猫ノ眼時計 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.16
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本棚登録 : 133
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433206

感想・レビュー・書評

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  • 猿渡くんと伯爵のシリーズ最終巻だそうです。といっても、もともと時代も登場人物もランダムな連作短編形式なので、猿渡くん最後の事件!みたいな大展開があるわけではなくいつもの調子。最終巻を意識させるものがあるとしたら、1作目「蘆屋家の崩壊」で登場した兄妹が再登場することくらいでしょうか。

    新キャラ・五十嵐アイダベルが活躍(?)する「日高川」「城と山羊」「続・城と山羊」も面白かったけど、個人的にはラストの「猫ノ眼時計」が短いながらも怖さと切なさがギュッと詰まっていて好きでした。

    「玉響」は、ある意味「埋葬蟲」の続編。伊予田さん、あの事件のあとちょっと心配だったけど案の定・・・

    「病の夢の病の」は文庫のみの収録だそうですが、ちょっと他とは違うテイスト。失踪した作家「風見鶏(かざみけい)」のモデルが気になって検索したのですが、どうやら「風見潤」氏のことらしい。ほんとに行方知れずだそうで。かぎりなくノンフィクション。

    巻末の年表は嬉しいですね!時系列順でシリーズ3冊読み直してみても面白いかも。あととりあえず「豆腐竹輪」が食べてみたいです。

    ※収録作品
    「日高川」「玉響」「病の夢の病の」「城と山羊」「続・城と山羊」「猫ノ眼時計」

  • とうとう「幽明志怪」シリーズ最終巻を読了。今回もまさしく幽明の境へ連れて行かれ、いずれが夢でいずれが現なのか、宙ぶらりんにされた。その感覚がとても快い。「解説」まで読み終わって巻を閉じたところで、「もう氏の新作を読むことができないのか」と思うと、不覚にも涙が零れた。寂しくなったら、今度は、巻末の「年表」に従って、時系列に読み直すとするか。

  • 2015-12-3

  • このシリーズ三作目にして最終巻。
    面白かった。
    相変わらずなにが現実でなにが夢なのかわからないようなモヤモヤとした不思議な雰囲気だった。
    『玉響』と『城と山羊』あたりが好きかな。
    表題作の『猫ノ眼時計』も短くてあっさりしてるけど切なさがあって良い。

    最後に猿渡の年表がついてるので、どの話がいつくらのことだったのかがわかってよかった。

  • 猿渡・伯爵シリーズの最終巻ということになっている。
    第2作の「ピカルディの薔薇」同様、作品ごとのフォーマットはバラバラで、2人の役割やウェイトもまちまちだったりするのだが、醸し出す世界観は不思議と統一感を纏っているのがさすが。
    各編の味わい深さや全体としての完成度の高さは、シリーズ1作目の「蘆屋家の崩壊」、あるいは「11」といった著者の他の短編集に譲る。

  • 再読。伯爵と猿渡の幽明志怪シリーズ第三弾にして最終巻。あー、何度読んでも心穏やかになる(笑)。怪奇小説と言いつつユーモアのある語り口かつ、安定した著者の文章力により、本篇にも出てくる笑茸を自分も食したかのような、ふわふわと楽しい気分になる。また、今回も作中に登場する豆腐竹輪が食べたくて鳥取物産展に走るという(笑)。最終巻とは言わず、いつかまた伯爵と猿渡、そしてアイダベルに逢える日を願って!

  • 日高川
    玉響
    城と山羊
    続・城と山羊
    猫ノ眼時計

    幽明志怪シリーズ最終巻。……え。シリーズ名なんてあったんだ。

    五十嵐アイダベルという素っ頓狂な女性が登場し、
    猿渡の大学の頃の友人だった伊予田が、思いがけないかたちで再登場。
    そして弟、遊離子、三千崇も現れる、比較的長めの「城と山羊」が、時系列では途中だが質量ともに最終作にふさわしい。

    まさにちょうど鳥取を走っていて、豆腐竹輪を買って食べた。
    うまいとも、まずいとも。
    曖昧模糊とした滋味。
    本書のようだった。

  • どこに着地点があるのか、ジャンルは何なのか。もうどうでもよくなりました。面白かったら、それだけでいいや。好みは分かれると思うけど。

  • (2016/02/28購入)(2016/02/29読了)

    このシリーズの魅力は、地に足つかぬ主人公と共に此岸と彼岸を行き来する所だった。岡本綺堂の青蛙堂鬼談を読んでいる時の心地よい不安定さを、このシリーズでも感じることができた。それもこの巻で最後かと思うと淋しいものである。ただ、またどこかで猿渡氏とは会えそうな気がする。再会を待ちたい。

  • 猿渡は最後の最後まで掴みどころのないキャラクターだった 本人が語る経歴は共通しているから、どの話に登場する"猿渡"も皆"猿渡"の筈なのだけど、「城と山羊」のラストで彼の弟と入れ替わっていてもわからないような気がして怖くなった 「玉響」であんな状態だったから尚更 薄気味の悪い話ばかりで、中には痛々しい描写もあったけれど、どうしようもなく魅せられてしまう、絶妙なこのシリーズが終わってしまうのはやっぱり寂しい だけど最終回らしくない最終回は、物語がその後も続いているという妄想の余地が残って良かったような気がする

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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