コーポレートファイナンス 戦略と実践

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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478105412

感想・レビュー・書評

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  • 実務に役立ちそう。普通の理論書やと、書いてある理論を理解するだけで終わってたらあかん。そっから実務に繋がるように自分で噛み砕いて、ネットかなんかでケースを探して分析してみるとかせんとホンマに必要な実戦感覚は多分得られん。
    ただ、この本の場合理論と実務の橋渡しを紙幅に収めてくれてる。本来自分で発展させなあかん部分を教えてくれるイメージ。ROIがすこぶるええ。
    あともう一つ、筆者が思う投資銀行の価値はマーケットに対する深い見識だと。バリュエーションとかファイナンス理論なんて理解してて当たり前で、日々生き物のように動くマーケットと対峙することこそコーポレートファイナンス戦略である、と書いてある。確かに、でも投資銀行の人ってわりとマーケットに疎い。キャピマ以外の人間でもマーケットの動きに敏感にならなあかんな〜という意識を得た。

    ええ本やったけどワイくらいの理解度やと一回じゃ吸収し切れんかった〜何回か読まなあかんわ〜めんどいけど。

  • ☆感想
    資本コストやDCFに関する知識を復習しようと思った。本書はそれらに関する説明がかなりわかりやすく、網羅されている感じもあった。
    ROICの話も非常に興味深いが、BS上の勘定科目だけ見ても実際の事業でどのように使われているのかイメージし辛い。
    このことも踏まえると、ファイナンスをスキルとして定着されるには、実務経験を重ねないと、難しいと思う側面もある。
    (例えば:ROICの項目の分解の深さや、事業計画のKPIの分解の仕方など。)

    ☆引用・まとめ
    ・Life of a company
    1.会社のキャラクターと事業特性
    ○会社のキャラクターは、「収益性」「生産性」「安定性」「成長性」の指標にて大別可能。
    ⇒前者二つについては、ROAにて判断することが可能
    *営業利益ROA=営業利益率x総資産回転率
    ⇒上場企業の平均は、ROA=6%x0.8回=5%

    ○株式市場のバリュエーションは、「収益性」と「成長性」のファクターに対するPERの相関が大きい。

    ○税引き前ROIC=営業利益率x事業投資家資産回転率
    ・この両辺をそれぞれブレークダウンしたのがROICツリー。バリュードライバーを明らかにしてくれる(P91)
    ・運転資本は、”流動資産-流動負債”である。前者については、売掛金や在庫が大きくなることで、運転資本が増加してしまう。
    ・眼鏡チェーン店の同業比較をした分析P93以降。

    2.資本コストとDCF
    ○資本コスト
    ・WACC(加重平均資本コスト)=<株主資本コストx(E/(D+E))>+<有利子負債資本コストx(D/(D+E))>*(1-実効税率)
    *負債コストには税効果が乗る。
    ・株主資本コストの一般的な算出法である、CAPM=リスクフリーレート+(マーケットリスクプレミアムxβ)
    ・レバレッジを高めるとROEの振れ幅が当然大きくなるが、ROAがデットの金利を下回る場合にレバをかけると、ROEが下がる。

    ○DCF(基礎前提と定義)
    DCFでは「事業価値」を計算し、「非事業価値」を足すことで、「企業価値」を求める。企業価値から「有利子負債(債権者価値)」を引いて、「株主価値」を求める
    ⇒上記の簡便化すると、「時価の事業価値」=「時価ネット負債」+「株主時価総額」である。DCFは、左辺を求めることで、「株主時価総額」を算出する。
    *DCFでは非常行資産以外の価値を算出するのと同様に、ROICの計算においては分母にて事業用資産を使うため、それぞれが対応している
    *のれんとは、買収時の「事業価値」と買収対象のBS上の資産の差額であり、通常はBS上の資産簿価より事業価値が上回るので、一定ののれんが発生する

    ○DCF:FCFの算定
    ・FCFの算出式(P/Lから):営業利益-税金+減価償却費-設備投資額-運転資金増加額
               EBIT x (1-t) + Non cash expense (Depre + Amort) - CAPEX - Change in (Current Asset - Current Debt)
    *英語では、有形固定資産の減価償却はDepreciation、無形固定資の償却費はAmortizationと呼びます。CAPEXは、成長用と設備維持用の両方を含む
    ・業績計画の立て方
    予想P/L:売上高をKPIで分解、売上原価、販管費、その他営業外損益、利払い(予想借入金に金利を乗じる)
    予想B/S:固定資産残高(CAPEX算出に使う)については、簡便法としては、予想売上高に対して設定した資産回転率を乗じる。
    ⇒事業用の資産・負債は、売上高に対して一定の割合を置き、そのほか非事業資産・負債については横置きとするのが一般的。
    ⇒予想借入金については、不足分補う形にするとP/Lと循環参照になる(利払いの部分)。先に決めてしまい、余剰現預金でB/Sを調整する。
    ・こうしてできた業績計画について、ROICを算出してクロスチェックが簡単に可能。

    ○DCF:WACC(補論P215)
    ・エクイティコストの算出、デットコストの算出、資本構成(D/Eレシオ)の検討、の三つのステップ。
    ・資本構成については、実務上は、類似企業をベンチマークとして用いる。
    ⇒本来のD/Eレシオの定義からすると、将来の予想D÷「株主価値」で算出するべきだが、「株主価値」を求めるためにDCFしているので、ベンチマーク法をやむおえず使う。
    ・ベータは回帰分析を使った強引な統計に過ぎないため、実務上は予想ベータ(実績ベータx2/3+1/3)を使う。
    ・さらに別の方法として、類似企業数社の群集団のベータをとって、それぞれを「unlevered化」したのちに、DCF対象企業の資本構成に応じて「レバード化」する(P223)。

    ○DCF:ターミナルバリュー(TV)
    (10年目のFCF10を基準にする場合、永久成長率gとおくと)TV=FCF10x(1 + g)/(WACC - g)
    ・永久成長率は、通常0-1%程度とおく。
    ・FCF10は、安定成長期に入っていること前提なので、過度な設備投資を見込まない(P196)⇒したがって、税引き後営業利益から、運転資金増加額のみ引く。

    ○そのほか
    ・求めたFCFとTVについては、対応する年月分の割引率(WACC)で戻して、現在価値を算出。
    ⇒これが「事業価値」であるため、「非事業価値」の加算と「有利子負債」を引くことで、「株主価値」を算出。
    ・感応度分析においては、WACCや永久成長率をパラメータとして、縦横に軸で感応度を見たりする。
    ・実際の株価との乖離要因である流動性ディスカウントは、コントロールプレミアムが乗っていないため割安になっている、とも言いかえられる。
    ・予想B/Sをきちんと作ることで、予想P/Lで進んだ場合のキャッシュの残存を確かめる。


    3.M&A
    ○シナジー・買収効果
    ・割安に放置されているが故の買収時のコントロールプレミアム(=流動性ディスカウント)は、株主である売り手は受け取るべきと一般に考えられる。
    ・一方で、根源的には、事業シナジーによる価値は買収者側が受け取るべきであり、買収価格に上乗せされるべきではない。しかし、実務上は、当該プレミアムも上乗せされることが多い。
    ・買収後のEPS:稀に減るケースがある。例えば、のれんの償却、借入金利、そもそもの発行株の増加。
    ・TOB価格:30%ぐらいのプレミアムを付すという考えが一般的。しかし、直近1年などの値動きやそのVWAPなどを加味して、売り手(過去買った投資家)にとって魅力的な水準をクロスチェックする。

    ○LBO
    ・LBOは、グロースと利益率の向上のほか、レバレッジ効果が収益の源泉。後者は、売却時に買収時デットを大幅に返済することで、EVがあまり変わらなくても株主価値が大きく向上することに起因する。
    ・キャッシュフローが安定していないとなじみににくい。それゆえ、日本のLBOは衣食住ビジネスが多いし、ソフトバンクでも社会インフラになりうるようなものをLBOしている。
    ・上場企業であれば、買収時にまずはLBOで大型の調達をして、後からエクイティファイナンスをするケースは多々ある。スピードの問題で、最初からエクイティファイナンスをしたくても間に合わない。

    4.株主還元
    ○配当
    ・TOPIXの20%程度の会社は、余剰金の処分を株主総会ではなく取締役会議で済ませている。
    ⇒会社法の規定では、株主決議とすべきなのだが、例外規定としてガバナンスがしっかりしている場合(監査設置会社?)は取締役会決議とできる。
    ・日本では30%程度の配当性向がかなり多いが、欧米では0%とそれ以外で二極化している(平均は40%程度)
    ⇒成熟企業で見ると、日本の会社の配当性向は、グローバルの投資家が求める水準より大きく低いとも言える。
    ・配当は株主にとって価値中立的(P343)
     株主にとってはインカムゲインが得られる。一方で、その同額、BS上のキャッシュが減る⇒EVが減少⇒株主価値が減少。理論上は株価が下がる。
    ・同様に、自社株買いもEVの減少を起こすが、株数も減るので、理論上は株価に中立。
    ⇒実態としては、買い需要の創出とアナウンスメント効果で、株価は上がる。また、EPSの上昇も大きいが、その分将来のキャッシュの創出力が落ちているともいえる。
    ・また、フリーキャッシュフローをすべて有益な投資案件に使えるとは全く限らないので、一定の現金を蓄えている企業ならなおのこと、増配や自社株買いが株価向上の材料になる。

  • 覚えておく数字: ROA5%, 営業利益率6%, 資産回転率 0.8回, ROE10%, EBITDA8x,PER15x

  • これまで縁がない&とっつきにくそうと思っていたコーポレートファイナンスが実務で必要になったことをきっかけに読み始めました。
    初心者のため、はじめから完璧に理解するのは難しいかなと思い、ざっと斜め読みした後にその都度知りたいカテゴリやキーワードをKindle検索。該当箇所をじっくり読んで理解を深めるといった、辞書のような使い方をしています。
    企業の誕生から成長過程でどんな試練があり、どんな対処が必要になってくるかがわかりやすく図で表されていたり、対象企業のキャラクター(強み弱み)の捉え方と他社比較方法、企業価値評価の算出方法と算出結果をもとにした他社比較方法のほか、代表的な指標の目安になる値を示していて、対象企業の算出結果と照らし合わせてざっくりとした評価ができたりと、初心者の実務者が知りたいと思っている情報を惜しみなく提供してくださっているなと感じました。
    理論だけでなく、各カテゴリで算出した結果をもとに今後の企業活動に活かしていくかといったことをコーポレートファイナンス初心者にもなるべくわかりやすく示してくださっていて実務にすぐ使えそうだなと思いました。
    今は実例の試算を試しているところです。
    もう少し理論の詳細について理解を深めたい場合は同じ著者の方の別の書籍「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」が有用なのかなと思い、そちらも今後読んでいこうかなと思っています。(積読中です)
    まずは実務で使えるように本書を引き続き読み込んでいければと思います。

  • まず分かりやすい。教科書というより実践の書。

  • 一つ一つに背景/意図が添えられててわかりやすさ◎

  • コーポレートファイナンス 戦略と実践
     はじめに
      コーポレートファイナンスこそ、キャリアアップへの近道
      理論はわかって当たり前。ファイナンスの真髄は「市場との対峙」にある

     第1章 ファイナンスの全体像:Life of a Company
      01 事業戦略と財務戦略は車の「両輪」
        誕生 ひたすら生き抜く(目安として設立後5年まで)
        成長 ビジネスの拡大(株式上場まで)
        成熟 さらなる成長への資金ニーズ(M&Aや市場での資金調達を活用)

     第2章 ファイナンスに必要な会計を理解する
      01 ファイナンスと会計の関係は「原因と結果」
      02 P/Lはフロー、B/Sはストック
      03 キャッシュフローとは? 利益とキャッシュフローの違い
      04 利益は「意見」、キャッシュは「事実」
      05 キャッシュフロー計算書に登場する3種類のキャッシュフロー
        営業活動によるキャッシュフロー
        投資活動によるキャッシュフロー
        財務活動によるキャッシュフロー
      06 キャッシュフローを見れば企業のライフステージがわかる
      07 運転資本とキャッシュフローの関係性

     第3章 会計をファイナンスに生かすためのキャラクター分析
      01 会計は会社のキャラクター(個性)を知るための最強の武器
      02 ROAに隠された「収益性」「生産性」からわかる会社のキャラクター
      03 キャラクター分析のお作法
      04 株式市場はキャラクターをどう評価するか
      05 ROEより重視すべきはROA
      06 ROAと投下資産利益率(ROIC)
      07 ROICはバリュードライバーを明らかにする
      08 ケーススタディ:上場企業をやめてしまったメガネトップ
        3社の税引前ROIC推移

     第4章 ファイナンスの1丁目1番地「現在価値」
      01 現在価値の概念:1年後の100万円より今日の100万円
      02 現在価値の求め方:「複利計算」という基本的な約束事
        打ち出の小槌の値段
      03 リスクとリターンは振り子である

     第5章 資本コストをマスターする
      01 資本コスト(割引率)を計算する
        資本コストは「投資家の期待」で決まる
        加重平均資本コスト(WACC)の概念
        株主資本コストとは
        CAPMは投資家の思考プロセスを反映したもの
        ベータ(β)は個別銘柄のリスクを表す
        デットとエクイティでは、どちらの資本コストが大きい?
        デットとエクイティの最適バランスは?
      02 事業リスクと財務リスク
      03 補論:財務レバレッジとROE

     第6章 DCF法による事業価値の算出方法(超実践版)
      01 DCF法の全体像
        DCF法によるバリュエーションの流れ
        企業価値は「非事業価値」と「事業価値」で構成される
        事業価値は、ビジネスが将来生み出すフリーキャッシュフローの現在価値
        なぜ、ファイナンスの世界ではROICが重宝されるのか?
        DCF法の3つのステップ
        コラム 用語の使い分けについて
      02 フリーキャッシュフローの予測
        フリーキャッシュフローは営業利益からスタートする
        予想財務3表の作り方
         事業計画の立て方
         前提条件の設定
        ケーススタディでDCF法によるバリュエーションを実践する
        予想財務3表を作るための前提条件
        予想P/L
        予想B/S
         予想B/S上の必要手許現預金と余剰現預金について
        予想フリーキャッシュフロー
        予想投下資産
        予想ROIC
      03 WACCの算定
        株主資本コストの推計
         リスクフリーレート
         マーケットリスクプレミアム
        有利子負債資本コストの推計
        資本構成の検討
        WACCの算出
      04 ターミナルバリュー(永続価値)の算定
        ターミナルバリューの考え方
        ターミナルバリューの留意点
        コラム 100年後にもらえるポルシェの価値は?
      05 事業価値・企業価値・株主価値
      06 感応度分析
      07 バリュエーションと株価
      08 補論:DCF法によるバリュエーション詳解
        事業計画策定上の注意
         1 買収先へのコミットメント
         2 複数シナリオを用意する
         3 予想B/Sと予想C/Fも作成してキャッシュが回るか確認する
        予想P/Lと予想B/Sの循環
        WACCを設定するための目標資本構成の循環問題
        株主資本コストを求める際に悩ましいベータの取り扱い
        レバードベータとアンレバードベータ
        DCF法の算定結果はほとんどがターミナルバリューだから意味がない?!
      09 6社クイズ B/SとP/Lには業種ごとの“型”がある

     第7章 株式市場での同業他社の評価
      01 株式市場がどう評価しているのか理解するのがComps
        Compsの手順
        EBITDAマルチプル
        PERとPBR
      02 PERもEBITDAマルチプルも成長性と収益性に応じて高くなる
      03 カレンダライズ(Calendarize)
      04 眼鏡業界のEBITDAマルチプル

     第8章 M&Aにおける買収金額の決め方
      01 買収金額の相場
        グローバルM&Aの買収金額は上昇傾向
        買収にはクールな判断が必要
      02 シナジー効果と買収金額
      03 買収効果を測る指標
        買収効果を何で測るか?
        買収スキームや資金調達方法で買収効果は変わってくる
      04 のれん償却への対応
      05 上場企業の買収におけるTOB価格の決定
      06 LBOへの発展
        LBOのスキーム
        PEファンドの儲けのカラクリ
      07 PEファンドが買収するのは「衣・食・住」ビジネス
      08 教科書通りのファイナンス戦略を実践するソフトバンクグループ
      09 株式会社マイネットによるLBO案件と資金調達スキーム
        コラム 買収形態について

     第9章 株主還元政策
      01 過小評価されている配当の重要性
      02 ペイアウトの全体像
        配当政策
        横並びの日本企業、成長戦略とのバランスで決める欧米企業
        現金を貯め込むだけでいいのか?
        コラム 行き過ぎた業績連動報酬も考え物か
        株主還元にもダイナミズムを!
        コラム 配当性向を100%にしたアマダ
      03 配当について
        配当は株主にとって価値中立的
        機関投資家の配当に対する期待
      04 自社株買いについて
      05 配当 v.s. 自社株買い
      06 株主優待をどう考えるべきか
      07 ペイアウトケーススタディ
      08 補論:リキャップケーススタディ

     第10章 IR戦略
      01 IRの前提知識
      02 誰を対象とするのか
      03 機関投資家 v.s. 個人投資家
      04 日本の株式市場の大株主は誰か
      05 マーケットを司る超重要要素としての流動性
      06 ストラテジストという存在
      07 どの投資家にアプローチするか

     第11章 ベンチャーファイナンス
      01 ベンチャーファイナンスについて
        VCなどリスクを取る株主が得られるものとは?
        出資金額と持分割合の関係
      02 未上場企業の株価はどうやって決めるのか?
        PER以外でベンチャー企業の想定時価総額を求める方法
        出資時の時価総額が決まって、発行する株数も決まる
        コラム 業界平均PERを求める際はどこまでを業界の銘柄として含めるべきなのか?
      03 上場までの株主構成をどう考えるか(資本政策)
      04 クラウドファンディング
        資金調達のみではないクラウドファンディングの役割と効果
        クラウドファンディングの課題と波及効果

     第12章 ビジネスパーソンとしてざっくり知っておくべき主要数字一覧

     あとがき
    ダイヤモンド社「コーポレートファイナンス 戦略と実践」 2019年4月

  • コーポレートファイナンスの基本書としてはベスト。

  • 理論はわかって当たり前。ファイナンスの真髄は「市場との対峙」にある。と、仰ってることがよくわかる良書。

    469ページに及ぶ分厚い本ではあるけど、ケーススタディ含めてわかりやすい説明で、“実践者”ならではのメッセージが豊富な為、気持ち良く読み進めれた。

    この本を読む前に、「会計&ファイナンス入門講座」や「起業のファイナンス」を読了してたこともあり、将来のキャッシュフローの重要性や割引率などの考え方、投資家の視点などの勘所が、繰り返されることによって、馴染んできた感じもある。

    個人的にポイントをあえて3つ挙げると、
    ・企業(事業)価値がどう決まるかを理解すること
    ・理論と現実の乖離の理由を考えること
    ・主要な数字の平均値はざっくり把握しておくこと
    (ROA 5%、営業利益率 6%、資産回転率0.8回、ROE10%、EBITDAマルチプル8倍、PER15倍)

    その他細かいところでは「ブーム系在庫持ち過ぎ注意」「キャッシュイズキング」「まずは企業キャラを把握する」「財務三表の予想は保守的にする(過去5年最低値等)」「何によってディスカウントを受けるか(流動性、不確実性…)」「はるか遠くの未来のキャッシュフローを現在価値にするとほぼゼロ」「少なくとも3シナリオ」「βを筆頭に最もらしい数字を使うしかないのも現実」「調達は必要な時に必要なだけ」など、実務を回す中では当たり前のようなことでも、丁寧に説明されてるからありがたい。


    以下は読み返し用のメモ↓

    ・適正レベルを超えてしまうと、在庫はむしろ企業にとっては外となります。エステーはそのことを見越して、マスク事業絶頂期にあえて撤退したのでした。実際、その後、市中では大量のマスクが余り、経営的に大きなダメージを受けた企業も存在します。一方のエステーは、マスク事業に費やしていたリソースを外に仕向けることで、むしろ成長を遂げていきました。

    ・マスクはいずれ得ることができるでしょうが、たまごっちのようなブーム性のあるものはブームが去ると決して売れません。マスク以上に厄介ものです。

    ・在庫が増えるとキャッシュが減少すると言うのは、会計におけるキャッシュフロー計算書を理解する上で最も重要なポイントです。

    ◎総資産利益率(ROA)は、企業の総合力を示す最重要指標(キャラクター指標の王様)。ROAは、収益性指標(売上高営業利益率)と生産性指標(総資産回転率)に分解することができる。中小企業の経営分析を行う場合は、このROAだけをつぶさに見ていけば、キャラクター分析は充分とさえいえます。ちなみに、日本の上場企業のROAを平均値で見ると5%です。営業利益率は6%、回転率は0.8回(365日×0.8=292日分の売上高で総資産を回収できる)

    ・分析は時系列に「並べて」同業他社と「比べる」

    ・感動的な低価格で原価率を高めに設定しつつも、回転数を上げることによって、固定費(販管費)率を下げて儲けを生み出している。

    ・DCFにおいては、将来キャッシュフローを算出する前の準備作業として、企業のキャラクター分析が必要になってくる。

    ・株式市場が最も重視する企業のキャラクターは、収益性と成長性です。生産性を気にしないわけではありませんが、株式市場は将来にわたって株価が上がることを期待しますので、成長性が投資判断の重要材料になります。収益性の指標として「予想営業利益率」、成長性の指標として「予想売上高成長率」を用います。

    ・日本の上場企業の平均的なPER (株価収益率)は大体15倍位に落ち着きます。

    ・ROEも同じように3つの要素にブレイクダウンできます。実はROAの2つの要素に財務レバレッジの要素を加えるだけなのです。

    ・デッドで調達した資金を原資として、配当や自社株買いをどんどんやって自己資本を小さくする。つまり、バランスシートの右側での負債と自己資本の割合を変えると言うような小手先のテクニックを使えばROEを高めることができてしまう。

    ・ROICがキャラクター分析の王様だと言って紹介したROAよりも優れている理由は、分子と分母の太陽の厳密さにあります。総資産の中には、本業の利益を生み出すのに、直接関係のないも含まれるため。

    ◎業界の人間なら、業界平均値は知っておくべき数値です。

    ・事業価値に直接影響与える強みの要素をバリュードライバーと言いますが、ROICツリーはこれを明らかにしてくれる最強のツールなのです。

    ・ROICは計算するために、BSの組み換えが必要になるなど一手間かかります。

    ・メガネトップの経営陣が自社を買収すると言うMBOを実施した理由は、株価が割安に放置されていたから。時価総額が大きくない中小型株銘柄に特有の流動性ディスカウントを受けていたことが要因の1つ。

    ・借り入れの場合、金利は税務上損金に参入され、課税対象利益が減額するため、節税効果がある。

    ・借入金利100に実行税率40%かけた40の分だけ、借入による方がキャッシュフロー上有利になる。

    ・リスクフリーレートとは、リスクのない投資に対する期待リターンですから、先ほどご紹介した国債の利回りと言うことになります。

    ・マーケットリスクプレミアムは、株式市場が安全資産である国債利回りと比べて、どれだけ高いリターンを期待できるか示した値です

    ・日本の場合、マーケットリスクプレミアム、つまり、全上場企業の株式投資リターンの期待値は、過去30〜40年ほどの統計データを踏まえて概ね5〜6%となっています。

    ・ βは、評価対象銘柄の株価の値動きが株式市場全体の値動きと比べてどれだけ高いかを表した値です。

    ◎株式投資家は、最低でも①国債利回りを起点とし、②株式市場全体の平均リターンの上乗せを期待し、その上で、③対象企業のリスクの度合いに応じたリターンを期待する。

    ・格付けもにらみながら、最適資本構成よりも、デット比率が低い資本構成を目指す。

    ◎フリーキャッシュフローを見積もるステップで最も大変なのは、営業利益や設備、投資の前提となる事業計画を作るところ。

    ◎過去5年の実績で最も低かった値で、保守的に将来予想を見積もる。

    ・評価時点で明らかになっている将来の計画がない限り、事業用資産・負債は、売上高に対しての一定割合、その他、事業用資産・負債は直近の金額を横引きでおくことが一般的です。

    ・上場企業であれば、月商1ヵ月分の売り上げに相当する分位の必要手元現預金とするのが一般的。

    ・上場企業に対しては、最低でも月商の3ヶ月分のキャッシュを常に持っておきましょうとアドバイスしています。

    ・デットに関しては、帳簿価額を用いるのが一般的です。エクイティは時価総額を使います。株主には、時価総額ベースでの期待リターンを提供しないことには満足してもらえません。

    ・フリーキャッシュフローの永久成長率は何%にするかと言う点は、バリエーションの実務でも議論になる論点ですが、通常は、中長期の物価上昇率と同程度に設定されます。(ざっくり言えば、日本企業なら0〜1%の間で予測を置くことになると思います。)

    ・業績予想によっては、予測最終年度のフリーキャッシュフローを求める過程において、減価償却費と設備投資額が大きく乖離しているケースがあります。企業が安定成長フェーズになれば、合理的な企業は、長期的に減価償却の範囲内で設備投資を実施していくため、減価償却費と設備投資額がほぼ均衡すると考えるべきです。

    ・企業は、長期的に減価償却費の範囲内で再投資すると考えるのが通説。

    ◎100年後の100を割引率5%で現在価値にすると、0.76になります。はるか遠くの未来のキャッシュフローは、現在価値にするとほぼゼロに近くなる。

    ・買収金額が買収対象企業の純資産を超えた分の金額をのれんと言いますが、買収した側の企業は、BS上の無形固定資産にのれんを計上します。買収対象企業の業績が事業計画通りに達成されないなど、のれんの価値が著しく減少した場合は減損損失を計上しなければなりません。

    ・企業の将来は、過去の延長線上にありますから、現場のキャラクターから大きく外れるような事業計画が出来上がったときには要注意です。

    ◎一般的には最も可能性の高いと考えられる前提条件の組み合わせをもとに設定する現実的なシナリオに基づく事業計画のほか、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオに基づく事業計画を用意します(要は、将来予測財務諸表を少なくとも3パターン用意すると言うことです。)

    ・株式市場から求められる類似企業の時価総額を使ってデットエクイティレシオを最初に求めてから対象企業の株主価値を導く

    ◎DCF法によるバリュエーションの実務では、このデータの取り扱いがどうにも困ったテーマの1つです。専門家のフィナンシャルアドバイザーも決定係数が低い場合、気持ち、悪さは残るものの、入手し得る数値の中から最もらしい数値を用いるしかないのが実情です。

    ・我々が普段目にする上場企業のベータは、自らExcelで回帰分析の手法で計算したものも含めて全てレバードβと呼ばれるものです。簡単に言えば、対象企業の事業リスクと財務リスクの両方を加味したベータといった意味です。
    財務リスクを完全に取り除く、つまり無借金の状態にした場合のベータをアンレバード βといいます。

    ・DCF法については計算式そのものを暗記する必要全くありません。より大切なのはフレームワークを理解することです。DCF法によるバリュエーション結果を見ると、事業価値のほとんどをターミナルバリューが占めています。つまり、事業価値のほとんどは6年目以降に生み出すキャッシュフローによって決まると言うことです。ターミナルバリューは、予測期間におけるフリーキャッシュフローを見積もった結果を受けて、その後は一定のペースで成長していくと言う仮説のもとに計算されます。したがって逆説的ですが、事業価値がターミナルバリューで決まるからこそ、安く期間におけるフリーキャッシュフローの見積もり、特にターミナルバリューの計算に用いられる予測最終年度のフリーキャッシュフローを精密に行わなければならないのです。

    ・営業利益率が高くなるのは、一般的に高い参入規制や、公共性の強い教会の中で寡占状態にあるケース。

    ・小売業は、製造業や鉄道会社等と違い、設備などの重厚な固定資産は必要とせず、店舗設備も自前の試算ではなく、借り物であることがほとんど。

    ・小売業は、他の業界と比べて総資産が小さくなる。

    ・類似会社比較法は、評価、対象企業の類似会社により相場観を弾くことから、投資銀行の現場では、コンプスと呼ばれています。また、株式市場で観測された市場倍率を使うことから、マルチプル(倍率)と呼ぶこともあります。

    ◎compsの中でも、M&Aにおけるバリュエーションの実務で、最も一般的に用いられている方法が事業価値/EBITDAでEBITDAマルチプルと呼んでいます。なぜならEBITDAは営業利益に減価償却費を足し戻した数値であり、簡便的に求めたキャッシュフローと言えるからです。

    上場企業の一般的なEBITDAマルチプルの水準は近年は10倍を超えることもありますが、歴史的に概ね8倍前後になっています。

    ・上場企業の平均的なPERは、歴史的におおむね15倍といったところです。

    ・四半期決算の実績値を使って算出する直近12月のデーターのことをlast twelve monthの頭文字をとって、LDM、そしてこのをまとめる作業のことをカレンダライズと呼んでいます。

    ・1株当たりの利益(EPS)が増えるM&Aを「良いM&A」と評価する。

    ・のれんの償却日は、EPSに影響与える要因の1つですが、日本と海外の主要国とのあいだでのれんの会計処理に関する取り扱いの会計基準に大きな差があります。のれんは日本の会計基準によれば、20年以内の期間で均等償却されることになっています。のれんの償却費はCash Outしないコストですから、キャッシュフローには何の影響もありません。日本企業の中には、日本の会計基準でもM&Aにおけるのれん償却費の計上はなくしてほしいと言う意見もあります。M&Aを中期計画に掲げているグローバル企業はIFRS(国際会計基準)を採用する動きが顕著になっています。他方で欧米ではM&Aで多額ののれんを計上した企業が、その後経営が予定通りに行かなかったと言うことで、多額の減損処理に直面するケースも多く出てきており、これはこれで株主にとっては大きなネガティブサプライズです。そのため欧米ではむしろのれんは毎期償却した方が良いのではないかと言う意見も最近出てきています。

    ・TOB価格と株価との差額をTOBプレミアムと呼びます。過去に行われたTOBの事例を見ると、TOBプレミアムは30%程度に設定されていたことがわかります。

    ・ 3分の2の株主にとっては、十分な利益(30%のプレミアム)が出るようなTOB価格を設定する、これが最低条件になりそうです。しかし、残念ながら実際にはどの株主がいくらで株式を買ったかのリストは存在しません。したがって代替手法でTOB価格をいくらにすれば十分な売り注文が得られるかの票読みをします。

    ・VWAP(売買高加重平均株価)を計算するには、各日の株価と取引高をもとに、株価ごとの出来高をこのように集計し直します。累計取引金額/累計出来高。

    ・株式回転率が1を超えると言う事は、すべての株主がぐるっと1周して1度入れ替わった計算になります。実際にめったなことでは持ち株を手放さない安定株主がいますから、100%の株主が入れ替わったわけではありませんが、TOB価格が経済合理性で行動する既存株主にとって魅力的かどうかをシミュレーションするには、1つの判断し神になります。

    ・LBOは買収対象企業の資産または事業から得られるキャッシュフローを担保に銀行から資金を借りれ対象企業の株を取得する形態の買収です。LBOのための資金を融資する銀行は、ファンドがある程度のエクイティを買うからこそデットを提供します。

    ・ LBO案件が、極端にデットに頼るレバレッジを効かせたファイナンスであるため、買収対象企業が確実にデットを返済できる安定した事業でなければならないと言うことです。金融機関がお金を貸すときに、融資先の企業に1番求める事は、キャッシュフローの安定、すなわち事業が安定していることでした。衣食住のビジネスです。

    ・デットで調達した資金で安定した事業買収するという成長戦略こそ、孫さんの得意中の得意技です。実はアームホールディングスの事業は、知的財産権としてライセンスを提供するビジネスであり、安定的なロイヤリティー収入が収益元となっており、営業利益率は40%と言う極めて高い収益性を誇っています。ボーダフォン買収のケース同様、LBO的手法を使った買収がフィットするのです。

    ・M&A関連での資金調達は、まず借入金で資金調達を行い、その後エクイティファイナンスでリファイナンスしてから借入金を返済すると言うのはよくある形です。何故かと言うとスピードの問題です。M&Aはタイミングが命。売却する決めたら、今すぐに売りたいのです。エクイティファイナンスは比較的時間がかかるため間に合わないことが多いのです。M&Aは対外公表するまでは秘密裏に進められるので、投資家に対してM&A発表前に具体的なM&Aの情報を流すわけにはいきません。

    ・今期稼いだ利益のうち、どの程度配当として支払うかを表した数値を配当性向といい、1株当たり配当金額÷ 1株当たり純利益(EPS)で計算できます。日本企業の配当性向は3割前後で推移しているため、7割は内部留保としてキープしていることになります。欧米の企業は、まさに企業の成長ステージに応じて配当性向を柔軟に設定していると推測されます。つまり、成長企業では、内部留保(成長投資)重視、成熟企業では逆に株主還元重視と言うことです。

    ・自社株買いの場合は、枚数が減るので、株価は中立となります。

    ・アマダのように、配当を大幅に手厚くした場合は、当面は大きな事業投資を行わないケースもあります。

    ・株式の場合、流動性が乏しいと株価はディスカウントをくらいます。IRの役目それはすなわち流動性の創出なのです。

    ・株式投資は、個別銘柄の分析と言うイメージが強いかもしれませんが、機関投資家の場合は、地域でのウェイト付→業種でのウェイト付け→個別銘柄のウェイト付と言うプロセスで進んでいきます。

    ・企業は、自社の事業的性格を見極めて、どのタイプの投資家が最も自社に興味を持ち、そうかを探っていく必要があります。買い物をする時と同じで即断即決は多くありません。前もって購入の可能性のありそうな様々な投資家とコンタクトをとっておく事は、円滑なファイナンスを行う上で重要です。

    ・◎IRではROEについてはほぼ必ず質問を受ける。自社のROEの現状分析とどこをどう改善していくかと言う話が求められる。自社の強み弱みは収益性なのか生産性なのか、そしてレバレッジはどの程度なのか。それらを事業部ごとに説明できるようにしておきたいところ。ROICで説明できると尚良い。

    ◎起業家にとってコーポレートファイナンスは実は超重要なのです。理解が乏しいとVCに都合の良い形に決められてしまいます。

    ・◎DCF法は、業績の安定している成熟企業に限って適用されることが暗黙の前提となっている。スタートアップのベンチャー企業は、将来のフリーキャッシュフローが全く読めないため、DCF法を使うのは適切ではありません。したがってDCF以外の手法に頼ることになります。それがPERです。すでに上場している類似企業群の平均PERがわかれば、未上場企業の純利益に業界平均PERを乗じることで、おおよその想定時価総額を求めることができます。二条城のベンチャー企業は、すでに上場している企業よりも信用力が劣ります。業界のPERを乗じて計算される想定株価よりも20〜30%ほどディスカウントされることが一般的です。純利益が赤字の場合は、PERの代わりに、類似企業のEBITDA倍率を求めることもあります。

    ・ベンチャー企業への投資時に求めるリターンは最低でも年率15%以上になるであろうことが想像できます。この年率リターンのことをIRR(内部収益率)と呼びますが、VCにとっては重要な投資指標となる。

    ・上場が近づけば近づくほど、企業としての安定性は高まりますので、VCもさほど高いリターンを求める事はなくなります。

    ・実際に想定時価総額算出の際に用いるのは、平均PERの値ではなく、類似企業のPERの中から中央値になります。日本に類似企業が少ない場合は、海外企業で探してみることになります。

    ◎経営者にしてみると、お金はなるべく早い段階でたくさん調達したいものですが、タイミングが早いと企業の時価総額、株価が低いため、たくさんの株式を発行する必要が出てきます。そうすると、経営者の持ち分が大幅に低下することになってしまいます。したがって、増資によるベンチャー企業の資金調達では、「調達できるときになるべくたくさん」と言う考え方はあまり良くありません。それよりも必要な時に必要なだけ順次調達していくのがベターであり、そのためには事前にどのタイミングでいくらの資金が必要になるかと言う資金計画を立てることが重要になります。

    ・クラウドファンディングのプラットフォームの利用手数料は、調達金額の15〜20%と言うのが一般的です。実は資金調達コストと言う観点で見た場合は、決して安くないのです。大企業では、資金調達よりも、テストマーケティングの場として、あえて自社の名前を伏せた状態で、クラウドファンディングを行う事でも登場しています。

    ・ ROA 5%、営業利益率6%、資産回転率0.8回、ROE10%と言う数字だけは頭に叩き込んでおく。世の中の普通の水準と比べることによって、その会社がイケてる会社か、ぱっとしない会社かくらいはすぐにわかります。

  • Life of a company(コーポレートファイナンスの羅針盤)を基に企業の成長ステージに合わせたファイナンス理論を解説。初級~中級向けとしては決定版といっていい内容ではないだろうか。とかく無味乾燥になりがちな理論を、実務的にはどう扱い、実務と理論上どう乖離しているのか、どうマッチさせるのか、論点は何か、非常に分かり易く解説されている。特に実践面が詳細で素晴らしい。企業価値算出でここまで丁寧に分かり易く説明している書籍は珍しいのではないだろうか。コロナ前の書籍なので、最新情報を反映した改訂版も読んでみたい。

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著者プロフィール

田中 慎一(西南学院大学法学部准教授)

「2022年 『スタンダード商法Ⅱ 会社法 〔第2版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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