すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 604
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438126

作品紹介・あらすじ

この世界を生きる唯一の「きみ」へ――人生のためのヒントが見つかる、39通のあたたかなメッセージ。傑作エッセイが待望の文庫化! 解説 谷川俊太郎

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化
    谷川俊太郎の解説、、、意外な気がしている。。。

    すべてきみに宛てた手紙 | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=1076

    筑摩書房 すべてきみに宛てた手紙 / 長田 弘 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480438126/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト『すべてきみに宛てた手紙』 | 教文館ナルニア国
      https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archi...
      ベスト『すべてきみに宛てた手紙』 | 教文館ナルニア国
      https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/b1dc784a
      2022/05/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      > 意外な気がしている。。。
      と書いたが
      解説を一読してウルウルしている。

      そして全く失念したいたのですが『言葉殺人事件』(晶文社...
      > 意外な気がしている。。。
      と書いたが
      解説を一読してウルウルしている。

      そして全く失念したいたのですが『言葉殺人事件』(晶文社)所収の「Pathography」を谷川俊太郎が「パソグラフィー」として訳していたコト("長田弘 詩人一匹"云々と)を、、、
      2022/05/11
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      折々のことば:2420 鷲田清一:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
      https://www.asahi.com/sp/articles/DA...
      折々のことば:2420 鷲田清一:朝日新聞デジタル(有料会員記事)
      https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S15335665.html
      2022/06/26
  • 「わたしたちはともすれば、自分は自分だと言えば、それが自分であるというふうに思いなしがちですが、それはちがいます。わたしたちの自分というのは、むしろ自分でないものによってしか語ることができないものです。わたしたちの中にいる自分は、言葉をもたない自分です。あるいは、言葉に表すことのできない自分です」

    村上春樹のカキフライを彷彿とさせる。
    自分でないものによってしか、自分を語ることはできない、ということ。
    でも、私が私でないものを、どんな風に見、感じているかも、また言葉にしないと分からない部分がある。

    「人は記憶によって育てられ、その記憶にみちびかれて、自分にとって大切なものを日々のうちに手にしてきました。人の人らしさをささえるのが、記憶です。記憶は、しかし、何もしないでどこかにあるものでもなければ、自分のなかにもともとあるものなのでもありません。人それぞれがみずから時間をかけて育てなければならないのが、記憶です」

    記憶を育てる、という言い方を初めて聞いた。
    何を残していくのか、どう残していくのか。
    確かに、そんな破片への眼差しが、自分を象っていくんだろう。記憶は、象だ。

    「地声を失ってしまっている役者がいる。それも主役をつとめてきたような役者に多い。『声を鍛え、あれこれと表現テクニックを身につけている間に、だんだん声が自分を離れてしまって、十数年もたつと、声だけが独立してしまう。そうなるともともとの声がどんなだったか、もう本人にもわからない。』セリフは上手でも、『自分自身と声との間につながりがないから』、心の底から感動させられるということがなくなっている」

    この言葉にも、ハッとさせられた。
    私は、私の声を失っていないだろうか?
    仕事モードと名付けて、その立場でその顔で生きる中に、なんでもない自分は繋がっているだろうか。
    そういうことと切り離した言葉は伝わらない。
    それは、よく分かる。
    でも、演じることは、多分楽でもある。

  • エッセイ。
    はじめから、最初の一行から、心に刺さりました。
    確かにそうだ。と。

    とても短くて、雑学があって、読みやすく、
    あっという間に読み終え、
    カフェで読みたい本に入れたかった。と
    今更ながら感じました。

    いつも手元におき、時間が空いたらふと読むような
    本。

  • 詩と手紙と散文との境目が消失した名編。論ずることの不毛と、「引く(=引用)」ことのゆたかさを教えてくれている。これは、「体験」する本である。以下、後日を待つ(2022/05/13)。

  • 詩人・長田弘氏が私たちに書き送る手紙39篇が収められている本。
    どの手紙も言葉の一つ一つが味わい深く、それぞれの手紙に
    ハッとさせられる一言がある。
    私は「行きどまりと思ったとき、笑い声が聞こえてきた」から始まる
    中国の詩を紹介している手紙8と
    エミリ・ディキンソンの詩を紹介している”痛み”について書かれた
    手紙39が特に印象に残った。

    <手紙8からの抜粋>
    人びとの日常の明証としての笑い声。
    そうした笑い声をもつ世界のすがたを
    あたかも行きどまりのようにおもえる現在の向こうに、
    あきらめることなくたずねること。
    誰にも言われなくともしなければならないこと、
    よくよく思いさだめておきたいことは、
    どんなときも、たぶんそれのみ。
    易しいようで、とても難しいこと。

    <手紙39より抜粋>
    わたしはあなたが好きではありません。
    しかし、人間の高慢や思い上がりを断じてゆるさないのがあなたです。
    「痛み」があなたの名です。

    一つの心が壊れるのをとめられるなら
    わたしの人生だって無駄ではないだろう
    一つのいのちの痛みを癒せるなら
    一つの苦しみを静められるなら

    一羽の弱ったコマツグミを
    もう一ど巣に戻してやれるなら
    わたしの人生だって無駄ではないだろう

    あなたのことを考えるとき、いつも思いだす
    エミリ・ディキンソンの詩です。

    ーーー
    そして…

    「書くというのは、二人称をつくりだす試みです。
    書くことは、そこにいない人にむかって書くという行為です。
    文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、
    じぶんにとってなくてはならぬ存在に変えてゆくことです。」

    長田氏のこの言葉は忘れずにいつまでも心に留めておこうと思った。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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