ベランダ園芸で考えたこと (ちくま文庫 や 53-1)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 195
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435941

作品紹介・あらすじ

バジル、朝顔、ゴーヤーなどベランダで育てた植物たち。そこは世界のミニチュア。著者初の園芸エッセイ。『太陽がもったいない』改題。解説 藤野可織

感想・レビュー・書評

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  • 私がベランダ園芸にハマっているのを知っている友人からもらいました。
    選書センス最高…!
    育てているものもやり方も色々違うんだけど、でも、わかる…と目頭押さえながら読んでいました。
    心情がね、わかる…。
    人生には幾つもの角があるけれど、その一つの角から次の角までを見せてもらったようだった。
    何について語っても、生きることについてになるんだよなぁ。
    手元に置いて、時折めくりたい本になった。
    藤野可織さんの解説もいい。


  • 幼い頃、花とか、花火とか、天邪鬼であまり好きではなかった。すぐ消えるし。(まあ花束にはいつも憧れてはいたか)
    でも大人になった今ではすぐ消えるものの方が良いな、と思う節がある。
    儚さ云々ではなく、単にものが増えることに少し躊躇いが出てきた。

    恋人には、毎年記念日に観葉植物をプレゼントする。いつか気付いた時にジャングルみたいになっていたら面白いなと思う。
    今年は苗だけで鉢植えは一緒に買いに行くことにした。自分でもほんの少し植物を育てたり、月に1回か2回生け花をするようになり、切り花も美しく、何となく気持ちが晴れやかになって良いな、と思うようになった。

    そんなタイミングでたまたまこの本に出会って心が躍った。
    とにかくナオコーラさんの文章が好きで、ナオコーラさんが書いたものを読みたくて、書店で検索するとたまたまこの本が並んでいた。

    私はあれこれ考え続けることがすごく好きで、自分を好きになるために、自分を幸せにするために生きようと思っている。
    いや、普段はあまりそんなこと考えていない。
    だけどこの本を読みながらそんなことを思った。

    筆者が賃貸マンションのベランダで家庭菜園をして、それを通して気がついたことや考えたことを書き留めているようなエッセイたちなんだけど、気がついたら読みながら人生のことを考えてしまって笑ってしまう。

    解説の藤野可織さんも「生きいく」という気概というテーマで解説を書いていて、さらに笑ってしまう。

    なんだかナオコーラさんの文章は、私はこんなふうに生きるぞ、という自分の軸のようなものを考えさせられる。本人はあまり意図していないんだろうけど。

    バジルはいつか育てたいと思っていたけど、とりあえずディルも育ててみたいな。
    春が待ち遠しくなりました。

  • 山崎ナオコーラさんが園芸を通じて考えたことのエッセイ。

    著者も書いているように高齢化社会に於いて趣味はますます重要になると思う。
    どの趣味がいいかと悪いとかはなく、園芸でも登山でも楽器でも趣味を通してテクニックだけを学ぶ人と新たなアイデアや死生観を得たりする人までいて、結局は感性なんだろうな。

    「ともかくも、私はこの先の人生を、読書をし、執筆し、草花を育て、畑を耕し、散歩をして生きていく。」P204

  • この本はとても読みやすい導入で、初日に一気に半分まで読んでしまった。植物との出会い、育て方、組み合わせ方、間引き方、それに対する想いなどエッセイとして追体験と、教えてもらえるような感じがした。

    中文、ナオコーラさんは世間の声や見え方を気にされるのだな、という文章が所々に見られたが、それでも、振り絞るように本音を書き残してくれていて、代弁してくれているような気持ちと、本を読むからには出会いたかった本音が少し見えたのがよかった。
    個人的には、「ゴミ」という言葉が好きということ(没案が出来ても肯定が出来るし)、「借景」で引用されている百合子さんの文章が心に残る。

    最後の章に向かうにつれ、美しくも悲しく、悲しくも美しい園芸との距離感が描かれていく。人生の、機を選んでくれない感じが、描かれている本の世界の幅を広げているように思う。自分も、近所に川があり散歩をするのが好きだ。また、長野に行った時、山が雄大と聳え立つことに安心をする。自分以外の時の流れがある、ということに安心する。この人もそう思っていたのだ、自分と同じことを感じて生きている先輩がいるのだ、ということが知られて心が広くなる感じがした。
    園芸の話から、生きることに緩やかにつながっていく魅力があった。

  • 日常の出来事から自分の考えを巡らせる視点

  • ベランダ園芸私もしてるので、どんなふうにベランダ園芸してたのかなあ、と思って買いました。解説にもあるのですが「生きていく」といく気概を感じるというか、植物を通して自分のいのちを見るような一冊でした。あと、「いつか一軒家に住みたい」「庭がほしい」って、思っていいんだ、という許しみたいなものがありました。

  • ベランダ園芸を始めたので読んでみた。
    私は今まで花の苗を買ってきて植えたことしかなかったが、この本では種から育てることの面白さや深さを、どうしてそう感じるのかということが掘り下げて書かれていた。
    普段ぼんやりと感じていることが明文化され、なるほどと腑に落ちることだらけで、これはもう種を撒くしかないと思った。

  • 題名に引かれて読んでみた。私も園芸を少しやっているので実用的な知識も得られて得した感じ。非常に凝る人なので中々参考になった。作家として人間として非常に誠実 正直な人なので読んでいてスカッとする。「東日本大震災の後、私は生活することが恥ずかしくなってしまった」自分を納得させたくてグリーンカーテンを始めた、という気持ちよくわかる。

  • ベランダ園芸エッセイ。
    ドラゴンフルーツを育てたり、食べたアボカドを発芽させたり、ちょっと変わったことにまで手をだしていて面白かった。今年こそベランダ園芸はじめるぞ。

  • 人間は生き続けるためだけに生きているのではない。ばかなことに金を使ってこその人間だ。

    どうして、自分らしさを、社会における弱点として受け止めなければならないのだろう。
    世間の基準に合わせて、自分を良く見せようとしなければならないのか。

    パワーのある単語を使うと、文脈は読まれなくなる。

    自分の力ではどうにもならないこと、
    わけのわからないものの意志によって、自分たちの休暇が訪れる。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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