- Amazon.co.jp ・本 (502ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480091420
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雪舟~等伯~狩野正信へいたる
日本美術の底流にある山水思想について
中国からの視座を入れながら縦横に遊んでいる。
その遊び心は、当代随一の渉漁家(といっていいのならば)ならでは。
名だたる水墨の作家を前に一歩もひるまず
絵に飛び込み、闊歩する様は、
心地よい。
この本を読んで、本物を前にすると
絵の奥にひそむ水墨画家の息遣いが感じられてくる。 -
”横山操という稀有な画人は
『病気が回復したら水墨の大作で山水を描きたい。
雪舟から等伯までの墨絵から出発しようと思います。』
と言って死んでいった。”(本分より引用)
引き算の発想。
足りないから想像の中で連想させる。
枯山水のように『そこに水がなくても』水を感じられる。
想像のための余剰。
日本の文化に流れる、
この湿り気を帯びた部分を
日々の生活で感じずにはいられない。
湿り=霧、はっきりさせない、幻想的な、隠す
この湿りが想像の余剰を
大切にする文化を育んだのか?
いわゆる『空気を読む』や、
『阿吽の呼吸』に通じるように感じる。
だからこそ、根底にある湿りの感覚が
ゆさぶられ、等伯の松林図を見て共感を覚え、
京都の銀閣寺を見て感動を覚えるのだろうか。 -
出だしが雪舟で期待したが、くい足らずに終わり、等伯も同じ。
薀蓄は多いが一貫したストーリーとしては大変弱く、中国の山水の歴史的記述はとても退屈だ。
内藤廣が解説を書いていたのは意外。 -
長谷川等伯展に行ってきた勢いで買ってしまいました。
長谷川等伯の松林図は昔からなぜか好きで、絵葉書とか持ってました。この絵を見れば、ほぼ間違いなく、これは日本の絵だって分かる。しかし、じゃあなぜ、中国ではなくて日本だといえるか、と聞かれても説明はつきません。
そんな不思議な感覚を説明する入口が本書では示されているようです。
ようです。話が古今東西あちゃこちゃ飛ぶうえ、ある程度の美術史の知識を前提としているので、なかなか見えづらい。著者自身手探りで書いているという解説の指摘はまさにそのとおりかと。
しかし、個々のエピソードは非常に興味深い。世界史的に見て、雪舟とレオナルド・ダ・ヴィンチが同時代人だったとか、指摘されなきゃ絶対気がつかなかったです。 -
日本人は自らの山水を探していたんだ。
松岡正剛を読むと一度は影響を受ける。 -
山水思想―「負」の想像力 (ちくま学芸文庫 マ 25-3) 松岡 正剛 (文庫 - 2008/4/9)
新品: ¥ 1,575 (税込)