えーえんとくちから (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.34
  • (102)
  • (60)
  • (26)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 1239
感想 : 106
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435750

作品紹介・あらすじ

風のように光のようにやさしく強く二十六年の生涯を駆け抜けた夭折の歌人・笹井宏之。そのベスト歌集が没後10年を機に待望の文庫化! 解説 穂村弘

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 笹井宏之さんの歌集は、第一歌集『ひとさらい』から、『てんとろり』『八月のフルート奏者』と順に読んできましたが、この『えーえんとくちから』はベスト歌集であり、この文庫版にはさらに未発表のエッセイ、俳句、詩なども新たに加えたものだそうです。
    笹井宏之さんの歌集を何か一冊だけ読んでみたいと思われる方には一番、お得感のある一冊だと思います。
    解説は穂村弘さんです。

    タイトルとなっている「えーえんとくちから」って一見「えーえんと、口から?」ってどういう意味だろう、えーえんと泣いているのかなと思ってしまいますが、この歌は、

    ○えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい

    と「永遠解く力」だったとわかります。呪文のようなこの言葉「永遠解く力」ってでも一体何でしょう?凡人の私にはよくわかりません。



    ベスト歌集なので、やっぱり印象深い歌が多く、載せきれませんが、今までのレビューに載せなかったものだけを中心に好きな歌を以下に載せます。


    ○きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの

    ○ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落す

    ○ばらばらですきなものばかりありすぎてああいっそぜんぶのみこんでしまいたい

    ○さあここであなたは海になりなさい 鞄は持っていてあげるから

    ○コンビニのどこかで雨が降っている 音楽を消してもらえますか

    ○白い光だなんて、教わっていないし、でもさわっていたから、ごめんなさい

    ○風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが

    ○風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける

    ○生きてゆく 返しきれないたくさんの恩をかばんにつめて きちんと

    ○泣いてゐるものは青かり この星もきっとおほきな涙であらう

    ○にぎりしめる手の、ほそい手の、ああひとがすべて子どもであった日の手の

    ○終止符を打ちましょう そう、ゆっくりとゆめのすべてを消さないように

    ○世界って貝殻ですか 海ですか それとも遠い三叉路ですか

    ○それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした

    • まことさん
      ベルガモットさん。おはようございます♪

      勝手にお名前を出してしまいました。
      歌人デビューだなんて、そんな~(*^^*)
      これで、終わってし...
      ベルガモットさん。おはようございます♪

      勝手にお名前を出してしまいました。
      歌人デビューだなんて、そんな~(*^^*)
      これで、終わってしまうかもわかりません。強力なライバルなんてとんでもないです。
      でも、初めての歌を誉めていただき、ありがとうございます。
      歌もありがとうございます。

      ベルガモットさんにも、歌を送ります。

      ○尊敬と感謝の気持ちを送りますいつも高貴な香りの友へ
      2023/02/18
    • ☆ベルガモット☆さん
      まことさん、素敵な歌のプレゼントありがとうございます(^^♪
      まことさんの愛情豊かで言葉を大事になさっているのが伝わります。
      ふしぎな縁...
      まことさん、素敵な歌のプレゼントありがとうございます(^^♪
      まことさんの愛情豊かで言葉を大事になさっているのが伝わります。
      ふしぎな縁で早いうちからブグ友になってくださって、ありがとうございます!このように交流できて本当に嬉しいです♡
      これからもレビュー&短歌楽しみにしています♪

      2023/02/19
    • まことさん
      ベルガモットさん♪

      こちらこそ、本当にいつもありがとうございます。

      枡野さんの、本で知ったのですが、『短歌』誌で、特選って、かなり凄いこ...
      ベルガモットさん♪

      こちらこそ、本当にいつもありがとうございます。

      枡野さんの、本で知ったのですが、『短歌』誌で、特選って、かなり凄いことらしいですね!
      枡野さんの、お弟子さん?とかも、とられたみたいですが、それが話題になるくらいの、栄誉みたいですね。
      改めておめでとうございます。

      ベルガモットさんの、レビューされていた、短歌の本も、何冊か、本棚登録させていただいています。
      これからも、影響を与えてくださる、素敵なレビュー、コメントなど楽しみにしています。
      2023/02/19
  • 不思議なタイトルで凄く気になってました。
    多くの皆様の素晴らしいレビューにも心惹かれた本です。
    ありがとうございました。

    『えーえんとくちから
    えーえんとくちから
    永遠解く力を下さい』
    何度も読んでみました。いつもは黙読なのですが、
    音読もしてみて読んでみました、何度も何度も。

    祈りにも似たような静かな思いでもあり
    魂の叫びのようにも聴こえる強い願い。
    永遠解く力…を切望する……言葉が伝わってきました。

    2009年に、惜しまれながら26年の生涯を閉じた夭折の歌人である笹井宏之さん。15歳の頃から身体表現性障害という難病になり長く療養生活を強いられました。短歌、詩、そして未発表のエッセイ、俳句等々を含む文庫版の作品集です。

    心に響いたり、好きだなと思う短歌、詩、エッセイなどの作品に付箋を付けてみましたら、付箋だらけになってしまいました。幾つかご紹介します。

    【詩】
    わたしのすきなひとが
    しあわせであるといい

    わたしをすきなひとが
    しあわせであるといい

    わたしのきらいなひとが
    しあわせであるといい

    わたしをきらいなひとが
    しあわせであるといい

    きれいごとのはんぶんくらいが

    そっくりそのまま
    しんじつであるといい

    【短歌】
    ・半袖のシャツ 夏
     オペラグラスからみえる
     すべてのものに拍手を

    ・手のひらのはんぶんほどを貝にして
     あなたの胸へあてる。潮騒

    ・風。そして
     あなたがねむる数万の
     夜へわたしは
     シーツをかける

    ・天井と私の間を
     一本の各駅停車が 往復する夜

    ・風という名前をつけてあげました
     それから彼をみないのですが




    • りまのさん
      チーニャさん、こんばんは。
      すごく素敵な詩!
      この本、持っているのですが、この詩の記憶が、ありませんでした。さっそく、読み返してみようと思い...
      チーニャさん、こんばんは。
      すごく素敵な詩!
      この本、持っているのですが、この詩の記憶が、ありませんでした。さっそく、読み返してみようと思います。素敵なレビューを、ありがとうございます!
      2023/03/25
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      りまのさん、こんばんは(^^)
      フォローや、いいねを、いつもありがとうございます。コメントしていただき、感激しています。
      りまのさんのレビュ...
      りまのさん、こんばんは(^^)
      フォローや、いいねを、いつもありがとうございます。コメントしていただき、感激しています。
      りまのさんのレビューはどれも優しさを感じて大好きです。ありがとうございます。

      私もこの本はどの作品もグッときてしまって心に刺さっています!
      この詩も、笹井さんらしい素敵な詩ですよね。
      こちらこそありがとうございました-(*´▽`*)
      2023/03/25
  • この本は、まだ私が短歌に興味を持って
    いなかった頃友人に頂いた本。
    ごめんなさい!(>_<) でも今は、なんと
    短歌に面白みを感じています!

    この本は「えーえんとくちから」先日、
    知ったのですが、永遠解く力、との事。

    私は、読書好き。
    読書は、その世界に入り込み、楽しむ。
    短歌は、自分が世界に入り、自分の
    言葉を作り出し、並べ楽しむ・・・・?

    一首気に入ったものができた!なんと
    NHKへ投稿してしまった!
    初心者が選ばれるはずなどない。でも、
    投稿したというそのことで、今満足感は
    100%だ。
    2024、4、19

    • 111108さん
      アールグレイさん、はじめまして、こんばんは♪

      フォローありがとうございます!
      ブク友さん達と一緒に短歌を楽しんでますが、「読むだけ」派です...
      アールグレイさん、はじめまして、こんばんは♪

      フォローありがとうございます!
      ブク友さん達と一緒に短歌を楽しんでますが、「読むだけ」派です。この本も綺麗だけど切ない歌たくさんありますね。
      そのうちにアールグレイさんの作品も掲載されるのかなぁと楽しみにしてますよ!
      2024/04/20
    • アールグレイさん
      111108さん(^_^.)フォローバックを
      頂きありがとうございます!
      最近よく、まことさんの短歌を読ませて頂く機会があり、この言葉はこう...
      111108さん(^_^.)フォローバックを
      頂きありがとうございます!
      最近よく、まことさんの短歌を読ませて頂く機会があり、この言葉はこうした方が・・・いや入れ替えた方が・・・なんて考えるうちに短歌に。まことさんには、とても失礼なことをして自己嫌悪でした。でも、まことさんにはいろいろ教えて頂いています。
      テーマに合わせて短歌を詠むのは、難しいですね!
      2024/04/20
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      アールグレイさん、こんばんは〜!

      短歌初投稿されたんですね(^^♪
      凄いですね!!
      応援してます、頑張ってくださいね(*^^*)♡
      アールグレイさん、こんばんは〜!

      短歌初投稿されたんですね(^^♪
      凄いですね!!
      応援してます、頑張ってくださいね(*^^*)♡
      2024/04/20
  • ‘えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください’

    ああこれ絶対好きなヤツ。
    好きすぎて泣くヤツだ、と思いながら読んだ。
    案の定うるる、ときてしまった。

    2009年、26歳で惜しまれつつ亡くなった歌人、笹井宏之さんのベスト歌集を没後10年を機に未発表原稿を加えて文庫化したもの。

    文庫版には黄色い紙が入っていて、そこには漫画『ダルちゃん』の作者はるな檸檬さんのエッセイが載っている。
    何と、『ダルちゃん』の重要なシーンに使われている本がこの作品集のハードカバー版だそうだ。

    ‘「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい’

    ‘拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません’

    ‘このケーキ、ベルリンの壁入ってる?(うんスポンジに少し)にし?(うん)’

    ‘ひまわりの死んでいるのを抱きおこす 季節をひとつ弔うように’

    ‘五月某日、ト音記号のなりをしてあなたにほどかれにゆきました’

    ‘人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ’

    どこが好きなのか、と問われたら「とにかく優しくてほんのりあたたかく、茶目っ気と真剣さが程よい具合で混じり合ってるトコが好き」と答える。

    読んでいる間は笹井さんに恋い焦がれているといっても過言ではない。そこにいるひとのように。

    もう10年も前に亡くなったひとなのに。

    ‘別段、死んでからも遅くないことのひとつをあなたが為した’

    • やまさん
      5552さん
      おはようございます。
      コメントといいね!有難うございます!
      きょうの天気は、快晴です。
      今日も一日、健康に気を付けて良...
      5552さん
      おはようございます。
      コメントといいね!有難うございます!
      きょうの天気は、快晴です。
      今日も一日、健康に気を付けて良い一日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/12
    • 5552さん
      やまさん。
      おはようございます。
      こちらも今日は快晴です。
      昨日はヒョウと大雨で大変でした。
      怖かったです。
      コメントといいね!あ...
      やまさん。
      おはようございます。
      こちらも今日は快晴です。
      昨日はヒョウと大雨で大変でした。
      怖かったです。
      コメントといいね!ありがとうございました。
      やまさんの今日が有意義な一日になりますように!
      2019/11/12
  • 『えーえんとくちから』

    『永遠解く力を下さい』

    解説の穂村弘さんは、「口から飛び出した泣き声」とも見えたと書いてあったが、私は、「口から絶えず何かが出続ける」イメージに見えて、それだけ表現したいものが絶えず、胸の内から湧き出しているのかと思っていたが、強ち、間違いでも無かったと読み終えた時、痛感した。

    身体表現性障害という不確かな病を抱え、15歳の頃から、ほとんど寝たきりの生活を送り、僅か26歳で、その生涯を閉じられた、歌人の笹井弘之さんの歌を読むのは本書が初めてで、その人となりも当然知らないわけだが、読んでいく内に、たったひとりの人間の魂を歌の中に見出せるような気がして、まるで、笹井弘之さんという人の、さまざまに散りばめられた心の欠片達を、拾い集めているような気持ちにさせられた。

    笹井さんは、『永遠』が欲しいのではなくて、『永遠を解く力』が欲しいという。この違いはなんだろう? たとえ、本書がベスト歌集だとしても、探せるものなら探してみたい。

    「ひとさらい」のあとがきの中に、
    『ときに長い沈黙もありますが、かならず風は吹き、雲はうごきます』
    とあり、ここでいうところの、風が永遠だとしたら、彼は風を解く力が欲しいということになるのかな?

    『からだじゅうすきまだらけのひとなので風の鳴るのがとてもたのしい』

    『大陸間弾道弾にはるかぜのはるの部分が当たっています』

    『風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける』

    最初は、自分の劣等感を絶えず励ましてくれるような幸せを感じ、二つ目は、はるの部分は当たっても、かぜは決して途絶えることのない願いが込められているように思え、最後は、時を超越した普遍性と同等の想いを「あなた」に抱いているように感じられた。

    また、上記の「あなた」については、未発表原稿のエッセイ、「色彩言語/芳香言語」の中に書かれていた、遠くに住んでいる恋人の存在が頭を過り、いくつかの歌で登場する「あなた」に込めた想いに、私の心を巡らせると、何か、大切なものを大事に包み込むような、あたたかいやさしさに満たされた。

    『きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの』

    『火星にも夕暮れどきがあるでしょう パスタを軽く巻いてあなたは』

    『泣きそうな顔であなたが差し出したつきのひかりを抜くピンセット』

    ここで感じられた、どこまでも続くような永遠は、心の世界であったり、遠い星の夕暮れであったり、涙であったりとさまざまで、それらと「あなた」が密接に繫がっている事を歌で証明させるような、笹井さんの想いたるや、如何ばかりであったのかと、思わず深いところに入り込みたくなる。

    それから笹井さんの歌には、『鞄』や『まぶた』の歌も多く、それらに共通するのは、『開いたり閉じたりするもの』であり、ずっと閉じたままでいれば永遠を感じられそうだが、ときには、それらを開放してみることの素晴らしさや奇跡も教えてくれる。

    『鞄からこぼれては咲いてゆくものに枯れないおまじないを今日も』

    『できるだけふるいまぶたをあけてみる そこには海があるはずなんだ』

    『さあここであなたは海になりなさい 鞄は持っていてあげるから』

    いずれも、永遠が別のものへと移り変わっていくように思われるが、変化はしていても流れ続けていると捉えれば、これらも永遠なのかもしれない。


    これまでの笹井さんの歌を振り返ると、それら全てに永遠を求めていながらも、ただ指を加えて待っているわけではなく、何かをとっかかりにして前に進もうとする、明るい信念を持っているようにも思われて、その試みが私には、『永遠を解く力』に感じられてならないのだが、そんな笹井さんの試みも、ときに挫けそうに感じられた歌も存在した。

    『そのゆびが火であることに気づかずに世界をひとつ失くしましたね』

    『胃の中でくだもの死んでしまったら、人ってときに墓なんですね』

    『さようならが機能をしなくなりました あなたが雪であったばかりに』


    ただ、未発表原稿の「詩」の中の、「鋏」にこんな文章があった。

    『それらが刹那のうちに
    消えてゆくものだとしても
    あなたからとりだされたという
    まぎれもない事実が
    私をすこし、安堵させる』

    そういえば、永遠はメビウスの輪にも例えられるが、まるで、そんな思いを私に抱かせてくれて、たとえ本書に未発表原稿が収録された、本来の意図と異なるのだとしても、私には笹井さんが心密かに、明るくほくそ笑みながら、これらを用意していたのではなんて思ってしまい、それはどこからでも繫がることが可能であることをほのめかすことにより、無意識に永遠を解く力を示そうとしていたのかもしれず、確かに短い生涯だったのかもしれないが、この力ってどこから湧いてくるのだろうと考えると、改めて、人間の偉大さや素晴らしさを感じずにはいられない。

    笹井さんの永遠を解く思いの強さは他にも

    『ゆびさきのきれいなひとにふれられて名前をなくす花びらがある』

    『一様に屈折をする声、言葉、ひかり わたしはゆめをみるみず』

    『両親が出会ったという群青の平均台でおやすみなさい』

    『人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ』

    これだけの歌に乗せて(これ以外にもまだまだあるが)、解こうとした永遠の数々によって、実は、私たちの住む世界には、こんなに永遠が溢れているのかもしれないということを教えてくれた、笹井さん。

    『短歌は道であり、扉であり、ぼくとその周囲を異化する鍵』

    まさに私もそれを強く感じ入り、その扉を開けてみたら、想像以上に広く果てしない、笹井さんの世界の中であり、彼の世界へと辿り着く道でもあり、やむにやまれぬ不確かな思いを抱えて生き続けた、笹井さん自身の心、魂すらも異化してくれるであろう、そんな無限の可能性に満ちた短歌は、それを作り出した人それぞれに、その人だけの世界が存在することで、更に無限の可能性を秘めており、ある意味、それこそが永遠を解く力であるのかもしれないと、今なら強く信じられそうです。

    『泣いてゐるものは青かり この星もきつとおほきな涙であらう』

    • りまのさん
      たださん
      真夜中に、失礼します。
      どうか、眠っておられますように。
      今、この本を、読み返しています。皆様のレビューも、見せていただいていたと...
      たださん
      真夜中に、失礼します。
      どうか、眠っておられますように。
      今、この本を、読み返しています。皆様のレビューも、見せていただいていたところ、たださんのレビューの、すごい美文に、感動してしまいました!
      憧れちゃいます…。
      それだけなのですが、夜中にごめんなさい。素晴らしいレビューを、ありがとうございます!
      2023/03/26
    • たださん
      りまのさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます(^^)

      安心して下さい。熟睡してました。でも、真夜中でも構いませんよ。おそらく起き...
      りまのさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます(^^)

      安心して下さい。熟睡してました。でも、真夜中でも構いませんよ。おそらく起きないと思うので(^^;)

      憧れだなんて、憧れのりまのさんに書かれると嬉しいです。
      ありがとうございます。
      りまのさんの本棚からは、工藤直子さんなど、多くの素晴らしい作品を知ることが出来たので、感謝の気持ちでいっぱいです。

      笹井弘之さんの歌は、児童書や絵本を思わせる、純粋でひたむきな思いが印象的で、そこに永遠を解く力がありそうなのも肯ける気がして、こうして歌が、後世に残り続けることの意義を感じます。

      それから、結構、前の話になりますが、川上弘美さんの「神様」のコメントにおいて、りまのさんから勧められた、グレン・グールドのブラームス、聴けずにいたことを、ずっと気にしていたのですが、先月からSpotifyを始めたので、これでやっと聴けます(^^)

      ちなみに、「images」は、以前購入して聴いてはいるのですが、感想を書くのが難しくて・・ピアノの上手さ以上に、その存在感が孤高で超然としているように思われて、すごいなと感じました。
      2023/03/26
    • りまのさん
      たださん、こんにちは。
      ああ、熟睡されていて、良かったです。良かった〜。
      たださんから、素敵なコメント返信いただいて、くらくらして、喜んでい...
      たださん、こんにちは。
      ああ、熟睡されていて、良かったです。良かった〜。
      たださんから、素敵なコメント返信いただいて、くらくらして、喜んでいます。
      お優しい…。
      本当にありがとうございます!
      2023/03/26
  • えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい

    頭の中が、ぐるぐるする。永遠を解く力?物理的詩的ロマンティックなパワーである。

    えーえんとくちから  …なんだか魔法のじゅもんのようでもある。
    えーえんとくちからえーえんとくちから
    …この言葉、いとおしい。私にもください。



    、、、好きな歌


    空と陸のつっかい棒を蹴飛ばしてあらゆるひとのこころをゆるす


    ふわふわを、つかんだことのかなしみの あれは
    おそらくしあわせでした


    こどもだとおもっていたら宿でした こんにちは、
    こどものような宿


    午前五時 すべてのマンホールのふたが吹き飛んで
    となりと入れ替わる


    シゲヨさん、むかしのことをはなすとき百合にならなくてもいいからね


    嫌われた理由が今も分からずに泣いている満月の
    彫刻師


    白い光だなんて、教わっていないし、でもさわって
    いたから、ごめんなさい


    昨晩、人を殺めた罪によりゆめのたぐいが連行された


    さようならが機能をしなくなりました あなたが
    雪であったばかりに


    風という名前をつけてあげました それから彼を
    見ないのですが


    花束をかかえるように猫を抱くいくさではないものの喩えに


    からだだとおもっていたらもっともっとはいっていっていきなり熱い


    終止符を打ちましょう そう、ゆっくりとゆめのすべてを消さないように



    。。。この歌集は、地球っこさんのご紹介で、知りました。地球っこさん、どうもありがとうございました! 。。。     りまの



    • 地球っこさん
      りまのさん、こんばんは。

      りまのさんらしい、可愛いレビューですね♪
      りまのさんがこの本を気に入ってくださって、とても嬉しいです(*^...
      りまのさん、こんばんは。

      りまのさんらしい、可愛いレビューですね♪
      りまのさんがこの本を気に入ってくださって、とても嬉しいです(*^^*)
      これからもりまのさんのレビュー、楽しみにしてます。ありがとうございました♡
      2021/02/09
    • りまのさん
      地球っこさん
      こちらこそ、ありがとうございます!大好きな本になりました。地球っこさんのおかげです♡ 感謝でいっぱいです!
      地球っこさん
      こちらこそ、ありがとうございます!大好きな本になりました。地球っこさんのおかげです♡ 感謝でいっぱいです!
      2021/02/09
  • 初めての短歌ならと、まことさんからお勧めいただいた本のひとつです。
    生きている。ただそれだけのことが、なにか特別のことのように輝きを持って感じられて、胸がキューッとなりました。この世界にやさしく透き通るほどのうつくしさを見出してくれたように思います。この作品たちに出会えて心からよかったです。歌も歌を作った笹井さんも大好きになりました。
    まことさん、素敵な作品を教えてくださりありがとうございました♪

    以下、こころに残った歌10選です。
    ○葉桜を愛でゆく母がほんのりと少女を生きるひとときがある
    ○鞄からこぼれては咲いてゆくものに枯れないおまじないを今日も
    ○次々と涙のつぶを押し出してしまうまぶたのちから かなしい
    ○ほんのすこし命をおわけいたします 月夜の底の紙ふうせんへ
    ○わたくしは水と炭素と少々の存在感で生きております
    ○戦争が優しい雨に変わったらあなたのそばで爪を切りたい
    ○嫌われた理由が今も分からずに泣いている満月の彫刻師
    ○それは明日旅立ってゆく人のゆめ こうのとりには熱いポトフを
    ○生きてゆく 返しきれないたくさんの恩をかばんにつめて きちんと
    ○泣いてゐるものは青かり この星もきつとおほきな涙であらう

    無題の詩も、とってもやさしくって好きでした。

    • ひろさん
      まことさん、こんにちは♪
      好きな歌人の作品をお勧めくださったのですね(*^^*)
      私はこの本を読んで、笹井さんの他の作品も読みたくなりました...
      まことさん、こんにちは♪
      好きな歌人の作品をお勧めくださったのですね(*^^*)
      私はこの本を読んで、笹井さんの他の作品も読みたくなりましたし、他の歌人の歌も知りたくなりました!俵万智さんも読んでみたいです♪
      それにしても、選んだ歌がひとつも被ってなかったなんて…!
      人によって違うんですねぇ。それだけ心打たれる歌をたくさん詠まれているってことでもありますね♪
      またお勧めがあったらぜひ教えてください( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
      2023/06/14
    • まことさん
      ひろさん♪

      お返事ありがとうございます。
      笹井宏之さんの歌集は、私はすべてブクログで、初めて読んだのですが、他には『八月のフルート奏者』『...
      ひろさん♪

      お返事ありがとうございます。
      笹井宏之さんの歌集は、私はすべてブクログで、初めて読んだのですが、他には『八月のフルート奏者』『てんとろり』『ひとさらい』の3冊があります。早くご逝去されたので、冊数が、少ないのが淋しいです。
      俵万智さんは、ひろさんの世代だと、『サラダ記念日』は読まれていますか?私が若い頃爆発的に売れた本です。もし、未読でしたら『サラダ記念日』から読まれるのがいいかと思います。
      あと、私もこれから、拝読していこうと思っていますが、俵さんは、未婚の母になられたので、出産や、育児を詠った歌集がたくさんあると思います。順番にだったら『かぜのてのひら』『チョコレート革命』から読まれるといいかと思います。高校の先生だった俵さんや、不倫の恋をしている俵さんです。

      あっ、でも他にお好きな歌人がいらっしゃれば、そちらから、先に読まれてくださいね。
      先日、ひろさんが本棚登録されていた、『短歌タイムカプセル』はとっても良書だと思います。
      (ただあまりにたくさん載っているので、読むのに日にちがかかりましたが)あの本で、お好きな歌人をみつけられるのも、よいかと思います♪
      2023/06/14
    • ひろさん
      まことさん♪
      ありがとうございます(*´˘`*)
      笹井宏之さん、早くご逝去されたのが本当に残念ですね。そちらの3冊も読みたいと思います。
      俵...
      まことさん♪
      ありがとうございます(*´˘`*)
      笹井宏之さん、早くご逝去されたのが本当に残念ですね。そちらの3冊も読みたいと思います。
      俵万智さんの『サラダ記念日』はまだ読んだことがなくて。母が良かったよと言っていたのを覚えています♪まずは『サラダ記念日』から読んでみます!
      俵さんの色んな経験が元になった歌、気になります( *´艸`)

      そういえば、先日図書館で初めてリクエストしてきましたよ(*^^*)その節はありがとうございました。
      短歌タイムカプセルが届いたら、そちらを読んで好きな歌人を見つけたいと思います♪
      2023/06/14
  • ここ半月ほど枕元に置いては、少しずつ読む。
    その繰り返しで、その時々で胸に刺さる詩もその都度変わる。
    訴える力強さを感じる詩もあれば、儚く透明な詩もある。

    エッセイで、ことばにも、色や匂いがある。とあったが、そう考えると確かに連想してしまうかも…と思った。
    人が発することばだから、素敵だと感じる色や匂いになるようひとつひとつに心を込めたいとも思った。

    あとがきに穂村弘さんが解説してあるが、わかりやすくて良かった。より深みを増す。

    大好きな句をひとつ。

    世界って貝殻ですか 海ですか それとも遠い三叉路ですか

  • 行きつけの図書館に唯一置いてあった笹井宏之氏の本。

    初めて歌集というものを読んだ。
    圧倒的な余白を従えて並ぶ想いの詰め込まれたわずかな文字列。
    もちろん一句々々細かな解説なんてないので、そこから何を読み取るのか何を感じるかは限りなく読み手次第。

    とっても難しい読書時間で、これはどういう意味なのだろうとどんなに想像力を働かせてみてもわからないものもあったし、その道に明るい方々には感ぜられるであろう乙な表現、ポイントについても読み逃している部分が山ほどあるのだろう。

    ただ、どうにも心震える歌多数。

    長い闘病生活の中でしたためた歌達ということも、切なく奥行きを感じる背景なのだと思う。
    (引用はもう少し抑えたかったのですが、どうしても削り切れないものばかりでした。)

    ○この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい

    ○ひまわりの死んでいるのを抱きおこす 季節をひとつ弔うように

    ○晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい

    ○切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために

    ○つぼみより(きみがふたたびくるときは、七分咲きにはなっていたいな)

    ○清いものになりたいといういっしんでピアニカを吹き野菜を食べる

    ○さあここであなたは海になりなさい 鞄は持っていてあげるから

    ○ひろゆき、と平仮名めきて呼ぶときの祖母の瞳のいつくしき黒

    ○ひきがねをひけば小さな花束が飛びだすような明日をください

    ○(ひだりひだり 数えきれないひだりたちの君にもっとも近いひだりです)

    ○ゆっくりと私は道を踏みはづす金木犀のかをりの中で

    ○こころにも手や足がありねむるまえしずかに屈伸運動をする

    ○「とてつもないけしごむかすの洪水が来るぞ 愛が消されたらしい」

    ○あのひとは自転車を漕ぐひとでした 右手にお箸持つ人でした

    • まことさん
      fukayanegiさん。こんにちは♪

      私も、一昨日、この作品をレビューしたばかりて、タイムラインを見ていて、このタイトルが出てきた時は「...
      fukayanegiさん。こんにちは♪

      私も、一昨日、この作品をレビューしたばかりて、タイムラインを見ていて、このタイトルが出てきた時は「!」となりました。
      笹井宏之さん、素敵ですよね。
      私はこの文庫は、だいぶ前から、買って時々眺めていたのですが、一昨日、ようやく、レビューに至りました。

      ○ゆっくりと私は道をふみはづす金木犀のかをりの中で

      これ、凄く好きです。
      他の歌も、好きな歌がたくさん載っていました。

      さて、話はかわりますが、こないだの、「阿津川辰海 読書日記」はいかがでしたでしょうか。
      楽しんでくださっていらっしゃるといいのですが。
      ちょっと心配しています。
      2022/09/19
    • fukayanegiさん
      まことさん

      こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      笹井宏之さんは、以前まことさんがレビューされていたのを記憶していて、...
      まことさん

      こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      笹井宏之さんは、以前まことさんがレビューされていたのを記憶していて、初めて歌集を読むならこの人のかなと思っていて、満を持してで読んでいたのですが、まさかレビューのタイミングが重なるとは思わず、びっくりです。

      金木犀の歌、他の歌にはあまりない不穏さというか色気があって、でも笹井さんらしい柔らかさも同時にあるところが好きです。
      感じ方は異なるとは思いますが、他の方と好きな歌が重なるとなんか安心しますね。

      「阿津川辰海 読書日記」、ほんと最高です!!
      もったいなさすぎて、ちょっとずつしか読めていないのですが、片っ端からポチポチしたくなってしまって困っていますw
      レビューはまだ先になってしまっていまうと思いますが、間違いなく買って良かった1冊ですので、ご安心ください。
      いつも素敵なレビューをありがとうございます。
      (※『金曜日の砂糖ちゃん』もまことさんのレビューから辿り付けた一冊です。この場を借りて感謝です。何かいろいろ詰め込んですみません。)
      2022/09/19
    • まことさん
      fukayanegiさん♪

      お返事ありがとうございます。
      とっても安心しました。
      よかったです(*^^*)。
      私、酒井駒子さんは、好きにな...
      fukayanegiさん♪

      お返事ありがとうございます。
      とっても安心しました。
      よかったです(*^^*)。
      私、酒井駒子さんは、好きになりすぎて、ポストカードブックを買ってしまいました♪
      2022/09/19
  • 笹井宏之さんの生涯は26年でした。
    Wikipediaによると、インフルエンザからくる心臓麻痺で亡くなられたとのことです。
    宏之さんは長らく身体表現性障害を患っておいででした。
    病名すら、初めて目にした私です。

    穂村弘さんによる『短歌のガチャポン』の解説で、
    「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい」
    を初めて読んだときは、一瞬"永遠と口から"…?と思ってしまい、下の句でそれが正しくは"永遠解く力"だと分かっても、この短歌を感じ取ることは難しかった。
    "永遠を解く"って何だろう。。。

    けれど今回『えーえんとくちから』に触れて、突如として様々なことを感じることとなった。
    もしかしたらだけど、
    病状の辛さがご本人には永遠に続くとさえ感じられ、その永遠を解く力を下さいと欲する歌なのではないか。
    自らの力で切り開こうとする彼が、力強く思えた。
    永遠を「解いてください」ではなく、「解く力をください」と歌う宏之さんだからだ。

    人生が病と共にあっても、彼の歌たちの多くはキラキラと眩しくて、
    鳥や魚になったり、ある時は樹になり、
    私には、少なくとも短歌の中では、永遠から解き放たれた宏之さんを感じた。

    病が体を支配する瞬間も詠まれている。
    それでも、彼がご家族に向ける温かなお気持ち、遠距離である恋人との心模様は、色鮮やかで自由だ。
    彼の中で青色は恋人、赤色が愛を、象徴するカラーだったのかな。

    ヒツジグサが歌われているのを目にしたときは、涙してしまった。
    私事ながら今年の1月に父が亡くなる少し前、
    父と、ヒツジグサの名前の由来は、
    14時(ひつじの刻)に"花開くからか"、それとも"花が閉じるからか"、
    などとメールで語らいあったのを思い出したからだ。

    いくつか、宏之さんの短歌を挙げてみたい。

    「ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす」
    深い愛。
    優しさと、温かさ。
    包み込みながらも邪魔はせず、永遠にただ一本の樹となって実を落とす。

    「切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために」
    これ、彼が病だからではなく、全ての人に当てはまると思う。
    人はいつか、一人で旅立ってゆくのだから。

    「かまきりに祈られているおばさんを優しくよけて公園に着く」
    本来カマキリがこのポーズをとっている時は威嚇で、こんな表しかたがあるのだと衝撃を受けた。

    「すまいらげん 決して滋養強壮に効くくすりではない smile again」
    先日宮沢賢治の"永訣の朝"のレビューでも触れたけれど、"あめゆじゅとてちてけんじゃ"や"Ora orade shitori egumo"のような、"話し言葉の呪文"に思える。
    不思議な響きと効果がある。
    "えーえんとくちから"も、そう思う。
    "すまいらげん"は文字にすると確かに滋養強壮剤のようで笑ってしまうけれど、本当は"smile again"。
    その仕掛けにニコリとしてしまうけれど、「もう一度笑って」と言ったのか言われたのか。
    誰かの笑顔が失われてしまってるから、詠んだのですよね?

    『えーえんとくちから』には短歌だけでなく、彼の俳句や詩もおさめられている。
    『再会』という詩が印象的だった。

    「さかなを食べる
    さかなの一生をざむざむとむしる
    さかなは死体のように
    横たわっている」
    このあとも続くのだが、"ざむざむ"という独特のオノマトペが胸を掴む。
    この詩だけでなく短歌にも、"ゆっ と片手でつかむ"であるとか、"ふぁーんとひかる"など、初めて目にするのに絶妙に感じ取れてしまう擬音が多々ある。

    そして続く
    「二00八年初春、投網にかかった魚」に対し、
    「二00八年初春の投網が
    あすのわたしを待ち受けているかもしれないのだから」
    と言うのだ。
    ドキリとした。
    投網にかかるとは死を表している。
    けれどこの詩は、ここで終わるわけではなかった。

    続きはこうだ。
    「きれいにたべてやる
    安心して、むしられていろ

    そして、
    今度は二00六年夏のオホーツク海で
    奇跡的な再会を果たそうではないか

    ただしく、まったきさなかよ!」

    "まったきさなか"は、食物連鎖の最中か輪廻転生か。
    この詩は死に怯える詩ではなく、"再会を果たそうぞ!"という詩だ。
    またも眩しく明るい。
    本当は奮い立たせているのかもしれないが、それはご本人にしか分からない。

    彼の第一歌集より「あとがき」もおさめられている。
    何故なら笹井宏之なる歌人は第二歌集まで出しており、本書はベスト歌集だからだ。
    ご本人の言葉で、現実の厳しさと短歌への思いが語られていた。
    「自分以外のすべてのものが、ぼくの意識とは関係なく、毒であるような状態です。」
    過酷すぎて、私には想像も出来なかった。
    温かな家族に囲まれ、恋をして、色鮮やかで、心は自由に万物に姿を変えても、
    現実にはそれらは、ある時は希望であり、ある時は毒だった。
    それでも想像してみたものの、
    "短歌は救いだったのかな?"という考えも、
    一瞬で、呑気な健常者の、実に安易なものだったと思い知らされた。
    彼は言うのだ、
    「ぼくにとって、文学とは遠い存在なのです。
    何に感銘を受けるでもなく、気づいたら自然と短歌をかいていました。」

    少し話が逸れるが、1つ前にレビューをあげた
    太宰治『ろまん灯籠』の中の『散華』に登場した三田君を思い出した。
    彼の原隊からの手紙。
    まさにそれは"文学からは程遠く、気付いたら自然と書いていた"ものではなかったか?
    だとしたらちゃんと、太宰はそれを汲み取っていた。
    ここでも私は浅はかであったことを思い知った。
    誰かが心を揺さぶられて書き留めた文章はもうそれだけで詩や短歌や小説に値するものなんだなぁ。

    この1冊は間違いなく、私の宝物となった。
    希望を感じるのだ。
    宏之さんの生み出す短歌や詩をもっと目にしていたかったと、強く思う。

    けれど宏之さんは、この世の全ての事象になったのですよね?
    私たちは、春の光を感じ、夏の風をうけ、秋の空を見上げ、冬の雪を踏みしめ、肉や魚を食べ、木々に触れ、しっかり生きてゆけば良いのですよね?
    なんだか、私の父もまたこの世の全ての事象になったのだと思えて、気持ちが満たされました。
    有難う御座います。

全106件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1982年佐賀県生まれ。2004年より作歌をはじめる。2005年、連作「数えてゆけば会えます」で第4回歌葉新人賞を受賞。2007年、未来短歌会に入会、同年度の未来賞を受賞。2008年、第一歌集『ひとさらい』(Book Park)刊行。2009年1月24日、自宅にて永眠。2011年、『えーえんとくちから笹井宏之作品集』(PARCO出版)を刊行。第二歌集『てんとろり』刊行、併せて『ひとさらい』再刊(ともに書肆侃侃房)。2018年、その早逝を惜しむ声を受けて、書肆侃侃房が短歌新人賞として笹井宏之賞を創設。第1回受賞者が2019年2月に短歌ムック『ねむらない樹』vol.2にて発表される。ブログ「些細」http://sasai.blog27.fc2.com/

「2019年 『えーえんとくちから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笹井宏之の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
サマセット モー...
アンナ カヴァン
岸 政彦
ヴィクトール・E...
森見 登美彦
今村夏子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×