アール・デコの館: 旧朝香宮邸 (ちくま文庫 ふ 7-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480027146

感想・レビュー・書評

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  • 見学で見られない部分までフォローされた写真はどれも素晴らしいんだけど、製本が甘くてバラバラになってしまった…

  • 次に庭園美術館を訪れた際には209p「アール・デコの館」の解説を読みながら藤森氏にガイドして貰っているつもりでラパンの名建築を鑑賞したい。

  • 最近リニューアルオープンして話題となった東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)の改装前の豊富な写真と、アールデコとはどういったものなのか、という考察も交えてこの邸の装飾について建築史家の藤森照信が寄稿した文章が掲載された文庫本だ。
    刊行が1993年とかなり昔なのに古びた感じはしないのは言及された建物自体に古びた感じがないからだろうか。
    何度か訪れたことのある美術館の「ああ、あの部分」という装飾一つ一つについて丁寧に説明されているのが面白い。

  • 3月に東京へ行ったとき、ちょうど1週間前にも見にきた!というJちゃんの案内で庭園美術館を見物した。元の朝香宮(あさかのみや)邸で…というくらいは知っていたが、入るのは初めてだった。

    なんでも3年ほどかけて改修工事をしてリニューアルしたとか※。庭園美術館といいながら庭園はまだ工事中で入れなかったが、建物のなかのあれこれが「お芸術」で、ふぅ~ん、へぇ~と思いながら見物。新館がつくられたところといい、大山崎の山荘美術館を思わせるものがある。

    建物に入ったところには、この文庫のカバーにも使われているガラス細工のでっかい玄関扉がある。これが、モリモリっと鳩胸のような盛りあがりのある女性像で、ラリック作という。こんなモリモリのガラスを、どないしてつくって、どないして運んできてここに付けたんやろ?と思うほど。

    帰ってきてから図書館で借りたこの本は半分以上が写真で、しかもその写真がけっこう古い。文庫は1993年刊だが、親本は1984年刊… ざっと30年余り前の本なのだ。こないだ実際に見た喫煙室は竣工当初とは違い、改装されているそうだが、その改装前らしい写真が入っていた。

    新館では映像も上映していて、パリの建築で「アール・デコ」と「アール・ヌーヴォー」を比べたのが、おもしろかった。うねうねにょろにょろした曲線使いで、19世紀末に大流行したアール・ヌーヴォーに対して、スッキリさっぱりと直線使いで、1910年頃から流行ったというアール・デコ。おおざっぱにいえば、そういう違いがあるが、新館で展示されていた「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」*は、アール・デコに古典回帰っぽいところがあるのを見せてくれていた。

    美術館本館の建物の玄関前には、狛犬がいて、これが子を抱えたのと玉を抱えたのとの一対。Jちゃんは、この狛犬を私にぜひ見せたかったらしい。さて、この狛犬も、朝香宮夫妻が選んでつくらせたものなのか?そこのところが知りたい。そして、こないだは入れなかったが、庭園美術館というからには庭園のほうもいずれ入ってみたい。

    (4/6了)

    ※リニューアルオープン
    http://www.teien-art-museum.ne.jp/special/overview/

    *幻想絶佳:アール・デコと古典主義
    http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/150117-0407_artdeco.html

  • [ 内容 ]
    埋もれた西洋館を求めて東京の町を歩く、建築探偵団が見つけた白金の旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)は、アール・デコの造形にあふれていた。
    女神のように翼を広げる女人像のある玄関扉はラリック作、大広間にはブランショ作のレリーフ、次室に立つセーブル製の香水塔…。
    日本におけるアール・デコ様式の流れと旧朝香宮邸をカラー写真をふんだんに使いながら紹介してゆく。
    第9回伊奈信男賞受賞作。

    [ 目次 ]
    旧朝香宮邸―現東京都庭園美術館
    日本のアール・デコ(崩れゆく様式;一九二五年パリにて;鉱物感覚の発見;朝香宮邸の誕生)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 大原美術館、東京国立近代美術館工芸館、そしてこの庭園美術館のように、元々あった建物を使った美術館が好きです。独特の雰囲気があって、壁や柱に触れたくなることもしばしば。庭園美術館(旧朝香宮邸)の改装前にも駆け込みで行って、撮影可というのに大喜びして写真を撮りまくってきたものの…シャッター押しただけの写真ばかりで当時の感動も台無しで…。しかしありがたいことに、この本があればその時の喜びが思い出せます。エントランスのラリックのガラススクリーン、香水塔、シャンデリアにグリル。価値も様式も分からないままに、ただワクワクして嬉しくなってきます。そしてその分からないことを文章で紹介してくれるので、まるでミュージアムガイドさん付きで館内を回っているような贅沢な気分に。パリ万博の様子も、朝香宮邸が作られる過程も、読んでいるとまるでその場にいるかのようなタイムスリップ感も味わえます。欲をいうなら、2階の個人の部屋の壁布や照明についても解説があればもっと嬉しかったです。

  • 東京都庭園美術館での展覧会、
    「旧朝香宮邸のアール・デコ~東京都庭園美術館建物公開」
    を観に行って、お土産に物販コーナーで買ってきた本。
    美術館だけれども、元々、
    皇族のお住まいとして建設されたアール・デコ様式の邸宅を
    ガッツリ見学させてくれるという企画でした。
    アール・デコ概説のページもタメになります。

  •  朝香宮邸と、アールデコについての1冊。
     アールデコって何なのかよく分からなかったんだけど、アールヌーボーからモダニズムに変遷する時代のものだったのか。

     朝香宮邸の写真がたくさんあってうれしい。というか、写真で見てしまうと実物が見たくなる。(全部は公開されていないので)

  • 00年06月読了。藤森による「アールデコ」および日本におけるデコ受容についての小論を所収する。

  •  旧朝香宮邸の写真と、その説明(邸の設計段階の話から、アールデコということまで)のついた文庫のくせに1000円な本。
     建築フェチな私には、たまらん1冊でした。アールヌーボって、時々気色悪いって思う時があるんだけど、アールデコはいいよな。装飾的だけど、過度じゃないし、ストレートだし。
     満足満足。

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著者プロフィール

1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。現在、工学院大学教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたっている。86年、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足。91年〈神長官守矢史料館〉で建築家としてデビュー。97年には、〈赤瀬川原平邸(ニラ・ハウス)〉で日本芸術大賞、2001年〈熊本県立農業大学校学生寮〉で日本建築学会賞を受賞。著書に『日本の近代建築』(岩波新書)、『建築探偵の冒険・東京篇』『アール・デコの館』(以上、ちくま文庫)、『天下無双の建築入門』『建築史的モンダイ』(以上、ちくま新書)、『人類と建築の歴史』(ちくまプリマー新書)、『藤森照信建築』(TOTO出版)などがある。

「2019年 『増補版 天下無双の建築学入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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