木の教え (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427076

作品紹介・あらすじ

かつて日本人は木と共に生き、木に学んだ教訓を受け継いできた。法隆寺を千三百年以上も持たせてきた宮大工の秘伝、一本一本で違う木の癖を生かす職人の技、山の資源を絶やすことなく守る知恵など、身近な素材である「木」にまつわるさまざまな口伝を、図解入りでわかりやすく紹介する。木に教わり、山に叱られ学んできた木の文化や自然観を振り返ることは、現代の生き方を見直し、未来を見る大事な視点を得ることでもある。

感想・レビュー・書評

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  • 2023-10

    木の事を知るだけで自然と一緒に生きていくという事がどんな事か分かってくる。1000年生きた木を使って1000年生きる家を作る。そうすればその間にまた木が生える。ただそれだけのことの中にたくさん大切な事が詰まってるね。

  • 千年生きた木を使って、千年持つ建物を作る。
    日本の古来からの建築技術の高さ、スケールの大きさを感じる。
    現代の、2~30年で耐用年数を迎える作り方は、木にも建築にも精通した達人を必要としないため、大くの職人により、たくさんの家を建てられる。木へのリスペクト、造詣は少ないかもしれないが、大勢の幸せのためにはなっている。
    今のやり方は理由があってサポートされている。それは分かるが、便利さを追い求める中で、日本人が長きに亘って繋いで来た叡智が廃れて行くとしたら、それはどうなのだろうか?考えさせられる。

  • 塩野米松さんの「労作」には
    いつも感心させられることしきりである。
    西岡常一さんからの「聞き書き」を始めとする
    日本の匠への情熱には本当に頭が下がる。

    どんな国にも
    いつの時代でも
    失われてはならない
    伝統文化が
    存在する

    自分の国の
    伝統文化を大切にできないものは
    他の国の
    伝統文化も大切にはできない

    この国(日本)は
    どうなっていくのだろう

    といったことを
    いつも 考えさせてもらえる
    塩野米松さん である

  • 宮大工や船大工の棟梁のお話を、聞き書きでまとめた塩野米松氏の著書。第一部では木材の特性、第二部は特性を生かした木の利用法、第三部では木や森林をとりまく環境について語っている。

    自分も少しDIY的な事が好きなので、木の癖についての記述はとても興味深かった。自分がよく使うSPF材でさえ時間が経つにつれて、曲がったり反ったりと狂いが出て大変なのに、癖を見抜いて寺社や仏塔を建てる宮大工の知恵と技術には驚かされた。また仏像を彫る仏師が、事前にミニチュアの模型を作成するという話は面白い。

    「木は生育のままに使え」「木を買わずに山を買え」「寸法で組まず癖で組め」など、DIYにとってはかなりハードルが高い格言ではあるが、癖や適材適所を見極めるという意味合いでは、仕事や普段の生活の中でも必要な事なのではと思う。

  • 木の特性から人々との歴史、山と海のつながりなど、口伝を中心に木にまつわる様々なエピソードが描かれている。文章も平易で分かりやすい。
    古事記に記載されていた木の使用方法と現在の使用方法がほぼ同じと示してあり、驚いた。

  • 木が人を生かし、人が木を生かしてきた、その昔からの営みと知恵が解説された入門書のような名著です。

    どのような建造物や道具にどのような種類の木がどのように使われているか、どのような工夫や技が伝わっているか等、とても分かりやすく教えてくれます。専門用語の解説も丁寧です。図やイラストも明解です。読み仮名も充実しており親切です。他の本で読んで意味不明だった木職人の通称語も、この本を読んだら容易に理解できました。

    また、著者が宮大工やいろいろな職人に直に聞いて教えてもらった話や著者自身の体験談も、興味深いものばかりでした。本や資料を読んでるだけの人には書けない、貴重な生の情報だと思いました。

    この「木の教え」を読んで、木の素晴らしさにも、人の素晴らしさにも、感動しました。

  • 生活の中で木がどのような役割を果たしているか。
    先人たちの知恵は理にかなっている。効率重視が全てではないことを木が教えてくれる。

  • 正確には、最後まで読めなかった本です。宮崎空港で購入。2010年7月

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著者プロフィール

1947年秋田県角館町(現仙北市)生まれ。作家。東京理科大学理学部応用化学科卒業。アウトドア雑誌の編集に携わるかたわら執筆活動に入る。小説で芥川賞候補4回ノミネート。『木のいのち木のこころ』『失われた手仕事の思想』『手業に学べ』『大黒柱に刻まれた家族の百年』など、聞き書きによる著書を多く著す。2003年に絵本『なつのいけ』(絵・村上康成)で日本絵本賞大賞受賞。1950~60年頃の子どもたちの生活を描いた絵本『おじいちゃんの小さかったとき』(絵・松岡達英)がある。他に『正吉とやぎ』など。

「2022年 『少年時代 飛行機雲はるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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