近代美学入門 (ちくま新書 1754)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 349
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480075840

作品紹介・あらすじ

「美は、美しいものにあるのか、感じるひとの心にあるのか」現代における美や芸術の”常識”は歴史的にどう成立したのか、平易な言葉で解説する。読書案内付き。

感想・レビュー・書評

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  • 【気になる!】新書『近代美学入門』井奥陽子著 - 産経ニュース(2023/10/29)
    https://www.sankei.com/article/20231029-TKBIARXAUBNY7BEBADXAZ5SLGU/

    今週の本棚・著者:井奥陽子さん 『近代美学入門』 | 毎日新聞(2023/12/2有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20231202/ddm/015/070/024000c

    啓蒙時代における美学の誕生(1) ――井奥陽子『バウムガルテンの美学』をめぐって|KUNILABO(2021年2月17日)
    https://note.com/kunilabo/n/n8a6b0b9339ec

    井奥 陽子 (Yoko IOKU) - マイポータル - researchmap
    https://researchmap.jp/ioku_yoko

    筑摩書房 近代美学入門 / 井奥 陽子 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075840/
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    たまどんさんの本棚から

  • 巷で話題の図書。美術や芸術という言葉にアレルギーがある私でしたが、「美学」は哲学的な学問だと冒頭での説明に急に親近感。

    近代西洋における美学の概論という内容で、各テーマごとに起源、成り立ち、現代における捉え方と丁寧に解説してくれており、初学者としてとてもとっつきやすい構成となっている。

    前半は古代、中世、近代と芸術や芸術家、美の意味することが異なっており、一部にはそれらの概念が17-18世紀ごろの近代までなかったという驚き。現代の私たちが当たり前と思っている感覚の成り立ちにおける趨勢を体感できる。

    特に感じ入った点。カントの「判断力批判」を引き合いに出し、個人的に疑問に感じていた美的感覚は個人的な感覚なのに、他人と共通で美しいと感じる作品やもの、風景があるのはどいうゆうことかな?という問いに一応の答えが与えられたことがよかったかな。(美は主観的であるにもかかわらず、普遍妥当性を要求するもの。)でもなんで味覚との対比で美が普遍性を要求するという位置付けなんだろう?美味しいものも他人と共有したい気持ちはありそう。。という疑問は払拭できず。

    後半では、「崇高」と「ピクチャレスク」といった自分には初めての概念を学ぶことができ、この学問への興味が掻き立てられた。読書案内も充実しており、活用してさらにこの学問への興味を深めていきたい。良い出会いでした。

  • 現代の人が考える「美」や「芸術」「芸術家」への考えが過去より連綿と紡がれてきたものではなく、当時の人々によって再考され、新しく生み出されてきた、比較的新しい概念であることを初めて知った。

    美学という初めて触れるジャンルであったが、歴史通じて、時系列で記述されながら、ところどころでその時代ごとの繋がりが強調されていた。

    「美」への接し方や考え方を再考するキッカケになり、読んでいてとても面白かった。

  • 芸術という言葉の意味の変遷特に技術として取り扱われていたことが興味深かった

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1754/K

  • 前から美学って何をするんだろうかとちょっと関心があった。前半、芸術・芸術家について読んでいると、僕が若いころから学んできた科学・科学者の歴史と似た流れで進んでいくように感じた。そして、美がものそれ自体にあるという客観主義から、見る側の感じ方によるという主観主義に至る話はなるほどなと感じながら読んだ。このところ連日Voicyで苫野一徳さんの話を聞いているので、哲学において形而上学的独断論と相対主義の対立を乗り越えていくようなことが、美学にもあるのだろうかと思ったりした。でもやはり、何を美しいと感じるかは、どういう家庭で育ったか、どういう文化の中で過ごしてきたのか、ということでずいぶん異なるのだろう。それに絵画などの場合、誰の作品かという情報のあるなしによって感じ方もずいぶん変わってしまうから、まあいい加減で主観的なものなのかもしれない。それでも、ほとんどの人が美しいと感じるものはきっとあるだろうから、その共通性は見出せるのかもしれない。そして何よりも驚いたのは、この美学入門に山の話が出て来ることだった。京都に住んでいると三方山に囲まれていて、遠景ではあるが見なれた風景になっている。愛宕山のこぶを見ると少し心が和む。美しいと感じるほどではないのだけれど。山そのものではなく、山から眺める景色を美しいと感じたことはある。僕はほとんど登山をしてこなかったが、子どもが小学生のころ、家族で妻の実家近くにある三瓶山に登った。山頂からの眺めはなんとも美しいものであった。まあ、それは時間をかけて体力を使って行ったからこそ目にすることのできる景色だったのだろう。それと、社員旅行で訪れた花巻の滝(たぶん釜淵の滝)も美しいと感じた。賢治の作品が頭の中にあったのも影響しているかもしれない。それと犬山城天守閣からの眺めも良かった。まあそれにいつ見ても日本海の夕陽は美しい。さて、ちょっと考えればわかるようなことだけれど、山登りを楽しむというのは実は近代に入ってからのことだったのだ。そしてまた、その風景を楽しむということ、あるいは風景画というものがやはり近代的なものなのであった。ピクチャレスクとインスタ映えについても興味深く読んだ。あとは音楽とか建築とか意匠とか衣装とか、日本文化の中の美とか、まだまだ学ぶべきことは多いと感じる。

  • 「美しい」とは何か、哲学的に考えたくなり読む。「美しい」の考え方が歴史的に変遷する状況を学ばせてもらう。哲学的に一言で「美しい」と語るのは難しいが、美は技術で崇高で主観だ。誤読とも思うが、この言葉をもとに、考え方を深めていきたい。

  • 「美しい」とは何かを歴史的に解説した本。絵画に興味が出てきて読んでみた。
    価値観の変遷を辿るのは面白いが、学問にすると途端につまらなくなるな。

  • 最初の数ページにカラーの絵画などが掲載されているのが視覚的に面白かった。本の内容と関係している絵である。崇高などの美学に関する言葉の細かい説明が書いてある。主に現代の芸術に対する問題提起があってよかった。

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著者プロフィール

井奥陽子(いおく・ようこ):日本学術振興会特別研究員。東京藝術大学美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。二松學舍大学、実践女子大学、大阪大学などの非常勤講師、東京藝術大学教育研究助手を経て現職。専門は美学・思想史、とくにドイツ啓蒙主義美学。著書に『バウムガルテンの美学――図像と認識の修辞学』(慶應義塾大学出版会、2020年)、共著に樋笠勝士編『フィクションの哲学――詩学的虚構論と複数世界論のキアスム』(月曜社、2022年)がある。

「2023年 『近代美学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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