- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480431097
感想・レビュー・書評
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小説というか見たことのない作品をみたあとのような読後の感じ。最初の一行から最後までがワンセットの。
きもちわるい厨二的な感覚が、わかる自分がきもちわるい。でもものすごく人間ぽくて、そう思うとどこかでホッとするような。
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花田菜々子さんいわく
これは名作というか、かなりの怪作。
この本は「会田さんの実話かも」と思わせるような仕掛けを施しながら、高校生時代のスキー合宿のことが日記のようにノートに綴られていく形式で語られます。が、そこに書かれるのはどんなさわやかな恋愛も吹き飛ばすようなスカトロ嗜好というか、恋する相手の排泄する姿を覗き見たいという欲望なんです。私自身、そういう性的嗜向には興味がないどころか、そこで「うわ・・気持ち悪いかも」と思って読むのをやめたくなったほどなのですが、なぜか明るさと面白さがあって、つい読み進めてしまったんです。そうしたらもう、本当に面白くて面白くて。ラストにはミステリーのようなどんでん返しの仕掛けもあり、普通の小説では絶対に味わえないような言いようのない感動があります。 -
清々しい。ここまで強烈に素直なものそうそう書けたもんじゃない。ねじめ正一『ヤマサ醤油』を読んだときの衝撃に似ている。
昔こういう内容の、言ってみれば「変態小説」なるものを書こうと試みたことがある。そして書けなかった。プライドみたいなものが邪魔して。極論を言えば、綺麗な文章なんてものは技量の有無はあれど誰にでも書けるのだ。小学校の作文でこう書くべきだと教えられたように。しかし誰が読んでも「うわぁぁ…変態だ…」と思わせるような、人を引かせるような小説なんて滅多に書けたもんじゃない。それはある種の才能だ。
やっぱり会田誠は天才だ。 -
少しだけ好きだった人に教えてもらった本。
読むたび思い出すんだろう。
変態の青春の話だった。 -
変態の美学
内容はありそうでないです(褒め言葉) -
スリルとエロスの化学反応。
読み終えた時の謎の達成感。
爽やかな作品でした。 -
『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』で紹介されてたので読んだ。
【変態パート】
トイレの覗きから、特定の相手に好意を抱き、弾んでいく合田青年の心。独創的な文章のタッチとそのまなまな示唆に感銘を抱いた。
【青春パート】
純粋に恋に進んでいく方向転換もすがすがしかった。ゲレンデの描写も美しく、他の登場人物のサブストーリーもよかった。少なくとも男心をよく表現している作品だった。
【衝撃のラスト】
最後のどんでん返しは終始圧巻だった。いろんな意味でドキドキしながら読み終えることができた。人に勧めたいけど、初対面の人にはなかなか勧めづらいそんな本です。 -
これは変態だ
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トイレの下の隙間から、そんな部分まで見えてしまうの⁈と驚き。
会田少年の素晴らしい語彙力のおかけで変態行為が文学的に綴られていたり、想像以上に面白かった。
この日記は最後どうなっちゃったんだろう。
安全圏と思っていた男性からこんなことを白状されたら、どうなっちゃうんだろう…
一生喋りたくないし、顔も見たくなくなるな。
今時隙間の開いているトイレは少ないのかなぁ、意識してなかったけど、これから気をつけようと思う笑
そして学生時代の、告白とか失恋、両想い、青春って楽しかったよな〜、と思い出しながら読みました。 -
読み始めてこの変態ぶりはどこまでエスカレートするのかと不安になったけれど、だんだんと、それよりも人間に対するあまりの洞察の鋭さに圧倒されはじめる。ただただ異常といって片付けてしまうわけにはいかない、理屈に説得されそうになりさえする。
まぎれもない傑作。
終盤の雪山の描写もまた、それはもう、まるで自分がそれを見たかのように、息を呑むほどの美しさだった。