シック・マザー 心を病んだ母親とその子どもたち (筑摩選書 19)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 147
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015211

作品紹介・あらすじ

子どもの心や行動、発達の問題とみなされる状態の背後に、母親の病が隠されていた!うつや不安障害、パーソナリティ障害や依存症など、近年増加する子育て世代の心の病。不安定な親に育てられる子どもたちは、どのような精神状態にあるのか。発達や人格形成に影響はないのか。どうすれば乗り越えられるのか。これまで見過ごされがちだった「機能不全に陥った母親とその子どもたち」の現実を検証、克服の道を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、とても不愉快になった。「母親が〜だと子どもは〜なる」という事象があげつらねてあって、あたかも子の歪みは全て母親のありようにかかっている、とでも言いたげな筆致だからだ。

    私自身もシングル・マザーでDV被害者だったので、同じ立場に置かれた女性がどんな心もちになるかは少なからずわかるつもりだ。幸いにして、私にはそれなりの条件が揃っていたからか、病むことはなかったけれど、ほんの僅かな違いでそれが避けられただけなのだということも理解している。

    そして今、及ばずながらDV被害者やシングル・マザーの支援をしている立場から見ると、この筆致はほとんど2次障害を呼び起こすのではないかと思われるほどに酷い。

    なるほど、著者は臨床の現場にある医師であり、そこでは被害を受けた子どもとその背景にある母親しか見えないのだろうから、それ以上のこと、つまりなぜ母親が病むのかというところまでは書かなくていいのかもしれない。そしてここに書いてあること自体(数値データなど)はおそらく真実なのだろう。

    でも、全8章のうち7章で病んだ母親の及ぼす悪影響を並べ立て、僅か最後の1章のみで提示される解決策のなんと貧相なこと。

    著者が女性だったらどんなふうに書いてくれるだろう、書き直して欲しい、そんなふうに思ってしまうジェンダーバイアスに絡め取られた著作だった。

  • どんな子供でも、物心がつくまでは目の前の両親が全て。
    この本を読むと、「生まれた時から両親の無条件の愛情をなるべくたくさん受けること」がいかに重要なことかがわかる。
    その愛着形成がぐらぐらするとその後の人生に多大な影響が出てくる。
    精神的な疾患を持っていたり、元々病弱で子供を抱くこともできない母の元で育つとその後の子供の成長にどんな影響や障害が出てくるかを様々なケースで述べられていてとても分かりやすかった。
    でも、毒親と言われる人も彼らの親も手をあげる人だったりして、連鎖していくものなのだよな、とも思う。
    でもここを断ち切るのも、またとても困難。
    身近な人が母親から暴力や暴言を受け続けて育った人だとわかって、あまりにも自分を粗末にするので、理由が知りたくて手に取ってみた本。とてもよく当てはまって納得。自分を粗末にする人が、誰かを大切にすることなどできるはずもなく。
    愛情って連鎖するから、他人同士でも分け与え合えたらいいなと思うけど、親から虐げられた人たちにとってはこれほど困難なこともないんだと思う。
    子供が育つ環境ってその子の人生を左右するんだなと改めて思った。

  • 母子のつながりの強さ故に悪い方向へ影響がでてしまうケースは確かに少なくないだろう。その上、時間をおいて障害が表面化するケースがあるというのは怖い。すでに世代間の連鎖が始まっているのであれば、なおのこと広い視野を持った対応が必要とされる、重要な問題提起といえよう。

  • シックマザーがいかに子供の人生を左右するかということは痛いほど分かりますが、実際にシックマザーの母子当事者が読むとその内容の重みで余計にショックを受けてしまう内容だと思いました。実際私もそのような環境で育った者なので、読んでいて悲しい気持ちになります。ただ、こういったことが一般的にもっと知られることはシックマザー環境に育った母子の理解者を得るための助けになると思うので、広まるといいなと思います。

  • 本の内容も気になりましたが、
    後付けに

    「請負業者等の第三者によるデジタル化は一切認められていませんのでご注意ください。」
    に、ふぅーん。時代ですなぁ。と思いました。
    電子書籍化には反対ということなのですね。
    まぁ、図書館で借りれば十分だと思いますので、デジタル化をしてまで持っていようとは思いませんが。

    紙書籍で育ってきたので、紙の本のほうが読みやすいとは思います。
    けれど、無料のコンテンツでも内容のあるものはありますし。
    これは、売れそうな本ではないので、書店でも目立つような場所に並びそうに思えませんし、取り扱う書店も少なそうですから、
    電子書籍化して、多くの人の目に触れるようにしたほうが良いのにと思います。

  • 立ち読み:2012/1/14

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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