日本の教育はダメじゃない ――国際比較データで問いなおす (ちくま新書)

  • 筑摩書房
4.25
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073716

作品紹介・あらすじ

「ゆとり教育の失敗」「いじめや不登校」……日本の教育への数々の批判は本当なのか? 気鋭の二人が国際比較データを駆使して教育問題に新たな視点を提供する。

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    はじめに
    第1部  日本教育の通説を疑う
     第1章  学力は本当に低いのか?  
     第2章  教育の代償は大きいのか?
    第2部  日本教育を壊さないために
     第3章  もうそういうの、やめませんか?

    <内容>
    大変面白かった。教育現場にいるものとして、文科省のプランに疑問を感じつつ、やらされている身からすると、「そうだよ!」と腑に落ちる点も大変多い本だった。
    基本はPISA(OECD主導の世界学力調査)のデータを基にしている。それを適切に分析して、文部行政や経済界や政界(文部行政を主導している張本人)、マスコミの誤りを指摘している。結果、日本教育のよさを指摘しているが、いわゆる「日本バンザイ!」本とは違う。データの読み取り、分析の結果を述べるだけだ。第2部で提案もちゃんとある。ある程度納得できるものだ。著者たちも述べている通り、PISAデータだけに頼るとずれるものが多々あるのも分かっている。また国全体のデータなので、もっと短期間の動向や日本の地域別などは読み取れない。そのうえで、文部行政がもっと腰を据えて分析をし、施策を出してもらえるほうが、教育界が余裕をもって改革をできると思う(改革をしなくてもいいとは、著者たちも私も思っていない)。
    教育界に自信を持ってもらうためにも、先生が読むべきだろう。

  • 姫路大学附属図書館の蔵書を確認する→https://library.koutoku.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB00003607

  • 日本の教育を「外」から見るとどういう評価になるのか? 内からの評価との違いが興味深い。『FACTFULLNESS』の教育版といった趣もある。ただ著者のの狙いは、あくまでも視点を提供することであって、「ダメじゃない」と言い切ることではない。
    とっても丁寧な叙述で、感心することしきり。教育改革がホントに必要だったのか、客観的な裏付けは何もなかったってのも泣ける話。ぜひ文科省の連中にこの一冊を手にとって欲しいけどな。’

  • 日本の教育はなぜだめではないのか。それは、日本人の大人は社会人になっても学力が高いからです。要は、彼らは学校で身につけたい知識がきちんと定着していると言うことです。

  • 想像するよりもずっとずっと興味深く読める本になっている。子どもの教育に携わるすべての人に読んでもらいたい。たとえるなら、日本の教育版『ファクトフルネス』といった感じが丁度いい。

    日本の教育は確かにダメな部分もある。だけど、良いところも多い。にも関わらず、日本人は自国の教育に批判的な意見を持つ人が多いように思える。
    事実、周囲の人に聞いてみると良いところより悪いところばかり挙げられる。
    良いところに目が行きにくいのは、日本人だけではないと思う。だけど、それにしてもあまりに悲観的過ぎる気がする。

    良いところに気づくことで変えるべき点と変えるべきでない点が浮かび上がる。だから、すべてを否定するのではなく、きちんと見分ける必要がある。
    理想に囚われて教育改革の本質を見失っている。そんな僕らの目を覚ましてくれる渾身の一冊だと思う。おすすめ。

  • 報道の仕方で差が出ています。
    一点変わらないのは教育者の労働時間が長く過酷なこと。ここを変えていきたいですね。

  • 日本の教育はダメであるという通説は教育業界に目を向けている人ほど強く抱いている信念ではなかろうか。本書はそうした通説(創造力がない、学力が低下している、学校が楽しくない、など)に対して国際比較のデータを用いて反論している。
    私たちは一部の悪い事例だけを切り取って大袈裟に全体を評価するバイアスがあり、そのことはどの社会課題にも言えるのかもしれない。「現実を正しく見る」というのは何も悪い点だけを論うのではなく、良い点に関してもしっかりと把握して、なぜ良いのかを論じることも同様に大切だと気づかされた。教育に関わる全ての人に読んでほしい一冊。

  • 日本の教育は「わりと」うまくいっている。データをもとにしながら国際的視野で日本を見よう!と思わせてくれる一冊。

  • 373.1||Ko

  • 日本の教育はすごいと思った。日本はどのテスト結果でも上位であり、大人になってからもその能力を維持している。
    しかし、日本の大学生はアメリカの大学生に比べて勉強しない。日本は大学での勉強が少ないのにもかかわらず、学力が高いのだ。
    そこで、日本とアメリカでは大学進学率が異なるのではないかと考えた。アメリカの方が低ければ、日本に比べて勉強への意欲が高い学生が多くなるため、勉強量が多くても納得する。
    ところが、大差をつけてアメリカの大学進学率の方が高かった。私の仮説は立証しなかった。やはり、勉強以外の様々な体験を積むことが大切なのだろうか。ますます疑問は深まるばかりだ。

    「カナダの子どもたちは、自分が失敗したと感じると、頑張らなくなる傾向に」あって、この違いは「自己」認識の違いに関係していると本文にあった。
    これは、前に述べられていた、日本の子どもたちは、学力を決める要素として重要なのは努力だと考えるが、カナダの子どもたちは、学力を決める要素として重要なのは才能だと考えている、ということに繋がると思った。アメリカやカナダの子どもたちは、上手くいかないと「自分には才能がないんだ」と思い諦めてしまうのだろう。
    「諦める」というとネガティブなイメージだが、早めに見切りをつけるアメリカやカナダの考え方は、自分の才能を発揮できる場所を見つけやすそう。

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著者プロフィール

国立台湾大学准教授

「2021年 『日本の教育はダメじゃない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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