高校生のための論理思考トレ-ニング (ちくま新書 604)

著者 :
  • 筑摩書房
3.58
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本棚登録 : 519
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480063052

作品紹介・あらすじ

日本人は議論下手、論理的に話すのが苦手だ。なぜなら、日本人のコミュニケーションは、お互いの心のうちを察し合うハラ芸で、日本語には本来「論理」が存在しなかったからだ。いっぽう論理思考とは、西洋人の「心の習慣」であり、「英語の思考様式」にほかならない。本書では、言語の背景にある文化や風土、それに根ざした心性を見直し、言語を通じた文化比較から、英語がどのように論理を組み立てているかを理解、それを日本語に応用する。小論文からビジネスにも活かせる画期的な論理思考入門の書。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生のためとしてはいるものの、なかなか高度な内容もあり、高校2〜3年生くらいからなら読めるかもしれない。
    基本は英文なのだが、日本語にも応用できうる論理的文章の組み立て方。小論文の書き方や評論等の読み取りの練習にはちょうど良いとは思う。しかしながら、ハウツーに偏っている気も否めない。日本語と英語の違い(意識レベルでの)を考えるのにも面白い本。

  • 日本語が論理的でないみたいな与太話がえんえんと続くのは無駄だと思うし、騎馬民族がどうこうとか、「多数派の意見は正しい」ことが「民主主義」と勘違いしているとか、最後の方のワラントの練習問題は2割くらい間違ってるとか、とかくイライラすることが多い本。

    が、この人の英語の授業はうまいんだろうなと感じた。英文について言及しているときは、さすがと感心させられる。

  • 『高校生のための〜』というタイトルだけども、『優しい』と言う意味ではない。
    論理についてかなり核心を突いているのではないかと感じた。

    つまり「論理的」とは「英語的」であるという考え方。
    日本人のコミュニケーションは前論理的であり、論理を重視するのであれば、英語の考え方をすればよい(英語を日本語に翻訳するのではなく)。

    実際の論理学やディベートについての具体的な解説が本の後半(第4-6章)で事例や設問によって述べられている。
    前半の概論については、宗教や言語、そして論理についてその思考法と基礎(用語)を学ぶことができる。
    高校生の時にこれを読んだとしても全く理解できなかったと思うけども・・・。

    著者は「日本語はロジカルには運用できない」としているが、これは、あくまでも論理について考える場合であって、日本語は日本の文化として大切にすべきだという想いを持っておられると思う。この本の中にも、しばしば日本の神の思いや仏教観も取上げられており、論理を生んだ他宗教との比較もされている。

    単純な論理学入門書ではなく、論理とは何かを考える良い切欠を与えてくれた(※著者は論理とは、「要するに英語の心の習慣」としている)。

    確かに医学論文でも、何故英語で書かれているのか。それをよく読むのかの回答になった。
    日本語を英語翻訳した論文が通らないのかがよく分かる気がする。つまり、翻訳が悪いのではなくて、日本語のそもそのも構造として日本語論文が論理的にはなりにくいからなのだろう。
    論文を書く際にそもそも英語(=論理的)記述ができていれば良いと感じた。

    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    日本人は議論下手、論理的に話すのが苦手だ。なぜなら、日本人のコミュニケーションは、お互いの心のうちを察し合うハラ芸で、日本語には本来「論理」が存在しなかったからだ。いっぽう論理思考とは、西洋人の「心の習慣」であり、「英語の思考様式」にほかならない。本書では、言語の背景にある文化や風土、それに根ざした心性を見直し、言語を通じた文化比較から、英語がどのように論理を組み立てているかを理解、それを日本語に応用する。小論文からビジネスにも活かせる画期的な論理思考入門の書。
    ————————
    【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
    1964年兵庫県生まれ。京都外国語大学外国語学部英米語学科卒業。東京外国語大学大学院地域文化研究科修士課程修了(アメリカ地域研究)。研究テーマは「開かれた世界秩序における国の個性」。全国屈指のカリスマ英語講師。豊かな英語ディベートの経験と該博なアメリカ事情に関する知識を背景に、独自の英文読解法「ロジカルリーディング」を体系化した。難解な英文をロジックで読み解く講義は、大学受験生のみならず、英検・TOEFL受験者からも圧倒的な支持を受けている。12歳で空手を始め、1999年、「最後の琉球空手家」として知られる糸東流空手道二代宗家・摩文仁賢榮師の直門となる。2003年11月、師範免状を授与される。現在七段
    ————————
    【目次】
    第1章 日本人はなぜ議論が下手か
    第2章 ロジックの英語、ハラ芸の日本語
    第3章 現代国語はどうして生まれたのか
    第4章 ロジカルトレーニング 基礎理論篇
    第5章 ロジカルトレーニング アウトプット篇
    第6章 ロジカルトレーニング インプット篇
    ----------------

  • ・「論理思考」というキーワードがブームだけども、そもそも日本の現代文は論理思考に対応した言語構造になっていない。

    ・英語はそもそも論理思考のために構築された言語であって、英語で喋るということは論理的に喋るということ。

    ・「言いたいこと察してよ」のハラ芸が根本にある日本語の歴史の上に、明治期になって英語が急に到来し、論理ワードが付け足された。mixになっている日本語現代文は、英語の論理性に対応することが難しい。

    ・日本語のハラ芸という良い部分を残しながら、英語の論理にも出来る限り対応できる教養と訓練を積むことが大事。

    【感想】
    そもそも論理的って何だっていう説明から、日本語と英語の抽象的な概念の捉え方の根本的な違いまで含まれていて、話し方伝え方の構造の違いを意識することの大切さを感じた。

    ディベートで使える基本的な知識や練習問題があって役に立ちそう。

  • 日本人は議論下手。なぜなら論理思考とは
    「英語の思考様式」だから。 言語を通じた文化比較から、
    英語がどのように論理を組み立てているかを理解、
    それを日本語に応用する――アマゾンより抜粋。

    ロジカルシンキングの新たな視座
    ――英語の論理の組み立て――を得ることができて,面白かった。

    タイトルに惹かれて何気なく借りたのだけれども,
    これは当たり本でした。

    「高校生のための」と銘打っているが,
    社会人が読んでもよいと思う。
    論理的な会話ができていない人が多いので
    ――主張だけ述べて,根拠がない。
    主張自体もハラ芸的表現なので曖昧。
    日常会話を思い返してみるに,空気を読んだり,
    ハラ芸的な表現が多いよね。みなまで言うな…みたいな。

    おそらく,それは日本人同士にしか通じないんでしょうなぁ。
    外国人にハラ芸的な言葉を発しても,
    so what? so why? って突っ込まれちゃうよね。

    追記。
    本書は新書なのに,珍しく2色刷り――黒と青。

  • 835-Y
    閲覧新書

  • 横山雅彦著『高校生のための論理思考トレーニング(ちくま新書)』(筑摩書房)
    2006.6発行

    2016.11.6読了
     論理という言葉自体がLogicの造語であって、そもそも日本語に論理はなく、よって、論理を身につけるためには英語の考え方を学ぶことから始めるべきであり、その方法論を後半で具体的に展開している。
     しかし、読みどころはむしろ前半にあり、なぜ日本語に論理がなく、英語に論理があるのか、その説明部分が面白かった。ただ、筆者は決して日本語を軽んじているわけではなく、日本語本来の美しさや察しや腹芸の文化を残しつつ、グローバル社会に通用する論理力も獲得しようという二兎を追う貪欲さに好感を持った。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000008252666

  • ☆2006年6月発行
    P15意外かもしれないが、議論が苦手=英語がしゃべれない
    時系列に並び替え→英語の a the があるから可能 規則が厳密ではない日本語では曖昧になる 日本語=イイタイコト・ハラ・前論理pre-logic
    外国人に対して謙遜は通じない・話した内容の通り相手に認識される ×英語プレゼンで ×my poor English…

    貴様 この尼 female dog bitch→英語最大の侮辱の1つ

    日本語の「きれいなバラが咲いている」の英語的な意味での主語はない
    鬼束ちひろの月光 Godを感情込めて歌うのはパロディに聞こえる キリスト教のGod→天空的な存在、絶対他者→日本人のイメージする神とは異なる
    monotheismモノセイズム

    IとYouは分かり合えない
    大和時代・古事記 日本語のなりますままになりました→主語なし 古事記の神話を西洋由来の宗教の概念に当てはめる事は不可能
    「コーヒーができる時間は?」→バックグラウンドが違えば、コーヒーが栽培される期間を答える人もいる

    韓国、欧米人も引っ越しの度に荷物になるから聖書を捨てる。仏典や聖書をまるで神仏そのもののように扱い、またいだり、捨てたりしたら罰が当たると感じるのは、日本人だけ
    日本語にやたらと多い受け身表現「もったいない」「いただく」→なりますままになります思想
    日本古来のナンバ(同側順体の体の動かし方の事) 西洋、騎馬民族の中韓は逆体

    英語圏人にとっては難しい単語ではないabstraction 抽象/捨象→1つの英単語を2つの日本語へ(日本語の限界)☆明治維新時に輸入した概念を表す語は難しい日本語になっている/形而上…
    共通する部分を抽出する 抽象 特殊→普遍 帰納法
    一般的な事→具体的な事 演繹法(エンエキ)

    英語→イイタイコトは必ず現在形 過去形の発言→So what?
    JTのコピー たばこの高さは子供の顔の高さだった→A cigarette was carried at the height of a child’s face. 過去形にするのは英語の論理を日本語に押し付けているだけ・言いたい事は気を付けろ!の意

    日本のネットの書き込み 論証責任の伴わない言論の自由といういびつな民主主義
    現代文はロジックの科目であるとする予備校講師の論調はナイーブ(無知)☆ダメな日本語の評論文もある事を意識する事

    ディベート proposition命題をめぐって論議を戦わせる。
    論証責任 burden of proof How and why? どのように、なぜを論証する責任を伴う。
    イイタイコトをclaim

    He is a good teacher. goodという相対的な形容詞→論証責任が生じる。 He is Japanese. には論証責任生じない。
    助動詞→主観なので論証責任生じる。think believe want Iを主語とする主観を表す動詞

    日本人の心の習慣→関係性の甘え=察しに基いたもの

    ディベート 三角ロジック クレーム(論証責任)/データ(事実)/ワラント(データを挙げる根拠、背景知識wˈɔːrənt:正当な理由・権利・保証)
    例:UFOは存在する/イチローが見た/彼は正直だ→外国人からは「イチローが正直な根拠は?」…新たな説明責任が生じる。
    日本語ではワラントがあまりにも当たり前なので省略されていることが多い。
    ハーバード交渉術で知られるロジャーフィッシャー→交渉の要諦は、肯定可能命題 相手がYesと答える命題を提案する。

    クレーム、データ、ワラントの塊こそがパラグラフ
    ラーメンかカレーを食べる時→アメリカ人は無意識のうちに三角ロジック
    大学入試の小論文=論理的に意見陳述、他人の意見に反対する能力=西洋由来の学問する能力

    宮沢首相Americans is lazy. 米国人は発言自体は非難しなかった。首相が論証責任を果たさない放言をした事を非難した。

    ディベートでの反対の仕方=negative construction建設的批判 朝ナマの人格攻撃、中傷とは異なる。
    ①反駁(相手データ、ワラントの虚偽・矛盾点を突く)②質疑(相手のデータ、ワラントに論証責任を求める)③反論(そうは思わない!新たな三角ロジックを立てる)
    相手が論証責任を口にすれば、機械的に How and Why ? を求め、ワラントのないデータであればその整合性を突く。
    ほとんどの論文では、ワラントは読み手とのコンセンサスとして省略されてしまっている。
    クレームとそれを論証しようとするデータを読み取る。

    演繹型→クレーム→データ 言いたい事を先に述べる。 帰納型→データ→クレーム 言いたい事を後に述べる。
    論証では同じデータが表現を変えて繰り返される。

    ☆大学入試の長文読解、適切な趣旨を回答を掲載

    日本語の新聞 クレームではなくデータに軸足を置いた見出し 新聞記事で「スポーツ選手の語学力」→実際の英語タイトルはNo need to worry
    天声人語で論理的読解は無理→日本語的なハラ芸がある文章

  • ●日本語と英語、それぞれの言語の背景にある心の習慣というものの違いが、日本人の論理下手につながっているのだということがよくわかった。実践的なロジカルトレーニングの手法も記されており、ためになった。

  • 社会人でも読み応えのある良書。
    演習がついているのが良い!実際にやってみたけど、難しかった。

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著者プロフィール

横山 雅彦(よこやま・まさひこ):1964年兵庫県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。現在、関西国際大学准教授。著書に、『高校生のための論理思考トレーニング』『「超」入門! 論理トレーニング』(ちくま新書)、『大学受験に強くなる教養講座』『完全独学! 無敵の英語勉強法』『英語バカのすすめ──私はこうして英語を学んだ』(ちくまプリマー新書)、『ロジカル・リーディング──三角ロジックで英語がすんなり読める』(大和書房)などがある。

「2023年 『英語のハノン フレーズ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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