- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480089625
作品紹介・あらすじ
9.11以後、アメリカの思想は変貌してしまったのか。ピルグリム・ファーザーズから現代まで、弛まず築き上げられてきたアメリカの伝統思想は、さまざまな人種の移民により形成されてきた社会ゆえに、一つの原理によって統一する一元論ではなく、相互に違った価値観を認めあう多元主義であった。それは、「体系を排すること、眼前の事実を重視すること、物事の理由を権威にたよらず独力で探求し、結果をめざして前身すること、定式をとおして物事の本質を見ぬく」プラグマティズムである。パース、ジェイムズ、ミード、デューイ、モリス、ローティーなど、その思想の展開とこれからの可能性を探る。
感想・レビュー・書評
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プラグマティズムを扱った入門書は初めて読みましたが、非常にわかりやすくまとまっていました。
アメリカの独立に遡った「アメリカ思想」の基盤に関する説明に始まり、ジェイムス、パース、ミード、デューイ、クワイン、ローティと、多くの思想をコンパクトで平易な文章で掴めるので、プラグマティズムの系譜を確認して今後の読書の道しるべにするには最適かと詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
相互依存論、非実在論、多元論、相対主義、非決定論、過程論というのが最近の私の世界観なのだが、こうした認識と現実的な判断、意思決定との関係はどう考えればよいのかな、ということを考え始める。
で、ふと思いついたのが、いわゆるプラグマティズム。なんか、便利そうな思想ではないか。
という軽い思いつきで読んでみるが。なかなかに深い思想である。
プラグマティズムは、科学哲学とも相性がよいようだし、記号論とか、脳科学とかともつながっている。その辺が、多元論に立ちつつ、科学的な知識との統合の必要性についても感じている自分の感覚ともフィットする。
で、このプラグマティズムも、そういう実証科学、行動主義的なところから始まるのだが、ローティーになると、もうジャック・デリダなみの非決定論、脱構築論になってしまう。
面白いね。ローティーとクワインもそのうち読んでみることとする。 -
評価することができないくらい、よくわからん(笑)
哲学ってどの本を読んでもぴんとこないのだけれど、センスがないのか。
「軍人どもはプラグマティストだ、憶測じゃ動かない」
っていう某漫画の中にあったセリフで興味を持った「プラグマティズム」である。
…まぁ難しくてよく分からなかった。哲学とか思想とか、全然飲み込めない。
本の始めのほうにあった、体系的、伝統的な観念にしばられることなく、眼前の事実を直視し、結果をめざして前進し、定式をとおして環境の本質を見抜く事によって環境を変えていく、という思考がプラグマティズム、と理解した。
開拓民から生まれた、との言葉で、納得。
第15章の最後がよかった。
アメリカ、それでも今でも生きていると思う、この考え方は。先日、アメリカに小学生の頃に引っ越して、もう向こうに根っこのある若い子が、南米で貧しい子のために村を作った番組を見たんだけれど、この年の子がこういうことをできる世界なんだ、アメリカはと、衝撃を受けた。日本では、なかなか難しいんじゃないのかなぁ。 -
(仮説)
自己を掘り下げていくと宇宙を掘り当てることがある。 -
生き生きとした言葉から時代の熱気が伝わってくる。アメリカは夢が実現できる国でもあった。多様な人々が共存するところにアメリカの強味がある。
http://sessendo.blogspot.jp/2015/04/blog-post_20.html -
2007-08-15
教育関係でデューイ周りの話もあり,プラグマティズムはもう少し学ばなければと思っていたので,渡りに船でした.
この本は,なかなか良いです.
パースの話は,ともすると記号学関連の流れの中で読むことが多いのでしょうが,
プラグマティズムの中で見た方がスッキリすることは確かかもしれません.
しかし,プラグマティズムの中でもジェイムズ,パース,デューイなどがそれぞれにどの様な揺らぎを持って物を考えていたのかも,
よく書かれていました.
さらに言えば,本書はプラグマティズムの発露をアメリカへの入植の民族的原体験からひもといて行くので,おもしろい.
ちなみに,今,世界でユダヤ人はイスラエル以上にアメリカにいるそうですね.しりませんでした.
プラグマティズムはアメリカの中期(?)にあって,ヨーロッパの学術的伝統にすがらず,アメリカだってシッカリ学問できるんだ!
っていう,気概を育んでいったというところが在るようです.すばらしい.
しかし,現在のアメリカからはその魂は薄れ,より薄っぺらいものになりつつあるような気がしますね.
プラグマティズムを生んだアメリカの元々のアイデンティティは多様な民族を受入れ,「人種のるつぼ」としてのアメリカの誇りと理想.
その中で,共有できる価値を見出そうとする実験科学への志向性,宗教への寛容.
個人的には,本書での発見はG.H.ミードが面白そうな事を発見したことでしょうか?
なかなか,よさげです.ちょっとまた勉強してみます.
ミードの「社会行動主義」がワトソンの「行動主義心理学」と全然違うんだってことも,知ってホッとしました.
知能研究で記号を扱うものにとって,
「行動主義心理学」は○○○(任意の悪口)ですから.
あと,ちょっとしたことですが,よいセリフがあったので,メモっときます.
デューイの所ででてきたんですが
教育(education)の語源って,
ラテン語のeducoで意味は
「引き出す」
って意味らしいですね.
子供から何かを引き出す.それが教育らしいです.
今,抱かれる教育のイメージって,むしろ
「押しつける」
って感じですが.
学問思想的にはヨーロッパ気取りな私でしたが,
最近は,<実践知(phronesis)>求めて,基本的にプラグマティスト化が進んでいます.
気付けば,アメリカ人の本をよく読んでる. -
未知のフロンティアをアブダクションを使って開拓してく過程に興味があればパースの章はオススメ。
「知りたい!」「知を愛すること」の哲学的、科学的な態度/習慣のヒント。
私の場合、これを読んで後に、リーンスタートアップやTDDがやろうとしていたことの理解が一歩進んだ。 -
可謬主義と実在把握に向けた探求。そのような生きた哲学を目指すのがプラグマティズムということかな。とりあえず、パースとローティの著作はちゃんと読んでみたい。本書は丁寧で真っ当なプラグマティズムの入門書であった。
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ジェイムズ以外は自分が消化不良だった。デューイとミードってイマイチ興味持てないんだよな。。。クワインとローティの部分は比較的分かりやすかったように思う。