上司の心理学: 部下の心をつかみ、能力を高める (Life&BusinessSeries)

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478710388

作品紹介・あらすじ

部下の心に革命を起こせ!これからリーダーシップをどう変えるか。部下の成長を促し、組織を活性化するためのカウンセリング手法を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • ===読んだ動機===
    202002173 書籍執筆の参考にと思った。

    ===どの部分を・どのように・どれくらいの時間で読んだか===
    ・全部
    ・ザーッと流し読み
    ・40分+メモに80分程度

    ===感想===
    指導する方が指摘や指示よりも効率がよいということと、そのノウハウが書いてある。
    意外にもスムーズに読めて、とっても読みやすい(パッと見、図が少なくて文が多いように見えるため、読んでみると驚く)。
    章立てがしっかりしていて、各章の最初にイマココ案内と概要が示されている点が読みやすさに有効に働いているように思う。
    どこかで聞いたことあるがハッキリとは覚えていないような内容も含まれている(しっかり思い出せてよかった)。
    手法が具体的に書かれている点、偉人の言葉を書いている点もよい。後者は読者が人に説明するとき虎の威を借りられて便利。

    ===重要なポイント(メモ)===
    第1章どうすれば部下は動くのか:要約すると多様性を認めましょう、若者はやりがいで働いているため権威では動かないというの内容。この本が書かれたときには目新しい話だったのかと思われる。
    P30 従業員の労働心理を研究したヴァン・ファンジュ「人間には、もともと創造性が備わっている。それが十分に開発できないのは、何らかの障害で創造性が押さえ込まれているからだ。その生涯を取り除けば、創造性はおのずと発揮される」in 『創造性の開発』
    P31 障害の原因:①権威による圧力、②劣等感、③しらけ
    P34 Educationの語源は「ひきだす」ということ。
    P35 心理学者アブラハム・マズロー「人はそれぞれ、独自の精神性を持っていて、この精神的な個性を見つけ、掘り下げていくことによって、その人本来の能力が高まり、役割が明確になっていく。この個性が認められなかったり、抑えられたりすると(精神的にも、肉体的にも)病気になっていく」

    第2章「聴き方」の心理学:上司は部下が問題解決するための支援者の役割を担うべし、「非指示的な聴き方」で以って。
    P48- 無関心も過剰な関わりもNG:
    無関心の回避:部下が悩んでいる様子をノンバーバルから察知して、相談のきっかけづくりをしてあげること(相談されたら邪険にしないのは大前提)。
    過剰な関わりの回避:次をしないよう気を付ける
    ①質問型:相手の発言の理由や原因を矢継ぎ早に質問する⇒責められそうなどの恐怖感から嘘をついてしまう
    ②助言型:問題の解を相手に忠告する⇒上から目線に聞こえる。部下自身が解決策を考える機会を奪う(しかも大抵、話半ばで部下の言いたいことを理解する前にいい加減な回答をしている。あくまで上司は支援者であるべき。)
    ③説教型:相手の考えや行動を押さえつけようとする⇒プライドが傷つき、心を閉ざす
    ④同意型:相手の考えに賛同したり同情したりする⇒問題を軽視されたと感じる、同意されるのが当たり前のようになる
    ⑤ごまかし型:相手の気を紛らわせたり冗談を言ったりする⇒どうせ真剣に聞いてくれないとあきらめの感情を抱く

    「非指示的な聴き方」2種 by カウンセリングの父 カール・ロジャース
    ・アクティブリスニング:心を汲みながら相手の話を鏡のように告げ返していく技術
    ・パッシブリスニング:真剣に聞いていることを相手に示す技術。
    今P75までメモ45分。

    P76
    アクティブリスニングの3ステップ:
    ①くりかえす
    ②まとめる(※まとめすぎないこと)
    ③心を汲む(後悔しているんだね)

    パッシブリスニング:沈黙、あいづち、想いを引き出す言葉(君はどう思った?) (アクティブリスニングように返さない)

    第3章「伝え方」の心理学:部下が自ら動き出す自己主張の技術
    P125 部下の自主性を重んじる=部下をひとりの人間として認める
    認められることで人は自分の力を自発的に伸ばそうとする。
    「人はだれしも、一人の人間として扱われたいと望んでいる。そして責任を負う自由を与えれば、人は内に秘めている能力を発揮する」byスカンジナビア航空CEO ヤン・カールソン

    P117 自己開示方針3つ:
    ・救助の自己開示:自分の困っている状況を助けてという思いとともに相手に伝える
    ・感謝の自己開示:普段やって当たり前と思われること、よくできたと思われる相手の行動について感謝の気持ちを伝える
    ・予防の自己開示:自分の価値観や考え方を徹底して部下に告げる

    P126 自己開示メッセージの作り方ルール3つ:
    ①主題(相手の行動や出来事)を伝える
    ②その行為によって生じる波及効果を伝える
    ③自分の素直な心情を伝える
    「電話中に君たちが話していると(①)、お客様の声を聴きとりづらくなって(②)、困っているんだ(③)」
    回答の言い訳に対しては、アクティブリスニングで問題の解決策を一緒に考える。③ではなく(何も言い返せなくなる)。

    第4章「問題解決」の心理学 意見の対立からベストアンサーを導く
    ハーフアンサー法:一緒に問題点の整理をして一緒に解決策を考えて実践・改善していく。最初から完璧でなくてもいい。
    ①問題の整理
    ②協力者の誘いかけ
    ③ブレーンストーミング
    ④ハーフアンサーを出す
    ⑤まず実行
    ⑥ベストアンサーに近づける

    P176 ハーフアンサー選択においては相手の立場から考えることが大事。手法例:役割交換法(相手の立場で反論してみる)、エンプティチェア法(一人二役)

    第5章「価値観」の心理学 部下に組織の価値観と常識を指導する
    P191 部下が納得する指導法
    ・モデリング:相手の考え方や行動、スタイルを取り入れようとする行動。
    ・具体的な数値やデータを示す:いかに得か損かを説明する。

    モデリングのモチベーション:上司の魅力。
    魅力ある上司の要件
    ・部下の話をしっかりと聴いて部下の能力や個性を引き出す姿勢
    ・自分の思いを部下が共感できるように伝えてあげる姿勢
    ・一緒に問題を解決していく姿勢
    ・自ら行動して示す姿勢

    P203 企業の価値感を見直す
    企業理念を実現するためにつくられた暗黙のルールや慣習を見直す。
    「基本理念を大事にすることは必要だが、基本理念を表す具体的な行動はいつでも変更し、発展させなければならない」in『ビジョナリーカンパニー』(日経BP出版センター)

    第6章 勇気と行動がオフィスを変える
    P211 カウンセリングの一番のキーワード
    "I love you because you are you"

    P220 不安や葛藤を敵対視しない。
    森田療法:「不安や葛藤も陣減が持つ当たり前の感情として『あるがまま』に受け入れよう」
    P223 行動主義:嫌だなぁという気持ちも受け入れつつ、軽い気持ちで手を付けてみる

    「人は自分を愛せる程度にしか、他人を愛することができない」
    自分のあるがままの感情を受け入れることで、部下に対する感情にも変化が出てくる。

  • ■書名

    書名:上司の心理学
    著者:衛藤 信之

    ■概要

    部下を伸ばす為に必要なことを記載した一冊

    ■感想

    部下に対して権力や圧力という力で教育するのではなく、相手を
    認めて相手を導く方法や心構えが記載されています。

    心理学と言っていますが、基本的には、カウンセリング、傾聴を
    メインにした聴くテクニックを中心として、話しが進んでいるよ
    うに思いました。

    相手を認めて、それを相手に伝えるというのは非常に難しいもの
    ですが、一つ一つ間違いながら進んでいくしかないと思います。

    この本は、色々と導いてくれそうな本ですので、部下の教育に悩
    んでいる方は読んで見ると良いと思います。

    ■気になった点

    ・どのような上司であれば、部下は自ら動くのでしょうか。
     答えは明瞭です。"あんな人間になりたいな"と部下が共感
     出来るような上司になることです。

     部下が憧れる上司になる為には、2つの条件があります。
     1つは、その上司が人間的に優れていること。もう一つは
     部下の心の充足を満たしてあげられるように努力している
     ことです。

     人間的に優れている上司とは、仕事に前向きに取り組み、
     人生を心から楽しんでいる上司です。
     部下の心の充足を満たす上司とは、部下の自己実現を支援
     してあげるように努力する上司です。

    ・上司にとって重要なのは、部下のやる気や創造性を引き出す
     ことです。それは、押し付けたり、与えたりするものでは
     ありません。

    ・部下は育てたようにしか育たない。

    ・部下は感情を持たないロボットではなく、一人一人が感情
     を持った人間である。

    ・若い人たちの考えは未熟かもしれません。けれども、まずは
     彼らを理解することから初めて下さい。彼らの話を聴き、
     理解しようと努めなければ部下がどれくらい未熟なのか、
     どういった知識が足りないのかも分かりません。

    ・安易の自分の意見を正しいと言ってしまう上司の価値観
     にも問題があります。

    ・感じ方の世界は人それぞれです。

    ・部下が困難に直面したり、悩んでいる状況では、彼が自分
     自身の問題を自覚し、自分を見つめなおす成長の機会と
     なるのです。

    ・部下が悩んでいる時、上司は、部下が自分で悩みを解
     決できるように支援してあげる、"援助者"なのです。

    ・アクティブリスニング
     →心を汲みながら、相手の話を鏡のように告げ返していく技術
      →以下のステップがある。
       1.繰り返す
       2.まとめる
       3.心を汲む

    ・パッシブリスニング
     →真剣に話しを聴いていることを相手に伝える技術
      →以下の3つの技術がある。
       1.沈黙
       2.あいづち
       3.思いを引き出す言葉

    ・相手の態度や言い方にも注意を払いましょう
     同じ言葉でも、言い方や仕草によって意味が違ってきます。

    ・怒りとは"第2の感情"であるといいます。

    ・期待がなければ腹はたたない。
     期待、そして、驚きや落胆の感情があるから、その後に怒り
     の感情が起こるのです。

    ・怒りの感情を相手にぶつける前に、探してください。初めに
     抱いた1番目の感情を。そして、その1番目の感情を相手に
     伝えてください。

    ・自己開示メッセージには、3つの自己開示メッセージがあります。
     1)救助の自己開示メッセージ
      →自分の困っている状況を相手に伝え、助けを求めるメッセージ
     2)感謝の自己開示メッセージ
      →感謝の気持ちや喜びを相手に伝えるメッセージ
       (見下したメッセージにはしないこと。)
     3)予防の自己開示メッセージ
      →自分の価値観や考えを日常的に部下に伝え、未然に
       問題を防ぐメッセージ

    ・嬉しい気持ちを伝えるとき、"自分は偉いんだ"という
     メッセージを一緒に伝えるのはやめて下さい。

    ・どんな状況でもスムーズに性格に動いてもらうためには、
     "なぜ、この仕事が重要なのか"、"ミスをするとどんな
     悪い影響があるのか"をあらかじめ伝えておくことが重要
     です。

    ・認められることで、人は自分の力を自発的に伸ばそうと
     します。

    ・"言わなくてもわかる。なぜならそれは常識だから"。
     そんなあぐらをかいた思い込みが、上司と部下の間に
     すれ違いを起こすのです。

    ・自己開示メッセージは、素直に伝えるのがポイントです。

    ・相手に心を開いてほしければ、自分の心のドアをまずは
     開くことです。

    ・ハーフアンサー法のプロセス
     ※ハーフアンサーとは、お互い問題に対し、お互いが
      納得できる妥協点を導き出すこと

     1)問題点の整理
     2)協力者へ誘いかけ
     3)ブレーンストーミング
     4)ハーフアンサーを出す
     5)まずは実行してみる
     6)ベストアンサーに近づける

    ・固定概念をはずすことで、新しい道が見えてくる

    ・学んでもらう為には、まずは真似てもらう必要があります。

    ・部下に影響を与える為には、まずは行動して結果を出すこと
     です。理論や理屈をいくらならべても部下は心からは納得
     しません。

    ・上司がどんなに言葉を尽くしても、それを部下は完全に理解
     することは難しいのです。だから、行動で示す事が必要なの
     です。

    ・新入社員の多くは"これは常識だからこうするように"という
     と無意識に反発心を持ちます。ところが、"これをした方が
     得だよ。これをすると損だよ"といわれると敏感に反応する
     のです。

    ・価値観が対立する原因の一つは、自分の価値観が正しいと
     いう思い込みにあります。絶対に間違いのない価値観など
     はこの世に存在しません。

    ・あなたがあなたであるから、あなたが大好きなんだ。

    ・過去と他人は変えられない。

    ・"いつか、そのうち"は永遠に来ない。

  • 衛藤さんの本です。
    部下は、居酒屋で上司の悪口を言えますが、考えてみれば上司っていうのは孤独ですね。
    権威だけでは人は着いてこないので、心理学なしでは成立しないお仕事なのでしょう。
    でも、実際に部下を持つ人の何割が読んでいるのか・・・

    <目次>
    第1章 どうすれば部下は動くのか―権力から魅力へのリーダーシップ
    第2章 「聴き方」の心理学―部下の心を理解し、能力を引き出す
    第3章 「伝え方」の心理学―部下が自ら動き出す自己主張の技術
    第4章 「問題解決」の心理学―意見の対立からベストアンサーを導く
    第5章 「価値観」の心理学―部下に組織の価値観と常識を指導する
    第6章 勇気と行動がオフィスを変える―明日から始める魅力型リーダーシップ

  • 心理カウンセラー
    講演を聞いて、素晴らしいと、著者のシリーズを
    読んだり、役職者にプレゼントしました。

    上司や経営者には、人間心理を踏まえた
    魅力的なリーダーシップが必要です。

    ☆「伝え方」の心理学
    日頃自分が大切に思っていること、価値観や考え方を
    事あるごとに語って聞かせる
    ☆心のドアは内側からしか開かない
    ☆あなたが、あなたであるから、好きなんだ
    ☆マザーテレサからのメッセージ
    ☆行動を変える時のポイントは「急ぎすぎない」
    目の前の小さなこと、自分の範囲でできることから
    とりかかる
    ☆まず、縁ある身近な人を助ける「有縁を度す」親鸞


  • 僕の敬愛する心理カウンセラー、衛藤信之氏の著作。「上司」と「部下」をテーマにした数々のコミュニケーション手法を紹介。リーダーシップの新しい上司モデルを示してくれる一冊です。

  • 上司と部下の関係は、一昔前なら通じた、指示・命令だけではうまくいかない。
    うつ病も増えるこの時代、職場は動あるべきなのか? 悩める上司必読の一冊!

  • amazonのレビューでも満点の★×5です。良いです。

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著者プロフィール

心理カウンセラー。3人の教室からスタートして5万人の卒業生を輩出する日本最大級の心理スクールの代表。自身のプログラムは多くの上場企業で取り入れられ、顧問企業数はトップクラス。主催する講座は笑いと涙に包まれたライブ会場のよう。ネイティブアメリカンと生活した経験とカリフォルニアで学んだ最新の心理学を融合した心理プログラムは、多くの人間関係で傷ついた人たちを劇的に過去から未来に向かわせている。

「2021年 『こころの羅針盤』 で使われていた紹介文から引用しています。」

衛藤信之の作品

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