- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480066800
作品紹介・あらすじ
「菅首相の現地視察が東京電力の事故対応を遅らせた」「官邸が現場の注水作業を止めた」「政府はアメリカからの冷却剤提供を断った」-これらの批判は事実無根である。首相官邸で首相、官房長官に次ぐ3番目の危機管理担当であった事故当時の官房副長官が、自ら残したノートをもとに、官邸から見た原発危機の緊迫した状況を再現。知られざる危機の真相を明らかにするとともに、緊急時の国家体制が抱える問題の構図を浮き彫りにし、事故を教訓とした日本の進むべき道筋を提言する。
感想・レビュー・書評
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福島医大蔵書検索/震災関連コーナーにあります
http://www-lib.fmu.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&annex=all&isbn=9784480066800詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「エピローグ」の「現実を直視しよう。原子力行政は敗北したのである。」というくだりを読んで、ため息しか出なかった。東京電力福島第一原子力発電所の事故対応を巡って、当時の菅直人首相はいろいろと批判されたが、東京電力や原子力安全・保安院を相手に、情報収集も意思疎通もうまくいかなかったのだとすると、気の毒な面もある。本書で指摘されているとおり、誰であろうと、入手できた情報に基づく意思決定しかできない。2012年10月14日付け読売新聞書評欄。
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原発危機の際に官邸には何が見えてきたのかがわかる貴重な本。主張の正しさを評価するにはこの本だけでは不足だが、危機の中で情報が錯綜し、極限状態で判断を求められることについて生き生き描いていて勉強になった。
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菅直人内閣で内閣官房副長官を務められた福山哲郎先生の著書。東京電力福島原子力発電所事故の回顧録のような内容。当時の事実は知る由もないけれど、なんだか自分達はすべて完璧な仕事をしていて、東京電力の対応がいかにひどかったのかという言い訳に終始している印象を受けました。自己弁護に偏り過ぎでは。
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160920図
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太陽の蓋を見に行った際にたまたま舞台挨拶で福山さんがお越しになり、購入してみました。
情報を共有すること、また真実を知ることってなかなか難しいですね。 -
読むきっかけは「死の淵を見た男」に参考文献だか引用かに載っていたから。つまり、一つの事象(東日本大震災)について相反する書物のうち、“後に”読んだ。
どちらも、どちらの当事者にとっての事実なんだろうとは思う。
でも私は「死の淵を見た男」の内容を事実として受け止めた。
多くの人にインタビューして見えた事実、あの現場にいた故吉田所長をはじめ原発所員の方々の言葉、当時を振り返った思いには心を締め付けられた。一方、官邸ではどのように対応していたのか、報道では分からなかったことを淡々と主観で語る本書には心打たれなかった。
先に読んだ先入観のせいではないと思う。
次は斑目さんについて調べてみよう。 -
ジャンル分類に悩んだ作品。福山自体は原発事故オペレーションを担当したから、ノンフィクションでもあるしかつエネルギー問題でもある。しかしながら、原発事故に対してどう政府が対応したかの過程を明らかにしたいという点で今回は政治学にカテゴリーした。
民主党政権が不運だったのは、自民党ら危機対応を実際にしていない政党から「危機管理能力」がないと批判されたからである。正直後出しじゃんけんにしかすぎないのだが、自民党の場合情報を隠ぺいして「危機管理能力がある」と偽ることは可能だろう(特定秘密保護法もあるし)
まぁ、民主党が国民との対話を意識し理想に走ったため情報混乱があった点は批判されうるし、福山自信も反省していた。
民主党政権が尽力したことを否定はしない。しかし、ウェーバーがいうように「政治は結果責任」がすべてなのだ。 -
9784480066800 238p 2012・8・10 1刷