- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480017109
作品紹介・あらすじ
1997年より続く出版不況の中、逆に売上を伸ばしている児童書市場。なぜ「子どもの本」は売れるのか。気鋭のライターが豊富な資料と綿密な取材で解き明かす!
感想・レビュー・書評
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子どもだからと言って絵本や児童書が好みとは限らない。
学習漫画や雑誌が好きで、それで育ったという人だってたくさんいる。
あまり語られることの少なかったそれらの本にもフォーカスして「子どもの本」として括るのが何とも新鮮。私自身も図鑑と漫画が大好きで、それを読みながら大人になった。
しかし、まるで知らなかった。
97年から続く出版不況のなか、子どもの本は売れていたのね。
本書は非常に珍しい子どもの本の通史。
資料と図表も多く綿密な取材のほどが分かるし、論旨は明解で読みやすい。
子どもの本がどういう思想で書かれ、どんな歴史的背景があるのかまで論じており、参考文献もぎっしりという力作。これは面白いよ。
90年代後半から多角的に展開された読書推進活動。
これがイデオロギッシュなものと思われがちな訳を、初めて知ることになった。
日本社会党の肥田美代子議員が、91年11月の国会で「1953年に制定された学校図書館法に『当分の間司書教諭を置かない』とあるが、当分の間とはいつまでか」と質問した。
これが皮切りとなり学校図書館の実態調査がはじまる。
すると、ほとんどの時間鍵をかけっ放しで放置されたままの図書館だらけと判明。
まず学校図書館を整備することからはじめ、ここから政治・行政・民間の連携で読書推進運動が広がってきたということだ。
88年から始まっている「朝読」は、当初は学級崩壊を防ぐ目的だった。
赤ちゃん向けの「ブックスタート」もある。
これで本に親しんだ幼児が「お話会」で更になじみ、今や小学生の段階で読書会やブックトーク、アニマシオンやビブリオバトルなども行われている。
週に一回は国語の授業を読書にあてて、その際図書館を使うということも多い。
本の需要が高まるにつれ図書費も比例して上がれば問題ないが、そうは事が運ばない。
図書館にない本は家庭で購入するようになる。
図書費の7割以上は「調べ学習」用という調査結果がある。
しかもこれらは高価格。読み物中心だった学校図書館は方向転換したということだ。
では家庭での書籍購入費は増えたのかと言うと、ほぼ横ばい。
つまり、雑誌購入を諦めて書籍代にまわしたのだろうという著者の考察はなかなか鋭い。
「○○時代」とか「○○コース」などという雑誌類は軒並み廃刊に追いやられている。小学生の頃大好きだった「学習」と「科学」までがないとは驚きだ。
反面、親子で読める本や大人も読める児童書の需要が高まってきたということ。
図書館も子どもも大人も、更に出版側もともに進化してきたのだ。
本書では「コロコロ」や「ジャンプ」の売れ続けるわけも考察している。
大人からの一方通行ではなく、子どもが参加できる要素があること。
流行・時事風俗を取り入れること。覇権メディアと連携すること。
以上3つの要素を満たすため、逆風吹き荒れる子どもの雑誌市場で今もトップに君臨するということらしい。「おしりたんてい」や「ルルとララ」「ゾロリ」なども登場する。
何ゆえ読まれるかを調査すると、実は非常によく研究された本だとわかる。
子どもに良い本を与えよう、読書で教育しようなどとゆめゆめ思ってはいけない。
石井桃子さんだって、そんなことは微塵も発言されなかった。
ところで、読書率をあげている子ども世代は今後も読み続けていくのだろうか。
ティーンエイジャーになったときの市場は充実しているのだろうか。
何より深い読み取りは出来ているのか、大人は良いガイド役になれているだろうか。
著者にはぜひ続編をのぞみたい。類書のない、非常によく工夫された本。
子どもの本に関わる全ての方におすすめ。 -
作者の
謎①子ども向けの「本」市場だけが復活し、「雑誌」はボロボロ
謎②ヒット作の背景がわからない
謎③なぜか通史を書いた本がない
謎を多数の参考文献より紐解く、まるでこどもの本に関する論文のような本であった。
戦後からのこども向けの絵本・児童書・雑誌・テレビ・ゲーム・メディアも含めた「こどもの本」の通史(=流行)としてよくまとまっている。しかも、マーケティング視点なのでよみやすい。
売るための出版社の苦労も垣間見つつ、「あれ、流行ってたなー」と思い出しながら楽しく読めた。
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幅広い文献にあたり、事実を積み重ね、子どもの本の実像に迫っている。古い時代の児童書の歴史は他書で学んでいたが、最近の事情、国外の事情は初めて知ることが多かった。独特の市場であることもよく分かった。
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少子化の時代、おまけに子供はゲーム三昧という時代背景で、
いま、子どもの本が
売れる理由
と言う題名に惹かれた。
新書程度の軽さを期待したのだが、
そこは筑摩書房刊だ。
細かい字で、353ページびっちり書かれている。
体力的に今はしんどい。
鍛え直して、再挑戦できるまで、
積読しかない。 -
子供に関する小説や漫画を戦後から振り帰ったり、編集者の戦略を紹介したり、と、楽しくあっという間に読めてしまう本ですが、P353と、かなり分厚い本ではあります。
私自身としては、今の子供たちが、
どんな本を読んでいるのかな?ってのを
知りたいだけの軽い気持ちだったのですが
今までに売れた、漫画、小説、雑誌の紹介から
時代背景、出版社の思惑をすることができます。
その中でも、特に、
P156 ドラゴンボールやスラムダンク終了後
マガジンに逆転され、20万部ほど差がつけられた後の努力による、ワンピースや遊戯王、ルーキーズ、ハンター×2、ナルトなどの新連載に繋げたり、「コロコロ」的なメディアミックスで稼ぐモデルへの変換など、鳥嶋編集長の話
に、深く感銘を受けました。
この本を読んだ本当の目的としては
12歳。、こちらパーティー編集部っ!、
いみちぇん、四年霊組こわいもの係、
マジックツリーハウス、グレッグのダメ日記、
ふしぎ駄菓子屋銭天堂、一期一会、
動物と話せる少女リリアーネ、54字の物語
などを読ませようと思いました。 -
かいけつゾロリがなぜ子供たちに読まれるのか、おしりたんていが人気な理由、小学校女子に12歳。という本が支持されている理由、が分析されている。ほー。
勉強になりました。 -
子どもに大人気のおしり探偵、サバイバルを知っていますか?
戦後子どもたちはどんな本を読んできたのか。ありそうでなかった本に関する本。 -
☆読書→ブクログしかしてない自分・R050916「若者の読書離れ」というウソを読みたいが貸出中(本が売れないで困るイメージ作りは出版社の戦略か?)
2000年ハリーポッター 1950年図書館法、1953年学校図書館法
出版ビジネスの図書館ルート 児童図書児童図書十社の会
読書感想文コンクール 課題図書になると売れる→作家が選定に入りやすい主題、内容に向かう弊害
日本社会党参議院議員肥田美代子国会で質問・政治的に図書館強化☆本を売るためなのか、読書の効果のためなのか不明・ポプラ新書から本出版
お話しマラソン、幼少期の読み聞かせ、赤ちゃんに本プレゼントブックスタート→いざやってみると、赤ちゃんと親の喜ぶ表情、図書館への来館習慣
愛子様いないいないばああそびシリーズ
朝の読書運動→学級崩壊対策、沈黙の時間
2000年代にハリーポッターだけヒット
調べ学習→学校図書館 感想は求めない 学校図書館・公立図書館で税金で予算→書籍が売れる☆国の買い上げと同意
☆図書館のスペース、建物、人件費が無駄か?昔のパソコン室と同じ状態かもしれない?図書館では多すぎて本たどり着けず・新しい本があるので書店での購入がバカらしくなる・家の省スペース化
コロコロ、少年ジャンプ→棲み分け ポケモン、YouTube…全国の小中学生にブームになっているものとのリンク(ビックリマン、ミニ四駆、ポケモン…)
おしり探偵 ヨシタケシンスケ
1985年角川文庫ぼくらシリーズ 宗田理 汚い大人をやっつける(☆いつの時代も普遍的なテーマか?独身の自分は子供の気持ちが分かる気がするが、今の仕事=汚い大人の仕事?Water Boys、スイングガールズ…学園ものまた見てみたい気もする)
学習漫画市場、よくわかるシリーズ
中国に絵本文化を根付かせたポプラ社
市場原理で書店が消滅した市町村→学校図書館、公立図書館の増加でカバーか?
☆本の出版、流通関係で雇用が多数か?電子書籍は記憶定着悪いとのハック本の記載→電子データを図書館に送る・図書館で3、4回回し読みできる用紙に印刷(印刷、輸送時のCO2削減)
本を読んで頭の中を整理する自分のスタイルに合っているかも?気になったことがあれば関連する本を借りる・ブクログへ記録→いつ借りたのかで当時の興味を知ることができる -
『「若者の読書離れ」というウソ』では主に中高生向けの本を考察の対象としていたので、こちらも。「おしりたんてい」「ゾロリ」などが支持される理由の考察、戦後の子どもの本をめぐる通史や雑誌人気の推移など読み応え十分。大人が読ませたい本と子どもが読みたい本はイコールではない。時流に即しながらも芯はブレない「コロコロ」のすごさ。
nejidonさんは漱石先生のようですね。
牛になる事はどうしても必要です/漱石が若き天才に贈った言葉
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nejidonさんは漱石先生のようですね。
牛になる事はどうしても必要です/漱石が若き天才に贈った言葉
https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-244.html
猫丸さん、nejidonさん、ありがとうございます。
漱石先生の言葉を読んでちょっと驚きました。
私はただ、どうすれば夜型さんの心に届くか一生懸命なだけです。
でもご理解いただ...
漱石先生の言葉を読んでちょっと驚きました。
私はただ、どうすれば夜型さんの心に届くか一生懸命なだけです。
でもご理解いただけて嬉しいです。
ところで、今日のレビューに難しいコメントをいただいてしまいました。
よろしかったら覗きに来てくださいませ。
nejidonさんの仰言る通りです。
人は影を抱えて歩いていくしかありません。ご自身の影の大きさを自覚されれば、他人様の愚かさ等は...
nejidonさんの仰言る通りです。
人は影を抱えて歩いていくしかありません。ご自身の影の大きさを自覚されれば、他人様の愚かさ等は取るに足らないモノですよ、、、