- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480437327
作品紹介・あらすじ
世界でも指折りの食いしん坊と言われるロシア人の食卓を、ロシア文学の名作を通して味わいつくす美味しい読書案内。解説 平松洋子
感想・レビュー・書評
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自分がよぼよぼになる前にロシアが観光に行ける国に戻ることはないだろうと思うと(短かった... 遊びに行けたのって2、30年くらい?)、なかなか歯噛みさせられるロシア料理と文学の案内書。作れそうなものはレシピサイトを見て作れるけれど、「なんとかという町のなんとかというレストランで食べたあれこれがおいしかった」とあるとまことに悔しい。プーチンを恨む。
紹介されているロシアの小説の日本語訳の出版年がだいぶ前な場合が多い。今後ロシア語を学び文学で生計を立て翻訳までしてくれるひとはほぼいなくなってしまうだろうから、日本語でロシア語の小説を読むという趣味が成立するのもあと十数年なのかもしれない。読める分は今のうちに。-
これ面白そうですね。
政治問題が、芸術やスポーツ分野まで及ぶのは残念ですよね。建前上は政治は関係ないとはいううものの本気度合いが試されてし...これ面白そうですね。
政治問題が、芸術やスポーツ分野まで及ぶのは残念ですよね。建前上は政治は関係ないとはいううものの本気度合いが試されてしまった感じです。
こういう分断がますます悪い方向に加速してしまうようでよろしくないですよね。ロシア文学とか音楽とか料理とか好きなのになぁ。もっと理解し合う方向にいかないものですかね。2022/07/03 -
diver0620さん
次の10年20年、ロシア語で書かれた新しい文芸作品を日本語で読める機会が減ってしまいそうなのが心配です。いまロシア...diver0620さん
次の10年20年、ロシア語で書かれた新しい文芸作品を日本語で読める機会が減ってしまいそうなのが心配です。いまロシアの芸術を避けたくなる心情もわかりますし、まずはウクライナとの戦争が一刻も早く終わってほしいですね。
この本で紹介されているロシアの古い小説は絶版になっていそうなものが多いですが、図書館を使って読んでいこうと思います!2022/07/03
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ヴィタリ・ユシュマノフ著の「ロシア料理」を読み気になっていた、魚料理のヴァリエーションが充実している背景に納得。
また、一つ一つはヘルシーなのになぜロシア人に肥満が多く平均寿命が短いのかもよく分かりました。紹介されている小説を見ると一度に食べている量が尋常じゃないのと付け合わせにバターや生クリームをかなり大量に使用しているようです。食べ方もダイナミック!ブリニーなどは三枚重ねにたっぷりバターをのせてぐるぐる巻いたものをお代わりしながら食べる描写がありました。私なら多くて2枚で精一杯です…。
また、現代のコース料理の提供方法が実はロシア起源なのも興味深く思いました。
様々なロシア文学の料理に関する記述を取っ掛かりにしてロシアの文化や歴史、政治に関する理解を深めることができる良い本でした。尚、本書で紹介されているロシア文学は古典中心です。
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ゴーゴリ、チェーホフ、ドストエフスキーなどの古典から『ソーネチカ』まで、ロシアの小説に登場する料理と人びとの暮らしを、日本の食卓との関わりも絡めてロシア文学者が語る。(NHKブックス版を読んだ)
「ピロシキ」が、「ピローク」というパイの小型になったものを表す「ピラジョーク」の更に複数形であること。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などを書きあげたあとのトルストイが菜食主義者になったことなど、そもそもロシア文学に明るくない私には初めて知ることばかり。ご飯に誘われてロシア文学案内を読んでいる気分になった。
特に気になったのは、モダニズムの作風でナボコフを思わせるというタチヤーナ・トルスタヤ。引用されている「鳥に会ったとき」を読むと、カポーティっぽくもあるなと思う。谷崎の『細雪』にでてくるロシア料理とドイツ料理の比較描写が、そのまま登場人物たちの性格を示しているという指摘も面白かった。 -
これは楽しかった、そして勉強になったっ。
ロシア文学に登場する食事、食卓を、前菜〜デザートに分けて紹介しつつ、食文化と歴史まで見渡す研究書?にして、美味しいエッセイ。
ロシア文学にメシの記述はあまりないように思っていたけど、それ自体があの国の在り方であり、一方では大食漢たちなので探せばうまそーなものがたくさん!
またヨーロッパへの憧憬と優越感という相反する感情もあふれてて、ロシアっつー国の立ち位置にまで、今このときだから、ちょっとしょっぱい気持ちで思いを馳せられる。
明日は「スンガリー」にいくので、新たな気持ちでお料理とウォッカをいただきますよー。 -
食事のシーンが好きだ。
文学作品でも映画でも、食べ物が出てくる場面は印象に残る。
ある役者が、食べ物を食べる仕草で演じる役柄の心情を表現する、というのを聞いたことがある。
万人に共通の欲求を満たす行為が食事である。
この本はロシアの文学作品の中から食事のシーンばかりをよりすぐっており、食好き、あるいはロシア文学好きには、たまらない一冊。
その食べっぷりの豪快さ、日本で馴染みのない食材など、興味は尽きない。
誰もが知る文学作品から、比較的マイナーな作品まで扱っていて、ここで教えられた文学作品も数多くある。
この本をハブに、次に読むべき本を探せるという有り難い作品だった。
印象的だったのは、「紅茶が家族の団欒など人との交流を促すのに対し、コーヒーは個人主義的な雰囲気」という記述だ。
ここでは、古くからロシアに根付く紅茶に対して、コーヒーは比較的新しく西欧から入ってきたものと描かれている。
ティーポットで全員分を淹れる紅茶と、一杯ずつ淹れるコーヒーの違いもあるのかもしれない。
そういえば、ロシアのプーチン大統領はいつもティーカップで紅茶を飲んでいて、コーヒーを飲んでいるのは聞いたことがない。
または、日本では近年コーヒーチェーンが速いスピードで増殖してきた。
この一見何気ない飲み物の対比も、世界を見る興味深い視点を与えてくれた。 -
おすすめ資料 第542回 ボルシチやピロシキだけでない、豊かなロシア料理を文学からひも解く(2022.12.02)
日本であまり知られていないロシア料理の奥行きを、
ロシア文学に登場する料理で紹介する1冊です。
水餃子に似たペリメニ、サラダと呼ぶにはあまりに食べ応えがある
オリヴィエ・サラダ、肉の串焼き料理シャシルィク・・・
これまでロシア文学に登場する料理のイメージがわかなかった方は
是非ご一読ください。
【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
https://library.kobe-cufs.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BK00358166
【神戸市外国語大学 図書館Twitterページへ】
https://twitter.com/KCUFS_lib/status/1599961832730644481 -
もとになるロシア文学について、その食事についてあまり注意を払っていなかった。あらためてロシア文学を読んだときに食事を注目したい。これから電子書籍になった場合に、クリックすると食事の写真が表示されることが望まれる。
本当です、ご夫婦で同じテーマなのは羨ましいですね。
しかし沼野恭子の方がロシア!って感じがします。沼野充義はスラブ!だか...
本当です、ご夫婦で同じテーマなのは羨ましいですね。
しかし沼野恭子の方がロシア!って感じがします。沼野充義はスラブ!だからでしょうかねぇ(「スラヴの真空」を読んで、色々追っ掛けたいと思ったのですが、全く無理でした)
そうだったんですか。恭子さんの方がねぇ。
実はこれから沼野さんの本に着手しようと思っていたところなんです...
そうだったんですか。恭子さんの方がねぇ。
実はこれから沼野さんの本に着手しようと思っていたところなんです。
コチラを見たら恭子さんの方にしようかと迷いが出ました。
「世界文学」がどうのっていう、あの本です。まだ入手していませんけど。
「世界は文学でできている」いつの間にかシリーズになっている本ですね?(似たようなのを出されているので違うかも...
「世界は文学でできている」いつの間にかシリーズになっている本ですね?(似たようなのを出されているので違うかも)
紹介されている本達を光文社さんが出してくださったら嬉しいですね。
そして都甲幸治、藤井光、西崎憲、中村融が書かれている紹介本も読みたいと思いつつ、手が回りません。
nejidonさんが書かれるレヴュー愉しみです。。。