定年後の作法 (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.07
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073372

作品紹介・あらすじ

定年後の年の取り方に気を付けよう! 無駄なことに時間を使ったり、偉そうにしたりするのではなく、適度に清潔で品ある人にみられるための方法を伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • 切実な問題であるだけに、よく考えて行動したい。

  • 金沢の佛子園の西円寺味噌。1日1万歩 1時間

  • メメント・モリ(memento mori)毎日死を思う、日々死を思う中で、せめて生きている今を濃密に無駄なく暮らしていく。この言葉に尽きるのかもしれない。

    今後はわからないけど、現在の定年スタイルは3つ。①60歳前後でリタイア。②65歳まで再雇用でリタイア。③早期退職。
    本書の想定読者は①のような気がして仕方がない。会社員にプライドが残っていて、”個”でいる(会社から関係なくなる)ことに不安があり、奥さんに煩わしがられ、時間を持て余す生活。

    健康寿命を72.7歳(女性:75.4歳)とすると、約12年をどう過ごすかということになるのでしょう。ひたすら老化および死に向かう人生をどう受け入れるか、に尽きるような気がする。
    邪魔をするのは、もちろん、まだ「出来るはずだ」というプライド。高齢者ドライバーの免許返納と同じような気がする。

    メメント・モリ。きっと、残された時間は、思ったほど長くない。かも。
    健康寿命以降の方が、人生の最期としては大変のような気がするけど、本書ではあまり触れらてなく、残念でした。

  • 定年後、組織から離れ「孤」になることを恐れず、自分を律して潔く生きるための「作法」について論じた本。なかなか耳の痛いことも書かれており、著者の高い倫理観や合理主義の権化と呼ばれる人柄が伝わってきた。参考にしたい、心に刻んでおきたいと思った点を以下に示しておく。
    ・自省心と自制心の両方が大事
    ・大智は愚なるがごとし(自分の存在が「無用の用」に当たると覚悟し、前に出ず春風駘蕩とした姿勢でいる)
    ・近代文学は薄田泣菫の珍談奇談「茶話」が面白い
    ・三日我慢すれば怒りは忘れる




  • 所謂「定年本」は雨後の筍のように出版されているが、自分にとって本書がベスト。筆者が恵まれた境遇にあり才能にも恵まれているが、努力家で嫌みがない。教養ある文章も大変心地よくリズムにのって読むが如し。

  • 定年後に必要なのは価値観の転換。何の役にも立たない過去の会社員時代の肩書きなどきっぱり捨て去って生まれ変わる。定年後に可処分所得は減るが、可処分時間は増える。芸術(音楽、美術などアート)は人間が生きていく上でなくてはならないもの。趣味も決死の覚悟でやれば生きがいになる。

    【2023.4.9再読】
    会社員時代は職場の空気を読み、個人をあまり出さず、孤立を恐れて仕事をしていた人も、定年後はどこにも所属しない。つるまず、寄りかからず、個として一人ですっくりと立つことになる。夫婦も別々の居場所を作るといい。定年後に豊かになるのはお金でなく時間。自由気ままな旅に出よう。行き当たりばったりの旅がいい。生きがいは仕事か趣味か?それは人それぞれ。1日は24時間、人生は有限、望みは無限。仕事とは別にやりたいことがあるなら、どこかで折り合いをつけなくてはならないだろう。死はいつのまにか背後に迫るので。。。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1537/K

  • 林望さんとぼくとは同い年である。鹿島茂さんもそうだ。だからといって競っているわけではないけれど、なんとなく気になる存在ではある。林望さんは書誌学者であるが、『イギリスがおいしい』が大ヒットしたために、そちらの方で人気が出たが、あくまで古典をこつこつ読む人で、『源氏物語』の謹訳を50を過ぎてからやっているのだからたいしたものである。林望さんにいわせれば、年をとって読むのによい古典は『徒然草』だそうだ。ぼくもなぜかそんな気がする。
     林望さんは人間は「個(孤)」が基本だという。だから、夫婦も条件が許せば早い時期からベッドを分けるべきだという。これはぼくも賛成だ。夫婦といっても、生活パターンはさまざまだから、同じ時間に寝て同じ時間に起きるということは難しい。ぼくは昔は寝る前にひとしきり本を読んでいたので、妻は明るくて眠れなかったという。今はぼくの方が早く寝る。どちらにしても、家庭内別居はもう30年はやっているだろう。林望さんは料理も奥さんよりうまいそうで、ある材料を使ってさっさとつくる方だという。なんでも、こんな感じらしいが、そこで気になるのは、奥さんの存在である。奥さんがなにか添え物のようにしか見えないのである。おくさんはなにを生き甲斐に生きているのだろう。そんなことがちょっと気にかかる。本の整理は研究者にとって悩みの種だが、林望さんは貴重なものから処分していくそうだ。これはぼくと反対だ。ぼくは大学の図書館にあるかどうかで決める。なければ、寄贈して必要な時使わせてもらう。ときどきは、売った本をまた買い戻したりする。辞書の類はとりわけそうで、これは死ぬまでどうしようもない。

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著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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