チームが自然に生まれ変わる 「らしさ」を極めるリーダーシップ
- ダイヤモンド社 (2021年11月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478112328
作品紹介・あらすじ
「やる気・根性・ノルマ」で人はもう動かない! 本音の見えないリモート時代に「やれる気しかしない」最高のチームをつくる方法
感想・レビュー・書評
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▼感想
・認知科学に関連する本について、直近多く手に取っておりますが、その中でも特におすすめの一冊。
・本書はチーム・組織のパーパスにまで踏み込んで、記載されているのが特に素晴らしい。(個人観点では他の本でも学べる)
・下のメモ3つは特に大事だと感じた部分。自分が体現するのは当然として、いかにメンバーのゴールを伴走して発見するか、組織の集団的エフィカシーが実現するかを考えながら日々行動する。
▼メモ(抜粋)
・P81:内部モデルの更新を引き起こしえるゴールは、以下2つを満たしていなければならない。プラスして圧倒的な臨場感を持った時、人や組織の「ものの見方」は劇的に変わらざる得ない
>条件①:「真のWant to」に基づいていること
>条件②:「現状の外側」に設定されていること
・P89:現状維持の誘惑に引きずられることなく、いかにして「現状の外」にあるゴールにチーム・組織全体を、個々のメンバーを、そして自分自身を「没入」させていくか。リーダーシップはこの一点にかかっている。
・P170:「現状の外側のゴール」にエフィカシーを抱くとはどういうことか、なぜそれが圧倒的な行動へのドライバーとなるのかを、リーダーみずから体現して周囲にみせていくしかない。それがチームを生まれ変わらせる土台となる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここ最近読んだ組織変革系の中で一番良かった。
エフィカシーという自分にも出来そうという感覚を持たせることが大事。
・まずはリーダー自身が持つ
・メンバーにエフィカシーを持たせる
・組織としてパーパスと関連付けていく
大枠はこのような流れ。
やる気がないではなく、have toのやらなければならないが日常の仕事に纏わりついているだけ。
本当のwant to、したいことに目を向ける必要がある。
1on1の着地点はここだし、
管理職としてすべき環境整備はhave toを撲滅していくこと。 -
認知科学に目を向けた組織マネジメント本。行動ではなく認知を変える、内部モデルを変えることにおもきを置いている
机上の空論のアプローチではなく、非常に面白い。
◯熱量の差を見て見ぬふりするな
リーダーは、チーム内の熱量差を克服することが使命
「やる気のあるメンバーさえ結果を出してくれれば・・・」
「多様性の時代だし、仕事のスタンスは人それぞれで・・・」
というもっともらしいセリフでやり過ごそうとしてしている。
しかし、熱量が高まる方法論はある。
リーダーの仕事は、メンバーの認知を変えることにある。
◯内部モデル(ものの見方)を変えるには2つしかない
・ゴール設定とエフィカシー
・真のWant toのゴール設定
・やれる気しかしないというエフィカシー
◯個人も組織も進化させる「ゴール設定」2つの条件
・それは心から自分自身がやりたいことか、真のwant to に基づいているのか
・現状の外側に設定されているか。一体どうすれば達成できるのか、検討もつかないこと。
◯まずリーダーから始める
・リーダー自身のセルフエフィカシーを高める→部下や同僚・上司のセルフエフィカシーを高める→組織全体の集団的エフィカシーが高まる
・リーダーシップの究極のゴールは、チームの集団的エフィカシー水準を高めて、それを高く保ち続けること
◯リーダーはhave toまみれで当然
・本当にやりたいこと、ゴールを見つけるのは大変
・Want to(本当にやりたいこと)だと思っていても、Have to(やらなければいけないこと) であることが大半
・Have toを洗い出すとWant toが見えやすくなる
・Want toに気づけたらHave toを捨てる。Have toの捨て方を考える
・捨てること=決断することが内部モデルを変える。我々の脳は見える世界と見えない世界を選んでいる=カクテルパーティ効果。認識するものが変わる
1日の流れや1月の流れを細かくリストアップ→仕方なくやっていることを消していくことでWant toに気づきやすくなる
◯本気でやりたいことが見えないリーダーはどうするべき?
・らしさは「得意なこと」のなかに眠っている
得意なこと、夢中になれること、繰り返していること
◯現状から逸脱するのを防ごうとする機能「心理的ホメオスタシス」
・人間は生命維持に最適な平熱を保つ機能があるのと同様に、認知科学にも心理的ホメオスタシスというものがあり、いまのコンフォートゾーンに引き戻そうとする
・ホメオスタシスをなくすことはできない。認知できていれば良い
・改善の最適解は、コンフォートゾーンをずらすこと→内部モデルの領域を増やすこと
・そのために爆発的に高い目標=ゴール設計が重要
・コンフォートゾーンをずらすことで、ホメオスタシスは味方になる。ずらした先のゾーンにいかないと不満を抱くようになるからだ
◯集団的エフィカシーを高くするためには
メンバーの行動を変えるという行為を繰り返しても意味がない。
それでも成果が出ないメンバーには、彼らが見ている「景色」を変えること。
そのための第一歩がリーダー自身が個人としての「真のWant to」を組織のパーパスに重ねていくこと。それから
・自分自身の真のWant toに気づかせる
・組織のパーパスを自分ごと化させる
・ゴールへのエフィカシーを高めていく
これら一連の流れには、すべて1on1面談が重要
◯リーダーは5つの面談を使い分ける
・人事評価としての面談
・真のWant toを探す面談
・フィードフォワード面談
・フィードバック面談
・雑談
フィードフォワード面談を行うべき。未来の記憶づくりを行う。あるべき未来像から逆算していく。
◯過去を語る面談と未来を語る面談を混ぜないほうが良い
・現状を肯定する内部モデルが勝ってしまう
・フィードフォワード面談は徹底的な未来志向で語り合うから意味がある
・未来の話にフォーカスすることでゴール世界への臨場感が高まり、ホメオスタシスの基準点が現状の外側に移っていく
・部下に「なぜ?」と問うのもダメだし、抽象をいきなり具体化させるのもダメ
┗ こちら側の理解が追いつかないところまで相手の発想が飛躍しても、それはホメオスタシスの基準点が現状の外側に移っている兆候
・PDCAもフィードバック型のフレームなので使ってはいけない
・OODAループを使うべき
Observe(観察):観察することによって現状を認識します。
たとえば、業界や顧客、競合、新しい技術、社内環境などの状況や変化に着目します。
↓
Orient(状況判断):観察結果から、状況判断します。
ここでは、Observe(観察)で得たデータから、次のDecide(意思決定)に必要な材料を見極めていくことが重要です。
↓
Decide(意思決定):具体的な方策や手段に関する意思決定を行います。
この時点で、判断材料の不足に気づけば、観点を変えて観察(Observe)に戻って、ループすることも可能です。
↓
Act(実行):意思決定したことを実行に移します。
実行後は、フィードバックするために再びObserve(観察)、または必要に応じて他の段階に戻り、ループを再開します。
◯認知科学とは
・人間の「ものの見方」に関する研究分野
・心理学、神経科学、言語学、教育学などに跨る
◯個人的めも
・行動を変えれば中身も変わる。という意見を一貫していたが、それと平行して認知を変えたほうが成功確率は跳ね上がる
・「結果からの逆算」「行動を変える」以外のマネジメント選択肢、「認知を変える」が加わった
・パーパスをつくることが大前提、そしてパーパスの自分ごと化を行うエヴァンジェリストがいることで加速化できる -
特殊な資質や強力な牽引力のないリーダーでも、本書の考え方を取り入れ、チームに用いれば、メンバーそれぞれがいきいきとゴールに向かって進んでいくチームへと自然に生まれ変わる気がした。
生まれ変われる気がした…これこそ、本書で繰り返しその重要性を説く、エフィカシー(自己効力感)が与えられた証拠だ。
読書のきっかけ
リーダーシップに関する本の中で、ブクログでの評価が高かった。
何について書いてある本?
「メンバーが自主性をもって、目標に向かって継続的に動くチーム」はリーダーにとって理想的。
本書では認知科学の視点で、その理想のチームをつくりあげる方法をひも解く。
行動を変えてもすぐに元へ戻ってしまうのは、認知(物ごとの捉え方)が変わっていないからである。認知科学では、行動だけではなく認知を変えるようにアプローチする。
チームメンバーの認知を変えるリーダーは、「真のWant to」に基づいて「現実の外側」にゴールを設定し、「できる気しかしない」というセルフエフィカシー(自己効力感)を高めチームを推進する。
この本をどう活かす?
本にもあったように、まずは自分自身のゴールとそれに対するセルフエフィカシーを構築する。いま僕の頭の中にあるゴールはまだまだ抽象的で、ふわふわしている。より臨場感のあるゴールを描けたら、さらに強い情熱をもって進むことができるだろう。
リーダー育成の場面でもそのまま転用できる考え方だ。リーダー現状の外側のゴールを見つけられるよう導き、セルフエフィカシーを高められるような支援をしていきたい。
こういう人におすすめ
チームリーダー、管理職。
「メンバーが思うように動いてくれない」という他責思考ではなく、リーダー次第でメンバーの認知を変わり、みんなでゴールを目指し、それぞれが自主的に動くチームを作れることがわかる。
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チームを率いる上で、今の自分のままで良いのか、チームをどうしていけば良いのかを考えたく、本書を手に取った。
結論、目から鱗とまではいかないものの、ヒントは沢山頂いた。
そして、自分のエフィカシーとチームのエフィカシーや、心理的ホメオスタシスについて、現状を考える機会となったことが、とても良かった。
本書の主張は以下の5つ
①have toを捨てる
②まず決断、プロセスはあと
③パーパスの自分ごと化
④メンバー全員want to
⑤フィードフォワード
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当たり前とされてきたマネジメントに終止符を打つような内容だった。結果はもちろん、プロセスや表情に活気ある組織はエフィカシーが高いと感じる。もはやマネジメントという言葉自体も見直すべきなのかもしれない。
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認知科学に基づくアプローチであり、その説明がされた上での実践編という流れなので、とても納得感がある。
人を動かすには内部モデルを変えること。
外的要因では動かない。
現状の外側に、本当にやりたい!と思えるゴール設定をすれば、自ずとエフィカシーは高まる。
やりたいし、やれる!と思えば自然とそこに向かっていく。
まずは自分のwant toと組織のパーパスの共通点を見つけよう! -
ここ最近悩んでいたことの答えがすべて書いてあったような気がした本。
やっぱり働くことの意義って前年何%プラスとかそういうところだけじゃダメだな、と思う。理想とか、ワクワクドリブンとか、そういうキーワードは決して生半可な夢物語ではない。
いっぱい付箋貼りながら読みました。今後働き方に思い悩んだ時、付箋の箇所を見直したいと思います。
働くことに悩んでいる人すべてに読んでもらいたい本です。特にチームを率いる立場の人たちは読んだ方が良い本です。あなたのチームの熱量が足りないのはなぜか、そして着火するにはどうしたらいいのか、のヒントが見つかると思います。