悦ちゃん (ちくま文庫 し 39-5)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 361
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433091

感想・レビュー・書評

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  • とても面白かったです!生き生きとした登場人物、ドキドキのストーリー展開…昭和11年に書かれた新聞小説とのことですが、全然古くない!

  • はじめましての作家さん。
    獅子文六さんの著書は、少し前から書店でよく目にしていました。
    お名前の感じからして、失礼ながら今のお人ではないように思われて
    けれどもその名が醸し出す古めかしさに(ごめんなさい~....)何故だか
    気持ちが引き寄せられてしまったのが第一歩。プロフィールを見て
    やはり昭和初期に活躍されていた作家さんであると知りました。

    平台に並べられたいくつかの著書は、どれも私好みの心くすぐる
    カバーデザイン。デザインが好みであれば中身もきっと♪と
    最初に手にすることにした「悦ちゃん」は、カバーに描かれた
    赤いワンピースのお嬢ちゃんの可愛らしいイラストもさることながら
    テレビドラマの予告を何気に観ていたことがきっかけにもなりました。

    悦ちゃんはお転婆おしゃまな10歳の女の子。早くに母親を亡くして
    のんびり屋の父親と二人で暮らしているが、そのパパさんに
    突然再婚話が持ち上がったものだから、さあ大変!

    こちらは、おませでお転婆な悦ちゃんが主人公のお話でありながら
    実は悦ちゃんの、ちょっぴりダメパパ・碌さんの昭和な恋バナでもあるわけで
    けれども悦ちゃんなくしてパパ・碌さんは語れないのです!
    パパより一枚も二枚も上手な悦ちゃんなのでありました。あっぱれ! ^^

    時代背景は昭和初期。ここでも"銀座" "デパート" "服部時計店" などの
    ワードを目にして、またもや最近読んだ幾つかの同じ時代の物語と
    オーバーラップさせて妄想です...。(笑) 実在する人物やら物やらが
    幾つも登場するので、この時代の情緒風情も充分に味わえます。
    村岡花子さんが花岡ムラ子さんという名で二行ばかり登場してくすり。^^

    そして、とってもモダンでおしゃれな文体。そこかしこにカタカナ語が
    巧みに挿入されていて、それは英語だけじゃなく時折ドイツ語なんかも
    混じっており、今の私たちにもすんなりと受け入れられてしまうほど
    自然な使い方で、文体としての時代の古臭さは全く感じられず
    むしろ当時としては、最もトレンディなユーモア小説だったのでしょうと
    伺えました。ほっこりほのぼのとした温かい気持ちになれる素敵なお話です。

    それからそうそ、悦ちゃんはね...(悦子っていうんだ..ほんとはね♪)
    どことなく、"マドレーヌ"という猫を飼っていた、あの、"かの子ちゃん"に
    雰囲気がとっても似ているような気がするのですよ。^^
    この際時代のずれはちょっと置いといて、もしこの二人が出会っていたなら
    とってもいいお友達になれただろうなぁ..。悦ちゃんの方が少しお姉さんね。
    ふんけーの友。なんて。(笑) あぁ..少々妄想が過ぎてしまいました。
    失礼致しました...。

    • nejidonさん
      yumiieさん、こんにちは(^^♪
      楽しいレビューに思わずニコニコです。
      TVドラマをずうっと観ていましたよ。
      原作も素敵ですよね!...
      yumiieさん、こんにちは(^^♪
      楽しいレビューに思わずニコニコです。
      TVドラマをずうっと観ていましたよ。
      原作も素敵ですよね!
      心の底には大きな安心感があるので、ドタバタになってもくすっと笑って読める本。貴重です。
      そうそう、「ふんけーの友」!!!
      yumiieさんに座布団5枚!!!
      2017/12/06
    • yumiieさん
      nejidonさんこんばんは♪
      いつもいいねをありがとうござます♪^^
      コメントもとっても嬉しいです^^

      nejidonnさんは悦...
      nejidonさんこんばんは♪
      いつもいいねをありがとうござます♪^^
      コメントもとっても嬉しいです^^

      nejidonnさんは悦ちゃんのドラマを観られたのですね!
      私も予告を観てよさそうだな~とは思ったのですけど
      なにせ読みたい気持ちの方が強いもので観る方はグッとこらえて読みました。(笑)
      近頃は話題の読み物がどんどんドラマになっていますね。
      以前はそれほど気にかけていなかったんですけど
      近頃は観るより読みたいというか、観る前に読みたいというか
      自分の中に自然と湧きあがってくる想像を味わいたくて
      ドラマや映画は読んだ後に観て楽しむようになりました。
      悦ちゃんも今ならドラマも観たい!のだけどなぁ...。

      獅子文六さん、とってもよかったですよ♪
      また何か読んでみたいと思っています。

      座布団五枚も頂いちゃって♪まぁ!!
      たいへん嬉しゅうございます♪^^
      ありがとうございました。



      2017/12/06
  • お気に入りの本になった!!

  • ドラマが良かったので読んでみた。原作のほうがパパの駄目振りが際立ち、夢月やカオルさんもより一層嫌味が増している。悦ちゃんの奔放ぶりや池部夫妻の義理人情ぶりも、すべてデフォルメされている。そのせいか落語を聞いているような面白さがある。現代人は直ぐにリアリティを追及してしまうが、フィクション故に感じるものもあると思う。

  • 私は常々、まだ読んでいない面白い本(私にとっての名著)がもっともっとたくさんある、出会ってないすばらしい文学がまだまだあると思っている。あったあった!獅子文六。子供時代に聞いたことはあるけど、読んだことがない作家だ。昔の流行作家というイメージだった。なんて面白いのでしょう、悦ちゃん。文体のリズムもいいし、人物造形もすごく味わい深い。もちろんラストは予想できるんだけど、次々に起こる予想外の事件が楽しい。麻布から江戸川まで電車で7銭、夕刊一部2銭、かけそば10銭。昭和11年ころの生活も興味津々です。

  • 通勤中に読む何か軽い読み物をと思って、獅子文六の初期作品。可愛らしくもおマセな10歳の女の子「悦ちゃん」が父親の再婚相手選びを巡って東奔西走大活躍する。ユーモアとバイタリティに溢れた悦ちゃんが何とも魅力的で、戦後、決っして楽ではない生活を送る多くの日本人に元気を与えた物語ではないだろうか。

    獅子文六と言えば相場師を描いた「大番」ほか何作かを読んでいるが、いずれも面白くて気に入っている。もう何作か読んでみよう。

  • 途中、碌さんがロクでもないわカオルさんが憎らしいわ悦ちゃんが可哀想だわで泣きそうになった。
    夢月やカオルさんはもっと懲らしめて欲しかったけど、鏡子さんが幸せならそれでいいや!

  • ドラマをみてとても良かったので原作を読んでみました。ドラマとは違う展開になりつつも、これはこれで楽しめました☆それにしても、碌さんの無責任といったらね!呆れました。それほど感情移入したのかなf^_^;脇キャラもとても良くて、ドラマよりも深い感情が描かれていました。とにかくこの作品がなんと80年も前のものだってことに驚きます。全然今の時代と変わらないし!今時の若者は…ってのが、本当に今の若者と変わらなくて笑ってしまいました。この作者の別な本も探してみたいです。

  • 理想のママを探す悦ちゃんの奮闘。見合い相手に振られたパパは大阪に行っちゃって…
    ストーリー展開はさすがに時代を感じるが、世相や情景はモダンで明るくてすがすがしい。

  • こましゃくれた口の悪い悦ちゃん10歳。父に勧められて読んでみた。
    ママがいない切なさ、パパへのツッコミ、カオルさんや伯母さんへの悪態などなど、悦ちゃんの姿に心を痛めたり笑ったりしながら一気に読んだ。
    読んだら誰でも悦ちゃんに会いたくなるはず。
    父が「悦ちゃんには幸せになってほしいよ。」と言った時、私も本当にそうだと思った。

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著者プロフィール

1893─1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。『コーヒーと恋愛』『てんやわんや』『娘と私』『七時間半』『悦ちゃん』『自由学校』(以上、ちくま文庫)。『娘と私』はNHK連続テレビ小説の1作目となった。『ちんちん電車』『食味歳時記』などエッセイも多く残した。日本芸術院賞受賞、文化勲章受章。


「2017年 『バナナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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