ビジネスエリートになるための 教養としての投資

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478109915

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    「投資は終わりのない"知の総合格闘技"である」「楽をして短期的に儲けようと思うな!」というキーワードが特に頭に残った1冊でした。
    失礼ながら、タイトルからすれば「浅はかな内容かな~」という印象を持っていましたが、読んでいて非常に勉強になりましたし、既成概念がいくつか覆された気になりました。
    読後、投資に対するハードルが少し下がった気もしましたし、興味も深まりました。

    筆者の主張として、「ビジネスマンたるもの、"投資家の思想"を持たねばいけない!」といった事が大前提に挙げられております。
    なぜなら、投資でもビジネスでも「幅広い知識を身につけ、様々な知識を上手に組み合わせて自分なりの仮説を導くこと」は共通して必要だから、ということ。
    これからは投資もビジネスも、現状にただただ対応する力ではなく、自らが問題発見してそれに対して行動する力が必要なようで、作中ではそういったビジネスパーソンを「労働者2.0」と書かれていました。

    次に、「投資と投機」を明確に区別しており、短期的で目先の利ザヤを稼ぐのが「投機」、それに対して長期にわたっても株を保有し続けられるくらい強靭な企業を探すのが「投資」とのこと。
    投資の例として、「投資してから少なくとも5年は保有する」といったウォーレンバフェットの投資モデルが挙げられています。
    僕のようなズブの素人からすると、短期の金額の上下で一喜一憂してしまいそうですが、やはり長期に渡っても持ち続けることの出来る投資先を探す事が必要なんだなと感じました。

    また、「アクティブvsインデックス」についても筆者の主張があり、結論としては「アクティブ>インデックス」との事ですが、これについてはやや疑問を感じました。
    直近30年を振り返ってみて、インデックスファンドは殆ど収益が得られていないとの事。
    もしこれが事実なら、これまで僕が持っていた「インデックスが正義」という考えが見事に覆っちゃいました…
    ただ、VUCAと呼ばれるこの変化が激しい時代、これからも企業の入れ替わりが沢山あるであろう中で、「アクティブを長期保有する」という事が果たして可能なのかどうか?
    その点、少し疑問を感じます。

    これはあくまで僕の意見ですが、1銘柄の長期保有というのは、今後はあまり優位でないのではないかと思います。
    時代の変化と併せて色んな知識のアップグレードが必要ならば、投資先のアップグレードも間違いなく必要なのではないでしょうか?
    もちろん、目先の利益だけに着目した短期の売買(=投機)が良いという意味ではありませんが、長期保有には今後それなりのリスクが伴うのではないかな?と読んでいて感じました。
    どちらにしろ、易きに流れて資産形成できるほど、世の中は甘くないってことなのでしょう。(甘い話には一切のっちゃいけません!!)

    はぁ。何が正解なのか分からない・・・でも、立ち止まってはいられません。
    これからもしっかり学び、挑戦し、資産形成面でもガンガンPDCAを回していこうと思います。
    作中の"投資は知の格闘技"というフレーズがとても心に残りましたが、これから生きてゆく人々にとっては"人生そのものが、知の格闘技"なのかもしれませんね。



    【内容まとめ】
    1.「投資」を知らなければ、あなたは一生「奴隷」のままだ。
    「労働者の思考」だけでは未来はない。
    「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開く。

    2.バフェットの考え
    「私は投資した翌日から5年間は市場が閉鎖されると想定して投資判断をする」
    つまり、投資してから少なくとも5年は保有し続けることを想定して購入する。
    バフェットは株価の値動きで投資先を選ぶのではなく、永続的に利益を生み出す事業モデルを持っているかどうかという点で判断している。

    3.「構造的に強靭な企業」に投資しよう!
    強靭な構造とは、3つの要素に支えられてます。
    →高い付加価値
    →高い参入障壁
    →長期潮流

    4.インデックスかアクティブか
    よく「インデックスファンドを長期で保有しましょう」という話を耳にしますが、直近30年間だと全く収益が得られていません。
    ただ、同じインデックスファンドでも、S&P500など米国のインデックスであればかなりの運用収益が得られているはずです。
    なぜなら、S&Pは本当に素晴らしい会社でないと500銘柄に入れてもらえず、また魅力が無くなったらあっという間に対象から外されるからです。

    アクティブでも、大半のアクティブファンドは組入銘柄をインデックスに合わせます。大きく外さない形にしているのです。
    そのため結果的にコスト分だけインデックスに割り負けするという結果を招きます。
    要は、インデックス・アクティブ以前に、そのファンドの中身が利益を上げ続ける企業で構成されているのかどうかということなのです。

    5.投資は知の総合格闘技である。
    楽をして短期的に儲けようと思うな!
    投資でもビジネスでも、土台となる知識と、それらを組み合わせて“自分の頭で”考える習慣が必要です。

    知識の研鑽と、経験値を組み合わせてはじめて、投資やビジネスで使える武器になるのです。
    アップグレードも勿論大切、知の総合格闘技に終わりはありません。


    【引用】
    「投資」を知らなければ、あなたは一生「奴隷」のままだ。
    「労働者の思考」だけでは未来はない。
    「投資家の思想」こそが日本の未来を切り開く。


    p9
    Googleで調べるだけでは得られない自分なりの主張を持つことが、ビジネスでは極めて重要です。
    世界中のビジネスエリートは、自分なりの仮説構築・検証もいう思考癖を当然のように持っています。
    数字やデータだけでは良いビジネスは出来ません。
    ビジネスに強要は必要です。

    投資もビジネスと同じ。
    幅広い知識を身につけ、様々な知識を上手に組み合わせて自分なりの仮説を導くことが出来れば、投資でもビジネスでも成功する可能性がグンと高まるのです。


    p23★
    ・労働者2.0を目指せ
    「他人に働かされている」というマインドセットを「自分が働いている」に切り替える。
    つまり対応する力ではなく、自ら問題発見して行動する力が必要になります。


    p75
    ・バフェットの考え
    「私は投資した翌日から5年間は市場が閉鎖されると想定して投資判断をする」
    つまり、投資してから少なくとも5年は保有し続けることを想定して購入する。
    バフェットは株価の値動きで投資先を選ぶのではなく、永続的に利益を生み出す事業モデルを持っているかどうかという点で判断している。


    p118
    「この農地からどれだけの農作物が取れるのか」を考えるのが投資、「この土地がどのくらい値上がりするのか」を考えるのが投機。


    p146
    ・強靭な構造を持つ会社を選ぶ
    どうしたら売らずに済む会社を見つけることが出来るでしょうか?
    私は常々、「構造的に強靭な企業」に投資しましょうと言っています。

    強靭な構造とは、3つの要素に支えられてます。
    →高い付加価値
    →高い参入障壁
    →長期潮流


    p167★
    もし日本企業の株式に投資するのであれば、銘柄を厳選しなければなりません。
    少なくともTOPIXのような、市場全体を買うインデックスファンドへの投資は、日本株に関して言えば全く無意味です。

    長期投資の長期とは、「永久」のこと。
    インデックスファンドへの関心が高まっているようですが、これらの長期的に利益を増やすことが出来ない企業が多数含まれるインデックスファンドを買うのは、いくら長期保有を心がけたとしても時間の無駄です。


    p241★
    ・インデックスかアクティブか
    よく「インデックスファンドを長期で保有しましょう」という話を耳にしますが、直近30年間だと全く収益が得られていない。
    同じインデックスファンドでも、S&P500など米国のインデックスであればかなりの運用収益が得られているはずです。
    なぜなら、S&Pは本当に素晴らしい会社でないと500銘柄に入れてもらえず、また魅力が無くなったらあっという間に対象から外されます。

    アクティブでも、大半のアクティブファンドは組入銘柄をインデックスに合わせます。大きく外さない形にしているのです。
    そのため結果的にコスト分だけインデックスに割り負けするという結果を招きます。

    要は、インデックス・アクティブ以前に、そのファンドの中身が利益を上げ続ける企業で構成されているのかどうかということなのです。


    p251
    ・投資は知の総合格闘技である。
    楽をして短期的に儲けようと思うな!
    投資でもビジネスでも、土台となる知識と、それらを組み合わせて“自分の頭で”考える習慣が必要です。

    ビジネスの共通言語として会計知識も英語と同様、もしくはそれ以上に必要です。
    貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー表などの財務諸表を知らなかったら投資先の経営状況すら把握できません。

    知識の研鑽と、経験値を組み合わせてはじめて、投資やビジネスで使える武器になるのです。

    アップグレードも勿論大切、知の総合格闘技に終わりはありません。

  • 個別株投資への指南書的な位置付け。
    長期保有を前提とした企業選定を丁寧にかつ分かりやすく綴られている。
    強力な参入障壁の有無、高い付加価値、長期潮流と言う3つが選定ポイントとなるが、一番深く言及されているのは参入障壁。このポイントを考え方の元として後は自分で勉強することが必要。投資は知の総合格闘技である、とのこと。

  • 【感じる小世界】
    「資本家側」と「資本家を儲けさせる側」をよく理解しろということだと思いますが、完全に資本家側の思考を排除された教育を何十年も受ければ、当然、資本家を儲けさせる側になってしまいます。

    資本家側に行ける簡単なものは株式だと思います。
    株式を有するということはその会社の人に働いてもらっていることになるからです。


    わたしに関しては、株式投資(インデックス)はしていますが、インデックスのため資本家マインドはそれほど育っていないのではと感じています。
    投資対象の企業を研究していないのも事実です。
    感覚的なものですが、インデックスでは10年で1.5倍、20年で2倍という感じですので、爆発的に資産を増やすことはできません。投資においては効率的ではないと思います。
    しかし、それに時間を取られることもないので個人的にはちょうどよいと思っています。ただ、資本家マインドは育たないということになります。
    インデックスでも何百年も時間をかければ、とてつもない資産を形成できるでしょうが、人の投資寿命はそれほど長くないです。わたしの場合あと20年が限界だと思っています。


    最近思うところは、どの企業がどうこうということを研究するよりも、SDGsではないですが人類の命題に取り組む方が「楽しい」のではないかと感じています。

  • 結論から言って、すごい本だった。単にお金儲けのハウツー本に終始せず、投資に対する著者の熱いフィロソフィーが感じられた。変なタイトルだと思ったが、投資とは知の総合格闘技であるとのメッセージから深く納得できた。
    投資と投機との違いを学び、いかに自分が投資初心者だったのか痛感させられた。早速JT株は売却しようと思う。
    繰り返し繰り返し何度も味わうように読み続けたい。

  • ・資本家は難しいとしても、労働者1.0から労働者2.0を目指すべき。
    ・労働者2.0=投資を取り入れていく。
    ・利鞘を稼ぐのは1.0、永続的にビジネス発展していく会社を見極めて投資をする2.0
    ・額に汗をかくのではなく、脳に汗をかく
    ・渋沢栄一や岩崎弥太郎のような資本家は日本にもいた。日本は敗戦により労働を強いられてしまったこと、モノづくりの成功体験が生まれた事により、国民的に投資の意識が低い。
    ・不可逆的、潮流、参入障壁の高い企業に長期投資するべき
    →世界的な人口増加、コカコーラやディズニーなど参入障壁の高い企業。
    ・株価は短期的には人気投票で人の思惑によるが、長期的にみると価値のパラメータになってくる。

  • ・労働者の→資本家の思想
    →他人に働かせる
    ・時間という効果を雪だるま式にしていく
    →複利効果
    ・会社は従業員に給料を支払うために存在しているのではない
    ・若い間はまず自己投資で自分が働くという最も着実な土台を整えて将来の選択肢を増やす。余ったお金で株式投資をして自分よりも優秀な人や会社に稼いでもらう。
    →時間と少しばかりのお金を有効に配分して自分という道具を磨き自分よりも優秀な人を働かせる。
    →これが投資。
    ・PE→未公開企業の株式への投資
    ・日本の個人金融資産の現貯金は53%、アメリカは10%
    ・経営と投資を切り分けないことが重要
    →資本家マインドと経営者の目線で物事を考えて株式を投資。
    ・貯金額の多さは金利を生み出さないところに眠っているのと同じで労働者の殻に閉じこもることを世間に表明しているようなもの
    ・投資→その企業が将来どれだけの利益を稼ぐか。
    投機→その株がいくらで売れるか
    ・構造的な強靭な企業の3つの条件
    →付加価値の高い産業、長期的な潮流、圧倒的な競合優位性つまり参入障壁の高さ。
    ・長期的に損なわれない競争力の他に大事なのは、中短期的に倒産しないだけの強い自己資本を持っていること。
    →借入金などの負債が小さい財務レバレッジが低いこと。
    ・日本の公的年金は賦課方式と言って現役世代が保険料を払い高齢者が受け取る年金が賄われる形。
    ・株式への長期投資で大事なのは利益でありその利益を長期的に伸ばしていける参入障壁が大事。
    →会計の知識はめちゃ大事で会社の好き嫌いや株主優待手当の投資は間違っている。証券アナリスト一級くらい。日本の外食産業なんて殆どが上場目的。
    ・配当とは簡単にいうとタコが自分の足を食っている状態。
    →債権にはクーポンがあり償還時にその債権の発行元に倒産などがなければ、額面元本が戻ってくるが、株価には元本という概念がなく、あるのは株価のみ。配当が支払われるたびに確実に株価は下がる。
    配当前の株価イコール配当後の株価+配当

    配当を受け取ることは将来の企業価値増大を先食いし複利効果を諦めることになる。
    ・証券会社のセールスマンに何に投資すべきか聞くのは絶対ダメで、あたかも床屋に行って散髪をした方がいいか聞くのに似ている。彼らは彼らにとって売りたいものや収益性の高いものを売るというビジネスモデルだから。

  • 本書を刊行(2020年5月)直後に読み、コロナショックで下がった株を買っていたらどうだろう。
    面白いほど株価が上がり、今頃ニンマリしているのではないだろうか。だが、金融知識が不足しているわたしには、もう少し投資の勉強が必要。

    本書は、ページの残りが少なくなるにつれて面白くなった。
    売らない株を買う、つまり長期保有するために「高い付加価値」「高い参入障壁」「長期潮流」という構造的に強靭な企業に投資するのがベスト。それを知るためには業界内で比較したり、今後の世界動向(人口増加など)を計算に入れたりすることが大事。

    株の選び方について書かれた本は初めて読んだが、一冊だけの内容を鵜呑みにせず、十数冊読んで、腑に落ちたものだけを取り入れていこうと思う。

    p79
    農林中金、正確には「農林中央金庫」のことで、「農中」という略称で呼ばれることもあります。農家の方が加入している農業協同組合(農協)ではJA貯金といって主に農家の方を対象にした貯金が取り扱われており、そこで集められたお金を農林中金がひとまとめにして、さまざまな運用を行っています。ここに集まっているお金が今、100兆円以上あって、そのうち8割程度が米国国債を中心とした債権、株式などの伝統的アセットクラスへの投資、クレジット投資、ヘッジファンド、プライベートエクイティといったオルタナティブ投資などで運用されています。

    p109
    雑誌にしても新聞にしても、誰にでも分かる内容を載せようとします。なぜなら、あまりにも小難しい内容だと誰も読まないからです。それは単行本だってそうですよ。本を書く時、恐らく多くの編集者は執筆者に対して、「誰にでも理解できる、分かりやすい書き方でお願いします」と言ってきます。ましてやネットメディアに至っては、「長文は誰も読みませんからなるべく短い文章で」と言ってきます。
    短い文章で本質を突く、読む人が読めば物凄い儲けのネタになるなんて記事を書くことなど不可能です。
    だから、もうはっきり言ってしまいますが、メディアを通じて流れてくる情報は、ほとんど儲けるのには役に立たないことが多いのです。残念ながら、それが事実だと思います。

    p146
    では、どうしたら売らずに済む会社を見つけることが出来るのでしょうか。私は常々、「構造的に強靭な企業」に投資しましょうと言っています。
    強靭な構造とは、3つの要素に支えられています。「高い付加価値」、「高い参入障壁」、「長期潮流」です。

    p155
    少なくとも2100年までの人工推計を見る限り、世界中の人口が増加していくのは間違いありません。

    p156
    人口が増加するということは、健康への需要が増加するということです。

    p165
    まず日本の総人口がピークをつけたのが2015年で、1億2709万人でした。ここから長期にわたって人口減少過程に入り、2040年時点で1億1092万人、2053年には1億人を割り込んで9924万人まで減少します。その後も2063年には9000万人も割り込んで8999万人になり、長期参考推計ではありますが、2100年には5971万人になります。

    p167
    日経平均株価指数は企業の選別度合いという意味では少しはましかもしれませんが、やはり参入障壁を持たない企業が多数含まれています。最近、インデックスファンドへの関心が高まっているようですが、これらの長期的に利益を増やすことが出来ない企業が多数含まれるインデックスのファンドを買うのは、いくら長期保有を心掛けたとしても、時間の無駄以外の何物でもないことを申し上げておきましょう。

    p170
    ですから、高い参入障壁を持っている会社を見つけて投資したら、あとはその参入障壁が失われていないかどうかをチェックしなければなりません。参入障壁がある限りは保有し続けられます。もし参入障壁が無くなったと判断した時は、売るタイミングです。
    問題は、何を持って参入障壁が失われたのかを判断するかですが、これは競争環境をチェックするようにして下さい。

    p189
    ディア・アンド・カンパニーで話を聞いている時、頻繁に出てきたのが「精密農業」という言葉でした。たとえばトウモロコシの苗を植える時、どのくらいの間隔で植えると収穫が一番良い状態になるのかを、AIで分析していくのです。すでにオランダがこの分野で進んでいて、日本でも導入しようという話が出ているようですが、現時点で最も進んでいるのが米国です。

    p190
    今後、AIがさまざまな分野に導入されていくなかで、一番の参入障壁を持っているのは、一次情報を握っている会社なのです。

    p203
    そもそも誰でも簡単に入手・分析できるようなPERやPBRのような定量的財産情報だけで、割安かどうかを判断して儲けることができると思いますか?
    インターネットが普及する前であれば、単純に対象企業の時価と簿価の差を収益化することができたかもしれません。実際にバリュー投資の始祖、ベンジャミン・グレアムはこの手法により大成功を収めました。しかしいまや単純な財務分析は誰にでも手軽にできるようになりました。

    p206
    つまり相場が底を付けて上昇局面に入り、天井を打って下落局面に移行して再び底を付けるまでをワンサイクルと考えて、この間に複数回に分けて投資していくのですが、このワンサイクルを私は5年から10年と考えています。したがって、投資するべき金額が決まっているならば、5年以上かけて投資し終えるというイメージで考えています。

    p209
    長期的に損なわれない競争力の他にもう一つ重要な条件があります。それは、中短期的に倒産しないだけの強い自己資本を持っていることです。具体的には借入金などの負債が小さいことです。これをファイナンス用語では「財務レバレッジが低い」と表現します。

    p210
    やはりいちばん重要なことは「圧倒的な競争優位性」であると繰り返しておきましょう。

    p216
    買収の場合はその時点の株価に対して3割以上高いところで買収価格がさを設定することが一般的なのです。

    p237
    そして配当が支払われる度に確実に株価は下がります。(これを配当落ちといいます)。つまり、配当前の株価=配当後の株価+配当なので、配当が高ければその分、配当落ちの後の株価は下落し、株主にとっては完全に差し引きゼロなのです(正確には税金分だけマイナスです)。

    p244
    そのファンドの中身は何で、誰がどのような考え方で選定しているか、を理解しましょうということです。ファンドの運用者は誰か、その運用チームの哲学、運用手法、組入銘柄の中身はどういったものかなどを吟味して、あなたの虎の子のお金を預けるに足るクオリティをもった投資信託を選ぶ必要があるでしょう。その際に参考になるのが、その運用会社のホームページ、お目当ての投資信託の月次報告書、定期的に行われる報告会などです。そういった機会を利用してできるだけファンドの中に何が入っているのかを理解するようにしましょう。

    p249
    たとえばアジア経済がまだまだ伸びるとしましょう。その時、最も大きな利益を得られるのは、アジアの地場企業でしょうか。違います。アジアの成長を最も享受できる企業の一つの例としては米国のウォルト・ディズニーが挙げられます。(中略)当然、アジアの一企業がこのジャンルでウォルト・ディズニーの向こうを張ろうとしても、尻尾を巻いて逃げることになるのは目に見えています。


  • ・貯蓄に回すお金は、必ず天引きのような形で隔離すること。じゃないと使っちゃう

    ・日本のインデックスは、利益をあげないダメな企業も入ってるから、非推奨。
    ・その意味ではSP500がいい


    ★全世界株式に対しての誤解があった
    アジアが急成長したとして、もうかる会社は?
    例えば、ディズニーがあるため、ディズニー。

    ★若い間はまず自己投資をする。
    時間→お金の兌換効率を高めるために、時間→能力へ時間を使う。
    自己投資には、さまざまな経験、も含まれる。住む場所、旅行など。


    ★ビジネスを見るとき、「参入障壁」を見る。
    参入障壁はどんどん崩れていくので、対抗策を打っているか?例えば買収など

    ★質問すべきは、「参入障壁がありますか?」「競争力を決める要因はなんですか?」

    ★投資するときは下の表に言語化してから。例はナイキ
    ・競争優位は?(膨大な広告投資)
    ・付加価値は?(トッププロ選手と同じウエアや靴という高揚感)
    ・長期潮流は?人口増、経済成長、健康志向による市場拡大)

  • 株式の短期売買ではなく、長期保有することの意味

    株式投資のイメージが変わったと同時に、より難しいものであると感じた

    企業が長期的に利益を上げ続けることが出来るかが大事

    PER.PBRはほぼ意味がない

    楽して稼ぐことは出来ない

    最近よく目にするような億り人的な発想とは一線を画していた

  • 今より豊かな人生を歩みたい。そう考えている人は、なにが正しい投資なのかを理解しておかなければならない。正しい投資とは、結論、「長期的な目線で物事を考えて行うこと」である。投資は必ず、長期的な目線で考えなければならないのだ。

    2. 投資対象
    では、そもそも何に投資したらいいのだろうか。それは、「自分自身」と「株式」である。しかも、投資する順番は「自分自身→株式」でなければならない。

    (1) 自分自身への投資
    投資の主な目的はより多くのお金を得ることである。そして「お金を得よう」と考えた時、多くの人が選んでいる手段が「時間と能力を切り売りしてお金を得る」という方法だ。しかし、これは大きな間違いである。なぜなら、「お金を得るために時間と能力を費やす」という短期的な目線で考えてしまっているからだ。一時的なお金を得ることはできても、“より多くの”お金を得ることはできない。そもそも、時間と能力の切り売りが自己投資だとはだれも思わないだろう。
    では、より多くのお金を得るための正しい自己投資とは、「能力を高めるために時間とお金を使う」=「自分自身への投資をする」という長期的な目線をもって行うことである。今出来る範囲内のことだけを続けるのではなく、自分に足りないと思われる能力を磨くことに集中する。今より3年後、3年後より10年後、10年後より20年後。そうやってより高い能力を身につけ、同じ労働時間でもより多くのお金を得ることができる。

    (2) 株式への投資
    そういて生まれた“余剰資金”を株式へと投資する。株式投資とは、企業にお金を貸し、そのお金で生み出した利益を配分してもらうということだ。自分以外の、他者やお金に働いてもらっている状況をつくることができる。
    そうすれば、あなたは労働時間を減らし、その分自由な時間を得ることができる。もし企業からの配分が今の給与と同額であれば、あなたは働かなくても今と同じ生活ができる。今までの労働に費やしていた時間が、まるまるあなたの自由時間になる。

    3. “正しい”株式投資
    とはいえ、ただ株式を買えば何でもいいというわけではない。自己投資同様、株式への投資にも正しい投資とやってはいけない投資がある。
    やっていけない株式投資は、短期的な株価の上下に合わせて株式の売買を繰り返す手法である。そもそも“投資”という考え方は、「長期的な目線で物事を考えること」であったはずだ。ならば、株式投資も長期的な目線で行わなければならない。具体的には、高い付加価値を生み出し、高い参入障壁によって競合の付け入る隙がなく、人口増加や高齢化などの長期的な社会動向に沿う事業を行っている会社。このような「強靭な構造を持つ企業」に投資すること。極端に言えば、「永久に売らなくていい企業」の株を買うこと。もちろん、短期的な株価の上下や急落・急騰は必ずある。それでも、長期的に見れば企業価値の向上と安定的な配分が期待できる。そんな会社の株を買う。これが正しい株式投資である。

    4. 一日が24時間以上になる
    自己投資によって余剰資金を生み出し、余剰資金を正しく株式へ投資する。これを続けていくことができれば、あなたの未来はどうなっているだろうか。能力が向上することで、同じ時間で今よりもはるかに多くのお金を得ることができるだろう。企業からの配分によって、一切働かずに暮らしている可能性すらあり得る。今あなたが「8時間の労働による給与30万円」と「自由時間16時間」をもっているのであれば、何十年後かは、「企業からの配分30万円」と「自由時間24時間」をもっている可能性があるのだ。
    これは「未来のあなたの一日」が「今のあなたの一日よりも長い」ことを意味する。つまり、未来のあなたの一日は今の24時間以上であるのだ。

    5. 終わりに
    今日明日のことだけを考える短期的な目線では、何年経ってもあなたは今のままである。短期的な目線で株式にお金を使っても、それは投資ではなくただの投機でしかない。
    だが、長期的な目線で物事を考えることができれば、あなたは自身の能力を向上させることの価値に気づき、株式投資も正しく行える。結果として、今よりも多くの時間を持ち、今よりも豊かな生活を送ることができるだろう。
    とはいえ、やはり長期より短期で考えるほうが我慢もしなくていいし楽である。目先の利益に対する欲求は誰にでもある。人間とはそういうものだ。
    それでも、人生をより豊かにしたいと本気で思うのであれば、投資の考え方を学び、実行に移すしかない。



    投資は知の総合格闘技である。
    幅広い知識を身につけ、それらを組み合わせ、そこから自分なりの仮説を打ち立てる。このプロセスが、投資でもビジネスでも成功する秘訣。

    「投資をする」とは、「長期的な成長を期待する」ということである。
    このような投資の考え方を身につければ、労働者マインドが経営者マインドへと変化し、あなた自身のビジネスマンとしての大きな成長が望める。

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著者プロフィール

投資信託「おおぶね」ファンドマネージャー。農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『投資家の思考法』『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(いずれもダイヤモンド社)がある。

「2023年 『マンガでわかる お金を増やす思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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