- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480435095
感想・レビュー・書評
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本書はakikobbさんにご紹介いただきました!改めて有難うございます♪
100言語を50音順に並べ、著者なりのプチ解説や個人的エピソードをまとめたエッセイ。各言語に付き見開き2ページの構成なので、サラサラと読み通せる。
トップバッターのアイスランド語(なんとアイヌ語がその後に続く)からでも良し、何か決まりを設けてそこから読んでいくのも良し。自分は日本語→学習していた(或いは少しかじった)英語・スペイン語・ヒンディー語→旅行した国の言語→興味がある国や地域の言語→その他の順に巡った。
著者特有というべきか、英語やスペイン語といったメジャーな言語には、あまり思い入れがないようだ。英語なんか、チェコでアメリカ人がルームメイトになった時にしか熱心に勉強しなかったという。
「世界中の言語を一人の人間が解説」という無謀なテーマだから、本格的な学習も積まないまま執筆されている言語も多数ある。「エッセイとはいえ、言語本にしては不完全なのでは?」と聞こえてきそうだが、黒田氏は無類の言語好きだ。(いささかマイナー言語びいきだけど…) 専門外であろうがお構いなく、興味が湧けばCD付教材だって取り寄せる。
そんな彼だから、学習経験がないからと言っておざなりにしている言語は一つもない。
「だいたい、外国語なんて一生かかっても読めるもんじゃないと信じていた」
「ちゃんと学習していないから気楽であり、大胆にもなれる」
言ってみれば、言語学習自体はなから不完全ではないか?
多少勉強したって結局ブロークンになるし、何よりそれを押し通すノン・ネイティヴだって沢山いる。著者の奥様みたく完璧に習得出来る例もあるようだが、大抵は「ブロークン上等」に帰結すると思う。(コラムにも書いてあったけど、その言語の話者かどうかは結局自己申告でしか確定できないみたいだし…)
「セルビア語」の項では、学び始めて間もない頃にベオグラードの家庭に宿泊した出来事が綴られている。著者の拙いセルビア語を温かく歓迎したおばあさんを見ていると、尚更「不完全で良い」と思えて仕方がない。
いけない、大事なポイントを忘れるところだった。本書の解説担当は高野秀行氏である。
そればかりか「リンガラ語」の項で高野氏の『異国トーキョー漂流記』が取り上げられており、改めて言語学者顔負けのガッツに感心した。
『語学の天才まで1億光年』にもあったけど、高野氏は実務的に覚えた言語は不必要になるや忘れてしまう。しかしその分、次の取材でどんな言語に出会えるのかが楽しみだと、黒田氏の言語好きに相通じるところもあったりする。実際本書の言語を幾つも引用しながら、思い出を語り倒していた。
解説の最後で危惧されていたけど大丈夫。言語への熱い気持ちは黒田氏に負けないくらい充分伝わりました(^ ^) -
様々な言葉の違いについて、いい大人になってから少し興味を抱くようになった。ので、ライトそうなところから何か書籍を読んでみたいな、と購入。大正解だった。
見開きページで一言語ずつの紹介なので、サクサク読めて門外漢にとても易しい。専門用語は分からないものもあったけれど、エッセイとしてとてもユニークなエピソードが折り込まれており、エンタメとして楽しんだ。100言語が紹介されているけれど、世界にはもっともっとたくさんの言語があるのか……ここを起点に、少し新書など求めてみようか。
10年ちょっと若いときに、学ぶことの楽しさを理解していればな、としみじみと感じることが多くなった……。 -
黒田龍之助さんという言語学者さんのエッセイ。100の言語をそれぞれ見開き2ページでとりあげる。私は言語マニアってわけではないが興味がなくはないし、この気負わない広く浅い感じにもひかれて読んだところ、内容は措いといたとしてもこの人の文章は好きだ!という結論に至った。ちくま文庫のtwitterで知り、筑摩書房の本社が本屋になるというイベントで手に入れた。ありがとうその辺りの方々。
というわけで世界の言葉に思いを馳せたり、これをきっかけに地球儀を眺めたりもしたけれど、何語が良かったとかではなく黒田さんが良かった。
そしていま「りゅうのすけってどの字だっけ」と思って検索したら、黒田さんのお母さんは絵本作家のせなけいこさんだということがわかった。「ねないこだれだ」のあの。あんれまあ! -
『世界の言語入門』の増補改題版。
世界の言語なかから、100の言語について、見開きⅠページで軽妙に語る。
面白いエピソードはもちろん、現状の(流行りの)言語学習についての批判も、さすが。
軽妙なエッセイ。しかし、それだけでなく、時折見せる、軽薄な言語学についてに批判も鋭い。 -
もととなっている新書『世界の言語入門』も読んだことがなかったので、今回の文庫版登場を機に購入して読んでみました。
100の言語についてのエピソード(実際に黒田さんが体験したものから、エピソードは全然なくて頑張ってひねり出したものまで)がそれぞれ見開き1ページに。それぞれの言語に黒田さんらしい面白さやちょっとした批判性があって、とても楽しいです。またこの本をもって旅に出かけたりして、いろんな言語の世界をのぞいてみたいなぁと思える1冊です。これからも何度も広げたい。
また、黒田さんが「おわりに」で言及していた3冊の事典・辞典類。ちらっと開いたことがあるけれど、これらもぱらぱら読んでみようかなとも思ってしまいました。
解説が高野秀行さんなのもとてもいいです。お二人の対談本とか出たらとても楽しいのに、と思ってしまいます。 -
途中まで読みすすめて、前に読んだ気した。ら、講談社新書から出ている「世界の言語入門」の増補改題版でした。
こっちの方が10言語追加されていたのでお得。
解説が高野秀幸氏というのもお得感が高い。
メジャーな言語、聞いたこともない言語を織り交ぜながら、2ページ単位なので軽く読める。
実はよく知らない、とさらっと紹介するページもあれば、しっかり考えないといけないトピックもあり、新たな一歩を踏み出すきっかけになりそうです。
途中で紹介される本も興味を惹かれるものが多くて、ますます世界が広がります。
世界は英語だけじゃないし、母語も大事だなと改めて感じる。
会話ができるとかじゃなくて、楽しみとして外国語に触れる。それでいいんじゃないかと。 -
『世界の言語入門』(講談社現代新書)が文庫化された本。新書版に10個の言語が新たに追加されて、計100言語が紹介される。文体はエッセイ風で読みやすい。日本で馴染みのない言語の情報がこの一冊に集約されており、今回、この本で初めて知った言語がいくつか見られた。なかでも、ロシア周辺地域は未知の言語が多かった。本書はそれだけにとどまらず、言語学に 関するコラム特集もなかなかで、とりわけコラム03と09はデリケートな内容だが異文化を学ぶ際に役立つ。本書でも言及されたが、「○○人」「○○族」という呼び名が実は気まぐれであるという。ここから、他国を取り扱う際には軽々しく語るのではなく、入念に調べたうえで発言しなければならないと理解できるだろう。
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16 ウォロフ語の こんにちは
意味を知ってうっとりしました。
『物語を忘れた外国語』では少しとっつきにくい黒田氏でしたが、本書は一語一語に彼独自の言語観が投影されていて...
『物語を忘れた外国語』では少しとっつきにくい黒田氏でしたが、本書は一語一語に彼独自の言語観が投影されていて、楽しく読了できました^ ^他の著書もまたどこかで触れていこうと思います。
黒田氏の言語観は、本当に楽しむ気持ち全開でパッションに溢れていますよね!そして何より正直な方だと、今回物凄く実感しました。
あと「フィンランド語」の項で『フィンランド語は猫の言葉』が紹介されていました!ここでも絶賛されていたので改めて近いうちに読んでみたいと思いました♪
黒田氏×高野氏のタッグは強烈でしたね笑 お2人の対談が見たかったという声もあり、私もどこかで実現しないか切望しています…!
その対談、ぜひ企画されませんかねえ!肩書きのイメージとは反対に、正直な黒田さんのパッションの暴走を、大...
その対談、ぜひ企画されませんかねえ!肩書きのイメージとは反対に、正直な黒田さんのパッションの暴走を、大人でリアリストな高野さんが冷静に受け止める展開を予想笑
お2人の対談は夢がありますよね^ ^黒田氏が新刊を出されたタイミングで実現してくれると嬉しいです笑
おぉ是非見たい神展開...
お2人の対談は夢がありますよね^ ^黒田氏が新刊を出されたタイミングで実現してくれると嬉しいです笑
おぉ是非見たい神展開ですね…!!思わぬ地点で意気投合するというのも、意外と見どころになるやもしれません。。(ニヤリ)