新しい現実: 政府と政治、経済とビジネス、社会および世界観にいま何がおこっているか
- ダイヤモンド社 (1989年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478370414
作品紹介・あらすじ
今日、明らかに日本は、経済、技術、政治組織、そしておそらく教育についても、世界の最先端に位置しており、したがって自ら革新を行なわなければならない状況におかれている。世紀の転換をまえにいま時代のトレンドが見えてきた。
感想・レビュー・書評
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今から20年後の2010年非共産圏先進国では、工業労働者は今日の農民の地位にまで低下している。すなわち、労働力人口の5%から10%の間にまで落ちている(P271)
現在2015年、本書発行から25年経過し、まさに『新しい現実』は具現化している。工業労働者(肉体労働者)が減るいっぽう知識労働者が労働人口の大部分をしめ、尚且つ社会をより豊かにしている。この現実が覆されることがあるのだろうか、更なる20年先の社会はいったいどうなっていることだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「新しい現実」は少し前に買っていたのだが、「ポスト資本主義社会」を読み、「ネクストソサエティ」を読み、「断絶の時代」を読んだ後で、手を出すのをためらっていた。
しかし、ドラッカーの著作の中では同系列の前の3冊に、負けず劣らず読みごたえのあるものだった。(ボリュームも読み終わった後に400頁弱あったのに気付いた)
「新しい現実」が世に出たのが1989年、すなわち平成元年となっている。
「歴史の境界たる峠」の先にくる「新しい現実」という本書の出だしは有名だが、信じがたい炯眼で人間の歴史を見抜いている。
「社会」については、このころ目前に迫っていたソ連の崩壊を予測し、「社会による救済」が幻想でしかないことについて語り、経済についてはグローバル化もつ意味を、知識については主に社会の情報化・知識化について語っている。
EUのギリシア問題や、TPP、ネット社会の発達など、これらの「新しい現実」はさらに進行しており、いまだこの転換は完了していない。ゆえに、まだだまこの本から学ぶところは多い。 -
これで、ドラッカーにはまりました。(笑)
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目次
第1部 政治の現実(歴史の境界
「社会による救済」の終焉
ルーズベルト流政治の終わり
「ロシア帝国」崩壊のとき
軍備の反生産性)
第2部 政府と政治プロセス(政府の限界
新しい多元社会の出現
カリスマを警戒せよ―新時代の政治リーダー)
第3部 経済、環境、経済学(グローバル経済と地球的環境問題
経済開発の矛盾
岐路に立つ経済学)
第4部 新しい知識社会(脱ビジネス社会
2つのカウンターカルチャー―「労働者階級」とサードセクター
情報化組織
社会的機能および一般教養としてのマネジメント
教育の変化
分析から知覚へ―新しい世界観) -
2008/11/07 読了 ★★★★
2012/10/10 読了