Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings
- ダイヤモンド社 (2021年12月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478112137
作品紹介・あらすじ
「ロングターム思考」「Day1哲学」「コロナでわかったこと」……世界最高のカリスマを成功に導いた、驚くべき思考のすべて。
感想・レビュー・書評
-
【インベント&ワンダー】 Amazon創業者 ジェフ・ベゾス
多くの消費者は、Amazonが倒産するとは考えていないことでしょう。
しかし、創業者ジェフ・ベゾスは、そのリスクをいつも感じとっています。売上高10億円から40兆円になった現在もその姿勢は変化することはありません。
A;購読目的
ジェフ・ベゾス自身の言葉による初めての著書です。不要な解説は数ページだけです。なんと、400ページにわたり、ジェフ・ベゾスの考え方を観察できます。しかも、たった2,000円で。
B;何を学びたいのか?
・創業、事業家とはなにか?
・事業運営とはなにか?
・成長とはなにか?
・財務とはなにか?
多くの要素にわたり、ジェフ・ベゾスの考え方がジェフ・ベゾス自身の言葉で記載されています。
学びたい目的に沿ったところから読むとさらに楽しむことができます。
この書籍は、多くのプロフェッショナルにとって「プレゼント」だと考えます。
C;ジェフ・ベゾスの言葉から。
① 株主への手紙。
創業年1997年手紙を添付している。目的は、創業の目的と価値観に正直であり続けているか?ジェフ・ベゾス自身が振り返るため。
②決算
決算の一時的な見栄えか?将来キャッシュフローの最大化の2者択一では、「将来キャッシュフロー」を選択する。
③財務
究極の財務指標。それが「一株当たりのフリーキャッシュフロー」。なぜ「利益」ではないのか?それは営業キャッシュフローと投資キャッシュフローのバランスがもっとも重要だから。
④DAY1
アマゾンでは、毎日がはじまりの日です。株主への手紙の締めの言葉である。
「2日目には組織が立ち止まる。すると時代に乗り遅れる。次第に苦しみながら会社が傾く。そして死ぬ。」
「どうしたら2日目を退けられるか?1」お客様にこだわること。2)既存のプロセスを疑うこと。3)外部のトレンドを取り入れること。4)素早く意思決定を行うこと。
⑤株式市場
「短期的には投票機だが、長期的には計量器である。」
「株価が10%あがって賢くなるわけではない。私たちは、より重い存在になりたいのです。」
⑥事業アイデア
「1) お客様に愛される。2)規模拡大ができる。3)高いリターンが見込める。 4)長期リターンが描ける。」
⑦企業文化
「長い時間をかけてゆっくりと、人や出来事によってつくられるもので、過去の失敗と成功の物語が、企業の歴史に深く刻まれていく過程で形になっていくものです。」
⑧意思決定
タイプ1;戻すことができない意思決定。
タイプ2;失敗したら戻せる意思決定。
「素早い意思決定を鉄則にしています。ビジネスはスピードが命。多くの決定は、取り消せますし、取り戻せるからです。」
「意思決定時は、70%情報で実施する。90%待っていたら遅いです。間違った判断は、あとで直せばいいから。」
⑨高い基準
先天的か?後天的か?後天的。
「基準の高い組織にいれば、順応します。同じく低い基準も組織に蔓延するのです。」
「特定の領域で高い基準になるにはどうしたらいいのか?
高い基準が何なのか?を知ること。定義。
そして、そこに到達するのが実際にどれほど大変か?を理解する必要があります。」
⑨失敗から学ぶ
「原因が見つかったら、それを根っこから修正する。」
⑩経営リーダー層
「私に直接、報告をするリーダー層は、今四半期に目を向けてはならない。なぜならば、それは、3年前に仕込んだものだから。」
⑪経営層
「何に対してお金をもらっているか?それは、数少ないすぐれた判断を行うことに対してである。」
⑫信頼、評判
「難しいことを何度も何度も上手にやることによって築かれる。信頼は誠実さであり、同時に能力の高さでもある。言ったことをやる、つまり実行力である。」
⑬社員
「会社に留まるのは、使命のためであってほしい。金目当ての傭兵はいらない。」
「伝道者(創業者)は使命を追求する。」
⑭頭と心
「何事も小さいもののように扱う。アマゾンは大企業になったが、小さな会社の頭と心をいつまでももっていたい。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
創業以来の「株主への手紙」やこれまでの発言やインタビューが纏まっているジェフ・ベゾス語録集。ベゾス氏自らの言葉で紡がれ、彼の思想や発想に直接触れることは有意義ながら、書籍内もしくはこれまでの刊行物と重複する部分が多い。
個人的にお気に入りのエピソードは、まだ創業間もない大赤字が続いていた時期にトム・ブロコウ氏のインタビュアーに応じた際のエピソードだ。氏が「ベゾスさん、あなた、利益(PROFIT)という言葉を正しく綴れますかね?」という皮肉に対して、ベゾス氏は「ええ、もちろん。P-R-O-P-H-E-T(預言者)ですよね」と答える。いまの状況をみると語彙力はベゾスのが(圧倒的)数段上だったようだ。 -
アマゾンの哲学や現在のビジネスに繋がる変遷が見れる。この変化がほんの20年強の話だということに改めて驚きを感じると共に、変化を捉える重要性を感じた。
-
長期目線。
考え尽くしてたてた信念を貫き通す。
誠実で後悔のない人生を送る。
仕事に情熱を注ぐ。
株主への手紙はわたしにはよく理解できないが、Amazonが成功するべくして成功したのはよくわかる。あくなき好奇心と行動、細部にこだわり続けること、矢面に立つこと。経営者としてリーダーとしては得るものが多い内容。 -
賢さと優しさの下りはいつも考えさせられる。文章を読むだけで彼の信念がわかるな
-
アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが1997年の株式上場以来毎年株主に送付している「手紙」(2019年まで)と、インタビューや講演等の内容をまとめた一冊。
書下ろしではない点で、既出の情報を整理しただけと言ってしまえばそれまでだが、改めてアマゾンの創業当時から今日までの足跡を辿ることで、一貫して顧客価値向上を追求し続ける姿勢、後戻りできない意思決定には時間をかける一方、やり直し可能な場合はスピードと実験を重視して失敗を許容する企業文化、キャリアチェンジも含めた人材への投資、といった経営方針の一つ一つが、最終的には全て長期的なフリーキャッシュフローの成長という明確な目標に繋がっていることが理解できる。
ECサイトなどまだ眉唾扱いだった創業当初からネットバブル崩壊といった危機を乗り越え、プライム・AWS・マーケットプレイスという盤石な「三本柱」を確立し、さらに宇宙ビジネス等を含めて拡大し続ける同社事業の成長ペースに圧倒されるとともに、翻ってこれらが目の前で繰り広げられてきたこの20数年間、自分はいったい何をしてきたのかと問われているような気にもなる。経営書としても自己啓発書としても、価値ある一冊。 -
ベゾスの「株主への手紙」や発言をまとめた本。同じような発言が何度も繰り返されるが,それがベゾスの中心となる考え方ということだろう。印象に残ったのは,顧客のことを本当によく考えているということと,実験の大事さ。特に後者は,いくつかの実験に大勝ちすれば無数の失敗の元は取れるという考えや成功・失敗の両方から学ぶ姿勢など,大事なのは分かってるけどなかなかできない (失敗したくないから実験が小ぶりになる,失敗から学ばずうやむやになる) ことである。
-
株主の手紙をそのまま時系列に掲載している部分が主。その時々の考えや注力分野が細かくわかるしAmazonの発展を支えた考え方・取り組み・サービスを追える。
手紙をそのまま掲載しているので、一冊の本としては冗長にもなっていると感じることは否めない。
ただ、経営上の考え(成長に資するキャッシュフローを目先の利益より重視)等は何度も出てきて読者にも浸透する。
また、会議でのパワーポイント使用はなし・6ページのナラティブを資料に用いてまず読む、というのは参考になる。
個人的好みとしてはより簡潔にまとめてもらった方が読みやすいように感じたが、学びはあった。