- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479393894
作品紹介・あらすじ
私たちの日常は、見るにしろ、聞くにしろ、書くにしろ、話すにしろ、言葉であふれている。
つまり、言語学者にとって、日常とは偏愛対象が氾濫し流れ込んでくる狂喜乱舞の日々なのだ。
ポケモンやプリキュア、日本語ラップなどを題材にしたユニークな研究が注目されている言語学者による、私たちのごく身近な物事をフリースタイルで言語学的に思考していく科学エッセイ。
感想・レビュー・書評
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タイトルに「言語学」というワードが入っており、難しい本かなっと思い、読んでみましたが、とてもわかりやすく解説されており、楽しく読むことができました。言葉について専門的に学んでいない人にも優しく教えてくれる本だなと思いました。
タイトルに引かれた方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか??詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言語学と書いてあるから難しい話かと思ったら、くだけた内容で面白かった。最初はメイドの話などが出てきてつかみにくかったが、途中出典に麻雀実況の日吉さんの名前が出てきてから一気に親近感がわき読み進めた。
ドラクエの呪文やポケモンの進化の音について考えたことなかったけど、そう言われてみればなんか強そうになってると思った。 -
言語学めっちゃおもろいな♪
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ずっと読みたいとは思っていて、
図書館で見つけて即借り。
想像以上におもしろかった!
最後あんなに泣かされるとは思わなかった!!
世界中で数多くの研究者が、自分の研究分野をどう社会に活かすか、悩んだり、奔走したりする姿が、川原先生のお仕事を通して初めて具体的に知ることができた。
研究者という職に就く人たちへの印象も大きく変わった。
川原先生が、本当に言語学が好きで、若い人にもわかりやすく伝えたい、学問が楽しいと感じてほしいと思っていて、自分の研究にも誇りを持って臨まれている。そんな様子が文字からひしひしと伝わってくる。
ものづくりでもエンタメでも、あらゆる分野に共通するけど、そんな人たちを見ると心が浄化されるようで気持ちがいいし、自分もそうなりたいと意欲が湧いてくる。
先生は特に、偉い先生なのに偉そうじゃなくて(笑)、実績をみると(研究とか学問とかぜんぜん深く知らないけど)言語学の世界では雲の上のような存在なんだろうな〜というのがわかる。
でも大学生に講義したり、入門としての易しい本を執筆したりしてくれるあたり、私たちの目線まで階段を降りてきてくれるような、そんなありがたい存在だな〜とも思う。
まさに私みたいな、言語学に興味はあるけど難しそうでとっつきにくいな〜と思っているような人にちょうどよい一冊。笑
内容としては、言語学の深く広い世界のほんの上澄みかもしれないけど、充分に驚きと発見をたくさん楽しめた。
ラップや歌、アニメのキャラクターへの名付けの側面から紐解かれることばの謎も、ちょっと難しかったけど、次々繰り出される日本語の発見パンチにページをめくる手が止まらなかった笑
あと共感したのが、日本語は難しくはあっても決して特殊な言語ではないということ。どんな言葉も平等に大切ですばらしい。英語のほか中国語や韓国語にも触れる機会があって、それぞれに発音の特徴やことばの歴史をたどることに楽しみを見出しているところなので、先生と同じように感じていることが嬉しかった。
外国語を勉強する時も、「できない=恥ずかしい」ではなく「できない=可愛い」のマインドを持っていきたい。
言語や部族名など、白人目線からの蔑称が歴史的に残ってしまっているものを改名していく動きにも、言語学が大きく関わってくると知ったことが驚きともに納得感があった。それも言語学の担う大事な仕事なんだ。
少数言語話者がコロナ禍で感じた不安を払拭しようと動いたり、難病の方を声を残すためにマイボイスを作ったり。
言語学の分野がいろんな方向から社会とつながっていく様子が手に取るようにわかってワクワクした。
読み終わる頃には、すこしの興味はもっと大きく膨らんで、「もっと知りたい!」の種を見つけられる意義深い1冊だった。
先生の授業、1回受けてみたかったな!! -
「あ」は「い」より大きいを書いた方の最新刊。
自身や家族への思いもあり、言語学の興味がそそられる話が満載。また読もう。 -
外来語は「連濁」にならない(狸汁はたぬきじる、だが、たぬきスープはたぬきズープ、にはならない)。
bach、salad、など、日本語で語尾の子音を発音するときは前の母音に引っ張られる。
ハッシュドポテトではなくハッシュトゥ。ボンバーマンではなくボマーマン。等、言語学に基づくトリビアと、そこに体系があることへのワクワク感に引っ張られる。
必要以上の著者の承認欲求アピールや、「痛い」感じが全体を読みづらくしている感はアリ。 -
著者の言語学愛が全ページから溢れていて読み応えがあった。言葉のアクセントが次に続く言葉で変化する法則とか、つい声に出してしまった。言葉って面白い。
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この本の魅力は、言語学を筆者がなによりも愛していて楽しんで執筆している様子が伝わってくるところである。
ポケモン・プリキュア・ラップなど、身近なものを話題にしてわかりやすく言語学のおもしろさを教えてくれる1冊。
以前から少し興味があったが、言語学に触れたのは初めてだった。最初は堅苦しい感じじゃないといいなーと思っていた。しかし、その不安はインパクトのある題名、それと蛍光黄色の派手な装丁が吹き飛ばしてくれた。中身も題名・装丁に負けず親しみやすい感じで、どんどん読めて面白かった。
マイボイスの話であまり考えてこなかった声の大切さにも気づけ、とても感動した。
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「はじめに」で著者が書いている通り、言語学について真面目に扱いつつも具体的なエピソードが交えられておりとても面白い。
共鳴音と阻害音を伝えるために「女性の写真では共鳴音を含む名前がより魅力的とされ、男性の写真では阻害音を含む名前がより魅力的とされる傾向にある」という論文から、メイドには「萌えタイプ」と「ツンタイプ」の2タイプがいると仮定して「萌え」=「女性的」=「共鳴音」、「ツン」=「男性的」=「阻害音」を検証しようとする発想がすごい。
著者の義母の使う好きな方言ランキングで、「んだっちゃ」をあげ、それが同意を表していること、さらにそれに似て非なる『うる星やつら』のラムちゃんの「だっちゃ」が「私はラムちゃんだよ」の役割語(類義語として「ござる」「んじゃ」)であることも書いている。普段何気なく使う言葉の中でも、「役割語」という概念があったりと、言語学という世界が広がっているのだと知って楽しくなった。
言葉が与えるイメージが学術的に証明されていたが、そもそもそういう証明をしようという発想がすごい。
山寺宏一さんの声が科学的に検証されていたのもおもしろかった。
そして、言語学がおもしろいというだけではなく、ALSになった患者に対して自身の声を録音した音声ソフトを作成する活動を行ったり、コロナにおいて正しい情報をどんな言語を使う人に対しても伝えられるような活動を行ったりと、役に立つ学問であることもしっかりと伝えていた本だった。
ぜひ著者の授業を受講してみたいし、普段の言葉も大切に疑問を持ちながら使っていきたい。