マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478106563

感想・レビュー・書評

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  • 【圧倒的な成果を生み出す 「劇薬」の仕事術】
    足立光著、ダイヤモンド社、2018年

    この手の本を読まなくなって随分と久しい。

    「すごい誰かが、こんなことをして、ああなった」という類のハウツーを知ったところで、そんなに自分に、自分の組織に影響が無いと思ってきたからだ。かえって、「あの人がこうやった」「あの学校はこうやって生徒募集が成功した」という生半可な知識は、意思決定をブラしかねないと思っていた。よく、孫社長からは「脳みそから汗がだらだら流れるくらい、考えつくせ」と言われた。そして孫社長は最後は「担当者の目」で決めていると思った。ようは本人の「覚悟」なのだ、と。

    そんなこともあって、自分では手に取らない本だが、今回読んだのは、大見さんから頂いたからだ。大見さんとは、コープさっぽろの理事長。経営破綻寸前になったコープさっぽろの経営立て直しを見事にされた、尊敬する経営者だ。大見さんから「はい」と渡されたのが本書だった。

    著者の足立さんは、大学卒業後P&G、ブーズ・アンド・カンパニー、ヘンケルなどを経て日本マクドナルドのマーケティング本部長として大活躍された方。帯には「マクドナルド300億円の大赤字を31ヶ月連続売上増にし奇跡のV字回復を率いた伝説のマーケター」と書かれている。先日、コープさっぽろの総会で基調講演をされたのが足立さんで、参加させてもらった新陽高校のくっしー(副校長)とあつお先生(副本部長)も相当に学びがあったそうだ。

    本書には著者の経験が惜しみなく披露されていて、どれも興味深かった。でも、一番目を引いたのは、僕よりも7歳上の足立さんが、PGに8年、ブーズ・アンド・カンパニー(外資コンサル)に5年、を経て35歳でヘンケル(ドイツの化粧品会社)に入社し、36歳で日本法人の社長になり、47歳でマクドナルドに転職し、50歳で退任したという経歴だ。

    本書の中でも、30代で社長に就任したことがいかに有用だったかが書かれている。そして、日本とグローバルでこの人材の登用タイミングの違いが大きな差になっていると披見されている。確かに日本の組織だと30代は「まだまだ」だ。課長クラスくらいで、上には40代の部長、50代の役員、60代の社長がいる感じではないか。学校(教員)でも30代は「ようやく使い物になってきた若手」という見方をしているのではないだろうか。しかし、世界では違って、例えば当時のP&Gのグローバルの社長は42歳。早いうちから経験を積ませて、TOPに登用するのだという。

    思えば僕も35歳で、公益財団法人東日本大震災復興支援財団の専務理事をやらせてもらった。できたこともあれば、できなかったこともある。特に組織運営については反省することもたくさんあった。恥ずかしかったこと、悔しかったこと、いろいろあったが、そのおかげで今がある。本書で「修羅場が一番人を成長させる」と書かれているが、まさにそうだった。

    結局、僕は40歳で校長になって、44歳で別の学校法人の理事長をやることになった。震災があったから学校長になったとおもってきたが、それよりも、震災復興に関わる組織の運営をさせてもらったことが、学校運営に直接に貢献したような気がする。


    著者の足立さんが書かれていることは、どれもメイクセンスだった。業界ややることは違っても、原理原則は変わらないのだと思った。

    足立さんがP&Gで学んだという、組織で仕事をする上でもっとも重要なことは「部下を育てること」。そして、「早く育てること」それは、高校生も大人も変わらない。

    やっぱり食わず嫌いはいけないな、と反省。
    本を読むというよりも、足立さんに出会ったような2時間。
    いい時間だった。

    #優読書

  • 筆者の仕事のスタンス、価値観を私の履歴書風な自伝とともに読み解いていく。

    P&G同期のスマートニュース西口さんのような、マーケティングの具体的理論と手法のついて、少しは触れられるのかと思っていたが、そこは期待外れ。

    著者のパワフルな仕事と処世術は、参考にできる部分と難しい部分はある。劇薬は短期間の処方だから効くし副作用も最小限だが、オーナー経営者の立場ではやってはいけないこともあるなと。
    取捨選択は必要な内容だった。

  • 目的は何か?を追求すること、毎回レビューをすること、自分の意見をきちんと言うことの大切さを学んだ。今の時代、飲みニケーションはなかなか実践が難しいが、人は論理だけでは動かない中でどのようにしたら人の感情を揺さぶり、共感を得られるのか考えていきたい。

  • 仕事に対するマインド、意思決定、マネイジメントの考え方、販促指南、ブランディング、経営までを詰め込んである。

    更に、経験と自らの事例なども合わせてあり、
    マクドナルドのLLセット+サイドメニュー的な本。

    頭から通しで読むと胸焼けするので、
    目次で気になる見出しから、自己啓発的に読むと良いと思う。

    自己の経歴と転職指南からスタートするユーモアはある。

    すごく楽しく仕事してるんだろうなぁ感じる。
    多分、RPGの縛りプレイが好きなんだろうなぁという方。

  • 具体的な仕事術というよりはスタンスについて書かれた本。知識では差別化できない、見解を持てるようにならなくてはならないという点に共感。そのために本を読んだり話を聞いたら、自分なりに考えて意見を持つ訓練を。

  • 定期的に読みたい本。何度読んでも劇薬。

    足立さんが特に素敵だなと思うのは、肩書きを得るために行動していたわけではなく、自分の周りの人たちを幸せにすること、この一心で何度も修羅場をくぐり抜けて、到着したのが執行取締役などの高い地位だった、というところ。
    何がベストなのか常に突き詰めていく姿勢が本当にかっこいい。

    ただ、実際毎日飲んで4時間睡眠で大企業のトップに立ってあんなに楽しく働くことが可能なのか、、?!?!と思ってしまうのは秘密。


    ◼︎人間力
    同じ商品でも、現地スタッフとのコミュニケーションの取り方を変えることで販売促進したり、相手の効率を考えた動き方をするだけでビジネスがうまくいくと書かれているのをみて、結局「人間力」が大切なんだなあ、と感じた。

    あと、自分のミスを素直に謝れるか、非を認められるかって究極の人間力だと思う。自分が悪かった、なんて歳を取れば取るほど言えなくなる気がする。
    だから他責で周りに当たり散らすことしかできない社会人が多かったりするような気がする。
    とても幸運なことに、わたしの現場には自分が悪くなくても、ここは僕がやるべきだった、こうなってしまったのは承諾した僕の責任だ、とぺーぺーの新人のわたしにも謝ってくれる先輩たちがいる。

    わたしはちゃんと謝れるのかな。謝れているかな。


    このご時世、飲みニケーションという言葉は憚られるかと思うが、なんだかんだ相手と親しくなるきっかけは飲み会だったりする。

    足立さんのように、飲み会は必ずサプライズ!ハプニングばっちこい!!冬は裸で雪合戦!!!というのはかなり難易度が高い気がするが、自分を知ってもらういい機会にもなるし、相手と話した内容や好きなもの、趣味は覚えておいて損はないはず。


    ◼︎人/文化を育てる
    弊社には、社員の行動規則が8つ定められている。月次の全社集会では社長がその行動規則についてライトニングトークをするほど、文化として根付くよう試みがなされているが、意外と浸透していなかったりする。そこで、「悪い例」「してはいけないこと」も加えたらいいのか、と勉強になった。もういい歳なので、あまり堅苦しくするのもどうかと思うが、ふと自分の行動を振り返れることが出来る程度にあってもいいかもしれない。


    初めて読んだとき、まだ社会人に成り立てだったので、お昼休みも無駄にしないぞ!たくさんの人と会うぞ!と思っていましたが、秒で同僚とランチに行ってました笑
    せめて読書など自分のためになることを継続したいとおもいます(固い意志
    時間は有限。

  • ワンページメモ。
    論理より感情。
    扇動者、プロデューサー、経営者。

  • 今の会社や友人の中では、わたしのエネルギー量が高く、頑張っているつもりは無いけれど頑張ってしまっていたり、周りにも知らず知らずに影響を与えてしまっていたのではと考えていたので、この本を読んで反対に、このモチベーションは間違っていないと思えた。

    自分の頭で考えて自ら行動することは大切だし、世界規模で見ると、日本人の哲学の無さや無気力感は返って浮くのではないか?ガムシャラにやることが正では無いが、やはり常に今やるべき事は何かを考えて働いていかないと、今のスピードが速い世の中からは置いていかれてしまう。
    周りがどうであれ、私は私が納得できる自分で居たい。2つ上、3つ上の役職や数歩先をいつも意識していたい。
    未熟な自分だからこそ、努力して良くなっていきたい。

  • 短期間で成果を出し続けてきた著者の仕事に対する哲学が詰まった本。
    本書には、心に響く言葉がいくつも登場する。繰り返し語られていることの一つに、振り返りの場を作ることがとても大切だということ。PDCAサイクルをきちんと回すことで、成功も失敗も論理で腹落ちできるようになるし、改善と成長を促すためには必要不可欠なこと。
    常に自らが成長をし続けないと衰退との意識をもっており、猛烈に学び続けている。アウトプットの量を増やそうとすれば、おのずとインプットの量をそれ以上に増やさないといけない。若かりし頃の習慣からか、4時間の睡眠で元気に働けているそうだ。それなりの結果を出すためには、時間が足りない。どうやって時間を作るかとなると、テレビを見ない。移動時間を少なくする。勤務場所の近くに住む。寝る時間を削る。となって4時間の睡眠となったそうだ。
    体も丈夫なのだろう。信頼関係を築くのに、とことんお酒の場にも付き合ったりもする。数字で会社の状態を語れないといけないという、至極まっとうで論理を大事にしているのだが、人は感情で行動することも理解し、多くの人を巻き込んでビジネスを進める姿勢に共感を覚える。
    絶対に真似はできないと思いつつ、真似したいことがいっぱいある。
    まさに劇薬、今までの自分がぬるま湯につかったゆでガエルであることを強烈に自覚できた本だ。

  • この方のインタビュー記事が良かったので読んだ。

    ビジネス書は、読み物としては面白いが浅い満足度で終わっちゃうから星は少なめ。
    自分の活躍できるフィールドを自己認識していること、抽象的に物事を捉えて意思決定をすること、周りへの影響まで想像して行動をすることが強いなあと思った。

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著者プロフィール

ファミリーマートエグゼクティブ・ディレクター、CMO。P&Gジャパン、シュワルツコフヘンケル社長・会長、ワールド執行役員、日本マクドナルド上級執行役員、ナイアンティックシニアディレクタープロダクトマーケティング等を経て、2020年10月より現職

「2023年 『SaaS時代のDX 一流企業の働き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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