファで閉じてしまってかまわない。絶対にうそだからだ。」(147ページ)

  • 「熱量と文字数」のえぴいろ記者が「いんよう!」というポッドキャストを配信しているが、えぴいろ=ようさんの相手がこの人。
    いっちー=いん=ヤンデル先生=市原真。

    本質的なことが書かれている本。
    様子を見る=時間経過。未来予測。医療シアター。複雑系。群像劇。都市の譬え。
    病気とは「こないだまでの自分がうまく保てなくなること」
    健康とは「こないだまでの自分がうまく保ち続けていること」
    などなど。



    プロローグ 「病気と平気の線引きはどこ?」

    第1章 病気ってどうやって決めるの?
    1 病気だと決める人は誰?
    自分で決める?/病気かどうか、それは未来予測!/病気を決める最後のファクター
    2 すぐわかる病気
    なぜ病名を決めるのか/探偵のように病名をつきとめてゆく/病院に頼るかどうか迷ったら
    3 なかなかわからない病気
    様子をみるとは?/医療は詰将棋/「様子をみる」の本当の意味
    4 病気には原因がある?
    病理医ヤンデルのもくろみと予想外の展開/人体も病気も「複雑系」である/病気の原因はひとつじゃない
    5 結局病気ってなんなの?
    病理学を知っておこう

    第2章 それって結局どんな病気なの?
    1 お腹が痛くなるってなんなの?
    痛みは病気のアラーム/体性痛と内臓痛/痛みと時間経過/血管痛というのもある
    2 かぜと肺炎って違うの?
    自力で勝てる感染症がかぜ/人体の防御システムはすごい/肺炎は細菌が肺でがんがん増えている状態
    3 喘息とかアトピーって体質なの?
    敵も防御部隊も複雑に絡み合うのがアレルギー/原因は決してひとつには決められない
    4 高血圧って何がどう悪いの?
    人体という都市のライフライン、血管/人体の耐用年数が延びた結果!?
    5 年を取るとみんな腰痛になるの?
    体をメンテナンスして正のスパイラルに/偏り過ぎが一番のワルモノ
    6 がんってなんなの?
    がんは内なる驚異/がんはラスボスじゃない/がんは細胞のバグ/がんという複雑な敵

    第3章 病気と気持ちの関係は?
    1 病は気からって本当?−気持ちの問題なの?
    病気のせいで辛くなったりはする/気持ちのケアが大事
    2 気合いで治す!とか言う人がいるけれど本当に気合いで治るの?
    気合じゃ治らない/ビタミンCやローヤルゼリーも関係ないよ!
    3 病気と平気の線引きはどこ?
    「この先どうなるか」という観点で人体を推し量るのが大事

    推薦図書〜あとがきにかえて

  • 病気とは?

    「病は気から」ではなく。
    気合い、ダメ、絶対。

    「病気」は複雑。
    "気"って付くから
    ややこやしい…

    病気の人も
    健康な人も
    読んだほうがいい本。
    とても分かりやすい。

  • プリマー新書だから、良識ある大人は知ってるはずの内容。
    個人的には、Q助と、巻末の図書紹介がいちばん役に立つ気がする。

  • Twitterでお馴染みのヤンデル先生。
    今回のこの騒動になった時、わかりやすくヤンデル病をツィートされていて、読んでみたいなーと思った本。

    さすがです。
    群像劇や、都市など、一般の人がわかりやすいような例えで、体内構造や、病を開設する。
    これを読んでおくと、病に対しての怖さ、不安は、単なる恐怖、不安ではなく、冷静な恐怖、不安に変わるかなと思う。
    怖いけれど冷静に怖がる。
    無闇に怖がらない。

    『病気かどうか、それは未来予測!』
    これだけ言われると、なんじゃそりゃ。かもしれないが、本を読めば納得。
    言われてみれば!!!

    『(中略)「詰将棋のように一歩一歩テキの逃げ道を潰していく医療(専門的にはベイズ推定方式)があるんです」』
    誰しもが一度は言われたことがあるであろう「様子をみましょう」の意味。
    患者からしたら、一発で治して欲しくていくのに、何もできないと、ドクターショッピングに走りたくなりますが、ここは、この解説を読んで納得。
    過去に疑った主治医、ごめんよ。。。

    一番、例えが秀悦!!と思ったのは、「血管」と「がんのレベル」。
    「がんのレベル」は、うっかり、電車で盛大に吹き出しそうになりましよ。。ヤンデル先生(笑)

    プロローグ「病気と平気の線引きはどこ?」
    第1章 病気ってどうやって決めるの?
    1 病気だと決める人は誰?
    2 すぐわかる病気
    3 なかなかわからない病気
    4 病気には原因がある?
    5 結局病気ってなんなの?

    第2章 それって結局どんな病気なの?
    1 お腹が痛くなるってなんなの?
    2 かぜと肺炎って違うの?
    3 喘息とアトピーって体質なの?
    4 高血圧つて何がどう悪いの?
    5 年を取るとみんな腰痛になるの?
    6 がんってなんなの?

    第3章 病気と気持ちの関係は?
    1 病は気からって本当?
    2 気合いで治す!とか言う人がいるけれどほんとに気合いで治るの?
    3 病気と平気の線引きはどこ?

  • 風邪は病気?腰痛は?口内炎は?がんは?

    病気って一体何なんだろう。

    言われてみるととても病気の定義はとても曖昧ですね。
    そんな病気についての話はとてもためになりました。

    この本では病気と健康の定義がこう書かれています。

    病気とは「こないだまでの自分がうまく保てなくなること」
    健康とは「こないだまでの自分がうまく保ち続けていること」

    なるほどと思いました。

    今、多くの人が病気や健康についての不安はあるでしょう。
    それに対してどのように対処していいか迷いもあるでしょう。

    だからこそ上記の言葉をよくかみしめて判断の材料にしてみるのも良いかと思います。

  • (要約しか読んでないので読み直す)
    メモ
    ・医療とは、医学というサイエンスと医術という実学が融合したもので、言い換えるなら「正しさ」と「お役立ち」の両輪で成り立つ
    ・アプリ「Q助」
    ・生物の耐用年数は「子孫を残してある程度育てられるまで」。人間=50年。
    ・外付けエンジンで人間は長生きできるようになったが、ライフラインは追いついていない。パイプのメンテが重要。
    ・メンテには、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠が大切。
    →バランスの良い食事=少数の材料NG。少しでも多くの食材に参加してもらって登場人物の多い食事
    →適度な運動=過剰に一箇所NG。複数の場所が同時に動き、軽く汗ばむようなウォーキングなど。
    →十分な睡眠=枕や布団が骨盤に負担をかけない硬さと形で、7時間前後の睡眠時間で、起きた時痛みがなく、起き抜けに水をコップ1杯飲む睡眠。
    ・複雑系の人体が体調を崩す最大の原因は「1つの何かに偏りすぎてしまうこと」

  • すっきりとして、わかりやすかったです。

    知性は恐怖を飼い慣らす手綱。
    おそろしさとどうつきあっていけばよいか、考えることはできる。

    まったくその通りだと、今だからなお、思います。

    病気と病気でないことの違い、もおもしろかったです。

    日頃の医療についての小さな疑問がほぐされて整理される一冊でした。

  • 自分的には、物足りなさからこの評価だけど、プリマー新書の一つとしての役割は十分に果たしている。少なくとも、先だって同じ新書ラインで読んだ”客観性~”よりずっと。

  • 私たちは元気なときもあれば、病気のときもある。「がんです」と診断されても自覚症状がない場合もある。その境界線はどこにあるのだろう?病理医ヤンデルが教える病気のしくみ。

    目次
    プロローグ 「病気と平気の線引きはどこ?」
    第1章 病気ってどうやって決めるの?
    ・病気だと決める人は誰?
    ・すぐわかる病気
    ・なかなかわからない病気
    ・病気には原因がある?
    ・結局病気ってなんなの?
    第2章 それって結局どんな病気なの?
    ・お腹が痛くなるってなんなの?
    ・かぜと肺炎って違うの?
    ・喘息とかアトピーって体質なの?
    ・高血圧って何がどう悪いの?
    ・年を取るとみんな腰痛になるの?
    ・がんってなんなの?
    第3章 病気と気持ちの関係は?
    ・病は気からって本当?―気持ちの問題なの?
    ・気合いで治す!とか言う人がいるけれど本当に気合いで治るの?
    ・病気と平気の線引きはどこ?

    著者等紹介
    市原真[イチハラシン]
    1978年生まれ。2003年北海道大学医学部卒。国立がんセンター中央病院研修後、札幌厚生病院病理診断科へ。現在同科医長。医学博士。インターネットでは「病理医ヤンデル」として有名(

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著者プロフィール

1978年生まれ。札幌厚生病院病理診断科主任部長。医学博士。病理専門医・研修指導医、臨床検査管理医、細胞診専門医、病理医ヤンデル。

「2022年 『ココロギミック 異人と同人3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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