天皇の戦争宝庫: 知られざる皇居の靖国「御府」 (ちくま新書1271)

著者 :
  • 筑摩書房
3.00
  • (1)
  • (4)
  • (5)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 67
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480069757

作品紹介・あらすじ

御府と呼ばれた五つの施設は「皇居の靖国」といえる。しかし、戦後その存在は封印されてしまった。皇居に残された最後の禁忌を描き出す歴史ルポルタージュ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  皇居南東部に建設された5つの「御府」をめぐる近代史。著者は日経新聞で皇室・近現代史を担当した編集委員(刊行当時)。
     日本軍が数々の鹵獲兵器を所有していたことは知っていたが、それが皇居内にあったとは知らなかった。著者によれば、御府には振天府(日清戦争)、懐遠府(北清事変)、建安府(日露戦争)、惇明府(第一次大戦、シベリア出兵)、顕忠府(済南・満洲・上海事変、日中戦争)の5つがあり、靖国神社と対になる形で天皇が前面に出るかたちで戦死者の顕彰を行っていた。各戦争による戦利品と戦死者の名簿も収蔵されており、中には渤海国に関する石碑もあった。修身の教科書等でその存在は紹介されていたが、皇居内の施設だったため、実際に見学できたのは軍関係者をはじめとする一部の人々でしかなかった(戦死者の遺族も昭和期に入るまで見学は認められなかった)。

     帝国日本はいわゆる戦争博物館・戦争記念館を作らなかったが、この「御府」が代替を担っていたことになる。そうなると問題は戦後の収蔵品のゆくえである。著者も現時点でわかっていないという。やはりGHQ資料をつぶさに見ていくしか知る術はないのだろうか。

  • 2017.10―読了

  • 序章 存在が隠されている皇居の一角
    第1章 「朕が子孫、臣民に知らしむべし」―戦勝の記念と皇恩
    第2章 輝ける明治の戦果―国民教育の施設へ
    第3章 開放と崇敬の衰退―大正期の遠い戦争
    第4章 靖国神社との直結―昭和の「十八年戦争」
    第5章 封印された過去―歴史の宝庫として残った戦後

    著者:井上亮(1961-、大阪、ジャーナリスト)

  • 17/09/11

  • 東2法経図・開架 B1/7/1271/K

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1961年大阪生まれ。86年日本経済新聞社に入社。東京、大阪の社会部で警視庁、大阪府警、法務省などを担当。現在、編集委員(皇室、近現代史)。元宮内庁長官の「富田メモ」報道で2006年度新聞協会賞を受賞。著書に『非常時とジャーナリズム』(日経プレミアシリーズ)、『天皇と葬儀――日本人の死生観』(新潮選書)、『焦土からの再生――戦災復興はいかに成し得たか』(新潮社)、『熱風の日本史』(日本経済新聞出版社)、『忘れられた島々――「南洋群島」の現代史』(平凡社新書)、『昭和天皇は何と戦っていたのか――「実録」で読む87年の生涯』(小学館)、共著に『「東京裁判」を読む』『「BC級裁判」を読む』(ともに日経ビジネス人文庫)がある。

「2017年 『天皇の戦争宝庫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井上亮の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×