アガサ・クリスティーの大英帝国: 名作ミステリと「観光」の時代 (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房
3.18
  • (2)
  • (5)
  • (5)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 111
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480016522

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • アガサ・クリスティーの作品を「観光」「田園」「都市」に分けて考察。初めはその分類方法に首を傾げ読んでたが、当時の英国の状況とクリスティーの生涯を作品の執筆順に見ていく所から楽しくなった。英国人の「田園」への憧憬は本当?


  • ミステリ小説になぜ「観光」が出てくるのか。
    著者の考えは、実際の(もしくは仮の)場所を設定することで、読者に内容の広がりを与え、興味を持たせるため。そしてもう一つは、これは結果論ではあるが、観光地が「聖地」になるため。


    ミステリ作品の中で、こうした場所は多く取り上げられるが、例えばシャーロックホームズシリーズでは、観光地、特に田舎は、都会と比べて劣っていて、犯罪の温床となっていると捉えている、と著者は述べている。

    しかしその一方で、アガサ・クリスティーの描く、観光地はそれとは全く異なる描かれ方がされている。

    ミステリと観光にはどのような関係性があるのか。

    アガサ・クリスティーの作品を、年代別に分類して考察していく様子はなかなか面白く、(あくまで著者の推測ではあるものの)歴史的背景と、それに影響される作品という捉え方は、今までになかった。

    読書の新しい視座を得た気がした。

  • 第65回アワヒニビブリオバトル「ミステリー」で紹介された本です。チャンプ本。オンライン開催。
    2020.06.07

  • アガサ・クリスティーの作品を3つの大きなグループに分類しつつ、時系列に作品を解説する書。3つのグループとは「観光ミステリ」「田園ミステリ」そして「都市ミステリ」。

    僕自身は小学校の頃親から勧められた「そして誰もいなくなった」を読んだ・・・のかどうか記憶があいまいという程度、ほぼ読んだことがないと言っていい。クリスティーが亡くなったという報道はなんとなく覚えていて、その時は「生きてる人だったのか」と思った。

    その程度なので、いわば入門書的に良かった。映画リメイクで新訳が出るようなので「オリエント急行」も読んでみようかと思っている(さすがにトリックは知っています)。

    ふたつの大戦を挟んだクリスティーの作品の変遷、またヨーロッパにおける「旅」の主体や内容の変化(一言で言うと大衆化)の対応がおもしろかった。
    「観光地が発展するには4つのs=sea, sand, san, sex が必要」とのこと。
    なるほど。

  • ●英国の田園というものを一つのキーワードに述べるクリスティー論は興味深かった。

  • クリスティの長編ミステリーの舞台を、観光ミステリ、田園ミステリ、都市ミステリに分ける。

    ○観光ミステリ(26)
     ・交通機関(9):茶色の服の男、青列車の秘密、オリエント急行の殺人、ナイルに死す、死への旅、パディントン発4時50分、フランクフルトへの乗客、復讐の女神
     ・中東(5):オリエント急行の殺人、メソポタミヤの殺人、ナイルに死す、死との約束、死が最後にやってくる、バグダッドの秘密
     ・観光リゾート、ホテル、別荘(12):ゴルフ場サツジンジケン、シタフォードの秘密、邪悪の家、三幕の殺人、ABC殺人事件、そして誰もいなくなった、白昼の悪魔、NかMか、書斎の死体、五匹の子豚、ゼロ時間へ、予告殺人、蒼ざめた馬、複数の時計、カリブ海の秘密、バートラム・ホテルにて、スリーピング・マーダー

    ○田園ミステリー
     ・ロンドン近郊:スタイルズ荘の怪事件、チムニーズ館の秘密、七つの時計、牧師館の殺人、ものいえぬ証人、書斎の死体、動く指、ホロー荘の殺人、満潮に乗って、ねじれた家、予告殺人、ポケットにライ麦を、死者のあやまち、パディントン発4時50分、無実はさいなむ、鳩の中の猫、鏡は横にひび割れて、親指のうずき、ハローウィン・パーティ、カーテン
     ・田舎(12):アクロイド殺し、三幕の殺人、なぜエヴェンスに頼まなかったのか?、ポワロのクリスマス、殺人は容易だ、杉の柩、魔術の殺人、マギンティ婦人は死んだ、葬儀を終えて、終わりなき夜に生まれつく、復讐の女神、像は忘れない、運命の裏木戸

    ○都市ミステリ(9)
     ・都心(9):秘密機関、ビッグ4、エッジウェア卿の死、ひらいたトランプ、愛国殺人、忘れられぬ死、ポケットにライ麦を、ヒッコリー・ロードの殺人、バートラム・ホテルにて、第三の女

    区分けは確かにそうだと面白い。表をメモした。

    2017.5.11発行  図書館

  • 建築計画がご専門の著者だが、田園に関して踏み込んだ考察はなく、あとがきで自ら記しているように、観光的考察はさらに薄い。タイトル倒れの感は否めない。

  • クリスティーの長編を、観光、田園、都市にグループ分けしてたどる。

全10件中 1 - 10件を表示

東秀紀の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×