完全版 この地球を受け継ぐ者へ: 地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」全記録 (ちくま文庫 い 75-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429391

感想・レビュー・書評

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  • 石川直樹さんの2001年に北磁極からカナダ、アメリカ、南アメリカを経由して南極に至るまでの9ヶ月の旅を日記形式で書いた一冊。600頁に及ぶ長編。
    様々な国の人たちがチームになって地球を横断します。当然、価値観によるトラブルが発生するし、スポンサーの資金不足など様々なトラブルに見舞われる。
    寒さの厳しい北極圏や暑さの厳しい中南米の国々。チリやアルゼンチン、訪れたことがない国ばかりですが、治安が安全な国もあれば、政情が不安定な国もあり、自分だったら絶対に参加できないだろうなと感じました。
    車のサンルーフで寝そべったり、自転車をひたすらこいだり、山に登ったり、皆の料理を準備したり、仕事でもプライベートでもない仲間同士で語り合ったり、普段の生活では決して得られない経験は、人の生存に結びつく生きることそのものだと思いました。
    石川さんは、これは冒険ではないと言っていますが、いやいや、十分に楽しませてもらいました。

    2001年というと、20年以上前ですが、その間に世界情勢は大きく変わったなという一方で、自然は決して変わらないものだということは、人間の争いや権力闘争が如何に小さなものかと思いました。
    SNSもある今の世界では、気軽に色々な情報が入るかもしれませんが、手探りで得られる経験はいつまでも色褪せないものですね。

  • 「この星の光の地図を写す」展にて購入。人類学、民俗学も嗜む写真家。石川直樹の旅の記録。北から南へ足かけ10ヶ月。19歳から26歳までの、国籍も生まれもしダチも、母語も異なる若者たち8人の旅。あくまでも石川氏の記録で記憶のため、公平性にはかけるが、彼が何を見て、何を思ったのかが綴られている。ちょっとした冒険のようにも見えるP2Pプロジェクトではあるが、冒険者ではなく旅人してのスタンスを維持しながらプロジェクトに関わっている姿が印象的だ。

  • 2000年、20代の世界各国の若者達が、1つのチームになって環境啓蒙活動しながら北極から南極を徒歩やスキー、自転車で踏破した記録。
    旅の1日1日が短い日記になっていてそれらがすべて繋がって1つの記録になっている。

    読み始めて最初のほうは、面白い記録だなと思う反面、著者にバカらしさや、やらかす感的な落ち度が全く見えず、恵まれた人の単なる達成記録だなと思って期待していなかった。
    しかし、読み進めるうちにいつの間にかハマってきてしまい、旅が終わりに近づくにつれて、僕自身「ついに旅が終わっちゃうのか,,,」と残念な気持ちになってしまってた...!

    「Pole to Pole」、一言で言っちゃえば「壮大な教育プログラム」なんだけど、(最後までこなすのは想像以上に心身過酷で大変だと思いますが)この旅で人間として成長しない訳がないし、自分の20代を振り返ると、本気で参加メンバー達が羨ましいなって思いました。

  • 素晴らしいの一言。
    今、わたしが読みたい本そのもので、
    ブックカフェでタイトルを見た瞬間に衝動買いをしてしまった。

    1300円もするしとても分厚いが、文章が上手く、表現も知識も多岐にわたっていて全く飽きない。

    石川直樹という人物にとてつもなく惹かれた。

    これを描いたのが20代前半と言うのだから末恐ろしい。

  • さて、三年かけてやっと読み終わった。深夜、もうすぐ日付が変わる。
    長い旅の記録でありながら、読後、なぜかそういうものも振り返れば一瞬であったかのような切なさが沁みるような、不思議な感覚におそわれた。本書の中にもあった、いまを大切に生きたい。この時間は二度ともどってこないのだから。というフレーズが、深く思い出された。
    素晴らしい一冊だと思う。


    読み始めた頃に書いた以下の文句は一応残しておく。

    途中のコラム14番(222p)が、のっけから誤字。しかも登場人物であるジェイを、ジョイと。内容とは関係ないが、こういうもの送り出してしまう出版社はどうかと思う。しかもタイトルに「完全版」とまでつけているのに。。。

  • pole2poleプロジェクトへ参加する情熱的な若者の物語。スパニッシュアパートメントのような、いろんな世界の人々と挑戦していく姿に、感化される。

  • 旅の本は旅先で読むのが良い。旅先にいると感受性が高まっている気がするのと、羨ましさが軽減するかもしれないので。
    上手く表せないが。

    羨ましさが軽減するといっても、北極での真っ白な世界に石川がただただ涙するという情景は、想像が及ぶものではない。一方、このPole To Poleという「旅」の本質の一つは、環境志向に関するプレゼン紀行であり、あるいはまた一つはヒューマンドラマ(チーム内外の人間模様)であるとわかってきた。そうなってくると自らの境遇に昇華させ感じることも多い。「人と人をつなげるというマインドをベースにしよう」と初心に戻るように思うきっかけになった本でもある。どんなに畏怖を覚える自然の中にあっても、やはり人間関係こそ本質なのだ。そのための武器を、これまで学んできたつもりでもある。

    なお、前半(北極~北米)は内省的な記述が多かったのにたいして、後半(中南米~南極)では、周りの環境(風景や国ごとのガバナンス、あるいは人間関係)の記述が多くなっている。ハイジと二人で寝た話も興味をそそるが、クスコやマチュピチュやアタカマといった、知っている土地が石川によってどのように語られているかという観点でも面白い。
    そしてまた、長旅の若者たちの人間模様がまたたくましい。チームダイナミクスについてのコラムは、そうしたことからも興味を惹いた。

  • 「Pole to Pole」(P2P)という北極点から北米・中米・南米を通って南極点まで人力で移動するプロジェクトの体験記。北極南極はスキーとソリで、大陸は自転車で、中米の一部はヨットで移動。また、P2Pは各地の学校でプレゼンをしながら回っていくところにも意義がある取り組み。
    最初のうちは日記形式で読みにくいかなと思っていたのだが、チームメンバーが頭に入ったあたりで石川直樹さんが現地で見て、聞いて、食べて、感じて・・・体験されたことにとても魅力を感じるようになった。
    私も「冒険」とまではいかなくて良いので、「旅」に出かけたい!!

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著者プロフィール

冒険家、写真家

「2019年 『いま生きているという冒険 増補新版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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