哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064011

感想・レビュー・書評

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  • これは面白い。大学入試問題を深く掘り下げ解説してゆくので、大学生なら十分に読める内容だ。
    というより、高校でここまでのレベルの解説をやったらどうだろう。
    「哲学」という分野へのアプローチは高校の頃にもうやるべきだと常々思っていて、こういう手法なら楽しくやれるんではないかと思った。

    095頁9行目8文字目、誤植。


    良い本は読み終わるのが惜しい。問題を解き、設問の回答で答え合わせをし、解説を読む、というやり方で読んだので時間はかかったが、時間をかけた分、自分が浅い読みをしたところ、逆に筆者と同じ読みをしたところがとても明確にわかる。
    実在論や時間についての哲学的解釈が特に多く書かれていて、とても興味深かった。
    続編をぜひ出してもらいたいなあーヽ(´ー`)ノ

  • ためになる本なのだろうけれど、いかんせん難しい。誤読するところまでいかず、理解しようと必死になっている状態。

  • 入試現代文で哲学する、という企画が興味深くて手に取った。
    もちろん、入試現代文の設問に対する批評にもなっているのだけれど、
    何より本書は、文章を精読するプロセスをかなり詳細に示してくれている。
    本気で思考するとはどういうことか、を知りたい人にとっての最良の入門書だ。

  • 頭つかうわあ。

  • 哲学

  • 現国の大学入試問題を、哲学的考察のもとに解答した本です。

    野矢茂樹「他者という謎」(北海道大学2000年入学試験国語第3問)

    永井均「解釈学・系譜学・考古学」(東京大学2002年入学試験国語第4問)

    中島義道「幻想としての未来」(早稲田大学第一文学部2005年入学試験国語第2問)

    大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」(名古屋大学1997年入学試験国語第1問)

    日本を代表する上記哲学者の著書を入試問題に、 その解答を『入試問題からみた解答』ではなく、『あくまでも哲学的解答』を目指し、その対比を見事に解説しています。
    著者のあとがきにもありますが、『高々4問なのに300ページ費やした』!!甲斐あって、これ以上は無い程に噛み砕いて解説しているため、門外漢でも十分楽しめます。
    大満足の読み応え、そしてこんな難しい問題を入試で出すハイレベルさに驚愕しました(笑)

    ・野矢茂樹「他者という謎」⇒問題が一番分かりやすくて面白い。哲学的考察では他者の痛み等の
    感覚は「分からない」と両断しています。
    彼の著書を持っていますが、彼の本は日常の素朴な疑問から出発して書かれているので
    頭にスーっとはいってきます。オススメです!

    ・永井均「解釈学・系譜学・考古学」⇒一番難しかった(奇しくも東大の問題)!
    時間論(特に過去)を考察し、大変刺激が多く、興味深い内容でした。

    ・中島義道「幻想としての未来」⇒時間論(特に未来)について、
    未来完了の文法を徹底的に洗い出し、絶対に届かない未来について述べています。

    ・大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」⇒飛行機事故を知り、それでもなお
    「当の飛行機に乗っていた友人に惨禍が降りかかっていませんように」と祈る。
    終わった事故に対してなお祈る、相手の範疇にない自分の行動が相手に影響するような
    時間的倒錯のパラドックスの常識を検証しています。

    全体を通して思ったことは、「それまで常識だと思われていたことが、実は違うのではないか?と疑いの眼差しを持たせてくれる」絶品の本です。とにかく極度の頭脳労働です(笑)。
    僕は、直感で秀逸の本と思ったものは「続きを読みたくても読みたくない」ような矛盾した感覚にとらわれます。
    未知の世界(まだ読んでいない部分)を、読み進めていくことで、その探求が終わってしまう虚無感?に襲われてしまいます。。

    まぁ、この本も例外ではありませんでしたが、如何せん極度の頭脳労働ですから、それに立ち向かうためのモチベーションや集中力が高まるまで待って、本の世界に入り込んで読みたいからでしょうが←集中力の少なさを露呈(笑)

    極度の頭脳労働を強調しましたが、しかしながら決して「わけわかんない!」状態には陥らないので、ぜひ手にとって読んでみてください☆

    僕の評価はSにします!

  •  本書は、大学入試問題で引用された、野矢茂樹・永井均・中島義道・大森荘蔵の文章に関する問題を解きながら、どうして作者や出題者、解説者、回答者それぞれが読みや意図がずれて〈誤読〉してしまうのかを語るもの(とにかく哲学に関する文には誤読がつきまとう)。哲学の本のジャンルでも、現代文についてのジャンルでも、本書は極めて奇異なものである。
     だが実際には、彼らの文章の内容を読み解き、その中から哲学的な問題(引用文からは過去・現在・未来[特に過去の〈過去性〉に関する問題])について著者が解説しながら、入試問題を解いていく。
     哲学の入門書のように、哲学者や哲学用語なるものは殆ど出てこないが、丁寧に問題文や文章を読み進めていかないと、内容は易しいものではない。
     それでも、歴史哲学や時間論、歴史の物語り論などに興味がある人には、本格的に始めるための初級本として向いている。

  • [ 内容 ]
    哲学の文章は「誤読」の可能性に満ちている。
    すべてを人生や道徳の問題であるかのように曲解する「人生論的誤読」、思想的な知識によってわかった気になる「知識による予断」、「答え」を性急に求めすぎて「謎」を見失ってしまう「誤読」、そして新たな哲学の問いをひらく生産的な「誤読」…。
    本書は、大学入試(国語)に出題された野矢茂樹・永井均・中島義道・大森荘蔵の文章を精読する試みである。
    出題者・解説者・入不二自身・執筆者それぞれの「誤読」に焦点をあてながら、哲学の文章の読み方を明快に示す、ユニークな入門書。

    [ 目次 ]
    第1章 「謎」が立ち上がる―野矢茂樹「他者という謎」(「答え」ではなく「問い」;「問い」というよりも「謎」 ほか)
    第2章 “外”へ!―永井均「解釈学・系譜学・考古学」(解釈学;系譜学 ほか)
    第3章 未来なんて“ない”―中島義道「幻想としての未来」(テーマ;概観 ほか)
    第4章 「過去をいま引き起こす」ことはできるか?―大森荘蔵「『後の祭り』を祈る」(私の読み方の強調点;「酋長の踊り」という話の紹介 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • あとがきに「初校の段階で通して読んだときに、妙な執念みたいなもの・過剰なこだわりみたいなものがあちこちに漂っているのを感じて、その「しつこさ」に自分でもちょっと辟易した。「何でこいつは、こんなことを一生懸命にやっているのだろう?」とも思った。」とありましたが、私はむしろ好感しました。奥深く読み込む姿勢、誤読に対する厳しいツッコミ…いえ切込みがカッコよく感じました。丁寧に何度も書かれていて、図にするなどわかり易く、入試問題に対して寄り添って考えてくれています。

  • 入試問題の哲学文書を使って哲学したもの。ユニークな企画だけど頭にはいらなった。
    年をとって入試問題とかを考えるのが億劫になったのか

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著者プロフィール

入不二基義(いりふじ・もとよし):1958年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程単位取得。専攻は哲学。山口大学助教授をへて、現在、青山学院大学教育人間科学部教授。主な著書に『現実性の問題』(筑摩書房)、『哲学の誤読――入試現代文で哲学する!』(ちくま新書)、『相対主義の極北』(ちくま学芸文庫)、『時間は実在するか』(講談社現代新書)、『時間と絶対と相対と――運命論から何を読み取るべきか』(勁草書房)、『足の裏に影はあるか? ないか?――哲学随想』(朝日出版社)、『あるようにあり、なるようになる――運命論の運命』(講談社)など。共著に『運命論を哲学する』(明石書店)、『〈私〉の哲学 を哲学する』『〈私〉の哲学 をアップデートする』(春秋社)などがある。

「2023年 『問いを問う 哲学入門講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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