昭和史講義【戦後篇】(上) (ちくま新書)

制作 : 筒井 清忠 
  • 筑摩書房
3.67
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本棚登録 : 99
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073402

作品紹介・あらすじ

実証研究に基づき最先端の研究者が執筆する『昭和史講義』シリーズがいよいよ戦後に挑む。上巻は占領期から55年体制の成立まで、主に50年代前半までを扱う。

感想・レビュー・書評

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  •  「昭和史講義」シリーズも、戦後篇に突入。敗戦後75年経って、直接の関係者も鬼籍に入り、一定の距離を取って出来事や事実を評価できるようになってきて、いよいよ戦後も歴史になってきたことを感じながら読み進める。

     政治史や政権関係については、ある程度類書をよんでいるので、今回、興味、関心を持ったのは、以下の各講。

     10 朝鮮戦争と日本
     13 李承晩ラインと漁業問題
     14 ラストロボフ事件
     19 戦後賠償問題

     知らなかった事実や、ポイントとなる論点を示してもらえて、参考になった。

  • ちくま新書の昭和史講義の戦前編のシリーズを一通読み、戦後に進む。

    あれ?これって、同じ国なのかな?というほど、違う雰囲気にあらためて驚いた。

    戦前の日本を読んでいて、あ〜、これ今でも「あるある」と思うのだけど、この戦後編を読んでみると、戦前はある意味、違う国というほど、違う。

    やっぱ、国民性なるものに政治や社会が影響をうけるとともに、そのときの国際情勢などによって、変わるときは、大きく変わる。あとになると、昔はなんでそんなふうに思っていたかすら思い出せないくらいに。

    やはり、この変わり身の速さには、「社会的構築」という言葉がふさわしいとしか言えないな〜>

    イメージとしては、戦前の日本の底流にあるのは、日本の文化の深くゆったりとした、そして大きな流れ。

    そして、戦後の日本は、その底流のうえに、表面的には戦前とは全く違う国の世界観が浮かんでいる感じ。この戦後の昭和の風景は、今に直接つながっている、慣れ親しんだもの。

    上巻は、戦後の占領時代からサンフランシスコ講和条約あたりまでを最新の研究成果を踏まえて概説してくれる。むかしからの疑問が結構とけて、すっきり。

    やはり、今の日本の枠組みが、アメリカによる占領統治〜冷戦の激化〜そうしたなかでの講和条約締結という歴史的文脈のなかで形作られてことがよくわかる。

    下巻の展開が楽しみ。

  • <目次>
    第1章  天皇・マッカーサー会談から象徴天皇まで
    第2章  戦後改革
    第3章  シベリア抑留
    第4章  復員と引揚げ~戦争終結後の人の国際移動
    第5章  東京裁判~被告東条英機のケースから
    第6章  日本国憲法
    第7章  新憲法と世論の変遷
    第8章  吉田茂内閣~時代で変化する吉田路線とワンマン宰相
    第9章  戦後共産党史~レッドパージから六全協まで
    第10章  朝鮮戦争と日本
    第11章  再軍備から自衛隊創設まで
    第12章  サンフランシスコ講和条約・日米安保条約
    第13章  李承晩ラインから漁業問題
    第14章  ラストボロフ事件~日本を舞台とした米ソ情報戦
    第15章  鳩山一郎内閣
    第16章  砂川闘争・基地問題
    第17章  五五年体制の成立と展開
    第18章  自民党抗争史
    第19章  戦後賠償問題
    第20章  日ソ共同宣言

    <内容>
    ちくま新書「日本史」シリーズも最終盤へ。戦後史の第1巻。戦後から日ソ共同宣言まで(1956年)。まあ、現代史は書き方が難しい。読んでいても歴史ではない感じがする(事実の羅列になりがち)。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1508/K

  •  対象は概ね1950年代まで。どの講も通説的な理解からは外れていないだろうが、コンパクトに理解でき、また新しい気づきがあったりした。
     A級戦犯が全責任を負い天皇を免責すべく「東条と米国の奇妙な握手が成立する」とした高杉の講。憲法と世論の変遷を解説する境家の講は単著とも共通する。朝鮮戦争の多義性を指摘し、特に米の本地域への関与により日本は「大陸国家」から「海洋国家」へと転換したとする庄司の講。再軍備に対し、陸はGHQ主導だが実働は旧内務省警察系官僚、旧軍人はバラバラ、海は旧軍人の人的まとまりはよく対米関係重視、と対比させる佐道の講。竹島問題と日韓会談を主に漁業権益の観点から見る永島の講。70年代初頭までの日本本土の米軍基地問題を解説する川名の講。戦後賠償は、東南アジアの国々と、ROCとの間での合意を経た後のPRCと、日本とは戦争状態になかった韓国とそれぞれ解説する波多野の講。また複数の講で、冷戦の激化により1948年頃に戦後改革は民主化から経済安定優先に転換したことが分かる。

  • 210.7||Ts

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