- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479394129
作品紹介・あらすじ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まさかこれが自分の生活なのか、とうたがいたくなるときがあります。 それは自分にはもったいないようなしあわせを感じて、という場合もあれば、たえられないほどかなしくて、という場合もあるのですが、それはもちろん自分の生活であるわけです。その自分の生活というものを、つまりは現実を、べつだん、大げさにも卑屈にもとらえず、そのまま受けいれたとき、みえてくるのは「ほのおかしさ」ではなかろうかと思います。 ままならない生活にころがる「ほのおかしさ」を私はずっと信じています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 自費出版作品としては異例の売れ行きを記録した『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』の小原晩、書き下ろし最新作!まぶしいほどまっすぐで、愛おしい。ままならない生活をめぐる38編のエッセイ。
感想・レビュー・書評
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噂の『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』が届くまでに次作を先に読ませていただきました。
私はこの作家さんの擬態語がすごく好きでした。聞いたことのないのに、すごく頭に入ってきやすい言葉たち。
それにそこをチョイスするのか!というエピソードのセンス。
おもしろかったです
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SNSでよく見かけたので気になっていた本。
不思議な世界観。頭の中の世界と、現実を行ったり来たりしているような。
少しづつ味わいたくなるような文章だけど、一日で読んでしまった…!
時折はさまれる詩や短歌もすき。
唐揚げ本の方も読んでみたいな。
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“みんなみんな思い出を抱きしめて、思い出に生かされたり殺されそうになったりしながら、なんやかんやで生きている”
今、私は新しい生活を整えている
生活って、住むこと、自分で支度すること
昨日も今日も明日もあさっても、寝て起きて、働いて、帰ってきて、食べて、寝ること。
ただただ続くこと
まだ、慌ただしくて落ち着かない。
毎日淡々と続く“生活”がしたいと願っている
毎日続く生活は、同じようだけど、やっぱり少しずつ違ってきていて、それは、その時に一緒にいる人によることは、かなり大きい
小原さんは、実家暮らし、寮暮らし、一人暮らし、二人暮らし、三人暮らしの中でのことを、今回は書いている。
既刊「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」にも出てくるお兄さん。
どうにもこうにも仲が悪いらしい
でも、それでも憎みきれない
“おなじ愛、おなじ理不尽を知っているのだ。よそのことはわからずに、うちのことだけ知っている。おなじふたりに名づけられた私たちなのである”
このお兄さんの「レモンティーの話」をトークイベントの中で、小原さんから聞いた。この笑っちゃうんだけど、なんかやっぱり愛のある話なのがすごく好き。
きょうだい、というものがいない私には、まったくわからない感覚だからこそ、大人になってからのきょうだいの仲が悪い話が好きなのかもしれない。
“思い出ってヤツに生かされたり、殺されかけたりしながら、なんやかんやで生きている”
そんなに気づいてなかったけど
生活って、真剣で、かわいくていいな
小原さんの「これが生活なのかしらん」を読んで、私はどうだろうって
なんか生活を作ることにぐっと気持ちが向いた
小原晩さんと星野文月さんのトークイベントに参加した
2人のおしゃべりは、とても楽しくて
西荻窪の書店BREWBOOKSで、少人数で開催された
楽しいおしゃべりなんだけど、2人の書くことに対する考えを聞くと、とても刺激を受ける
ふんわりしているようで、向き合っているものはものすごく真剣で、尖っていて、キラキラしてる
だから、目を奪われる -
文章が面白くて一気に読める。
労働や住まいといった生活に関するささやかなエピソードがとっても面白く描かれている。
ただ、読んでいてこの作者の方の生活や人生をもっと知りたいと思ってしまうからこそ、抽象的な表現やバラバラな時系列で書かれていることに物足りなさを感じてしまった。
そして、読み終わってから作者さんが1996年生まれと知ってびっくり。同い年!?とは、とても思えない表現力と感性。
Instagramも覗いてみたけど、イメージ通りの写真と文章。自分の世界があって、生活を大切にしている方だなと思った。 -
小原晩さんの本は、誰にでも書けるようでいて、誰にも書けないような、そんな筆致が読んでいて心地よい。流れていく日常の中で、わずかにひっかかるものを捉えて書くのがとても上手く、自分のなかの似たような思い出を彷彿とさせるような文章。それが小原晩さんの魅力なのかもしれない。
あとはやけに食べ物の描写がうまい。お腹が減ります。あと小原晩さんの喫茶店での描写は必見だと思う。前著「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」にも喫茶店の描写があった。いつか行ってみたい。 -
三人暮らしが一番楽しく読めた。
「すべてがどうでもよくなったときのペヤング」は心強いお守りだなと思った。
『火をつけて』は切ないな。
そして『寮暮らし』は辛かった。
そんな小原晩さんの暮らしのエッセイが面白かった。 -
皆自分のこととなると、他人は気にしていないようなちいさな部分でも気になるのに
周りの世界のちいさな部分は流してしまう
でもこのひとは、例えば高校時代に好きだった教師がよく飲んでいた缶コーヒーの銘柄とか、同居人のパジャマとか、待ち合わせした相手が金髪で木の下で寝てたからすぐわかったとか、そういう自分の周りの世界にある「ちいさな部分」を憶えている。それを流さずに自分ごととして感じているからなのだろうか。
このひとと、おそらく同じような感性で生きているだろう穂村弘との対談をこの前観たら、穂村弘はこの本の「ちいさな部分」を切り取って素晴らしいと誉めていた -
一人暮らし、三人暮らし、寮暮らし、と、暮らしのしかたで章立てされたエッセイ。楽しいときもしんどいときも、始まりも終わりもぜんぶが等しく描かれていて、そうやって生活は続いていくのだなあ、と思う。生活は決してきれいなものではないが、そう悪いものでもなかったりするのかあ、と思う。目に浮かぶ食べ物の描写、温度を感じる擬音語が、小原さんの生活をありありと思い浮かばせる。「なのかしらん」というタイトルも秀逸。生活というのは、こういうものなんだろうか、こういうものでよいのだろうか、という、宛先なく空中に浮かぶ問い。でも、その答えはすぐに出す必要もなければ、出さなくってもいいかもしれない。得体の知れない、ままならない生活そのものを面白がっている「ん」の役割、おそるべし。いろいろ分からなくなったときはこの本を手に取って、もともと生活なんてのは分からないもんなんだ、と再確認したい。冒頭の詩もすごく好き。