- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480435736
作品紹介・あらすじ
テロ、自然災害、飛行機事故……。命が脅かされる状況で人間の体に起こる変化と“その時”への備えを、生存者の証言と科学者の研究から解き明かす。
感想・レビュー・書評
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序文がいきなり難しくて、飛ばして一章から読んだ方が読みやすいと思った。
テロや災害に遭ったとき、人はどういう行動をとるのか?
生存者から話を聞いたり、実験をして研究されたことが書かれていた。
自分がこうだろうと予想していたことと違うことが書かれていて興味深かった。
例えば、緊急事態でも、他人事のように、行動しないでいる人が意外に多いということ。それは、否認したいかららしい。他には、スローモーション現象が起こったり、一時的に目や耳が見えなくなったり、体が動かなくなったりするようだ。
人は非常事態の時、思うように体が動かなくなるので、日頃から避難訓練などをすることが大事なんだなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
9.11を始めとしたテロ災害や自然災害下で、人間はそれらの危機をどのように認識し、どのような行動をとるのか。それは何故なのかを体験談や専門家へのインタビューを集めて丁寧に追いかけた本。脳の認識の話や行動学の話など、かなり難解な話が含まれているため、読みづらさは有るが、それに輪をかけて訳文がこなれていないのと、話題が色々な所へすっ飛んでいったり戻ってきたりする構成が、この本の読破率を下げるのではないかという気がしてならない。貴重な体験談が豊富に収録されているので、それらを災害ごとにまとめて分析していった方が読みやすかったのでは?と思う。
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大災害で生き残った人は、その時、どう行動したのか。
亡くなってしまった人はどうだったのか。
本書では、そうしたことを、生存者へのインタビューや、当時の記録などを広く集め、検討されていく。
9.11テロ、ハリケーンカトリーナ、ポトマック川へのエア・フロリダ機不時着、メッカへの大巡礼ハッジに参加する群衆圧死事件、ハリファクスの爆発事件など、日本でも知られているもの、そうでないものが取り上げられる。
取り上げられる災害は、種類も状況もあまりに違いすぎる。
だから、本書に「サバイバル・マニュアル」の役割を期待するのは難しい。
例えばこんなことだ。
心理的な側面では、災害に気づいたとき、「否認」の状況に入る。
致命的な事態になるまで時間がある場合なら、そこからどう抜け出して、すべきことをきちんと思考するか。
大きな音が否認状態を抜け出すのに効果があるともいう。
ただ、生存した人の中には、すぐに行動しなかったから助かった例もあり、なかなか一筋縄にはいかない。
とはいえ、今そこにありうる危険を予測することや、その危険に対して何をすればいいか、知っておくことは重要だという指摘は、本当にその通りだと思う。
「その時」が来たとき、無意識に体が動く状態にしなければ対応できないともあった。
それから、パニックを避けるためにも、ヨガの呼吸(4秒息を吸い、4秒息を止め、4秒で吐く)をあえてすることも効果があるとも。
この教訓を、自分はどう生かしていけるか。
著者はアメリカの人だが、アメリカ的だな~と思ったのは、災害時英雄的なふるまいをする人についての考察があるところだ。
第8章である。
例の「ポトマック川の奇跡」のエピソードで、極寒のポトマック川に飛び込んだ人々は、必ずしも普段から英雄的なふるまいをするような人ではなかったとのことだ。
人柄というより、自分にはできる能力があるという自信などの方が、英雄的行動をとれることに関わっているという指摘は、意外だっただけに印象に残った。 -
読み応えがあった。幅広い事例が取り扱われている分、それらの共通点を見つけ出すことは容易ではないが、著者は否認、思考、決定的瞬間の切り口をもとにこれらの事例をまとめている。
この本から学べることは、テロや災害に遭遇したとき、うまく対処するためには、日頃から準備を怠らないことが重要性なのだと思う。非常階段がどこにあるのか気にするようになるとか、本書を読むことで災害に対する意識がほんの少しだが変わった気がする。 -
本書は予期せぬ災害に直面した人々が陥る状態を否認・思考・決定的瞬間(行動)の3段階に分ける。そしてその3段階がそのまま本書の3部構成になっている。その構成は面白い。
人間は災害時に普段と同じようには行動を取れない。その事実を受け入れた上で、日頃から災害に備えて訓練をしておくべき、そう本書は提案する。その提案自体は目新しくもなんともないが、備えが出来ていないのが現実で、だからこそ被害が大きくなることがある。
災害時にはパニックが起こることは珍しく、人々は非常に従順に、礼儀正しく振る舞うという記述が何度か本書には登場する。東日本大地震の際、日本人が冷静に振る舞ったことを称賛する海外の記事を見かけたが、実は日本特有の出来事ではなかったということか。確かに、予期せぬ出来事に対しては、慌てるよりも頭が真っ白になってしまうことの方が、よりありそうに思う。このような思考停止状態に陥らないためにも日頃からの訓練が重要なのだろう。
本書は良書だと思うが、リスクや感情についてなど、個々のトピックについては既に多くの書籍で書かれていることも多い。「サバイバルガイド」として一冊にまとめた点に本書の意義があるということか。 -
■原題はTHE UNTHINKABLE 副題はWho survives when disaster strikes - and why
誰がいざとういときに生き残るのか、それは何故か、という意味。人生では考えられないこと=unthinkableなことが起きることがあるのだ。
■この本には序文が20ページくらいあるが、その序文だけでも十分読む価値がある。要するに、災害を生き延びた人たちの思考と行動を分析している。著者は最初は覗き見主義と悩んだそうだが、このテーマは希望を与えてくれたと言っている。
■災害時に人間の行動は、否認、思考、決定的な瞬間の三つの段階をたどる。本は全体的にこの3つの段階を具体的な事例で説明している。
■この本の初版発行は2009年12月。東日本大震災の前だ。東日本大震災でも同様の研究があれば、是非聞いてみたい。 -
心理学的にも面白く、表現も生々しくて引き込まれるところもあります。
が、全体的に「長い」のが、個人的には辛いところでした。 -
実際の災害・テロに出くわした人々や帰還兵など極限状況を生き延びた人々を対象にしたインタビューや行動記録。また、著者自身も体をはって、模擬訓練に参加したり、海馬の大きさや機能を測り、心的外傷からの回復力が高い脳かどうかを調べたりしている。
災害時の人の行動は水が出口に流れ出るような行動ではなく、実に様々。体や感覚が麻痺して動けなくなる人もいれば、見知らぬ他人を積極的に助ける人、荷物をまとめはじめる人もいる。生き延びるためには、何よりも準備。体が自然に適切に動けば、生き延びる可能性は高くなるだろう。 -
大規模自然災害や大規模事故などの惨事から生還した人々への
インタビューを基に、危機的状況における人間の心理を
「否認」「思考」「決定的瞬間」の三段階に分けて、
生還できる人の条件を考察した作品。
固そうな研究書のイメージを受けるかもしれませんが、
中身は「生還者が語る」部分が多いため、
ドキュメンタリーとして読むこともできます。
とりあえず、「何か変だぞ」と感じたら
「まぁ大丈夫だろう」と思わずに、
状況を確認することは大事です。
また、危機的状況において、事前に認識していないことは
目に入らなくなることもよくあるようです。
このため、オフィスや滞在先のホテルなどでは、
一度は非常階段を使って地上まで降りてみるのを
お勧めします。