外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

著者 :
  • 大和書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479794974

感想・レビュー・書評

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  • ・筆者は電通10年、外資系コンサル20年のキャリア
    ・日本企業の99%は官僚型組織の形態を採用している
    ・ルーチン中心の「手続き処理型」から「プロジェクトマネジメント型」に変わると人生はとても楽しくなる
    ・プロジェクトを成功に導くための最初のポイントは勝てるプロジェクトを見極めること。
    ・ナポレオンは勝てる闘いしかやらなかったと指摘されている。
    ・その見極め方
    ・目的が不明確なプロジェクトはポシャる可能性が高い。手段ではなく、目的に関する議論が抜け落ちていることが少なくない。
    ・目的が明確であれば、手段に問題があると分かった場合に別の手段を採用して結果的に目的達成できれば問題ない。
    目的が不明瞭だと手段に問題があるとわかったときに、とたんにプロジェクトが暗礁に乗り上げてしまう。
    ・もう一つは、プロジェクトメンバーに自己裁量を委ねて実力を発揮してもらうためには「●●をやれ」という具体的な行動の指示命令ではなく、「●●を達成しろ」という目的を伝えることが必要。
    ・目的なっていないにも関わらず目的として掲げられている手法が多い。目的のふりをした手法。「なんのためにやるか」を問うことで目的らしいお題目の化けの皮を剥ぐ。
    ・目的を持たないプロジェクトが成功することは絶対にない。
    ・まとめると、目的が曖昧なプロジェクトは危険。注意するのは一見すると目的らしいが実際のところ何のためにやるかという問いに対して答えになっていない目的、目的のふりをした手法が多いこと。本当の意味での目的を明らかにするには目的を訴える人に対して、それってそもそも何のためにやるんですか?と問いかけてみるとよい。
    ・プロジェクトを成功させるには、メンバーの増員や交代を交渉することが必要。割り当てられた人員で諦めない。
    ・明確な目標を持たないプロジェクトは成功しない→シンプルで分かりやすい目標はプロジェクトメンバーの思考や行動の立脚点になる。さらにプロジェクトの目標には「合理的計算型」「ビジョン型」「ランダム試行型」があり、この三つをうまく組み合わせることが求められる。
    ・チームの稼働に遊びを持たせることで生産性が上がる。
    ・ルーチン作業は稼働率を上げれば生産性も上がるが、そもそも「非定型」で「非ルーティン」だからこそわざわざプロジェクトチームをつくる。このようなチームの稼働率を上げることで予想外の事象が発生した場合に一気に生産性が下がる。
    ・低い期待値でプロジェクトオーナーに伝えておく。それを高い期待値で押し戻された場合も、返報性の原理が働き、プロジェクトオーナーとの今後の交渉カードに使える。
    ・チームとしては高い期待値=成果を目指して全力を尽くすのはプロフェッショナルのモラルとしてあたりまえ。
    ・低い期待値を最初に提示し、譲歩を引き出すためのカードを手に入れ、プロジェクトオーナーをはじめとしたステークホルダーを、より有利に巻き込める。
    ・プロジェクト関係者の裏マップをつくっておき、利害関係者の整理をしておく。
    ・チーム内で流通する情報量を増やすことが重要
    ・複数のプロジェクトオーナーがいる場合は個別のプロジェクトオーナーとバラバラにコミュニケーションをとると、必ず調整が難しい局面がてでくる。各々のオーナーから勝手な意見をもらい混乱するため、プロジェクトオーナー同士ですり合わせてチーム方針を明確にする。
    ・プロジェクトを成功させるリーダーは徹頭徹尾「プロジェクトを成功させるためには何が必要か」という意識で動く。
    ・そしてそういう人達が必要に応じておこなっている上位役職者の人たちとの「生意気なやりとり」は多くの場合、高評価につながっている。
    ・意思決定者との定例の場では、やったことの報告だけでなく、やったことからの示唆や洞察、その時点での結論(仮説)を提示する。
    ・プロジェクトマネージャーには正しい意思決定を歪める様々な圧力がかかる。偉い人の立場や前任者の評価を守るために本来であれば否定しなくてはならないところを肯定するような圧力、あるいは自分自身のビジネスセンスや能力を見せびらかそうという見栄。
    プロジェクトの初期設定やマネージャー自身が発した過去の発言や見通しにこだわらず、
    新しくでてきた情報や意見に対して、常に素直に向き合うようにありたい。
    ・プロジェクトマネージャーはメンバーに対して「いまやっている、その仕事の意義」を明確に位置づけて伝える必要がある。常に仕事の意味合いを語ることを忘れてはならない。
    ・マイクロマネージはメンバーから嫌がられる典型。大事なのは行動ではなく、目的を伝えてやること。「何をするか」ではなく「何を達成したいか」を伝えることで、メンバーの力量を引き出す。
    ・メンバーの力量が未熟な場合は目的と行動を一緒に伝える。
    ・「行動」だけを伝えることは基本はない。やらされ感でモチベーションが下がるのと、臨機応変な対応ができなくなる。
    ・リーダーシップは「嫌われること」と表裏一体の関係。ワークショップで「過去の歴史から素晴らしいリーダーだと思う人を挙げてください」とお願いすると、間違いなく以下の人物が含まれている。
    イエス・キリスト
    ジョン・F・ケネディ
    エイブラハム・リンカーン
    キング牧師
    ガンジー
    ゲバラ
    坂本龍馬
    織田信長
    こうして並べると、過去の歴史において最高レベルのリーダーは全員暗殺もしくは処刑されている事実。
    ・「行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」まずはリーダーとしての適切な行動や発言を心がける。

  • (2021.11.6アイドク)

    Ⅰ.この本をなぜ選んだのか?
    会社の従業員の必須スキルとしてプロマネスキルを身につけるべきか検討していた時に目に入った

    Ⅱ.この本で何を得たいのか?
    来年度からの全社での選択型研修を実施する際のヒント、役員説明の際の材料集めに


    Ⅲ.目次で気になる3箇所の周辺を記録
    1.p15 勝てないプロジェクトを見極めるチェックポイント
    ニヒリズムとは?至高の諸価値がその価値を剥奪されるということ。目標が欠けている、何のために?への答えが欠けている。ニーチェ 力への意志 のことば
    一見すると目的らしいのだけれど、実際のところ、何のためにやるのか、広義のWHAT、答えになってない目的、目的のフリした手法 が多い。目的を明らかにするには、それってそもそも何のためにやるんですか? と問うこと。


    2.p77 プロジェクト関係者の裏マップをつくる
    縦軸は影響力の大きさ、横軸はプロジェクトに対する態度
    右に行くほど協力的 あと、人と人を線で結び関係性を書く、なぜこれを作るかというと、メンバーの中にはこういった力学に無頓着な人がいる可能性があるから
    チームの中でこれをイメージ出来る人は組織認識力というコンピテンシーに該当。視野が狭い、多面的に見れない人がリーダーになると問題が起きる。

    3.p86 ことあるごとに目的に立ち返らせる
    毎日唱和させるではなく、メンバーが判断に迷って相談してきた時。メンバーの判断能力が低い、メンバーが使えない、指示通りに動かない、その原因の半分はリーダーの力量の問題。部下に質問を通じて、自分で答えに至る感覚を覚えさせる。 このプロジェクトって、最終的に誰に何を提供するためにやるんだっけ? と質問する。


    Ⅳ.共感と、明日からできる具体的なアクション
    1.これ仕事で言われるのホントに嫌、でもだからって部下に言えなあのもダメだなと。プロジェクトを成功させるためには必要な要素。自分も答えを持っている状態で早速部下に聞いてみます。

    2.関係性をチームで共有し、どう攻略するのかすごく大事、共感! ポジティブな人を巻き込んで助言や協力を仰ぐことができるし、チームの結束力も高まりそう。SDGsの社内PJで活かせそう、来週から早速つくってみる。

    3.これはよく陥りがち、HOWばかり言ってくる部下にWHYを言っても平行線、広義のWHATとWHOを問うことが大事、共感。HOW思考の部下には効果的だから部下との1on1で活かしていきたい


    ☆はじめに
    プロマネでの仕事は、仕事そのものが自分の作品
    手続き処理からプロマネ型へ
    →まず、のっけから全社で導入するための強力な言葉

  •  元外資系コンサルタントが書いたプロジェクトマネジメントについてのノウハウ本。PMBOKをベースにしたお作法の紹介ではなく、プロジェクトの推進リーダーになったときのメンバーやオーナーとのコミュニケーションのあり方についてのノウハウが詰め込まれた本になっている。
     プロジェクトワークは個性が発揮できるおもしろい仕事(アート)というのは共感。あと、特に大事だと思ったのは、プロジェクトを成功させるには成功するプロジェクトに身を置くこと、という点。選り好みせよということではなく、成功するように前提条件を整えよということ。できるだけ早い段階で筋の良し悪しやリスクを見抜いて適切に期待値をコントロールすれば、プロジェクトは成功させられる(=期待値を上回る)。今となってはプロマネはあまり何も考えなくても息をするようにできるけど、メンバーのマネジメントとかもっと伸ばせる部分はありそうなので参考にしたい。
     以下、備忘録。
    ■勝てるプロジェクトづくり
    ・プロジェクトの目的(≠手段)を明確化することで、メンバーに対する権限委譲(意思決定の基準)、動機づけ、手段の柔軟な変更、自律性確保などさまざまな効果がある
    ・計画を組むより先にスキルを持ったメンバーを確保する
    ・初期段階から期間、リソース、成果に対して期待値をコントロールする
    ・プロジェクトルームを確保する
    ・初期段階でリスクを排除する(プロジェクトの論理設計(IPO)の妥当性、遊びをもたせたリソース確保)

    ■上位メンバーに対して
    ・意思決定するオーナーを明確化する
    ・プロジェクトオーナーとは個別に会わず、一同に介する場を作り、利害関係の摩擦を解消する
    ・キーマンのスケジュールを前もって押さえる

    ■下位メンバーに対して
    ・メンバーのプロジェクト遂行上の懸念(家庭の事情等)やプロジェクトへの期待を事前に確認する
    ・スキルと好き嫌いを考慮してタスクを割り振る
    ・優秀なメンバーには簡単な仕事を任せ、それほどでもないメンバーには難しい仕事のサポートにあて、自分は難しい仕事に取り組む
    ・心理的安全性を確保し、チーム内の情報流通量を増やす
    ・メンバーの心配事は個別に聞いて吸い上げる
    ・マネージャーの仕事は資源配分。プロジェクトのQCDを踏まえて、よい意思決定を行う

  • プロジェクトマネジメントに関する書籍で、主に(1)プロジェクト開始時、(2)プロジェクト進行時、(3)プロジェクトをゴールに導く、(4)リーダーシップの切り口でまとめられている。
    (1)プロジェクト開始時:炎上しないプロジェクトの目利きが重要
    (2)プロジェクト進行時:周囲の期待とのコントロールとメンバーの士気
    (3)プロジェクトをゴールに導く:違和感の察知と変えてよいもの、変えてはいけないものの判断
    (4)リーダーシップ:一貫性と責任を取る気持ち
    という点が特に重要に感じた。
    プロジェクトマネジメントと聞くと、プロジェクト開始後の話と考えてしまっていたが、炎上しないプロジェクトの見極めという、プロジェクト開始前から始まっている戦いがあるという点が非常に参考になった。

  • 仕事でプロマネをするようになって、参考のために購入。
    よくあるWBSの運用方法とかではなく、組織や人の力学・思考をベースに、プロジェクトを円滑に進めるために、PMが具体的にどのように動くべきかを、著者の経験から分かりやすく・実践的に記載されており、大変勉強になる。
    PMの本で1番勉強になった。

  • プロマネの教本のようで、リーダーとしての組織のまとめかた、プロジェクトのまとめ方、について丁寧に書かれた本。
    小手先の方法論ではなく、根本的な考え方として非常に勉強になった。

    部下に目的を示し、任せる。リーダーとして未熟な自分は「リーダーとしての行動」を心がけ「動く」ことでリーダーになっていく。
    端的に言えばこの部分が自分に一番響いた。

  • プロジェクトマネジメントについて調べたかったため購入。成功するプロジェクトが、失敗するプロジェクトとどう違うかを解説。ざっくりいうと、難易度が高くないプロジェクトを、いかに簡易な方法で進めるかが重要。例えば新幹線開発のプロジェクトでは、新規技術の適応を出来るだけ抑え、既存技術を組み合わせることで、トラブルを抑えることができたという話は、目から鱗だった。仕事上でも課題解決のため、大幅な行程変更を解決手法として選んでしまうことがあるが、まずは既知の変更で改善できないかを徹底して調べようと思う。

  • 初山口周さん。

    分かりやすいだけでなく、奥行きも深い。

    自分自身や今の環境と照らし合わせ、
    反省したり、
    明日からやって見ようと思ったり。

    気付きや学びが多く、読んでいて楽しかった。



  • 山口周さんの本を初めて読ませていただいたが、とてもわかりやすく、重要なところは頷きながら読むことができた。
    プロジェクトの中身よりも、組織体制、メンバー、モチベーションなど汎用性のある解決策を示しており、納得できる内容だった。
    その一方で、メンバーの配置替えなど人事組織の強い企業においてはハードルが高く感じるところもある。大企業ではある程度の管理職となったときに通じる話のようにも思えたが、管理職になる前においても十分読み応えのあるものだった。

  • パラパラ読んだけど、こーいう類の本では、珍しくスラスラ読めて、部分てきにも取り入れられそうなところが好印象。

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻、同大学院文学研究科美学美術史学修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在は「人文科学と経営科学の交差点で知的成果を生み出す」をテーマに、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。

「2023年 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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