消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ (ちくま文庫 た 36-4)

著者 :
  • 筑摩書房
4.13
  • (21)
  • (15)
  • (8)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 293
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480434326

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 高橋先生の著書を読むのは
    “子は親を救うために「心の病」になる“に続いてこの作品が2つめ。

    この作品で自分の生き方や考え方、育った環境が異質だったのだという理解に非常に役に立つ、私にとって尊い出会いの一冊。

    読みながらどの部分も当てはまりすぎて読み進めるのが苦しくて何度も本を閉じてしまった。
    読み進めている最中に震えと涙が止まらないことも多々あった。

    特に第5章 (3)2つの存在を生きる
    の木内さんの体験談が長年言語化できない自分の苦しみを表しているようで息苦しさと苦しみが溢れてきてものの30数ページを読むのに1週間ほどかかってしまった


    自分がこの世に存在していないような感覚、
    いつも目に見えない何かに追われているような感覚、
    無意識に自分を責めてしまい、自分を責めることで安心感と存在している感覚を得ようとしてしまうことetc
    これらが自分だけの感覚ではなく、「異邦人」という特殊な環境で育った人たちにはあり得る感覚だと初めて知り、うまく言葉にはできないが安心の涙も溢れた。

    今後も何度も何度も読み直したいと思う。
    大切な一冊。

    次は
    ◎「母と子」という病
    ◎親は選べないが人生は選べる
    ◎ 人は変われる

    を読んでいきたい

  • アダルトチルドレンの方の思考を分かりやすく言語化されている一冊。この微妙なニュアンスや考え方を知らないと、アプローチしても相手に届かないかも、と面白くのめり込んで読み進めた一冊。

  • 著者が被虐待児へのカウンセリングで得られた、当事者の「死にたい」ではなく「消えたい」という死生観や、社会への疎外感について、ケーススタディで示されている。

    被虐待者を「異邦人」と定義し、普通の人の社会の外側から来た人間だと理解すると、違和感がなくなる。
    「試し行動」は、「試す」と理解するのは正確ではなく、自分の我慢が途切れてしまう恐怖から発生していると理解すると良い。

    カウンセリングで必ずしも本当のことを話すとは限らないと思うが、全体的に捉えるとこのような傾向があるのだろうと思う。被虐待児を理解するための良書。

  • 滅多に星5はつけないのだけど、読み終わったときの「何かがストンと落ちた感じ」に自分でも驚いたので。自分はいわゆる「異邦人」側に属する。自分の生育歴を過呼吸無しに客観視できる程度まで回復している、「生きるのが苦しい、死にたいというよりは消えたい」と感じている人に強くお勧めしたい。「あなたの親、おかしいよ」「それ普通じゃないよ」と、虐待の事実を面と向かって第三者から指摘された経験があるかどうか。それが[生まれ変わるための]絶対条件なのだと思う。2つの世界に足をつけて生きている実感がある私は、今度は「消えたい」気持ちが薄れていることに対して足元が崩れるような不安があり、まだまだ道半ばなのだと気付くことができた。

  • 被虐の方が生きてきた「普通」でない世界。本を読んだくらいで理解したと表現するにはあまりに異なる世界だけど、そんな世界があることを知ることが出来ただけでも、私にとっては世界の見方が変わる大きな体験でした。

  • 死にたいと消えたいの違いについて腑に落ちるものがあった。自分が正しいと思っていた事をひっくり返されるような、少し衝撃を受けるような場面もあった。自分の希死念慮がカテゴライズされる安心感があったり、消えたいと願う人達が回復に向かう様子を知ることが出来て、自分にいかせるものを得られた。親との関わりに問題があって今の生活に苦しみを抱えている人は読んで損は無いと思う。

  • 精神科の先生に、両親からの虐待を指摘されて購入しました。
    虐待児を異邦人と呼ぶのは、面白いと感じました。私も自分が人間のなりそこないだと酷く苦しんだ時期もあり、今でも世界に疎外感を覚える事は多々あります。

  • アダルトチルドレンが抱えがちである「私は人とは違う」という感覚を「異邦人」というワンフレーズに要約しており、ドンピシャな言葉選びに驚嘆した。
    多くの具体的なエピソードが述べられており、読み進められなくなるほど苦しい話もあった。

    周囲と同様に振る舞うことはできても、その行為の本質が分からず、他者と感情が共有できない。
    まさに海外に出かけた際に現地人へ抱く感覚と似ている。異国人としての浮遊感。生きる世界が違うのだから仕方がないという諦念。

    被虐待児は離人感を抱きやすいというが、今を生きていなければ、人生から時間的一貫性が失われてしまう。私には過去や思い出がない。他者と何の感情も共有していなかったから。

    もしかすると、私はもう誰かと感情を共有する生き方はできないんじゃないかと思う。
    けれどそんな中でも、自分という存在を知りたいという欲はまだある。

    知るということは、離れるということ。

    私という存在を俯瞰して捉え、ただそこに「在る」何かを受容できるようになれば、消えそうな自我の輪郭が見えてくるのだろうか。

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764257

  • 虐待を受けた子供の、心理的内面を解説してくれる本。
    記憶とか、今ここにいる感覚とか、自分が生きてていい、他の人と同じ、と感じる感覚がなくなってしまうらしい。

全20件中 1 - 10件を表示

高橋和巳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ミヒャエル・エン...
エーリッヒ・フロ...
エラ・フランシス...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×