鏡花百物語集 (ちくま文庫 ふ 36-11 文豪怪談傑作選 特別篇)

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • 筑摩書房
3.78
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本棚登録 : 113
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426185

作品紹介・あらすじ

大正年間、名だたる文人墨客名優たちを集めて幾度も催された百物語怪談会。座の中心には「お化けの隊長」泉鏡花がおり、喜多村緑郎、平山蘆江がいた。ときに柳田國男や芥川龍之介らも加わる座談の模様は、盛夏の風物詩として新聞雑誌で詳報された。史上初復刻となる記事多数と、そこから生まれた小説・随筆作品を併せ収め、怪談黄金時代の活況を文士の肉声でふりかえる怪奇座談アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 泉鏡花が発起人の一人になった怪談会の模様と、そこから着想を得た彼の小品が載っていて、対比されているのが興味深い趣向。後半の座談会で、鏑木清方の奥さんから聞いたという男の子の話は、「龍潭譚」に繋がっているような気もするし、他にもそういう繋がりがこれから見つかるかもしれないと思わせられる、ワクワクする本だった。鏑木清方と小村雪岱の図版も入り、大満足。

  • 百物語怪談会、という催し物の最中に、泉鏡花含む色んな参加者が怪談話をする趣向。
    柳田國男や芥川龍之介も出て来て、なんか嬉しい。怪談話自体は半ページ〜2ページくらいのものが多くて読みやすい。
    ちょっと怖いのから切ないのや、なんやそのオチ!までイロイロあって楽しめた。

  • 大正から昭和初期にかけて、泉鏡花を中心とした文人墨客たちが催した数多の怪談会。その様子を報じた新聞雑誌の記事、そしてその怪談会から生まれた怪談小説、随筆を集めたアンソロジー。

    まず感じたのは、当時のお化けたちの素朴さというか純朴さというか、、、現代の殺意高めなお化けとは全然違う、恋しい人に会いたかっただけ、お寺に骨を納めてお経をあげてほしいだけ、その願いの慎ましやかなこと、、、愛らしささえ覚えました。これも時代なのか?情緒があってとても良い。

    何十人(時には百人越えも)もの大人が寄り集まって催させる本気の怪談会、蒟蒻の仕掛けや、別室に一人で線香をたてに行くルールなんてのもあって、肝試しさながら。大人の本気の悪ふざけを感じて微笑ましい。でも不思議と下品ではなく、大人の知識人の上品な遊び、という風な、そういう認識だったからこそ、新聞や雑誌にもその様子が掲載されたのかもしれない。とにかく、すごく流行っていたんだな、という印象は強く受けました。

    小説、随筆は断トツで泉鏡花の作品が美しかった。間から言葉選びから段落の終わらせ方までいちいち美しい。その美しさと怪談の相性の良いこと、、、仄暗くて儚い美しさにもうちょっと浸ってみたかった。泉鏡花ももっと読まなければな、と思わされました。

    ■怪談精霊祭
    ■恋物語(抄)
    ■浮舟 泉鏡花
    ■怪談の会と人
    ■向島の怪談祭
    ■友人一家の死 松崎天民
    ■怪談会点景 双方待ぼけ/怪談化け俵/怪談の怪談/お酒の幽霊
    ■怪談聞書
    ■露萩 泉鏡花
    ■怪談 平山蘆江
    ■怪談会
    ■幽霊と怪談の座談会
    ■巻末附録 吉原で怪談会
    ■解説 宴の前と祭の後と 東雅夫

  • 大正~昭和初期に行われていた文豪達の百物語怪談会を文字おこししたもの(新聞に掲載された娯楽記事企画ですね)。まず参加メンバーの豪華さにクラクラする。こういう交友関係があったのかという所や、怪談会に漂うサロン的雰囲気みたいなのが凄くステキ。今だとやれないだろうなぁという感じ。
    ついで、この怪談会のネタをベースに創作した小説が掲載されており、こういうところで着想を得て創作に繋がるんだなあってのが見えて二重に面白い構成の本でした。

  • おぉ、「海異記」の元ネタなのね!と。しかしそういった話を聞いたことがないんだよなぁ。
    この怪談会記事の雪岱の挿絵が素敵でまた薄ら寒くて。

    返す返す、百物語に参加しても、披露できる話の一つもないことが悔やまれます。まぁ参加の予定はないからいいのですが。

    あと、東京新聞にそんな歴史が、と。東京新聞好きとして嬉しかったです。

  • 構成が良かった。これが新聞記事とは良い意味で驚き。

  • こちらの作品は、大正後期から昭和初期に都新聞(現在の東京新聞)に連載されていた。記者が怪談好きで記事にしたのだが、遊び心があっていいなぁと思う。いまだったら考えられないし。
    創作あり、鏡花が開いた座談会で、招待客が述べる実体験など、とても種類豊か。

  • いまよんでます。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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