Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」

著者 :
  • ダイヤモンド社
3.72
  • (34)
  • (56)
  • (58)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 880
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478116739

作品紹介・あらすじ

4000人を観察してわかった!組織と人を巧みに動かすビジネスパーソンが実践している、深くてさりげない「25の技術」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • おもしろかった。知識やロジックではなく、人間心理と組織力学に重きを置いた、ビジネススキル論。人とは、「理」より「情」を丁寧に解説した本です。

    ロジカル(=正論)ではなく、「人間心理」と「組織力学」(=深い洞察力)をディープスキルといっています。不正を働くのではなく、ぶち当たった壁を、人と組織をディープスキルで動かしていくが骨子です。

    気になったことは以下です。

    ■したたかに働く
    ・「知識」や「ノウハウ」は仕事をする上での必要条件ではあっても、十分条件ではない
    ・(小狡い細工で)決定的な問題にまでは発展しなかったとしても、上役が一度抱いた不信感が消えることはありません。
    ・信頼を勝ち取るためには、どうすればいいのか? 答えは簡単です。誠実であること。これに尽きます。
    ・よけいなこ・とを言って気を悪くされるよりも、味方につけておいたほうが得。
    ・自分がスポットライトを浴びるのではなく、上役にスポットライトを当てることが、プロジェクトを守り抜くうえで重要な「打ち手」だった。
    ・「正論」を安易に使ってはいけない。正論は正しいからこそ怖い。
    ・そもそも上司は意思決定したくない存在である。
    ・仕事を動かしているのは、「理屈」ではなく「感情」である
    ・いざとなったら退社。会社のことで深刻になるほどのことはないという達観を養う。

    ■「人間関係」を武器とする
    ・「自分の存在」を認めてもらう。「実績」こそが、発言力の源なのです。「実績」を打ち立てることによって、自分の存在を認めてもらうほかに活路を拓く方法はない。
    ・圧倒的な「量」をこなすことで、自然と「仕事の質」は高まっていく。「仕事の質」が高まれば、「結果」はからなずついてきます。
    ・「形式知」は勉強すれば誰でも手に入るが、「経験知」はあなた自身の経験からしか得られない
    ・「弱者」である私にとって、「相手とは違う戦い方」をするしか勝つ方法はなかったんです。
    ・組織の中で希少価値のあるスキルを「武器」にすることができれば、「自分の価値」を劇的に高めることができる
    ・不平、不満、不安、不幸、不便、不良、不遇、不快、不足、不自由、不平等など「不」のつく言葉はたくさんありますが、製品やサービスを提供することを通じて、これらの「不」を解消することこそがビジネスの「本質」なのです。
    ・自分の考えていることや、頭の中にあることをさらけ出し、他者からフィードバックをもらうことによって、新たな「視点」が与えられる
    ・プライドを捨てて”人に頼る”
    ・営業マンとして意識していた「話し方」とは何か。ひと言でいえば、「しゃべりすぎない」ことでした。
    ・本当に仕事のできる人は、「話術」よりも、「観察力」を磨いている
    ・相手が「本音」を漏らしてくれる存在になっているか
    ・人間というものは、「恩」を売られるのを嫌うもの
    ・あくまでも相手が「主」であること。相手の言葉(ボール)を受け止め、問い返す「壁」に徹すること。「私が助けてあげよう」などと、「自分」を主語に考えてはいけない。
    ・自分の「考え」をはっきりさせるためには、「事実+仮説=意見」という3つの要素を明確にする
    ・業務時間中はすべて、”部下のための時間”である。
    ・仕事をすれば必ずトラブルは起きると腹をくくる

    ■「権力」と「組織」を動かす
    ・風を読む。組織の中には常に「風」が吹いている
    ・重要な情報は、非公式な形でもたらされる
    ・上役の「言語化」をサポートする。相手が無意識にイメージしていた「思い」や「考え」を「言語化」する。
    ・権力の庇護下にあるときこそ、丁寧な「合意形成」をする
    ・組織とは、生々しい「感情」をもつ人間の集団です。だから、コツコツと「味方」をふやしておくことこそが重要
    ・一見非効率的であっても、そのビジネスを成立させる「肝」となる部分において、惜しむことなく「汗」を書き続ける
    ・効率バカにならたいためには、目的達成のための本質を徹底的に考え抜いて明確化する。

    ■「人間力」を磨く
    ・かすかな「嫌悪感」であっても、相手には何となく伝わってしまう
    ・「相性」がよかろうが悪かろうが、「好き」だろうが、「嫌い」だろうが、誰とでも力を合わせて、「結果」を出すのが仕事
    ・自分がなすべき「業務目的」を達成するうえで、「合理性」のある言動に徹する
    ・上杉鷹山 「見切り千両」 「撤退」する潮時を見失うのは、組織の習性である。
    ・成功確率を条件は、2つ。第1に、「やり切る」、第2に「やり切ったかどうか」まわりがみていること。たとえ失敗しても、「やり切った」うえでの、「失敗」は、評価を高めてくれる。
    ・どんなに能力やスキルに長けていたとしても、心が折れてしまえば戦い続けることはできません。
    ・苦しい局面に幾度となく遭遇しても、最後の最後まで戦い抜いたのは、確固とした「使命感」をもつ人たちでした。
    ・「怒り」があったらこそ、「こんなことで、負けられるか」と踏ん張り続けることができた。本物の「使命感」の根っこには、「怒り」や「哀しみ」などのネガティブな感情がある

    目次

    はじめに

    第1章 「したたか」に働く
     01 信頼資産 「ずるさ」ではなく「したたかさ」を磨く
     02 裏切り 上司とは「はしご」を外す存在である
     03 意思決定 優柔不断な上司に「決断」を迫る
     04 覚悟 勝負どころでは、あえて「波風」を立てる
     05 達観 会社で「深刻」になるほどのことはない

    第2章 「人間関係」を武器とする
     06 抜擢 弱者でも「抜擢」される戦略思考
     07 専門性 「専門性の罠」に陥ってはならない
     08 思考法 他者の「脳」を借りて考える
     09 話し方 ”敏腕ビジネスマン”のように話さない
     10 協力関係 「強力関係」の網の目を張り巡らせる
     11 他者貢献 親切なのに「嫌われる人」の特徴
     12 求心力 まず、自分の「機嫌」をマネジメントする

    第3章 「権力」と「組織」を動く
     13 企画力 組織を動かすプロセスを「企画」する
     14 言語化力 上司の「頭の中」を言語化する
     15 権力 「権力」を味方につける人の思考法
     16 合理性 「合理性の罠」に陥らない方法
     17 効率性 「効率化」で墓穴を掘らない思考法
     18 対立 「調整」とは”妥協点”を探すことではない

    第4章 「人間力」を磨く
     19 嫌悪感 人間の「哀しさ」を理解する
     20 失敗 「やり切った」うえでの失敗には価値がある
     21 使命感 「使命感」が最強の武器である

    おわりに

    ISBN:9784478116739
    出版社:ダイヤモンド社
    判型:4-6
    ページ数:280ページ
    定価:1600円(本体)
    発行年月日:2022年10月
    発売日:2023年01月25日 第5刷

  • リクルート出身の著者によるコミュニケーションスキルの一冊。
    タイトルや装丁から、心理学や行動経済学のようなものを駆使した少し裏技的なコミュニケーションスキル本というものをイメージしていましたが、したたかに、さりげなく、仕事を進めるためのもので、割と王道な印象が残りました。
    著者の仕事の定義やそれを踏まえた仕事への向き合い方は、共感できる面も多く、テクニックというよりもっと広い心構えを論じています。最終章では、あの「リクルート事件」との話が描かれ、その怒りを使命感に変えていった、という内容は生々しさを感じます。
    リーダー管理職向け、となっていますが、上司・先輩と部下・後輩の間でもがいているかたにはふさわしい内容だと感じました。

    ▼「知識」や「ノウハウ」は仕事をするうえでの必要条件ではあっても、十分条件ではない。「知識」や「ノウハウ」を活用しながら、具体的に仕事を前に動かしていく「実行力」こそが決定的に重要
    ▼仕事とは「誰かの”不”を解消し、喜んでもらって、その対価をいただくこと」
    ▼ディープ・スキル=「深い洞察」に基づいた「ヒューマン・スキル」

    ▼一見、「上役を立てる」かのような言動が、実は「上役」を当事者として逃げられないようにする」ことにつながる
    ▼自負心(当事者意識)は、プロジェクトの推進者としては不可欠なものだが、それを内に秘めるのが「大人」
    ▼「正論」というものは、非常に危険なもの
    ▼「そもそも上司は意思決定したくない存在である」というのが、嘘偽りのない「現実」

    ▼「専門性」を高めれば高めるほど、ビジネスの「本質」から遠ざかるリスクも高まる
    ▼相手の「恩」に報いようとする者同士の関係性を強化することで、自分ひとりでは到底手にすることができない「パワー」を身につけることができるようになる
    ▼「相手を助けよう」「相手の役に立とう」という行為によって、相手との関係性を損なうことすらありうる

    ▼組織は、生々しい「感情」をもつ人間の集まり。その「感情」の機微を深く理解したうえで、賢明な言動に徹する。これは「権力」のパワーを活かすうえで、欠かすことのできないスキル
    ▼「立場」を異にする両者が、それぞれの合理性を追求すれば異なる結論に至るのは当然のこと。双方ともに合理的な結論だからこそ、折り合う余地がなくなってしまう
    ▼合理性とは「最も効率的に目的を達成すること」という意味だが、その「目的」を決めるのは「意志」にほかならない
    ▼対立関係にある両者がお互いに「譲歩」することで交渉がまとまるケースはほとんどなく、相手の利益・関心を引き出して、「共通の利害」を探り当てることがこそが交渉を成功させる秘訣

    <目次>
    第1章 「したたか」に働く
    第2章 「人間関係」を武器とする
    第3章 「権力」と「組織」を動かす
    第4章 「人間力」を磨く

  • この本は、人間の心理や感情を紐解き、組織の中で物事をうまく運ぶ方法を紹介しています。相手の感情だけでなく自分の感情を理解した上で賢明な行動に徹することがポイントだと感じました。一緒に仕事するメンバーを積極的に巻き込み、当事者意識をもたせた上で逃げられないようにする(責任感を持ってもらう)ことを私の仕事の中に取り入れていきたいです。

  • 人間心理、組織力学についての考え方や立ち居振る舞いについて、期待以上に参考になりました。行き詰まりを感じた時には該当項目を読み返したいと思った。

  • タイトルはなんか心理学とか悪用するかのような雰囲気を醸し出してるけど、実は、中堅どころの会社員の方に読むことをオススメしたい一冊。

    「自分の能力をアピールしたい、秀でていると示したい」って思う方はいるかなと思う。でも、結局、何を成し遂げたいのか、それを成し遂げるにはどうすることが大事なのかに気づけていないと、社会や会社の中で、求心力をもてない。
    そんな大事なことを、早い段階で気づかせてくれる本かと思う。

  • 新規事業支援で有名な石川氏の著。
    ダークスキル的な話はおもしろい。

    メモ
    ・上司はハシゴを外すものという前提で巻き込む
     メディアで語らせる。起案者側に立たせる
    ・上司の不安を払拭し、安心を与える。
     判断の合理的理由を備えることで、言い訳の機会を提供できることに。
    ・会社のことで深刻になるほどのことはないという達観を養う
    ・実績こそが発言力の源
    ・専門性を高めるほどビジネスの本質から遠ざかる可能性
    ・専門性と感情を兼ね備えること

  • 全て実践できたら会社で評価されてやりがいを感じることができると思うが実践がむずかしい。

  • 著者の意図とはズレるかも知れませんが、社内での渡世術書のような感覚で読んでおりました。
    人生半ばを過ぎてくると、書かれている意味がよく分かります。
    今の自分が出来てる事と出来てない事、自問自答しながら読みました。

  • 効率性追求することはビジネスを強化する上で極めて重要な手段の一つだが、本来の目的(企業の存在意義)を達成するために必要な汗(錬磨)をかくことが重要。強みを捨て去ってしまう効率化には注意が必要。
    例:味が評判の蕎麦屋が蕎麦打ちをやめる

  • 21の法則に共感。撤退時期を決めないとサンクコストにやられますね。

全62件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

慶応義塾大学教授

「1985年 『ヨーロッパ民事手続法 その現状と課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石川明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×