センス・オブ・ワンダーを探して ~生命のささやきに耳を澄ます (だいわ文庫) (だいわ文庫 C 174-2)

  • 大和書房
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本棚登録 : 263
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479306559

感想・レビュー・書評

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  • 「子ども時代にいろいろなもののオーラを浴びることが、その人をずっと支えていく。それがその人の『センス・オブ・ワンダー』になるということだと思うんです。」

    幼い頃にルリボシカミキリの青と『ドリトル先生航海記』や、リー・バートンの『せいめいのれきし』に出合って感銘を受けた福岡ハカセと、石井桃子さんが開く「かつら文庫」という私設図書館に兄と通い、あまり本を読まずに外で遊び回っていた、という阿川さんの対談集。
    おふたりの「ちょっと気弱な、でも猛烈に賢い弟と、粗雑なねえちゃん」(阿川さんのあとがきより)のような対談中の空気が伝わって来るようで、気持ち良く、面白く読めました。
    粗雑、と阿川さんは謙遜されているが、ハカセのお話を見事に引き出し、絶妙に合いの手を入れるのは、細やかな気遣いがないとできませんよね。
    福岡ハカセと阿川さんの書籍を両方読んでみたくなりました。

    私のセンス・オブ・ワンダーってなんだろう、と考えると幼い頃集めていた玉虫を思い出しました。
    洋服ダンスの中にいっぱい集めていたら母にみつかって「キャー」と悲鳴を上げられました。
    綺麗は汚い。汚いは綺麗。
    自分が美しいと思うものも他人にとっては悲鳴の対象なんだなーと気づいた事が印象に残っています。そしてそちらがマジョリティな事も。
    が、最近法隆寺の『玉虫厨子』とベルギーのブリュッセル王宮のファーブルの子孫が作った天井(どちらも玉虫の羽を装飾として使っている)を知り、時代を越え国を越えて、「そうだよね!綺麗だよね!」と共感しました。
    虫嫌いな人には鳥肌もののエピソードだと思いますが。

    話がズレた感がありますが、大変面白い本です。
    おすすめです。

    • nejidonさん
      5552さん、面白そうな本ですね!
      ルリボシカミキリは大人が見てもすごく綺麗な虫です。
      私だって子どもだったらこっそり机の奥に入れたかも...
      5552さん、面白そうな本ですね!
      ルリボシカミキリは大人が見てもすごく綺麗な虫です。
      私だって子どもだったらこっそり机の奥に入れたかもしれません。
      玉虫の話だって、とても良く分かりますよ。
      「生きもの」でこんなに綺麗なんだ、ということが新鮮なのです。
      私のセンス・オブ・ワンダーは「カワセミ」かな。
      近所に棲息する川があって、息を殺して半日くらい粘ったこともあります。
      見つけると嬉しくて嬉しくてどきどきどき・・(^^;
      今の「生き物好き・野鳥好き」に、それが繋がってます。
      阿川さんもいいですね。ホント、あのようになりたい!
      2020/05/19
    • 5552さん
      hiromida2さん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      あら、hiromida2さんは「キャー」派ですか(笑)私も大人にな...
      hiromida2さん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      あら、hiromida2さんは「キャー」派ですか(笑)私も大人になって振り返ると、悲鳴をあげた母の気持ちも分かるな、と思いました。
      その時は、「え、何でお母さんはこの綺麗さが分からないんだろ?」って疑問でしたけど(^-^;
      美しいと思う事やモノは人それぞれ。
      でも自分のセンス・オブ・ワンダーも信じていきたいものです。
      「青虫が世界の終わりと呼ぶものを 残りの世界は蝶と呼ぶ」
      老子にそんな言葉があったのですね。
      知らない言葉だったので調べてみました。
      、、、良い言葉です。教えてくださりありがとうございました。
      2020/05/19
    • 5552さん
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      わー、分かってくださる方が!嬉しいです。
      動物や植物ってよくよく見て...
      nejidonさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます。
      わー、分かってくださる方が!嬉しいです。
      動物や植物ってよくよく見てみると驚くぐらい美しいですよね。
      ルリボシカミキリもカワセミも本物見たことないんですよー。
      本物のカワセミを直接見たことがあるnejidonさんが羨ましいです。
      自然が好きだと自然に励まされますよね。

      阿川さんは前から何となーく好きだったのですが、この本で本格的に好きになりました。
      相手の心をほぐす達人だな、と。

      この本でも本がたくさん紹介されてるんですよ。
      『せいめいのれきし』『ちいさいおうち』も読んでみたいです。
      2020/05/19
  • 作家の阿川佐和子さんと生物学者の福岡伸一さんの対談。
    福岡さんの話している分量が俄然多いので、福岡さんの話を阿川さんが聞いているって感じだ。

    福岡伸一さんと言えばメディア露出もあり、著者「生物と無生物のあいだ」が新書ベストセラーになった。私は、気になり書店で手に取るも、専門家の難しい話かもしれないしなぁと思い、結局棚に戻すことを繰り返していた。
    この本は友人が私にお薦めだと貸してくれた。

    福岡さんは生物学の専門家でありながら、専門家らしくない。功をあげていくガチガチの専門家たちから離れ、もっと広く、深く、長く(歴史を考えて)生き物と地球について考えを巡らせている。その考えを素人にもやさしく話せる。

    動的平衡という考えは、確かにその通り!という現象が身近にもあるなぁ。福岡さんの著書を買ってこよう。もっと知りたい!
    それにしても、なぜこういうスゴい人が学術的には端に追いやられるのか?どんな時代でも、自然界・生物界と違って、人間界はやっぱりどこかおかしい…動的平衡じゃなくて激しく偏っているのか…残念だ。

  • センスオブワンダーとは、神秘さや不思議さに目を見張る感性のこと。レイチェルカーソンの本のタイトルで、私も以前読んで随分面白かった覚えがある。人生を豊かに生きるためには必須だよなあ、と感じて。それを、福岡伸一博士と阿川佐和子さんが対談するとなれば、面白くないはずがない。お二人の子供時代の体験、読んだ本などが生き生きと語られるかと思うと、生物の不思議な話、ウィルスの脅威の話など、縦横無尽に展開します。驚くのはこの対談、10年前なんだけど、まるで今のコロナの蔓延を予見するような話が語られてること。話題は狂牛病だったけど、危ないウィルスが世界中に蔓延してしまう機序の解説があって、起こるべくして起こったものなのかも…と思ってしまった。
    今、特に学問の世界は細かく分類されていて、それぞれの精度は上がっているけれど、全体を俯瞰できなくなってる。パーツはパーツでしかなく、動的平衡、という視点で物事が見えなくなっている。日常生活でもそれに近いことがあって、なんだかバランスを欠いている。そういう違和感がどこからくるのか、この本を読むと何となくわかる気がする。
    福岡ハカセの本は、各方面に配慮が行き届いてる感じがあって、読むと心が落ち着く気がして好き。内容もだけど、語り口、文章が豊かで。なんだろうなこの感じは、と思ってたんだけど、「須賀敦子さんが好き」とあったので、「それだ!」と納得しました。見たものをそのまま受け取ってる感じ、映画のように目の前に現れる感じ。豊かな読書体験と、冷静な観察眼、それから、様々な事柄に対する好奇心がなせる技なのかなぁ、と思いました。

  • センス・オブ・ワンダー、動的平衡、部分と全体、遺伝と環境についての対談。
    ここに出てくる本をまとめて読みたい。

  • 文転する生物学者と作家で有名インタビュアーの対談

    容易に分類できないし、むしろ統合することを目指されてることもあって、本の内容を要約できない。様々な楽しくて興味深い話が繰り広げられている。
    読みたい本が、たくさん増えました。

  • 福岡伸一さんも阿川佐和子さんも有名人でありながら、読んだことがなくどんな文章を書く人たちだろうと気になっていました。
    対談の文庫化は本来読まないものの、人物に惹かれて読んでみるとなんとおもしろいこと。
    軽快な口調でするする読めるのにすっと心に響く言葉がでてくる。時折読み返したいと思える本でした。

    「あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です」石井桃子さんの言葉ですが、実感としてその通りだと思います。
    息子にも「いろいろなもののオーラ」をたくさん浴びる機会を用意してあげたいと思いました。

  • 福岡伸一さんのことを知ろうと思って、読んでみた。阿川佐和子さんは知らなかったけど、2人とも、子どもの頃から本に親しんでいたんだなぁと。お互いの根底の知識量というか、バックグラウンドは違うけど、物語を読み取り上での基礎体力は足並みが揃っていて、楽しそうだ。随所にドリトル先生の話が出てきて、スタンビン君が現れるんだけど、私はすっかりその存在を忘れていた。もう一度ドリトル先生を読み直したいな。
    2021.09019

  • 阿川さんと福岡さんの対談したときの会話がずっと続いている本。
    センス・オブ・ワンダーに関する内容が主だと思ったら、読んでみると内容のほとんどが絵本や生物学の話だった。生物学については詳しく書かれたりしていて専門用語も出てくるのですっと理解は難しいかもしれない。
    絵本もその本を知らないとちゃんとはわからないが、最後に話していた以下の言葉は印象的だった。

    ・センス・オブ・ワンダーとは、バランスに気づくということ。
    ・外の世界がどんなに変化しても、一番大切なことのヒントは自分の中に折りたたまれている。


  • 面白かった。
    対談形式の本をお金出して買うのは勿体ないかなと思ってたけど、よかった。

    「おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です。」

    まさに今の自分を支えてるのは、子ども時代の私。
    いま辛いことがあっても、例えば子どもの頃に両親に愛された記憶があったり、例えば息を飲むような空の青さに感動できたり、自分の内側に拠り所にできるものがあると、挫けずに生きていける。
    最近ふとそう感じることがあって。
    センスオブワンダーって原体験ってものと類義語なのかな。

    そして自然には敵わないということを改めて認識。
    気の根っこはアスファルトを破るし、葉っぱの下は雨に濡れない。
    動的平衡を崩したバチは、人間に必ず返ってくる。


    「動的平衡」で大ファンの福岡ハカセと、聞き上手の阿川姉。
    面白くないわけがない。
    かつ、人間の歴史、生命の歴史も語ってて、深い。
    時間が経ったらまた読むだろうな。

  • わかりやすい。
    福岡伸一入門。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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