上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法

  • ダイヤモンド社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478108772

作品紹介・あらすじ

発想を180度切り替えろ! 根本原因にさかのぼってアプローチする、最大効率×最大効果のまったく新しい問題解決術!

感想・レビュー・書評

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  • 問題が起こったときに、対処法を考えるけれども、それが起こる前に、どうするべきかを具体的に議論するのは非常に難しい。

    問題解決は、ときにアピールの場として、広く称賛されるものの、「問題点を発見し、事前に予防した」ことに対しては、場合によっては、誰も気づくことなく見過ごされることが多い。

    予防策を考えることの重要性はわかっているのだけれども、この評価されないジレンマと、そもそも起こりうる問題点がわからない場合、どうすればいいのか。

    それらの解決策へのヒントがこの本には散りばめられている。

    この本を読んでいて、最も衝撃を受けた箇所は、P198『上流介入に関する最も深いかつ最も有害な考えは、「予防のための取り組みは節約にならなければ行う意味がない」と言う決めつけだ』。

    コスパの良さ、問題の予防策が、問題発生後にかかる費用より少ないから、選ぶべきだ、という考え方は、無意味でなくとも、ときに正しくない場合がある。そして、これもまた、予防策を講じない理由の一つになってしまうのだ。

    この本は、章立てが優れており、また最後にサマリーがついているので、読後も、目次とサマリーを見れば、なんとなく思い出すことができる点で、非常に読者に沿った設計であると言える。

    こうした本は、どうしてもなるほどおもしろかった!といって、行動に移さないことが多いので、自分の「問題盲」について考えてみることからはじめようと思います。

  • 1.上流思考とは何か?を知りたかったので読みました。

    2. 「問題の根っこを探り、描きたい結果が出るように解決策を設計していく」という要旨になりますが、これを日常的に考えていくことは大切ですが難しいです。本書では、上流思考を習慣化するためには、当事者意識をもつこと、問題盲に囚われていることトンネリング(問題の先延ばし)を意識していかなくてはなりません。これにより、問題の予防に目を向けることができ、無駄な時間を過ごさなくて良くなります。そうして、時間を生み出していくことが重要だと本書は述べています。

    3.ウチの会社では「忙しい」が口癖になっており、常に何かに追われている状態が続いています。人間関係が悪くないため、問題が非常に見えにくい状態にあるため、なお厄介です。
    本書にある「問題盲」という状態になりつつある自分がいたので、良い気づきを得たと思いました。

  • 予防への関心
    『上流思考』とは事前予防、事前予防対策。問題、事件事故が起きる前に何を事前対策しておくべきか、が今後非常に大切なると言う事。それは事後の費用は事前の対策費用に比べ多大に膨れ上がるケースが多いから、と言う。文中にあった若者の暴力・非行行為をなくするには「時間をうまく利用」でスポーツ施設に投資、若者が健康に活動できる場の提供は理解できる。平和ボケで若者間で発生するのは「持て余した時間の使い方」は得てして非行に走るのだ。

  • より上流(より根本的)な問題を解決し、場当たり的な対応だけでなくより広範な問題を「問題が起こる前」に解決するために必要な考えに関して述べられている。真因の追求や一網打尽の解決策の探索といったテーマで書かれた書籍は多いが、上流の課題に対してどのようにアプローチすれば良いか、何を気をつけなければならないかが体系的に示されている点が本書のポイントであると感じた。上流活動においてしばしば問題となる「効果が出るまでの期間が長い」や「効果が実感しづらい」などに関しても事例を共に説明され、解決の糸口が示されている。

  • いわゆる「予防保全」的な考え方に目新しさは無いが、事例が面白い。

  • 上流思考とは?

    それは、本書冒頭にこのような事例とともに説明される。

    友人とピクニックをしていると、川で子供が溺れている。
    友人とあなたはとっさに川に飛び込み、子供を助けた。
    すると、息つく間もなく、別の子が川に落ちた。
    その子も救い出すと、また別の子が…。

    これは何を示唆しているのか。

    事例としてはやや荒唐無稽だが、ここで言いたいことは、川に落ちてくる子供を救うことは大切だが、この問題を解決するためには、「上流」に行き、子供が落ちる原因を突き止め、そこを改善することこそが重要ということ。
    このような考え方を「上流思考」という。

    つまり、問題が起こる前に解決する思考法である。

    なるほど、たしかに人は日常の業務に追われていると、トラブルに見舞われた場合、場当たり的な対処に終始してしまいがちで、問題が生じた根源的な問題は何かなどとは、あまり考えない。

    その意味で、このような視点を持つことの重要性を説いた本書には冒頭から期待した。

    しかし、その後の話は、似たような事例が繰り返し紹介されるだけで、しかもその事例もあまり納得感のないものも散見され、結局100ページも読まないうちに、読むのをやめてしまった。

  • 「問題が起こる前」に解決する思考法を知りたい人におすすめ。

    【概要】
    ●上流思考とは
    ●上流思考を阻む3つの障害
    ●上流リーダーになる7つの質問
    ●上流活動のためのアドバイス

    【感想】
    ●昔、上司から「処置より予防」と教えてもらったことがある。まさにそのことが書かれていた。被害を生じさせないためにも予防が一番の解決策なのである。
    ●しかしながら、日本社会では本書でいう下流偏重の姿をよく見る。特に思うのは、日本では被害が起きた後に、二度と同じことを起こさないためにどうするかを考え始める。
     すなわち、日頃の何もない平和な状態において、これから何がおきる可能性があるかという発想力が不足していると思う。
    ●予兆を察知し問題の本質を捉えた上で、被害が起きる前に対処するというやり方をクセにすべきだと思う。

  • 問題が起きる前に未然に防ぐ、現在の状況に課題を見つけることの重要性、方法が解かれている。
    特に問題が常態化すると目に見えなくなるという言葉はまさしくその通りだと思った。旧態依然としたプロセスに新人が新しい目で、どうしてこうしているのか?と聞いた時から改善が始まるのはよく耳にするストーリーだと思う。
    メモ代わりに本書に記載されいる七つのポイントを下記に記載する。
    ポイント
    1.しかるべき人たちをまとめるには?
    2.システムを変えるにはどうしたらいいか。
    3.テコの視点はどこにあるか
    4.問題の早期警報を得るには?
    5.成否を正しく測定するには?
    6.害を及ばさないためには?
    7.誰が起こっていないことのためにお金を払うのか?
    乗り越えるべき課題
    1.トンネリング
     今は対処できない(目の前の問題しか見えなくなる)
    2.当事者意識の欠如
     それを解決するのは自分ではない
    3.問題盲
     問題は見えるが仕方がない。

  • その場しのぎの対処よりも、その問題が起きないようにすることが大事だということは、経験則からわかっていた。ただ、多くの実践例とデータによりそれを裏付けてくれた本には始めて出会ったかもしれない。有事に助けてくれた人は確かにヒーローだが、有事を起こさなかった人は誰にも賞賛されない。不条理に思えるが、自分は上流思考に則り行動していきたい。

  • 目先の問題解決に集中するんじゃなくて、未来の問題を解決することに注力するほうが重要だし本質的だよねっていう本。
    数年前に読んだ本なので、うる覚え前提の感想になってしまいますが、この本を読んでからどうすれば予防できるかを割と考えるようになり、行動に移すように努力するようになりました。一番身近な例で言うと、歯医者さんへの定期的な通院とか。

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著者プロフィール

ダン・ヒース(Dan Heath)
テキサス大学オースティン校を卒業後、Thinkwell社を共同創設、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得。現在はデューク大学ビジネススクール社会起業アドバスメントセンター(CASE)でシニアフェローを務めている。
兄チップとの共著に『アイデアのちから』『スイッチ!』『決定力!』(いずれも早川書房)、『瞬間のちから』(ダイレクト出版)がある。それらの著書は世界300万部以上を売り上げ、33言語に翻訳されている。ノースカロライナ州ダーラム在住。

櫻井祐子(さくらい・ゆうこ)
翻訳家。京都大学経済学部経済学科卒。大手都市銀行在籍中にオックスフォード大学大学院で経営学修士号を取得。

「2021年 『上流思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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