植物たちのフシギすぎる進化 ――木が草になったって本当? (ちくまQブックス)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480251114

作品紹介・あらすじ

生き残りをかけた、植物の進化を見つめると、その「強さ」の基準や勝負の方法は無限にあることがわかる。勇気づけられる、植物たちの話。

感想・レビュー・書評

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  • 稲垣さんの本は分かりやすくて面白いので大好きだ。特にちくまプリマー新書の植物とイネと雑草の本は本当に素晴らしかった。中学入試によく出るというのも頷けるなあと思う。
    しかし、とても売れている『生き物の死にざま』や『はずれ者が進化をつくる』は、なんだか、喩え芸みたいになってるなあと感じた。喩えは分かりやすくてよいが、あまりに喩えすぎるとげんなりする。
    植物は人間とは生き方が違うから、喩えなくてもいい。きちんと説明するだけで十分分かりやすくて面白いのに。
    読めない子ども(大人もだけど)が増えているから、より分かりやすく、読みやすく、喩えを使ってと要求され、稲垣さんにはその能力があるためやっちゃってる感じがする。
    この本も単子葉類と双子葉類の進化のスピードをサッカーの試合に喩えるところから始まり、回る寿司と回らない寿司に喩え、ファーストフード(ファストフードじゃないかな)と高級うなぎ店に喩え、ラーメンチェーンに喩え、箱入りチョコレートに喩え…もう、喩えでお腹いっぱい。
    ここまで喩える必要ある?
    内容はプリマー新書を簡単にざっくりまとめた感じなので、プリマー新書が難しくてどうしても読めないなら、これもアリだけど、読めるなら、それぞれの新書を読んだ方がいい。もっと実例をあげながら詳しく丁寧に説明されていて、読みごたえがある。
    稲垣さんを喩え芸人にしないでほしい。
    簡単なのが悪いとは言わないが、クオリティはプリマー新書に劣る。
    これが初めて読む稲垣さんの本なら十分面白いかもしれないが、私は物足りなかった。

  • ちくまQブックスとは、どうやら10代向けの本のようだ。本をあえて薄くし、読破できるようにしているのも特徴で、面白い試みだと思った。内容はというと、一言で稲垣先生の良質な講義を受けている気持ちになれた本。先生らしく、大変わかりやすい例えと表現で植物の世界を説いている。ここからさらに踏み込むとちくまプリマー文庫へ行くのかな?共進化や生物多様性に関するもっとも易しい解説とも思う。しかし、読んでいくとワクワクもときめきもあるので、やっぱり植物はすごいとしかいいようがない。

  • 進化、多様性、個性を植物から学ぶ!

    まずページ数が少ないのでさらっと読める。それでいて勉強した気持ちになる。被子植物と裸子植物のどちらが昔からあったか? 単子葉植物の利点とは? もしかしたら理科の授業で習ったことかもしれないけど、なるほどと楽しんで読めた。

  • イラストが2色で豊富。しかもかわいい。
    若い読者向けなので文章も平易で読みやすい。

    進化について書かれている。
    そして、弱い者が滅び、強い者が生き残るというのが自然界の鉄則ではあるが、「たくさんの種類がある方が強い」「みんなが違うことが強い」

  • 植物に関して分かりやすい書籍を多く出している著者による植物の進化に関する一冊。

    理科の授業で、植物には子葉が2枚ある「双子葉類」と子葉が1枚の「単子葉類」があることを習った人もいるかと思います。なぜそのような違いができたのか、という入口から植物の進化について書いています。
    他にも、植物の進化と恐竜の関係、イネ科の植物と人間の繁栄の関係など、様々な見方から植物の進化について教えてくれます。
    この本を読むと、植物がなぜそのような形になったのかという進化の必要性と学校で学んだ知識が結びつき、植物について深く学ぶことができました。

    この「ちくまQブックス」シリーズに共通することですが、イラストが豊富、かつ二色刷りのため、読みやすいです。
    章ごとに区切られ、一冊あたりのページ数も少ないため、気軽に読めます。

    植物に興味がある人にはぜひ読んでほしい一冊です。

  • ●植物のスピード勝負
     単子葉植物…平行脈:縦の葉脈
           ひげ根
           形成層のないバラバラな維管束
           芽を出したら子葉は1枚
           ☆雑だけど早く
     双子葉植物…網状脈:太い葉脈+枝分かれ葉脈
           主根+側根
           形成層のある整った維管束
           芽を出したら子葉は2枚
           ☆ゆっくり丁寧
    ●恐竜を進化させた植物
     幹を硬くして大きくなる「木」
     茎がやわらかい「草」…植物の進化した形
     プランクトン→コケ植物→シダ植物:巨大な木→単子葉植物
     木から双子葉植物に進化するものが現れる
     より小さくより単純になる進化もある
     トリケラトプス…単子葉植物の出現により登場(首の短い恐竜)
     進化のスピードアップ
      「裸子植物」胚珠がむき出し
       花粉を授粉してから胚珠を熟成させる
      「被子植物」胚珠が子房に包まれている
       授粉前に胚を熟成させる
       花を手に入れる
    ●仲間を作る
     花と昆虫
      →最初は花粉を掠めとる敵。風よりも確実&遠くへ花粉を運んでくれる。花粉を食べられるのは困るから、ハチミツ作ったろ。
      →よい運び屋を選定するために、複雑な花の構造になる。
      →最初はコガネムシ
    ●植物からの挑戦状
     ハチ:同じ種類の花を探して飛びまわる
        →同じ構造の花だと、同じ方法で蜜を得られる
     みんなが自分勝手に振る舞った結果、みんなが得をするようになっている。
    ●人類と単子葉植物
     人類:史上最強にして、もっとも危険で恐ろしい生物
     イネ科植物
      ・花粉を風で運ぶよう進化し直す
      ・草食動物に食べられないよう体を硬くして栄養も少なくする。
      →ウシの仲間
        植物の体の硬さに歯を丈夫にすることで対抗
        栄養の少なさに胃を四つにし微生物を住まわせ草を餌に栄養を作り出している。
        …馬は長い盲腸がその役割
      ・茎の生長点を低くする 
        食べられても食べられても滅びない進化
      ・タネ:デンプン、タンパク質、脂質
       イネ科植物のタネ:デンプンが主
      ・農業誕生:穂が出ているのにタネが落ちていない株の発見→コムギの栽培→古代文明の発達
      ・イネの進化:生長点が低いため、乾燥地帯で進化した植物だが、湿地帯でも勢力を広げられた→日本伝来
    ●本当に強いものが勝つのか
     新しいものよりも古いものがよいときもある

  • 高校生の頃出会いたかった本。生物を丸暗記ではなく理屈を知って理解できる本でした。
    「生物は、必要のない個性は持ちません。」が凄く納得させられた。

  • 植物について学ぶの、物凄い久しぶりかも。忘却の彼方にいってしまいそうな懐かしい単語たちにも、久しぶりに触れられた。
    本シリーズ(あと岩波ジュニアスタートも)を、趣味嗜好を問わず、基本的に全部読破したいと考えるようになったんだけど、それは偏に、こういう出合いを求めるからこそ、なんだな。いきなり専門書ってのはハードル高いし、ひどい分野だと、小学校卒業以来、ほとんど触れていないみたいなのもあるしな。

  • 本筋と外れるけど、おすすめの本は?と聞かれて答えない著者の考え方に惹かれた

  • 図書館で。
    被子植物と裸子植物の違いとか、なるほどなぁと思う事が多くて面白かったです。葉が固い植物がケイ素とかを取り込んでいるってのも面白かった。ナルホドそれは手を切るよなぁ。
    知っていそうで知らなかったことをわかりやすく教えてもらって面白かったです。他のシリーズも読んでみようかな。

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著者プロフィール

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』(ちくまプリマー新書)、『たたかう植物』(ちくま新書)など多数。

「2023年 『身近な植物の賢い生きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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