消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ (ちくま文庫 た 36-4)
- 筑摩書房 (2017年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480434326
感想・レビュー・書評
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アダルトチルドレンの方の思考を分かりやすく言語化されている一冊。この微妙なニュアンスや考え方を知らないと、アプローチしても相手に届かないかも、と面白くのめり込んで読み進めた一冊。
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著者が被虐待児へのカウンセリングで得られた、当事者の「死にたい」ではなく「消えたい」という死生観や、社会への疎外感について、ケーススタディで示されている。
被虐待者を「異邦人」と定義し、普通の人の社会の外側から来た人間だと理解すると、違和感がなくなる。
「試し行動」は、「試す」と理解するのは正確ではなく、自分の我慢が途切れてしまう恐怖から発生していると理解すると良い。
カウンセリングで必ずしも本当のことを話すとは限らないと思うが、全体的に捉えるとこのような傾向があるのだろうと思う。被虐待児を理解するための良書。 -
被虐の方が生きてきた「普通」でない世界。本を読んだくらいで理解したと表現するにはあまりに異なる世界だけど、そんな世界があることを知ることが出来ただけでも、私にとっては世界の見方が変わる大きな体験でした。
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死にたいと消えたいの違いについて腑に落ちるものがあった。自分が正しいと思っていた事をひっくり返されるような、少し衝撃を受けるような場面もあった。自分の希死念慮がカテゴライズされる安心感があったり、消えたいと願う人達が回復に向かう様子を知ることが出来て、自分にいかせるものを得られた。親との関わりに問題があって今の生活に苦しみを抱えている人は読んで損は無いと思う。
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精神科の先生に、両親からの虐待を指摘されて購入しました。
虐待児を異邦人と呼ぶのは、面白いと感じました。私も自分が人間のなりそこないだと酷く苦しんだ時期もあり、今でも世界に疎外感を覚える事は多々あります。 -
アダルトチルドレンが抱えがちである「私は人とは違う」という感覚を「異邦人」というワンフレーズに要約しており、ドンピシャな言葉選びに驚嘆した。
多くの具体的なエピソードが述べられており、読み進められなくなるほど苦しい話もあった。
周囲と同様に振る舞うことはできても、その行為の本質が分からず、他者と感情が共有できない。
まさに海外に出かけた際に現地人へ抱く感覚と似ている。異国人としての浮遊感。生きる世界が違うのだから仕方がないという諦念。
被虐待児は離人感を抱きやすいというが、今を生きていなければ、人生から時間的一貫性が失われてしまう。私には過去や思い出がない。他者と何の感情も共有していなかったから。
もしかすると、私はもう誰かと感情を共有する生き方はできないんじゃないかと思う。
けれどそんな中でも、自分という存在を知りたいという欲はまだある。
知るということは、離れるということ。
私という存在を俯瞰して捉え、ただそこに「在る」何かを受容できるようになれば、消えそうな自我の輪郭が見えてくるのだろうか。 -
SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764257 -
虐待を受けた子供の、心理的内面を解説してくれる本。
記憶とか、今ここにいる感覚とか、自分が生きてていい、他の人と同じ、と感じる感覚がなくなってしまうらしい。