元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法
- ダイヤモンド社 (2018年11月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478106907
感想・レビュー・書評
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これからの日本では「清貧」でも「金の亡者」でもない第三の道を探ることができます。
それは、真面目に働き、周りの人々や社会に役立つことと、経済的に豊かになることが両立する社会です。
お金の不安から解放されれば、自分にとって本当に大切なこと、本当にやりたいことを追求していけるようになります。私たち一人ひとりはもちろん、社会全体も豊かになっていきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本の「はじめに」にはこう書いてある。
「この本は特に、資産運用は初めてと言う人、資産運用をしているものの自信を持てない人にとって役立つ内容になっています」と。
結論から言うと、この言葉に誇張や偽りはなかった。
私自身は20年近く投資をし続けており(資産の一部をウェルスナビを利用して運用をしてみてもいる)、本を読んだりして勉強もしているので、この本の対象読者には該当しないかもしれない。それでも、ロボアドのアルゴリズムやAI化への課題など、勉強になるところはあった。また、「誰でも安心して利用できる次世代インフラとしての資産運用サービスを日本に広げていきたい」と言う著者の思いにも共感できた。
それから、資産運用初心者におすすめできる内容かどうかも確認しながら読んだ。より正確に言えば、一度読んだ後、そういう視点でもう一度読んだ。
なぜそうしたかというと、余剰金があり、資産運用をしていない身近な人にウェルスナビをおすすめしていたからだ(私がウェルスナビ利用前に調べて得た情報と、実際に使ってみた経験から、初心者に向いているサービスだと思い、勧めていた)。
本を再度見直してみても、初心者に向かないような記述は書いていなかった。
知ることによって初心者がかえって難しいと感じてしまうような理論や、投資先に迷ってしまうような余計な情報はなく、初心者が失敗しがちな罠を避けて、理論上正しい資産運用を始めるのに必要最低限の知識だけが得られるように端的に書いてある。
最終的に、「ウェルスナビの利用」という結論ありきの本とみることもできなくはないが、押し付けや、広告のようなアピール、煽るような強引さは全くない。むしろ控え目であり、好感が持てる。また、言葉遣いや、文章表現にも好感が持てた。
初心者がこの本の内容を鵜呑みにして、ウェルスナビを利用して投資をしたとしても、「長期・積立・分散」の運用方法を守れば、理論上、損をする可能性は低いので、この本に害はないと言っていいだろう。
ウェルスナビの手数料は預かり資産の1.1%(税込)と、ETFを自分で買うよりもはるかに高上がりだが、長期投資をすれば、平均的にはその手数料を上回るリターンが期待できる。そのため、この本を読まずに、リスクの高い金融商品を買ってしまったり、個別株に投資したり、あるいは投資をしないよりはリターンが高くなる可能性が大きいので、この本は資産運用初心者にとって有用であると判断した。
すでに投資をしていてる人にしてみれば、自分でETFを買うより手数料の1.1%分丸々損してしまうから、この本はおすすめできないと断じてしまうかもしれない。しかし、そう感じた人でも、この本に書かれていた、下記の文章について一考してみる価値はある。
”資産運用するには膨大な手間や時間がかかります。 (中略) 投資が趣味と言うわけでもない限り、富裕層は資産運用プロに任せてしまいます。仕事に当てたり家族と過ごすなど、もっと大切なことに自分の時間を使うべきだと考えるからです。“
これは投資することに慣れていると、気づきにくい視点だ。
たしかに、多くの人は、投資をしたり、金融リテラシーを高めるために勉強するよりも、もっと他のことに時間を使った方が良いと感じることだろう。
資産運用に頭を悩ませたり、時間や手間をかけることなく、ほったらかしで、効率的な資産運用ができるというメリットはとても大きい。
このようなサービスを利用できるようになったことは、多くの人にとって有益と言えるだろう。まさに「これからの投資」のスタンダードになる可能性が十分にある。
以上の様な点から、資産運用に興味があるという人で、資産運用の勉強をする余裕がない、(あるいは勉強はしたくない)けど、余剰金があるという人にはこの本を強くおすすめしたい。私も身近な人たちにおすすめするつもりである。
追記:この本をおすすめしてみた結果、年配者には受けが悪かった。20~30年も長期投資するのでは、(寿命があるので)自分には関係ないことだと思って読んだとのこと。投資初心者かつ若年層なら、合うのかもしれない。 -
ウェルスナビ柴山氏の自伝。
半生を通して投資の王道を身をもって知り、志を持ってウェルスマネジメントサービスを立ち上げる。
本の内容と離れるが、ウェルスナビの手数料は確信犯的に高い。一体どういうことなのか。
投資信託の実質コストが下がった昨今、手数料値下げへの道筋を示すべきである。 -
合言葉は「長期・積立・分散」。
何冊か投資の本を読んでほっとしたのは未来を予測する必要なんてないこと。むしろ予想しようとする方が失敗する。何故なら世界はどんどん複雑化しているから。
だからこそリスク分散がカギとなる。
ピケティのr>gの話に言及されたとき、「うわぁー!そうだった!」って思い出した。
私あの本(の解説本)読んだ時、「投資始めなきゃ!」って思ったんだった。それから何年越しだ、一体?
まずは口座作るぞ!
ライフ・シフトから「人生100年」が提唱されている昨今。
資産運用とはリスクテイクではなくむしろ身を守る術だと言うことがよくわかった。
もちろんリスクとリターンは相関関係にあることを忘れずに。
お金に固執しすぎずいかに理性的・大局的になれるかが重要。 -
最近ポイント投資なるものを始めて、投資ってちゃんと向き合えば、生活に余裕をもたらしてくれるかもと思い始めていた。
今度は実際に自分の資産を投資にあててみたいと興味を持ち始めて、何から始めたら良いのかわからず、ロボアドバイザーというワードにビットが立っていた。
なんとなく貯金を続けても、物価の上昇があったりして、自分の持っている金融資産って目減りしているのではという不安。
そんなときに手にした一冊。
「長期・積立・分散」をうまく活用すれば長い目で世界経済の成長が見越せる限り、投資にお金を割く価値がある。
この本の良いところは失敗談、投資に対する向き合い方、お金を手にして何をしたいのかといった、お金を取り巻く人間の考え方についても書かれているところ。
非常に読みやすく投資を考え始めた人にはちょうど良い一冊。 -
長期積立分散投資の有用性がよく理解できる。
ただ後半はポジショントークというか些かユートピアな未来を描きすぎている気がする。
筆者は資産運用の民主化を標榜するが大多数の家庭の金融リテラシーが底上げされるには文科省レベルで教育改革が要るし、その世代が働き手、サービス利用手に成長するには20、30年はかかると思われる。
また日本人はまだまだ終身雇用が根強いし中々首にもならないので一億総中流社会でリスクを取らずに気づけば茹でガエルになっている未来の方が現実味がある。
1番の問題は今の働き手には預貯金がないこと。税金として国から搾取され、生活は消費を煽られ、生きるための食事もコンビニやファーストフードに搾取されている。
目覚めた少数が地獄からの脱却を試みるが、大多数は変わらず少子高齢化が進むのみだろう。 -
2024/01/16
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投資について、よく言われていることを一冊通して念押ししてくれてるような本だった。ハイリスクハイリターンを元々求めない私からすると、このままのやり方で投資を続けて大丈夫なんだなーという感想。新しい気づきは特に無かった。
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筆者の半生とともに、投資の有効性や、なぜ大事かを説いた本
筆者がウェルスナビの立ち上げに至るまでの経緯や考え方の推移が、赤裸々に語られおり、リアリティとともに説得力があった
資産運用は大事、という結論ではあるものの、ウェルスナビへの誘導も、ほんの少しばかり見受けられた
とはいえ、ただ眠らせておくくらいなら、手数料が高くてもそうするべきだとは、少々勉強すれば思うことしきりである -
初心者に優しい資産管理の入門書。
時間を何にかけるか、ロボットに任せるのもありだな。