そんなとき隣に詩がいます ~鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩~

著者 :
制作 : 鴻上 尚史 
  • 大和書房
3.70
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本棚登録 : 296
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479393122

感想・レビュー・書評

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  • ケストナーの作品に「人生処方集」という作品があるそうです。自作の詩に対して「私生活の治療にささげられたもの」として分類した詩集だそうです。さまざまな症例によってたくさんの自作の詩を分類されているそうです(この作品も気になる!)
    それを谷川俊太郎さんの詩で鴻上尚史さんがおこなった作品です。
    特定の症例の項目から選んで谷川さんの詩にふれてもよし、冒頭から谷川さんの詩の世界に入るもよし。
    私はふつうに前から読んで読了しました。
    1、子供の時に読んだ、教わった詩は意外に自分でおぼえているものだ。
    2、詩のたった1行、ひとつの言葉でこんなにも様々なものー小石ひとつから目に見えない心のうちから宇宙への広がりまでを表せるものなのだ。
    3、日本語にこんな美しい言葉があるのか。
    と次から次へと驚きが出てきました。谷川さんの詩はツボに一撃する針のよう。

    そして鴻上尚史さんは私にとって大変親切な人です。症例に対して親切にナビゲートして優しく説明を入れてくれるのです。生きるパワーが欲しくなったらの項目が特に心に残りました。

  • 「さみしくてたまらなくなったら」「生きるパワーが欲しくなったら」などテーマ別に鴻上尚史さんが選んだ谷川俊太郎の詩との鴻上尚史さんのエッセーが綴られています。

    「戦争なんて起こってほしくないと思ったら」で選ばれた詩の中に『泣声』があります。
    この詩は出産したばかりのお母さん向けの詩ですが、

    あなたの耳まではとどかないのだが
    父も母も失ったあかんぼの
    裸の尻が触れているその大地は
    いまあなたが立っている大地である

    という一節があります。
    世の中に不条理なことが起きると詩はさらに心に深く刺さり、自分自身の在り方を考えさせてくれます。

    911.5

    • workmaさん
      ゆうこさん
      2月のロシアのウクライナ侵攻という、現実にタイムリーな投稿、拝見しました。『泣声』という詩を探していきます。
      ゆうこさん
      2月のロシアのウクライナ侵攻という、現実にタイムリーな投稿、拝見しました。『泣声』という詩を探していきます。
      2022/02/27
    • ゆうこさん
      workmaさん、コメントありがとうございます。
      4行のみを抜粋したので、全文を読んでいただけると嬉しいです。
      是非探してみてくださいね...
      workmaさん、コメントありがとうございます。
      4行のみを抜粋したので、全文を読んでいただけると嬉しいです。
      是非探してみてくださいね♪
      2022/02/27
  • 2018年刊。
    帯にはこう記されています。
    鴻上尚史が選ぶ谷川俊太郎の詩。
    「さみしくてたまらなくなったら」
    「毎日しかめっつらだらけになったら」
    「家族に疲れたら」
    「生きるパワーがほしくなったら」
    ・・・人生の折々に読みたい谷川俊太郎の詩を、劇作家・鴻上尚史がセレクトし、エッセイを添えた、谷川&鴻上版「人生処方詩集」。

    他の谷川さんの文庫のあとがきに、どなたかが、書いていらっしゃいましたが、谷川さんの詩集の所有率は日本人においては、かなり高いだろうということでした。
    でも、まだ谷川さんの詩を教科書やCMではみたことがあるけれど、本を持っていない方がいたら、最初に持つ一冊にこの本はかなりお勧めです。

    鴻上さんはエッセーの中で、
    「詩の言葉で自分の生命力の器にエネルギーを充填させるのは、とても効率がいい有効な方法です。長編を一冊読む時間の何十分、何百分の一の時間で、小説がくれるのと同じか、場合によってはそれ以上のエネルギーを満たすことができるのです。(中略)なんて素敵なことなのでしょう」とおっしゃっています。

    私はこの本にも載っている「泣く」という詩に他の選集で読んで何度も惹かれたのですが、これって、この本の分類によると失恋の詩だったのですね。この本を読んでわかりました。でも何度読んでもよいと思います。

    他にも好きな詩はたくさんあります。
    「ことば」(すごく懐かしい)
    「しあわせ」
    「生きる」
    などははずせないです。

  • ただ詩だけより、鴻上さんの解説(エッセイ)があって、より深まったのと、そのエッセイも面白かった。
    詩は、できたら  の
    できたら
    からだの枯れるときは
    魂の実るとき

    のフレーズがぐっときた

  • 詩ってこんな読み方があるんだな。面白いと思いました

  •  劇作家で演出家の鴻上尚史氏が、詩人の谷川俊太郎氏の詩を紹介した本。
     中身は「さみしくてたまらなくなったら」「愛されなかったら」「歳を重ねることが悲しくなったら」などのシチュエーションごとに、鴻上氏が選んだ谷川氏の約百弱の詩を分類して紹介した上で、自身の感想的なエッセイを載せている。
     ふだん詩集などは開かないので、鴻上氏のような水先案内人がいてくれると助かる。おそらく単なる詩集だったら、どう受け止めていいのかわからず手にとることはなかっただろう。
     特に小説を敵対視しているかのような章で、鴻上氏が詩を歌手に見立て、小説や戯曲を俳優に見立てているのは面白かった。確かに歌は歌い出しの一瞬で上手いか下手かがわかってしまうが、俳優はそれを演じているのか素が出ているのかはわかりにくい。詩がやや高尚に感じてしまうのも、潔く短い言葉だけで勝負しているからかもしれない。

     ただ、鴻上氏の親切な語り口があっても、どうしても「詩集」というものに構えてしまうのか、メロディーがついて歌になったものはこれだけ身近にあり、いくらでも口ずさめるのに、詩そのものが心にしみこんでくることはなかった。感性が鈍いのか年齢的なものなのか、これだけは昔から変わらず残念。

     あらためて認識したのは、心身が健康で元気な時には詩集を開くことも、自ら詩を詠むこともないのではないか、ということ。収められている詩を読んでいると、やはり詩というのは内向的な気分になった時や、何もする気は起きないが時間的に余裕がある時に、向こうから寄り添ってくるものに思えてくる。

  • 年を重ねないと理解できないこともあるけれど、若い時にしか感受できないものがあります。この詩人の言葉には、人生のできるだけ早い時期に、できるだけたくさん出会っておいていただきたい。遠い昔に出会った一篇の詩が、あるいはその中のほんの数行が、思いもかけない形でふっと立ち現れて、深く強く、問いかけてくる瞬間がいつかきっと訪れると思います。本格的な詩集をいきなり手にするのはハードルが高いかと思うので、こんな本を詩の世界への入り口にしてみてはいかがでしょうか。
    【事務局図書課非常勤嘱託員 熊谷和香子】

    ●未所蔵です。読みたい方は学内者限定ホームページから「読みたい!」を送信してください。

  • 谷川俊太郎をじっくり読んでみたくて、入門書として手に取った一冊。
    鴻上さんが選りに選った詩について語る熱量から、改めて鴻上尚史ファンにもなった。
    章によって納得度にばらつきがあるので☆4。

  • 「詩は漢方」
    その通りだと思います。

    詩に興味をもった人には、まずこの本をおすすめしたいと思うような、谷川さんの詩の真ん中のところを抽出した本でした。

    小説やルポや参考書がどうしても読めないときでも、詩なら読めてしまう。やっぱり詩は薬です。

  • 特に絶望と願いという詩が心に残った。
    また読み返したい本の一冊。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。詩人。1952年、21歳のときに詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など幅広く活躍。主な著書に、『谷川俊太郎詩集』『みみをすます』『ことばあそびうた』「あかちゃんから絵本」シリーズ、訳書に『スイミー』等がある。

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