日本の包茎 ――男の体の200年史 (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480017239

作品紹介・あらすじ

多数派なのに思い悩み、医学的には不要な手術を選ぶ男たち。仮性包茎はなぜ恥ずかしいのか。幕末から現代までの文献を解読し深層を浮かび上がらせた快作!

感想・レビュー・書評

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  • 日本の古本屋 / 『日本の包茎』と古書市場 (自著を語る)日本の古本屋
    https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=6962

    澁谷知美氏の話 - ペンは剣よりも強く
    https://amurin.hatenablog.com/entry/20210408/1617830218

    「包茎」はなぜ恥ずかしくなったのか…? ウラにある男性間の「いびつな支配」のメカニズム(澁谷 知美) | 現代ビジネス | 講談社
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/80267

    Tomomi Shibuya's Site – 澁谷知美のサイト
    http://shibutomo.site/

    筑摩書房 日本の包茎 ─男の体の200年史 / 澁谷 知美 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480017239/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「包茎は恥」呪縛から見えるジェンダー 連鎖する生きづらさ | 毎日新聞(有料記事)
      https://mainichi.jp/articles...
      「包茎は恥」呪縛から見えるジェンダー 連鎖する生きづらさ | 毎日新聞(有料記事)
      https://mainichi.jp/articles/20210824/k00/00m/040/206000c
      2021/08/25
  • 医学書は別にして、日本の「包茎」についてはここまで詳細に研究した本が今まであっただろうか。本書カバーには「本邦初の書」とあるので、おそらくなかったのであろう。

    医学書はもとより、一般書や新聞、雑誌の記事や広告まで、包茎にまつわる内容を近代から現代まで丹念に調べ、いかに日本において包茎が恥とされ、それを基にしたビジネスが作られていったかを克明に描き出している力作。

    しかも著者は女性である点もユニークだが、本書を読んだ後では、男性にしっかり植え付けらえた包茎コンプレックスを鑑みると、男はわざわざコンプレックスの対象である包茎を研究対象として近づこうとはしなかったのかも、と考えられ、とすれば、本書のような研究は女性でないとなしえなかったのかも、と思うに至った。

    私が感じた本書の結論としては、数の上から多数派である包茎は恥でもなんでもなく、よってそのほとんどは手術は不要、よってそのコンプレックスあおるような、記事や広告は全く無視して良い、である。

    今現在の若者にそのようなコンプレックスがあるのかどうかわからないが、少なくともそのようなコンプレックスを抱かせ、包茎ビジネスの餌食にならないようにするためにも、本書のダイジェスト版を冊子にして、中高生の性教育の一部として使用したらよいのでは、とも思った。

    そういえば、最近TVCMでタートルネックのセーター着た人のCM見なくなったな~。

  • この本の存在自体が凄いと思います。こんなテーマでしかも女性が纏めていることがとても不思議。入念な調査と、男性にはできない冷静な分析が、この本を面白くしている。良し悪しでなく、後にも先にもこの本のようなものは発生し得ない気すらして、畏怖すら感じる。あと、あとがきが面白い。

  • 原始的な、なんとなくな土着の恥ずかしさ
    戦時中の男性間における包茎を通した支配的構造
    敗戦による男性の精神的な劣等感
    美容整形の始まり
    性器への拡大
    医師と出版社によるマーケティング
    男性による女性視点での言説の流布によるマッチポンプ
    男性間の関係性の再構築

    著者の怒りと優しさを感じました。

  • インパクトのある題名と女性による著作ということに興味を掻き立てられ読了。
    戦前戦後の歴史的考察などは面白い。

  • 高須クリニック院長の功罪のみではなく、根の深い話だった。巻末の引用文献リストの膨大さに震える。

  • 日本人男性における包茎コンプレックスの歴史的経緯について論じた本。戦前から広く浸透していた包茎コンプレックスが、80年代以降の美容整形医によるコンプレックス商法とそれに加担したメディアによってより強固なものとされていった。という流れに新規性は感じられないが、皆がだいたいそういうもんだろうと思っていたことを、きちんと逐一資料にあたり検証し明らかにした功績は大きい。
    個人的には明治から戦前にかけての近代化から軍国主義へと向かう中での包茎に対する認識の変遷についてもう少し深堀りして欲しかったところだが、多分、それは木本至が「オナニーと日本人」の中で論じていたことに繋がるような、また別の話になりそうで、この本にそこまで求めるのはお門違いなのかもしれない。

  • <目次>
    序章   なぜ仮性包茎の歴史なのか
    第1章  恥と包茎~1940年代半ばまで
    第2章  包茎手術の商品化~戦後の混乱期から1960年代まで
    第3章  青年と包茎~1970年代から90年代まで
    第4章  中高年と包茎~1980年代から現代まで
    終章   包茎手術のたそがれ

    <内容>
    女性社会学者の研究書。戦前は新聞や雑誌の広告、戦後は若者向け雑誌の広告やタイアップ記事などを丁寧に読み込んで、「包茎手術」を悪とし、やらなくてもよい「仮性包茎」の手術で儲けた美容整形医のことや、その中で恐怖にあおられた(モテない・バカにされる・病気になる)背景などをしっかりと分析している。
    女性の豊胸手術などとは根本的に違う(「ペチャパイ」好みもいるから)、他人には知られたくない心理を巧みについて様子が読み取れる(高須クリニックなどはとっくに戦線離脱している)。いまだにテレビCMが流れるので(上野クリニック)、まだ一応の需要があるのだろう。第4章のように、ターゲットの年齢が上がっただけ(同じ層の人が狙われている?)なのかもしれない。 

  • https://honz.jp/articles/-/45930
    https://www.cyzo.com/2021/03/post_270854_entry.html
    週刊新潮2021.3.25号 北村浩子評
    週刊現代2021.4.3号 鈴木涼美評
    毎日新聞2021.4.3朝刊 渡邊十絲子評
    週刊文春2021.4.8号 著者インタビュー

  • とても良い本!
    広告という媒体が包茎への偏見を増長させるに至った日本の歴史について、相当な文献にあたった上で社会批評+ジェンダー論+メディア論などを交差し論じる。
    Xでの広告費稼ぎや過剰とも言える文句の数々に踊らされるぐらいなら、信頼し合える関係を構築し言葉を交えコミュニケーションを積む、その過程こそがジェンダー不平等への地味な一歩となる。
    男性間における視線が、劣等感を抱かせ、その卑屈や内面への閉じこもりがミソジニーに繋がる。

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著者プロフィール

澁谷知美(しぶや・ともみ)
1972年、大阪市生まれ。東京大学大学院教育学研究科で教育社会学を専攻。現在、東京経済大学全学共通教育センター教授。博士(教育学・東京大学)。ジェンダーおよび男性のセクシュアリティの歴史を研究。共著に『性的なことば』 (講談社現代新書)など、単著に『日本の童貞』(河出文庫)、『平成オトコ塾――悩める男子のための全6章』『日本の包茎――男の体の200年史』(以上、筑摩書房)、『立身出世と下半身――男子学生の性的身体の管理の歴史』(洛北出版)がある。

「2022年 『どうして男はそうなんだろうか会議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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