- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480432483
作品紹介・あらすじ
「普通」になれない少女たちの痛々しさや強さをリアルに描き出し、全米の若者を虜にした最高に刺激的な〈9つの物語〉。
感想・レビュー・書評
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ガーリー的なものとか「女子」という言葉とか苦手なんだけど、これは平気だった、というか、すごく好きかも。
どの短編に出てくる女の子も、けなげで、いとおしい。(っていうか、いとおしい、って言葉も嫌いなんだよ、ほんとうは)男の子は、スケボーやってたり、サーファーだったり、パンク・キッズだったり。90年代サブカル色濃し。日本では、ちょっと時代をおいて再発見された作家なのだと思うけれど、その距離感がいい感じに郷愁をさそい、作品世界をさらにきらきらさせているのかな。ウィーツィ・バット・シリーズも読んでみたい。(自分メモ:シリーズ5冊の合本のタイトルは、Dangerous Angelsとのこと)
ふと思ったのだが、ソフィアコッポラは『ヴァージンスーサイズ』でこういう世界を描いていたのかなあ?私はあの映画、あまりピンとこなかったんだけど、この本はリアルに胸に迫ってきたし、映画でいえば小道具とか美術にあたる部分もすなおにカワイイと思えた。この違いはなんなんだろう? -
昔読んだけど、内容忘れちゃったので再読。
90年代のアメリカのポップカルチャーというものだろうか?
最初に読んだ当時はカルチャーショック受けたような気がするが、改めてこんなに感動するお話だったのか!と読み応えのあるお話だった。
短編集だが、特に一番好きなのは『マンハッタンのドラゴン』映画で見てみたい。
その中にある文章が特に印象強い。
『ニューヨーク中を歩いて天使やユニコーンや人魚やペガサスをみつける。ドラゴンをみつける。あたしはこういうものはみんないると信じている』
LGBTQや多様性など。ありとあらゆるものを認める、許す。色んなものを認められるようになった時代。なんでもあっていいじゃないか。
こういうものが詰め込まれたお話だと感じた。 -
若者向けミランダ・ジュライみたいな感じ。
私はこのようなキラキラした10代ではなかったので、そんなこともあったなあという実感はないのだが、不安で享楽的で、傷つきやすくて向こう見ずで魅力的な10代の女の子というのはきっとこうなのだろうと思うし、日本の田舎で魅力的でない10代を過ごした者も同じように感じたこともあったので、90年代に魅力的な10代だったアメリカの女性は胸を鷲掴みにされただろう。
表紙の絵はロウティーンぽく可愛い感じだが、もう少し大人っぽくても良かったかも。中は文庫でありながら文字の色が、赤、紫、紺、緑と変わっていく凝った作りで、こういう本が好きそうな女の子にプレゼントしたくなる。
キラキラ度が高くなく、切ないけれど明るさのあるラストで、物語としても面白い「ブルー」「マンハッタンのドラゴン」が良かった。
キラキラ女子だったなら「レイヴ」や「ピクシーとボニー」が好きかも知れないな。
金原瑞人は、こういう作品の翻訳は向いてると思う。あんまり重厚な作品より。
性描写も結構あり、あくまでハイティーン以降の女子が出会う本だとは思うが、「ブルー」はロウティーンの女の子にも薦めてみたい気がした。 -
白昼夢のような美しさと寂しさの合わせ混ざった不思議な感覚を一編一編読むたび味わう。時代やカルチャーを表す大量の固有名詞が強烈。痛みがたくさん詰まっているはずなのにそれが愛おしく感じる。ティーンエイジャーの時に出会えてよかった。大人になったらまた違う感覚に包まれることだろう。文字の色や紙質、編集の細部までのこだわりもときめく。
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こういうテンションの若い感性?なんていうんだろう…文学って海外は一定層あるんだな…
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アメリカのYAに人気の作家とのこと。初めて読んだけど、軽妙な文章でテンポもよく読みやすい短編集。少女のためのナインストーリーズ。フランチェスカ・リアブロック、これからほかのも読みたい作家。
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文学
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若い女性になったサリンジャーが書くレディ・バードたち…と思ってたら作中にサリンジャーの名前が出てきてびっくりしつつもやはりというか。
パパ探しの旅に出る少女の話と、プロムから大学進学の間を描いた少女ふたりの話がよかった。
「少女が少女から解放される」という言葉が浮かんだ。 -
2015-3-3
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表題作と「マンハッタンのドラゴン」と「レイブ」という作品が印象的。最初の二作は予備知識無しで読むと珍しい女の子目線に少し戸惑う。ヤングアダルトの作品と思えばなるほどという感じ。世代によって見解が分かれそうな題材を扱っていて重いテーマをポップに描いている。ポップに描いているところが若者側として描いているということになるかな。最初の戸惑いにめげずに読み通すと思いの外、印象に残る短篇集だったように思う。
ソフィアコッポラは「マリー・アントワネット」が好きだったんですが、「ヴァージンスーサイズ」は未見です。