虎とバット 阪神タイガースの社会人類学

  • ダイヤモンド社
3.22
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478107669

作品紹介・あらすじ

「阪神タイガース」という、さして強くもないのに関西で圧倒的な人気を誇る球団について、アメリカの名門、イェール大学の教授がフィールドワークを重ねて記した書。
なぜ阪神タイガースは多くのファンに愛され続けているのか?
その理由を、社会人類学的、民俗学的見地から分析する。

1-2章では、タイガースの魅力や球団史について紹介。
MLBとNPBの制度の違いなどを比較しながら、日本プロ野球の1シーズンについて解説する。

3-7章では、タイガースの世界観を考察。
過去に在籍した選手や監督に焦点を当て、球団の歴史に残る事件を取り上げる。
また、フロントの役割やファンクラブの歴史、タイガースを取り巻くマスコミについても説明する。

8-10章では、戦前から現在に至るまでの日本野球とタイガースの歴史を追う。
大阪とタイガースの歴史の切っても切れない関係について言及している。

非常によく取材されており、日本のプロ野球に対する偏見や誤解は一切ない。コアな阪神ファンが読んでも納得できる内容です。

感想・レビュー・書評

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  • 外国人の、それも、社会人類学者による、大阪においての阪神タイガースの分析。

    翻訳書特有の、うざいエピソードとかもあって辟易だが、全体面白かった。

    タイガースのワールドは、球団だけでなく、メディアや観客、ファンも渾然一体になって出来上がっているもので、それぞれがお昼のドラマの主人公なのだ。

    んで、そうか、色んなものが、巨人軍も含めて全て東京一曲になっていくなかで、在阪4球団と言いながら、セリーグで直に対決できたのは、阪神だけやったわ、そう言えば。

    エピソードとのバランスも悪くない。

  • 日本プロ野球において一線を課す阪神タイガース。フィールドワークを通じてタイガースの持つアイデンティティの成り立ちから日本プロ野球を紐解いていく。調査時期の古さはあるが他国から見た日本野球の不思議さが見える。‬

  • イェール大学の社会人類学者が日本のプロ野球を1990年台から2000年台にフィールドワークにて研究、そのなかで特異特殊ともいえる異常な人気を誇る阪神タイガースを中心にプロ野球の日本的な地位をかなり客観視されて書かれた著書。
    マスコミやファンに一挙手一投足を注目される阪神タイガースの選手、監督、親会社、フロントは野球好き、特に阪神ファンの人たちにとって「メシのタネ」になり、話題に事欠かない。
    特に85年の日本一以降続いた暗黒時代に起こった人間模様を例に挙げ、「メロドラマ」「ソープオペラ」と表現した点はとても納得がいく。泥沼化した人間模様はまるで過激な昼ドラを観ているようで、観たくないけど観てしまうそんな魔力を持ち、そこをそう仕立てたメディアの責任であり、功績ともいえる。
    学術的な知識など言い回しが少し難しかったりもするので、もう一回読んで理解を深めたいと思う。

  • 【書誌情報】
    『虎とバット――阪神タイガースの社会人類学』
    原題:THE SPORTSWORLD OF THE HANSHIN TIGERS
    著者:William Wright Kelly(1946-)
    著者:高崎拓哉(1979-)
    出版社:ダイヤモンド社
    定価:1980円(本体1800円+税10%)
    発行年月:2019年06月
    判型・造本:46並製
    頁数:332
    ISBN:978-4-478-10766-9

    なぜ我々は、“ダメ虎”でも愛してしまうのか? イェール大学教授が社会人類学的見地からその謎を解読する!
    長年のフィールドワークにより実を結んだ、『菊とバット』以来の本格的プロ野球社会論。
    [https://www.diamond.co.jp/book/9784478107669.html]

    ・記事
    https://diamond.jp/articles/-/205221

    【目次】
    日本語版の刊行に寄せて 004
    謝辞 010

    第1章 阪神タイガースの野球とは 015
    第2章 タイガース野球のリズム ── スタジアムとシーズン 049
    第3章 グラウンドの選手たち ── ルーキーからベテランまで 087
    第4章 ダグアウトにて ── 監督とコーチ 117
    第5章 オフィスの内情 ── フロントと親会社 131
    第6章 スタンドの観客たち ── ディープなファンとライトなファン 155
    第7章 プレス席の中 ── スポーツ日刊紙と主流メディア 183
    第8章 教育としての野球、娯楽としての野球 215
    第9章 職場のメロドラマと二番手のコンプレックス 249
    第10章 変わりゆくスポーツワールド ── 現在の阪神タイガース 283

    リサーチと執筆に関する覚え書き 315
    参考文献


    【Table of Contents】
    List of Illustrations
    Acknowledgments
    A Note on Terms and Japanese Language

    1. Introducing Hanshin Tigers Baseball
    2. The Rhythms of Tigers Baseball: Stadiums and Seasons
    3. On the Field: Players, from Rookies to Veterans
    4. In the Dugout: Manager and Coaches
    5. In the Offices: Front Office and Parent Corporation
    6. In the Stands: Fans, Followers, and Fair-Weather Spectators
    7. In the Press Box: Sports Dailies and Mainstream Media
    8. Baseball as Education and Entertainment
    9. Workplace Melodramas and Second-City Complex
    10. A Sportsworld Transforming: The Hanshin Tigers at Present

    Endnotes
    Appendix: A Note on the Research and Writing
    Glossary of Key Japanese Terms
    References
    Index

  • NPBへ2回履歴書を送った者としては大変楽しく読ませて頂きました。
    そもそも外国人が鳴尾浜の事について語ってるだけでも相当面白いよね。一年間の流れや過去の事件ニュースについて余すところなく書かれています。
    阪神タイガースとそのファン、フロントなどについて、
    あたかも「固有の文化を持つ単一民族について」深く考察した書物、という感じ。

  • アメリカ逆輸入!球団・阪神を学術的に考察!
    6/20発売!なぜ阪神タイガースはファンから愛され続けるのか?
    社会人類学的、民俗学的見地から分析!

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著者プロフィール

ウィリアム・W・ケリー(William W. Kelly)
1946年生まれの研究者。アメリカ・マサチューセッツ州のアマースト大学卒業後、ニューヨーク州のコーネル大学で医学博士号を取得。1980年にブランダイス大学で社会人類学の博士号を取得し、イェール大学の教授となる。山形県の庄内地方でフィールドワークを重ねた。現代日本社会における農村生活、社会の主流、スポーツの持つ役割など広範な論文を発表している。日米の学術交流促進などにより、2009年に旭日中綬章を叙勲。共著に『<日本文化>はどこにあるか?』(春秋社)。2019年6月20日、『虎とバット 阪神タイガースの社会人類学』の邦訳が発売。

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