「勝者の裁き」に向き合って (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061621

作品紹介・あらすじ

国家の戦争犯罪が法廷で裁かれたのは、第二次世界大戦後の"ニュルンベルク裁判"と"東京裁判"が初めてである。それは勝者である連合国が創設した裁判所憲章に準拠し、従来の「通例の戦争犯罪」に加え、「平和に対する罪」と「人道に対する罪」という新しい法概念を含んでいた。「勝者の裁き」の場に引き出されながらも、冷静な眼差しで対処した「A級戦犯」重光葵の起訴から判決までの軌跡を、精緻な読みで分析し、東京裁判の実像に迫る。

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  • 東京裁判論のなかの「勝者の裁き」◆天長節に爆弾ふたたび◆巣鴨の住人と「勝者の裁き」◆国境を越えた援軍◆「勝者の裁き」も終盤へ◆戦い終えて

    著者:牛村圭(1959-、金沢市)

  • 極東国際軍事裁判を、「勝者の裁き」としながらも、それに対する感情的批判ではなく、戦前戦後を貫く姿勢でこの裁判を闘い、観察した重光葵の日記を通して東京裁判を見つめる。
    東京裁判を読み直すというよりは、巣鴨日記とそれを記した重光葵が勝者の裁きに向き合う姿に焦点を当てている印象。
    タイトルの「よみなおす」から期待されるような、新たな視点や再発見がクローズアップされているようには思われず、そこには若干のタイトルと内容の乖離があるような。タイトルはあたかも著者が「勝者の裁き」と向き合って何らかの著者自身の価値判断なりを著述する内容であろうと思ってしまったが、実際は重光葵がどのように「勝者の裁き」に向き合ったかを描いているというのがこの本の内容。著者の裁判に関する価値判断がほぼ皆無な分裁判にどのような立場をとる人にとってもよみやすいが、重光葵が東京裁判にどう向き合ったかということの紹介に終始して著者自身の考えが希薄なのは味気なくもある。これがたとえば「重光葵と東京裁判」とかいうタイトルだったら違和感なく読めたのかもしれないが。ただ、被告一人一人のドラマの中での、重光葵の東京裁判というのもなかなか興味深くはあった。

  • [ 内容 ]
    国家の戦争犯罪が法廷で裁かれたのは、第二次世界大戦後の“ニュルンベルク裁判”と“東京裁判”が初めてである。
    それは勝者である連合国が創設した裁判所憲章に準拠し、従来の「通例の戦争犯罪」に加え、「平和に対する罪」と「人道に対する罪」という新しい法概念を含んでいた。
    「勝者の裁き」の場に引き出されながらも、冷静な眼差しで対処した「A級戦犯」重光葵の起訴から判決までの軌跡を、精緻な読みで分析し、東京裁判の実像に迫る。

    [ 目次 ]
    第1章 東京裁判論のなかの「勝者の裁き」
    第2章 天長節に爆弾ふたたび
    第3章 巣鴨の住人と「勝者の裁き」
    第4章 国境を越えた援軍
    第5章 「勝者の裁き」も終盤へ
    第6章 戦い終えて

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著者プロフィール

牛村圭

1959年金沢市生まれ。東京大学文学部(仏語仏文学)卒業。同大学大学院(比較文学比較文化)、1991年、シカゴ大学大学院(歴史学)各博士課程修了。博士(学術)。カナダ・アルバータ大学客員助教授、明星大学助教授などを経て、2007年より国際日本文化研究センター教授。著書に『「文明の裁き」をこえて』(中公叢書、山本七平賞)、『「勝者の裁き」に向きあって――東京裁判をよみなおす』(ちくま新書)、『東京裁判を正しく読む』(共著、文春新書)、『文明と身体』(編著、臨川書店)などがある。

「2021年 『ストックホルムの旭日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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