食べる経済学 (未来のわたしにタネをまこう 1)

著者 :
  • 大和書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479393740

作品紹介・あらすじ

「食べる」という限りなく身近な行為と、人口増加、貧困、格差、都市化、気候変動、SDGsといった地球規模の課題は、じつは密接につながっています。私たちの普段の食事が、地球全体とその未来にどんな影響を与えているのか、経済学の枠組みを使って、分かりやすく解説します!
 50年後や100年後にどのような世界を残していきたいかを考え、さまざまな難題にどうチャレンジしていくのか、最新の研究や情報をもとに考える未来思考の経済学書です。

 みなさんの普段の何気ない食生活は、それが地球の人口分、毎日積み重なることで、世界経済や地球環境、さらにはそれらの未来に大きな影響を与えています。
 ただ、「食べる」という行為は、あまりにも身近過ぎるがゆえに、多くの人は、その社会や地球との様々なつながりを見過ごしがちです。また、グローバル化や都市化によって急速に複雑化する最近の世の中では、そのようなつながりを見過ごしてしまうことも、「人間らしさ」として避けられないのです。
 そこで、この本では、そのような「人間らしさ」を考え合わせたうえで、「食べる」ゆえに起こっている社会問題と、それらの問題を解決するための挑戦について、経済学の枠組みを使いながら読み解いていきます。

感想・レビュー・書評

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  • <訪問>「食べる経済学」を書いた 下川哲(しもかわ・さとる)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/645319?rct=s_books

    食べる経済学 - 株式会社 大和書房 生活実用書を中心に発行。新刊案内、書籍目録、連載エッセイ、読者の広場。
    https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html

  • すぐに答えを教えるのではなくて、まずは考え方やデータについて説明して、読者に考えさせるスタイルは、私は好きだった。食をとりまく社会問題に関する事実だけではなくて、その裏にある仕組みと考え方も知りたい人にはおすすめの一冊。内容の濃さの割には、とても読みやすいと思う。

  • 健康な食事、食の安全、SDGs、経済学、ナッジなどに関心が少しでもある方にはぜひ読んで頂きたい本。

    食に関して、生産、消費、廃棄にいたるまでの全プロセスのこと、国内だけでなく海外も含め世界的な話題、食と人間の行動心理や市場、環境との関係、などといった様々な領域の話題を、経済学という切り口で紹介されているのが本書です。
    その根底には「社会にとって望ましい食とは?」という問題意識があります。

    全体を通して非常にわかりやすく、特に専門的な知識がなくてもスラスラと読むことかできます。
    現在の多くの問題と、問題の解決策として現在世界で試みられている活動や研究が紹介されていきます。

    消費者としての私たち個人は具体的にどんなことができるでしょう?
    それに関しては、ややわかりにくいです。原因としては文章の構成と、文中で指摘されているようにそもそも消費者は生産や廃棄の広範で複雑な過程に関与していないという理由からです。
    しかし、食にまつわるあらゆることを行なっているのはほかでもない私たち人間であり、その人間は完璧でも合理的でもない存在であるということ、その「人間らしさ」を受け入れて、そんな私たちでも望ましい社会にするために食に関して活動しなければいけないしそれができる、というメッセージはしっかり伝わってきました。
    著者の本書の目的は明確ですが、冷静に様々なデータを提供し、でも人間愛を感じる、温かな文章でした。

    社会にとって望ましい食のために何ができるか考えていきたい、本当にそう思える本です。

  • 食糧市場に関して、大学院准教授の方が書いた一般書です。
    食べる営みは命の基本なので、関心があり手に取りました。
    世界の具体的な食糧事情を知ることができて、面白かったです。
    回りくどかったり興味がない部分は読み飛ばししてしまいました。
    グローバルな市場が供給量と価格を決めていますが、私達は、市場を通じてでしか、食べる物を手に入れることができません。食糧市場にある、環境破壊や不健康、不平等といった社会問題に無関心ではいられません。

  • 将来の理想の食生活の在り方として「健康的で持続可能な食生活」がある。①健康的な食生活による病気リスク低減・医療費負担の削減 ②持続可能な食生活による環境負荷の削減
    どちらも大事で今後の食の未来を考える上では避けては通れない。かつ両者はEATランセット基準などの専門的な考え方がある通り、同時に達成可能である。
    一方で地球規模でみると貧しい国では栄養不足に陥っている人が大勢いる。生きるか死ぬかの毎日の中、「健康」や、ましてや「環境」が二の次になることは当然である。でも、豊かな国で肥満が多い(食べ過ぎ)からといってそれを貧しい国に分配することは経済合理性から難しい。「いかに安く供給できるか」という経済的な要素が非常に重要であることを学んだ。

    本書で触れている行動経済学的な要素の一つに、人は目先のことを優先して選択する傾向があるということがあるが、日々の食生活の中で地球全体の未来について目を向けることなどほとんどない。そんな中でも、皆が少しでも本書で触れられているような内容を知り、少しずつ行動を変えていくことが「食べる」の未来を考えていくうえでとても大切だ。

  • 実際に口にする食べ物だけでなく食品ロスや廃棄をも含む「食料消費」という表現にドキッとしながら読み進めた。
    栄養不足とか飢餓といった数字はすべての年齢層を対象としているが、肥満に関する数字は成年とか18歳以上を対象としていることが結構あることに気づかされた。コレも一種の「統計の罠」よね。気をつけなきゃ。

    「フードロス」「フードウェイスト」、「食品廃棄物」と「食品ロス」の違いを説明する図がわかりやすい!

  • 食べるって社会活動なんだと感じられる。
    果物と野菜、植物性タンパク質をもっと楽しめたら。

    ※データ(数字)が多くて読むのが大変だけど、国語の文章題並みに接続機がわかりやすいので、「つまり」とか「まとめると」などのあとだけ読めば要点はつかめる。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB90362663

    (推薦者:食農学類 高山 太輔先生)

  • 菜食生活をしていることもあり、健康的な食、気候変動、SDGsへの興味から手に取った一冊。
    「食べる」という当たり前の行為を取り巻く様々な地球全体の課題に焦点をあてながら、データと共に分かりやすく解説されているので理解しやすかった。先進国と後進国それぞれの課題、人間の心理問題など、一筋縄にはいかない課題も多い。
    でも、ひとりひとりが※「健康的で持続可能な食生活」を少しでも意識しながら過ごしていけば、未来は一歩ずつ開けてくるはず!
    改めて日々の食生活を意識しようと思った。

    ※これからの「食べる」を考える上で特に重要になってくるのが、「食べる」による健康への影響と、「食料生産」による環境への負荷。この2つの側面考え合わせた食生活を「健康的で持続可能な食生活」と呼ぶ。「健康的」と「持続可能」は同時に改善できる。

  • 食料経済学の入門書
    食べる、が世の中の諸問題に密接に関連しているんだな〜ということが分かった。別の本も読んでみたい

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著者プロフィール

早稲田大学政治経済学術院 准教授
2000年、北海道大学農学部農業経済学科卒業。2007年、米コーネル大学で応用経済学の博士号(Ph.D.)を取得。香港科技大学社会科学部助教授、アジア経済研究所研究員を経て、2016年から現職。これまで、国際学術誌の「Food Policy」や「Agricultural and Resource Economics Review」、国内学術誌の「農業経済研究」や「The Japanese Journal of Agricultural Economics」などの編集委員も務める。専門は農業経済学、開発経済学、食料政策。

「2021年 『食べる経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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